第27回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年6月26日(火)10:30〜11:20
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 青山参事官(原子力担当)
環境省 地球環境局地球温暖化対策課
 竹内課長

4.議 題
(1)京都議定書をめぐる最近の動向について
(2)我が国の原子力政策と米国との協力について
(3)その他

5.配布資料
資料1 気候変動問題をめぐる最近の状況
資料2 我が国の原子力政策と米国との協力について(案)
資料3 第26回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)京都議定書をめぐる最近の動向について
 標記の件について、竹内課長より資料1に基づき説明があり、以下のとお  り質疑応答があった。
(遠藤委員)プロンク議長のCOP6再開会合の運営方針について説明してほしい。
(竹内課長)先々週、プロンク議長の新しいテキストが発表された。このテキストをベースに、COP6再開会合で協議していくこととなる。日本に関係する内容としては、シンクの見直しがある。エネルギー利用効率が高い、人口密度が高いなどの条件の下で、シンクを認めるという内容であり、日本の場合、1990年のCO2排出量の3%がシンクとして認められる。なお、テキストは180〜200ページに亘るので、詳細な分析や対処方針は未だできていない。
(遠藤委員)シンクが大きくなるのはよいことである。今まで、原子力はCDMの対象から除外されていたが、テキストではどうなっているのか。
(竹内課長)除外されたままだったと思う。
(遠藤委員)テキストの中で、原子力について明示的に書けないのはわかるが、途上国の多様な要請に応えるために、CDMプロジェクトは開かれたものにする、という日本の方針を貫くことが必要である。プロンク議長の新しいテキストは、原子力を支持していないヨーロッパの環境派に影響をうけているように感じる。
(木元委員)ボンの再開会合でのポイントは何か。
(竹内課長)ポイントは、3年半に亘り議論してきた京都議定書を批准するための条件が合意されるかどうかである。
(木元委員)合意に向けての作戦はあるのか。
(竹内課長)それよりも、アメリカが、再開会合前に、気候変動対策への取組みを提案してきた場合に備えて、何か考える必要がある。
(竹内委員)アメリカの提案は、再開会合前に出てくるのか。
(竹内課長)出てこないとの見方が多い。
(木元委員)現在、総合資源エネルギー調査会で、エネルギー需給見通しを策定中であるが、CO2排出量削減を考慮すると、削減に貢献できる新規原子力立地数が減っているという現状がある。一方で、かなりの新エネルギーの導入や省エネルギーを行う必要が生ずる。この点について、環境省はどのように考えているのか。
(竹内課長)中央環境審議会のシナリオ小委員会で、2010年の温室効果ガス排出量を議論している。そこでは、エネルギー起源のCO2は、総合資源エネルギー調査会での数値とほとんど同じであるが、メタン、HFC等の排出はこれまでの予測に比べてかなり差がでてきており、今までの数値より減ることになると予想している。
(竹内委員)日本の批准を巡る環境は、以前よりよい方向にあるということか。
(竹内課長)温暖化対策も少しずつ軌道に乗ってきたこと、技術的な可能性も出てきたことにより、よい方向にあると考えている。
(竹内委員)新規原子力立地数の減少による影響についてはどうか。
(竹内課長)地球温暖化対策推進大綱を作った時に比べ、旅客・貨物予測量が減少しており、それで相当程度相殺されたと考えている。
(竹内委員)シンクの考え方については、国際的に理解が得られるようになってきたと考えればよいのか。
(竹内課長)EUは京都議定書発効を目指しているので、日本を特別扱いしたということであろう。
(木元委員)アメリカ抜きで批准しよう、という強い意見が一部にあるが、環境省にはどういう意見がきているのか。
(竹内課長)EUのように、日本も批准すると表明すべきだ、という意見が多く寄せられている。
(藤家委員長)ある一点だけをクリアしようと努力しているのか、それとも、将来につながるように努力をしているのか。一つのエネルギー源に触れないで、その場しのぎで問題を処理しようとするのが、いい方向だとは思わない。世界の17%という大きな数字が、一つのムードの中で葬り去られるのではないか、ということが心配である。
(森嶌委員)中国は、自分の問題として、CO2削減に取り組みつつある。インドも支援が受けられるのであれば、CO2削減を行うと表明している。アメリカが批准しないといけないということではなく、日本は、自国の立場で議論を進めていけばよい。日本がキャスティングボードを握っているのだから、日本の軸をゆがめることなく、シンクや原子力において、日本の方針を貫くことが大切である。地球温暖化問題に対して、日本にとって大事なことは何か、という態度で臨んでいくべきである。
(藤家委員長)今まで原子力委員会は、主体性のある国際関係を、と言い続けている。今後も何か動きがあれば、説明していただきたい。

 (2)我が国の原子力政策と米国との協力について
 標記の件について、青山参事官より資料2に基づき説明があり、以下のと  おり質疑応答があった。
(藤家委員長)開かれた、行動する原子力委員会としては、状況に応じて意思表示を行うことが必要ではないか、という観点から、最近のブッシュ政権の動きを踏まえて、メッセージを作成した。
(木元委員)どのような形で出していくのか。
(藤家委員長)日米の間でいろいろな議論が進められている中で、今我々原子力委員会が何を考えているかを明確にする。また、先日、DOE東京代表のビスコンティ氏から説明があった、ブッシュ政権の新エネルギー政策への回答になるとも考えている。
(木元委員)趣旨はわかるが、いつ、どのような形で、どの場所において出すのかということである。
(藤家委員長)今日、この場で、メッセージとして出すことを考えている。
(木元委員)それでは目立たない。意味のあるメッセージであれば、やり方を考えなければいけない。例えば、タウンミーティングへメッセージを送るとか、内閣府のホームページに載せ海外にも送るなど、いろいろな方法が考えられる。
(森嶌委員)アメリカへのメッセージであれば、まず、アメリカに伝えるのが先決である。アメリカから、どのような形で協力していくのかという話があれば、日本はどうするかを国民に対して説明すればよい。
(遠藤委員)そのとおりだと思う。
(木元委員)なぜ今のタイミングでメッセージを出すのか、と疑問に思われる。したがって、「本年5月、米国ブッシュ大統領は、国家エネルギー政策を発表しました。・・・」を文頭に持ってくることで、今のタイミングでメッセージを出すことが理解できる。
(藤家委員長)日米の協力関係の中で、昨今、ジェネレーション4など、かなり具体的な動きが出てきた。米国DOEへのメッセージであれば、クロノロジーも含めて、この内容は理解できる。一般の人には分かりにくい部分もあると思うが。
(遠藤委員)DOEは一つの省なので、米国政府に公式のルートでも渡した方がよい。
(木元委員)「協力について」ではなく、「協力についての原子力委員会の考え方」という具合に、力強く、迫力が感じられるほうがいいのではないか。
(森嶌委員)それを踏まえて、英訳すればよいと思う。

 (3)その他