遠藤原子力委員長代理の海外出張報告について
平成13年7月27日
1. 出張先
大韓民国(ソウル、ウルチン)2.出張の期間
平成13年7月11日(水)〜7月14日(土)3.出張概要
ソウルにおいて、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)軽水炉事業支援企画団長であるチャン・スンサプ大使、及び韓国科学技術部のユ・ヒヨル次官と意見交換を行った。また、ウルチンにおいて、KEDOと北朝鮮の取極により北朝鮮に建設される韓国標準型軽水炉等の原子力発電所施設を視察した。- 4.意見交換の結果概要
(1)KEDO軽水炉事業支援企画団長 チャン・スンサプ大使との会談
日時:平成13年7月13日(火) 11:00〜11:45
出席者:(KEDO側)キム・ジンス国際協力部長、チャン・ドンウン国際協力課長 他(日本側)遠藤委員長代理、岡田書記官
主な内容:
(KEDOプロジェクト進捗状況)
・チャン大使より、KEDOにとって今後の問題として、IAEA保障措置の履行、原子力損害賠償制度の確立、資金調達の問題があるが、いずれにせよ、それらの前提として米朝関係がどのようになるかが最大の問題である、との話があった。また、保障措置については、北朝鮮がIAEAとの合意に関して独自の解釈を行ってきている点に関し、かかる過去の対応への米国の不信感に対して何らかの措置がとられない限り、問題解決は難しいとの意見であった。
(原子力損害賠償問題)
・当方より、原子力損害賠償問題の日本における検討状況を説明し、韓国側の検討状況を聞いたところ、韓国ではすでに国際協定に対応した関連国内法の改訂作業を終わり、2001年1月からの発効を予定しているとのことであった。また、条約については、2002年の通常国会に批准を求める予定であるとのことであった。いずれにせよ、日韓間の専門家同士の話し合い等、意見交換をしていくことが重要との考えであった。
(KEDO安全対策)
・最後に、北朝鮮の安全対策について聞いたところ、北朝鮮は安全委員会を組織し、そのもとでトレーニングプログラムに基づいた訓 練を行っている、また5月のハイレベル協議においても、従来の立場を弾力化し、KEDOとの共同査察について合意した、とのことであった。
(2)ユ・ヒヨル科学技術部次官との会談
日時:平成13年7月13日(火) 15:00〜16:00
出席者:(韓国側)チョン・チョンウオン科学技術部原子力局長 他(日本側)遠藤委員長代理、藤原書記官、小城書記官
主な内容:
(KEDO及び原子力損害賠償条約)
・まず、当方より、日本では原子力損害賠償に関する条約締結を検討するスタディ・グループを立ち上げた旨説明した。これに対しユ次官より、韓国では関連国内法 が改正されたこと、また、補完的保障条約とウィーン条約改正議定書のどちらの条約を締結するのかという点についてはまだ決まっていないことについて説明があった。
(原子力長期計画)
・当方より、日本の原子力長期計画、及び核燃料サイクル政策やプルサーマル計画等の原子力を取り巻く状況を説明した上で、韓国の長期計画について質問をした。ユ次官より、「第2次原子力振興総合計画(2002年〜2006年)」が7月12日に決定したこと、及び同計画の主要内容として、8基の原子力発電所を完成させ、国内総電力生産の原子力依存度を45%まで引き上げること、新型軽水炉「APR−1400」の開発を終了し、第1号機の商業運転を開始させること、及び海水淡水化用重水型原子炉(SMART)を開発し、第4世代原子力発電技術開発を国際的な強調の下で進めていくこと等が説明された。
(放射性廃棄物及び使用済み核燃料の処理)
・ユ次官より、低・中レベルの放射性廃棄物貯蔵施設を2008年までに、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を2016年までに建設する予定であるが、未だ候補地が定まっておらず、何とか年内には選定を済ませたい、との話があった。
(国際熱核融合実験炉(ITER)計画)
・ユ次官より、ITER計画に関し、韓国は候補地として日本が適当であると考えており、ITERの日本への誘致を望んでいる旨の話があった。
(アジア原子力協力フォーラム)
・当方より、第2回アジア原子力協力フォーラムが本年東京で開催される予定であるが、その際、両国の共通関心事項を自由に討議し合う場を別途設けたいと提案したのに対して、ユ次官より、基本的に賛成であり、今後詳細を詰めていきたいとのことであった。
− 以上 −