第30回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年7月17日(火)10:40〜12:10
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 青山参事官(原子力担当)
文部科学省 研究開発局
 開発企画課 和田課長
 核燃料サイクル開発課 中原課長
経済産業省 原子力安全・保安院原子力発電安全審査課
 古西統括安全審査官、渡邉上席安全審査官
核燃料サイクル開発機構
 中神副理事長、相澤理事

4.議 題
(1)米国原子力政策に関する調査の結果について
(2)中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(5号原子炉施設の変更)について(答申)
(3)日本原子力発電株式会社東海第二発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)
(4)核燃料サイクル開発機構の中長期事業計画について
(5)平成14年度原子力関係予算の処理について(案)について
(6)原子力委員会参与について(案)
(7)核融合専門部会構成メンバー(案)について

5.配布資料
資料1 米国原子力政策に関する調査の結果について
資料2−1 中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(5号原子炉施設の変更)について(答申)(案)
資料2−2 中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更許可申請(5号原子炉施設の変更)の概要について
資料3−1 日本原子力発電株式会社東海第二発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)(案)
資料3−2 日本原子力発電株式会社東海第二発電所の原子炉の設置変更許可申請(原子炉施設の変更)の概要について
資料3−3 研究開発専門部会の設置について(案)
資料4 中長期事業計画
資料5 平成14年度原子力関係予算の処理について(案)
資料6 原子力委員会参与について(案)
資料7 核融合専門部会構成メンバー(案)
資料8 第28回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)米国原子力政策に関する調査の結果について
 標記の件について、和田課長より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)Vision2020と、先頃発表された米国政府のエネルギー政策の関係はどうなっているのか。
(和田課長)Vision2020を元にして、エネルギー政策がとりまとめられたというのが産業界の見方である。
(木元委員)民間のいろいろな調査を見ても、明らかに原子力を望む意見は見られないが、少なくとも必要であるという認識を示す人が増えてきている。
(和田課長)そうである。原子力を選択する以外に道がない、と思われてきている。
(竹内委員)ユッカマウンテンのことが気にかかるが、どうなっているのか。
(和田課長)産業界は、放射性廃棄物の処分問題を早く片付けたいと考えている。政府による再処理政策の検討により、放射性廃棄物の処分問題への対応が遅れることを懸念している

 (2)中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(5号原子炉施設の変更)について(答申)
 標記の件について、古西統括安全審査官より資料2−2に基づき説明があった後、平成13年3月6日付け平成13・02・19原第3号をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することと決定した

 (3)日本原子力発電株式会社東海第二発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)
 標記の件について、古西統括安全審査官より資料3−2に基づき説明があった後、平成13年4月19日付け平成13・04・02原第1号をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することと決定した。

 (4)核燃料サイクル開発機構の中長期事業計画について
 標記の件について、中神副理事長及び相澤理事より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)新しい経営理念が打ち出されているが、そのうち「創造性の発揮」については、組織としてどのような対応をしているのか。
(中神副理事長)現在いろいろな取組みを考えている。例えば、FBR実用化戦略調査研究においては、いろいろなアイデアを持つ研究者や電力の関係者などが集まり一緒に議論する中で、さらに新たなアイデアを創造する。また、機構内公募により、創造的なアイデアを持つ意欲のある研究者を発掘する。さらに、外国の機関も含めた他の研究機関に研究者を派遣し、新しいものに触れる機会を作る。逆に、他の研究機関から研究者を受け入れ、機構内の創造性を高めていく。併せて、優秀な研究者の処遇を改善していくことも考えたい。
(藤家委員長)これから「創造性の発揮」にどのように焦点を当てていくのかについて、成果が得られた段階で話を聞かせて欲しい。
(中神副理事長)サイクル機構の役割として、実用化に近いところに目標を置いて研究を進めているが、そのためには、基盤的な研究にも取り組んでいかなければいけない。例えば、FBR実用化戦略調査研究の中で、材料はどうするのかという基盤的な課題もある。そのような関係の研究者育成にも取り組んでいきたい。
(遠藤委員)深地層処分の研究について、原子力発電環境整備機構との関係はどうなっているのか。原子力発電環境整備機構が締結した海外の諸機関との協定の内容と、サイクル機構が同じ機関を相手にして実施しようとしている国際協力の内容が重複することはないのか。
(中神副理事長)高レベル放射性廃棄物の処分は難しい事業なので、事業母体と研究母体は分けたほうがいい、という考え方が一般的である。他方で、研究について無駄が生じないように、サイクル機構と原子力発電環境整備機構が連携しながら進めている。具体的には、サイクル機構における、高レベル放射性廃棄物の処分に関する中心的な研究者を、原子力発電環境整備機構へ配置するなどしている。両者の業務の間に重複はないと考えているが、あらためて整理した上で説明したい。
(竹内委員)核燃料サイクルの事業化に伴い、サイクル機構のミッションが変わってきている。予算の制約が厳しくなってきている中で、ミッションをもっとアピールしないと、技術者の養成が難しくなっていく。また、もんじゅに関連して、FBRサイクルの将来性を国民にわかりやすく説明していく必要がある。
(相澤理事)長期的に見れば、ミッションは、FBRサイクルの実用化に収れんされていくべきだと考えている。いろいろな事業所で行われている研究を、一つの目標に向かって体系的に位置付けることで、技術者の動機付けにもなると思う。
(中神副理事長)もんじゅについては、建設費用や研究開発費用が高いと言われている。しかし、将来的に経済性のあるFBRを目指して研究を進めてきた結果、FBR実用化戦略調査研究のフェーズ1において見通しがついてきた。フェーズ2では、技術的なデータによる裏づけを行っていきたい。こうした研究について国民にわかりやすく説明できるよう、工夫していかなければいけないと思っている。サイクル機構が行う研究開発は、FBRだけではなく、次世代軽水炉にも使うことのできる技術なので、最終的には、オールジャパンレベルでの課題解決につながるものだと考えている。
(竹内委員)サイクル研究の中核を担うのは、サイクル機構しかないので、ミッションを強く発信すべきである。
(木元委員)今サイクル機構が一番求められているのは、経営理念にある「社会の信頼」である。どのような事業計画を出しても、社会の信頼がなければ、それが認められない、という危機感を持って欲しい。すなわち国民や社会の信頼をどのように得るかという問題である。私は、サイクル機構の機関紙の編集に参加し、その中身を見直してきた。しかし、今回の編集方針と構成については、サイクル機構内の人だけで審議しおり、一般の方々の視点から見れば見直すのが当然と考えられるところが、見直されていない。原稿を見せていただいたが、専門的な難しいものとなってしまっており、また元に戻ったな、という感じがした。
(中神副理事長)いろいろな機会を通じて、一般の方から、「サイクル機構の方々と私たちの間には、認識のズレがありますよね。」と言われている。我々も努力しているつもりではあるが、もっと外部の方からの意見を承る機会を増やしていかなければならないと思っている。
(木元委員)これまで機関紙の編集に、折角関係地域の方にも入っていただいてきたが、今回は、サイクル機構内部の人だけで選考が行われている。サイクル機構内部の方にはわかる内容かもしれないが、外部の人にはわからない。
(藤家委員長)外部の人を入れることで、内部の人が変わることを期待している。外部の人が抜けた途端元に戻るようではいけない。
(森嶌委員)「全従業員の意識改革の継続」とあるが、どういう点についての意識を、どの方向性に持って行こうとしているのか。
(中神副理事)組織として見ると、中間管理職の役割、技術者の役割がきっちり果たされていなかったところがあったが、それぞれが自分の役割を果たせるよう、研修の機会を多くしていく。また、現場レベルの意見が経営に反映されない、経営方針が現場レベルまで伝わらないという問題が見られたことを踏まえ、例えば、提案箱を設けることなどを実施している。組織内のコミュニケーションをよくしていきたい。
(森嶌先生)普通の会社では、そういうことは当たり前のことである。サイクル機構が全従業員の意識改革を目指しているのであれば、サイクル機構のことを、一般の方々にわかってもらうために、これまで社会から批判があった点や今でも理解されていない点について、今までの経験も踏まえ、どのように応えていくのかということに対して、積極的かつ意識的に取り組んでいかなければいけない。
(藤家委員長)要員配分計画のグラフについてであるが、今後5年の配分がほとんど変わらないということでは、これからの変化に耐えられないと思う。これは大変重要な問題であり、まさしくトップマネジメントが取り組む課題だと思う。あらためて話を聞かせて欲しい。
(中神副理事長)管理・支援部門については、合理化が必要であると考えている。整理事業も縮小が必要である。しかし、普通の事業であれば、事業を止めれば要員が不要となるが、原子力事業の場合、引き続き、施設管理、解体、廃棄物処理などの人員が必要である。
(中原課長)行革の動きが加速しており、8月に、行革担当部署から各法人への指摘事項が公表される。行革担当部署から一貫して言われているのは、投入している国費に見合う成果が見えにくいということである。民間への技術移転をサイクル機構の主たる任務としている関係で、成果が見えにくくなる要素を本来持っているという側面がある。しかし、特殊法人を取り巻く環境が厳しさを増す中、もっと積極的に、どのような成果が出て、何に役立っているのか、民間においてどのように使われているのかということなどについて、国民に対するアカウンタビリティの意識を持つことが大切である。サイクル機構の予算の問題に関して、文部科学省が強く感じているのは、業務の実施に対する透明性、外部からきっちり見えることが必要であるということである。また、各レベルが必ずしも責任を果たしていないということが、外部から見えないシステムになっていることの一因ではないかと思う。サイクル機構には、透明性の向上について厳しく指導していきたい。要員配分計画については、将来、サイクル機構の業務をどうするのか、民間のサイクル産業への期待、国として核燃料サイクルをどうするのか、行革の動きなども考慮の上、考えていかなければならないことであり、適宜、原子力委員会へも報告していきたい。
(森本企画官)予算も限られている中で、原子力長期計画に示された内容を果たしていけるようプライオリティをつけて進めていく必要があると考えている。

 (5)平成14年度原子力関係予算の処理について(案)について
 標記の件について、青山参事官より資料5に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)昨年から変わったところは、「・・・大学における研究経費について、併せて報告を受けることとする。」という点である。例えば、核融合研究については、原子力委員会がITERに関する見解をまとめた際、大学における研究とITERをバランスよく進めることが大事だとしたので、概算要求が固まった後に報告を受けるのではなく、参考にできるよう、必要な時に報告して欲しいという趣旨である。

 (6)原子力委員会参与について
 標記の件について、青山参事官より資料6に基づき説明があった後、決定された。

 (7)核融合専門部会構成メンバー(案)について
 標記の件について、青山参事官より資料7に基づき説明があった。

 (8)その他