第29回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年7月10日(火)10:30〜11:40
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員
内閣府
 興政策統括官(科学技術政策担当)
 青山参事官(原子力担当)
外務省総合外交政策局科学原子力課
 松林課長補佐、中村課長補佐
文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課
 吉田安全審査企画官
文部科学省研究開発局ITERプロジェクトチーム
 田口次長

4.議 題
(1)核不拡散強化のための国際会議結果報告
(2)株式会社東芝 研究炉管理センターの原子炉設置変更[使用済燃料の処分方法の変更]について(諮問)
(3)遠藤委員長代理の海外出張について
(4)ITER計画懇談会及び核融合会議の廃止、核融合専門部会の設置について
(5)参与メンバー(案)について
(6)専門委員メンバー(案)について(総合企画・評価部会、研究開発、放射線、原子力発電・サイクル、国際関係の各専門部会)
(7)ITERサイト適地調査専門家会合について
(8)その他

5.配布資料
資料1 アジア太平洋地域における核不拡散強化のための国際会議〜追加議定書普遍化に向けて〜概要と評価
資料2−1 株式会社東芝 研究炉管理センターの原子炉設置変更[使用済燃料の処分の方法の変更]について(諮問)
資料2−2 株式会社東芝 研究炉管理センターの原子炉設置変更許可申請書
資料2−3 株式会社東芝 研究炉管理センターの原子炉の設置変更の概要について
資料3 遠藤委員長代理の海外出張について
資料4−1 核融合会議及びITER計画懇談会の廃止について(案)
資料4−2 核融合専門部会の設置について(案)
資料5 原子力委員会参与(案)
資料6 部会及び専門部会構成メンバー(案)(総合企画・評価部会、研究開発、放射線、原子力発電・サイクル、国際関係の各専門部会)
資料7 ITER誘致地点に係るサイト適地調査について

6.審議事項
 (1)アジア太平洋地域における核不拡散強化のための国際会議〜追加議定書普遍化に向けて〜概要と評価
 標記の件について、松林課長補佐より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)追加議定書と核物質防護が、核不拡散の要であると考えている。なるべく多くの国が追加議定書を受け入れることが、大事である。アジア諸国では、日本以上に行政が縦割となっており、核軍縮と原子力利用の担当部局が別である場合が多いが、今回、その両者が参加した会議を開催できたことは有意義であった。今後は、フィリピン、韓国、米国等に、さらに積極的に批准を働きかけることが重要である。
(木元委員)メディアの反応はどうであったか。
(松林課長補佐)2、3の新聞で取り上げられた。メディアに対して、どのように説明したら理解していただけるかを考え、追加議定書とは何か、から説明を始めるようにし、その重要性を理解していただけるよう、時間を割いた。
(木元委員)メディア関係者に関心を持っていただき、何かの時に、正確な報道をしていただくという姿勢が大切である。そのためには、この会議に限らず、常にメディアとコンタクトを取り続けることが必要である。
(中村課長補佐)会議終了後のプレスブリーフィングでは、必ずしも報道につながらなかったものの関心を持っていただくことができたと思う。霞ヶ関には、核不拡散の問題に関心を持っておられる記者の方が多く、今後とも恒常的に説明をしていきたい。
(藤家委員長)この問題に関して、核保有国と非保有国の間で決定的な違いはあるのか。
(遠藤委員)NPTにつながってくる問題であり、違いがあるのは仕方がないことだが、核保有国サイドにも、もう少し核兵器の問題に関心を持って欲しい。
(中村課長補佐)フィリピンなどは、米国などの核兵器保有国が率先して参加することが、自分達の励みになると主張している。
(木元委員)国際会議で、ましてや日本は共催国なのだから、日本の主張を全面に出して欲しいと思う。
(中村課長補佐)明石先生には立派な基調講演をしていただき感謝している。
(藤家委員長)次回の会議はいつ頃開催の予定か。
(中村課長補佐)来年にも世界規模の会議が開催できればと考えている。地域会合については、IAEAが総会以降、アフリカ、中南米、中央アジアでの開催を検討している。

 (2)株式会社東芝 研究炉管理センターの原子炉設置変更[使用済燃料の処分 の方法の変更]について
 標記の件について、吉田安全審査企画官より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)米国に持っていくのはいつ頃か。
(吉田安全審査企画官)平成14年度には持っていきたいと考えている。
(遠藤委員)どのような手段で輸送するのか。
(吉田安全審査企画官)船で輸送する予定である。
(遠藤委員)そもそも使用前時点での濃縮度はどれくらいか。
(吉田安全審査企画官)20%の濃縮度である。但し、アルミニウムも混ぜて作っているため、純然たる20%の濃縮度ではないと思う。
(遠藤委員)資料2−3の変更の概要にある「わが国が原子力平和利用に関する協力のための協定を締結している・・・」の協定とは何を示しているのか。日米協定のことであれば、このような正式文書には、正確な名称を記載することが妥当だと思う。
(遠藤委員)東芝だけではなく、他にも同じような施設があると思うが、どうなっているのか。
(吉田安全審査企画官)日立と日立エンジニアリングの施設があるが、日立は、廃棄物のみ保有している。他方、日立エンジニアリングは、使用済燃料を現在もプールに保管している。
(遠藤委員)いずれは輸送することになるのか。
(吉田安全審査企画官)事業者が検討しているところであると思われる。
(竹内委員)米国に引き渡すことが可能になったということだが、設置した当時はどうするつもりだったのか。
(吉田安全審査企画官)設置した当時は、国が貸与したという形になっていた。その後、国に返還するというやり方もあったが、東芝は自社で保管することにしていた。1996年になって、米国が研究炉の使用済燃料を引き取るということが示されたため、各方面から輸送計画が出されているところである。
(竹内委員)他に事例はあるのか。
(吉田安全審査企画官)原研のJRR−2の58体については、既に米国に搬出が済んでいる。
(竹内委員)これからまだ続くのか。
(藤家委員長)大学関係や日本原子力研究所にも、使用済燃料が残っている。
(吉田安全審査企画官)立教大学にも残っており、現在検討中である。平成14年度中に何とかしたいと考えている。
(遠藤委員)費用は東芝が負担するのか。
(吉田安全審査企画官)東芝が負担する。
(藤家委員長)以前はもっと濃縮度の高い燃料を使用しており、核不拡散上、濃縮度を20%以下に下げたのが10数年前だと理解しているが、その前のものはどうなっているのか。90%以上のものを使用していた頃もあったと思うが、これらは一度も米国に輸送されていないのではないか。
(吉田安全審査企画官)京大等については未だ輸送していないが、KURについては何度か輸送している。
(藤家委員長)申請書の中に、「米国のエネルギー省に引き渡すことを追記するものである。これにより原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれはないと認められる。」というのは、理解できない。自分の国から離れてしまえば、問題がないと言っているように感じられる。協定があるからこそ引き渡す意味があるので、米国に引き渡せば良いという問題ではない。
(遠藤委員)米国に行ったものについても、平和目的以外に利用されていないということは、協定があるからこそ言えることである。
(木元委員)「わが国が原子力平和利用に関する協力のための協定を締結している」という記載がある。
(藤家委員長)記載があるのは概要版であって、申請書にはない。このままでは不十分である。
(遠藤委員)濃縮度が20%を超えるものがあるようだったら、別途教えていただきたい。
(吉田安全審査企画官)現在の協定では、濃縮度の記載はなく、炉の名称で記載されている。
(遠藤委員)濃縮度の関係に問題がないのかを確認いただきたい。20%を超えたものがどのように取り扱われるのかについて、念のために確認願いたい。
(吉田安全審査企画官)ご指摘の件については、別途報告させていただきたい。

 (3)遠藤委員長代理の海外出張について
 標記の件について、青山参事官より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)ウルチン原子力発電所は、CANDU炉か。
(遠藤委員)軽水炉であり、PWRである。

 (4)ITER計画懇談会及び核融合会議の廃止、核融合専門部会の設置について
 標記の件について、青山参事官より資料4に基づき説明があり、以下の質 疑応答の後、委員会決定が行われた。
(木元委員)3.構成については、「別途定めることとする。」となっているが、なるべく新しい人を選んで欲しい。
(藤家委員長)そのような人選が行われているものと理解している。

 (5)参与メンバー(案)について
 標記の件について、青山参事官より資料5に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)今まで、参与は機能していないという感じを持っていた。参与をお願いするにあたり、「参与とはかくあるべき」といった説明をしているのか。
(藤家委員長)各専門部会への参加や、国際的な場への出席など、原子力委員をサポートする形でご協力をいただきたいと考えている。
(木元委員)何人かの参与候補の方から、「参与とは何をすれば良いのか」と聞かれており、私は、「委員会のブレーンのようなもので、何かが生じた場合、その課題について個別に参画をお願いすることとなる。自由な立場から、お手伝いいただけるとありがたい。」と説明している。
(藤家委員長)それで良いと思う。
(木元委員)「年に何回か、定例会議が招集されるのか。」と聞かれたこともあったが、「そういう位置付けのものではありません。」と回答している。
(藤家委員長)参与の方々からご指導を仰ぎ、またお手伝いいただくことが大事だと思う。

 (6)専門委員メンバー(案)について(総合企画・評価部会、研究開発、放射線、原子力発電・サイクル、国際関係の各専門部会)
 標記の件について、青山参事官より資料6に基づき説明があった。
(藤家委員長)放射線専門部会に、先日原子力安全委員を退任された青木先生にご協力いただけることになっている。早く第1回目の会合を開きたいと考えている。
(遠藤委員)原子力委員の中で、誰が各専門部会を主として担当されるかについて、なるべく早く検討したい。
(木元委員)待遇面や時間的な制約もあり、非常勤委員が各専門部会の主担当になることは困難だと思う。

 (7)ITERサイト適地調査専門家会合について
 標記の件について、田口次長より資料7に基づき説明があり、以下のとお
り質疑応答があった。
(木元委員)4ページにある評価対象地のサイト適性の評価の仕組みについては理解できたが、実際に比較評価されるのは、公募の際提出される提案書だけなのか。
(田口次長)ヒアリングの実施も考えている。
(藤家委員長)地方自治体に聞くのか。
(田口次長)市町村単位で提案が出されても、実際には、電力の問題や環境整備の関係もあって、市町村レベルでは判断が難しいと考えられるので、ヒアリングは都道府県ベースを考えている。
(木元委員)ヒアリングを実施するにしても、こちらから現地に赴くことはないのか。
(田口次長)現時点では考えていない。但し、地盤等の記載で不明確な部分がある場合には、現地に行って調査を行うことも考えられる。
(竹内委員)評価項目にはA項目とB項目があるが、地盤のようなA項目と異なり、社会環境条件といったB項目の評価を体系的に行うことは困難ではないか。
(田口次長)A項目はクリアが必須のものであり、単純に○×で判断できると考えられる。1つでも×があればその候補地は対象から外され、残った地点について、B項目で比較評価するということが基本になると考えられる。
(遠藤委員)B項目にはどのようなものが含まれるのか。
(田口次長)社会環境条件として、生活環境、交通利便性や研究環境等が含まれる。
(遠藤委員)トリチウムの輸送等も実施されるわけであるが、このようなものはどのように評価するのか。地元の協力の有無や放射性廃棄物の問題等もある。
(田口次長)地元の協力という項目が記載されているが、これはA項目に入れている。これは、地元がしっかりと受け入れることが必要だという意味である。100%の保証は難しいとしても、ヒアリングに加え、例えば、都道府県議会、市町村議会が誘致に同意している旨の文書を求めることとしている。
(藤家委員長)それは、核融合に係る放射性物質を独立した論点にしてしまわないか。放射性廃棄物の処理処分問題は、既に重要な課題となっており、確かに性格は違うものの、いずれも放射性廃棄物という点では共通している。
(田口次長)ITERを運転すると、放射性廃棄物が発生する。それについて、一時保管や処理処分の必要性が生じることを理解した上で、誘致できるのかという点を評価したい。
(藤家委員長)ある地方自治体が、ITERに係る放射性廃棄物だけを受け入れるというと、それ以外のものについてはどこかに持っていけという議論がなされがちである。ITERに係る放射性廃棄物だけを受け入れるということが起こり得るものか否か。
(木元委員)放射性廃棄物が出ることについて、先ず理解を得ることが必要である。処理処分に関しては、次のステップで考慮されるべきことと思う。
(田口次長)その辺のニュアンスが、「放射性廃棄物の処理/処分が行われうること」に示されている。
(竹内委員)誘致が決まって、実際の運転が開始された後になって反対されても困るが、どのような確約の取り方をするのか。
(藤家委員長)最近の動きを見ていると、地方自治体に聞いただけでは、不十分ではないかと思う。現状では、確約までは踏み込めないのではないか。
(田口次長)先程100%は難しいと申し上げたのは、そのような観点からである。提案書が知事名で出され、その内容について県議会や市町村の首長、市町村議会が同意していることなどについて、ヒアリングでも確認したいと考えている。
(藤家委員長)原子力委員会が、ITERについて、かなり積極的な見解を出したのは、この国際的な計画を国内に誘致することは、従来の我が国が経験を有しないことであって、そういう意味で新しい状況を作り出すことにつながると考えたからである。いままでに経験がないながらも、ITERを見た場合、我が国の独自性に基づいて考えなければならない部分と、グローバルスタンダードで解決していかなければいけないところを併せ持っていると考えられる。今回はどちらかというとグローバルスタンダードに近い部分であって、我が国の独自性に基づいて考えなければならない部分について、これからどう対応していくのかが難しい問題として出てくるのではないか。今後、3候補地それぞれの点数が出てくるであろうが、それをどう見ていくのか。
(遠藤委員)居住環境とは、現状のものか。
(田口次長)将来時点のものである。
(木元委員)居住環境といっても、元々そこに暮らしている人のことを指しているのか、ITER関係者のことを指しているのかが分かりづらい。
(田口次長)ITERが設置された場合の、ITER関係者の居住環境を指している。
(藤家委員長)調査項目は国際的に求められているものか。
(田口次長)部分的には、日本の特殊事情等を考慮し、例えば地盤の項目ですべりの恐れがないことを追加するなどしているが、基本的には、最終報告書から引用したものである。
(木元委員)総合得点でやるのか。また、敗者復活戦はあるのか。
(田口次長)総合得点の出し方にはいろいろなやり方がある。どのやり方をしても同じ評価になるというのが望ましい。
(竹内委員)サイト適正について評価点を出すのは、政府決定の前か。
(田口次長)少なくとも評価の結果を見て、決定できるようにしたいと考えている。
(竹内委員)報告書は公開されるのか。
(田口次長)報告書は公開される。

 (8)その他