第28回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年7月3日(火)10:30〜11:20
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 興政策統括官(科学技術政策担当)
 青山参事官(原子力担当)
経済産業省 資源エネルギー庁 原子力政策課
放射性廃棄物対策調整室
 伊藤専門職
原子力発電環境整備機構
 増田理事

4.議 題
(1)高レベル放射性廃棄物シンポジウム2001の開催について
(2)原子力発電環境整備機構における国内外関係機関との技術協定の締結について
(3)部会及び懇談会の設置について
(4)その他

5.配布資料
資料1 「高レベル放射性廃棄物シンポジウム2001」の開催について
資料2 原子力発電環境整備機構における国内外関係機関との技術協定の締結について
資料3−1 市民参加懇談会の設置について(案)
資料3−2 総合企画・評価部会の設置について(案)
資料3−3 研究開発専門部会の設置について(案)
資料3−4 放射線専門部会の設置について(案)
資料3−5 原子力発電・サイクル専門部会の設置について(案)
資料3−6 国際関係専門部会の設置について(案)
資料4 第27回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)高レベル放射性廃棄物シンポジウム2001の開催について
 標記の件について、伊藤専門職より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)私は、原子力委員になる前から、高レベル放射性廃棄物シンポジウムに関わってきたが、やり方やメンバーがほとんど変わっていない。なにか工夫した点はないのか。
(伊藤専門職)経済産業省として開催するのは初めてということもあり、基本的には、科学技術庁時代に参加していただいた方々にお願いすることとしたが、例えば、地質分野については、新しい方にもお願いしている。
(木元委員)例えば、以前にコーディネータをお願いした方に今度はパネリストをお願いする、というような工夫が欲しい。
(伊藤専門職)今後参考にしていきたい。
(木元委員)議事進行などがマニュアル化されているので、それに沿って実施するだけでは、以前と同じものと受け取られるだけである。主催者挨拶を簡単にするなど、内容に工夫があってもいいと思う。
(伊藤専門職)工夫したいと思う。
(森嶌委員)高レベル放射性廃棄物シンポジウムが始まった当初は、プレゼンテーションなどに工夫が見られた。今のシンポジウムは、ワンパターン化している。新しい人はどれくらい集まっているのか、どのような印象を持ったのか、などについて評価し、次のシンポジウムにつなげていかなければいけない。シンポジウムを開催するのは、理解を促進することが目的なので、その目的を満たしているのか否かを評価する必要がある。その評価に基づき、やり方などを改善することを考えてほしい。
(遠藤委員)誰を対象にシンポジウムを開催するのかがわからない。開催日はほとんどウィークデーだが、どのような人が来ると考えているのか。
(伊藤専門職)主婦層の方も含めて、いろいろな方が来られるように、日時を設定させていただいた。
(木元委員)どのような層をターゲットとするのかを意識して工夫しないと、人は集まらない。
(森嶌委員)折角開催するのだから、高レベル放射性廃棄物とはどのようなものなのか、その処分をどのような計画に基づいて進めていくのか、などを参加者に考えていただけるような機会を提供しえているのかについて、評価したほうがよいと思う。
(木元委員)シンポジウム開催前に、一般の方の感触をリサーチして、やり方などを導き出してはどうか。一種のマーケットリサーチである。
(竹内委員)このようなシンポジウムは、一般の国民の方へ、いかに広く高レベル放射性廃棄物の現状や処分の見通しなどを伝えられるかどうかがポイントである。
(伊藤専門職)先程の質問にも関わるが、現時点においては関心をお持ちでない方を中心に、まずはこの問題について知っていただきたいというのが第一の目的である。そのための宣伝などを考えていきたい。
(木元委員)タイトルの「高レベル放射性廃棄物シンポジウム2001」は、副題でよいと思う。一般の方が興味を持てるような主題にしてはどうか。
(藤家委員長)刈羽村の住民投票以降、従来型のPAでよいのか、ということが問われている。単にいろいろな方に聞いてほしいということでは、人は集まらない。是非、新しい展開を実現してほしい。

 (2)原子力発電環境整備機構における国内外関係機関との技術協定の締結につ  いて
 標記の件について、増田理事より資料2に基づき説明があり、以下のとお  り質疑応答があった。
(森嶌委員)ポシバ社やナグラとの技術協力対象は、公開の可能な情報だけか。
(増田理事)非公開情報についても、対価を払った上で公開することについて了解を得て、公開できるようにしたい。
(森嶌委員)公開して差し支えない情報だけを対象とすると、得たい情報が得られないということはないか。例えば、公開できない情報は、外部の信頼を得るため、第三者機関でチェックするというやり方もあると思う。本来必要な最先端の情報を持てないことになるというリスクは考えているか。
(増田理事)知的所有権については、主に計算コードとデータベースがそれにあたるものと考えている。ただし、計算コードの場合は、自ら所有し改良することまではできないが、対価を支払って使用権を得て使うことができるので、問題とならない。データベースの場合は、元となるデータは研究成果として公開されているので、問題にならないと考えている。
(藤家委員長)森嶌委員の発言は非常に重要である。
(増田理事)他の分野と比較すると、地層処分技術には、核不拡散の懸念や商業機密などがほとんど含まれていないので、元来活発な情報交換が行われており、リスクは少ないと考えられる。
(藤家委員長)将来にわたって市場性がないというのであれば、このようなリスクはないと言える。
(竹内委員)地質に関して、国際的に認証された計算コードはあるのか。
(増田理事)数多くある。
(竹内委員)世界中の地質データがたくさんあるというだけのことではないのか。日本の特定の場所について、それが使えるのか。
(増田理事)汎用性が高いと言えるが、特定の場所となると使えない。
(木元委員)一般の方が、フィンランドやスイスの地層処分はどうなっているかということを知りたい場合、そちらから情報を得ることは可能か。
(増田理事)可能である。要望があれば、応えていきたい。
(遠藤委員)サイクル機構と原子力発電環境整備機構との関係を説明してほしい。
(増田理事)サイトを選定する、処分場を作る、などエンジニアリングに関することは原子力発電環境整備機構で、安全規制に対応するための研究などはサイクル機構、と考えている。役割分担の考え方は長期計画どおりだが、具体的な課題の整理は、今、経済産業省で調整が行われている段階である。
(藤家委員長)別々に存在することと、両方の機能を併せ持つことを比較した場合、どちらがいいと思うか。
(増田理事)今の段階では何とも言えない。今後の事業の進展を見ていただきたい。
(竹内委員)事業実施主体に説明責任があるので、やがて事業化する段階で、事業実施主体自信が技術を真に自分のものとしていないと、説明を聞いている方が心配になるのではないかと思う。
(藤家委員長)サイクル機構との間で、公開情報だけが協力の対象となっていることなど、今の段階で、公開が原則とされていることが心配である。
(森嶌委員)公開が原則と割り切るには、将来的にリスクがあると思うので、よく検討してほしい。

 (3)部会及び懇談会の設置について
 標記の件について、青山参事官より資料3−1〜6に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。一部修正し、決定することとなった。
(遠藤委員)核融合については、核融合会議など現存の組織を廃止し、新しい体制を整える必要があると思うが、どうなっているのか。
(青山参事官)現在準備を進めている。なるべく早くしたい。
(遠藤委員)今般設置する部会のいくつかは、8月中旬までに開催したいと考えている。事務局で準備を進めて欲しい。
(藤家委員長)先進的核燃料サイクルは、研究開発専門部会での調査審議事項としてはどうか。また、放射線の生体影響も調査審議事項であることが明らかになるように、放射性専門部会設置の決定案を修正してほしい。
(木元委員)市民参加懇談会の設置目的について、「長期計画において、原子力政策は、国民・社会との関係をこれまで以上に重視し、国民の信頼、立地地域との共生などの大前提として進めていかなければならない、とされている。」では、我々自身の決意が伝わらないので、「とされている」をカットし、「長期計画にも示されているとおり、・・・進めていかなければならない。」としたい。
(藤家委員長)多少の修正が必要ではあるものの、基本的には、この内容で決定したい。
(森嶌委員)修文については、委員長一任でよいと思う。

 (3)その他