第23回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年5月29日(火)10:30〜12:15
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 興政策統括官(科学技術政策担当)
 青山参事官(原子力担当)
経済産業省
原子力安全・保安院原子力発電安全審査課
 吉田審査班長
文部科学省
研究開発局核融合開発室
 中村室長

4.議 題
(1)関西電力株式会社美浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)
(2)日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)
(3)刈羽村住民投票の結果について
(4)ITER計画について
(5)その他

5.配布資料
資料1−1 関西電力株式会社美浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)(案)
資料1−2 関西電力株式会社美浜発電所原子炉設置変更許可申請書(1号、2号及び3号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)の概要について
資料2−1 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)(案)
資料2−2 日本原子力発電株式会社敦賀発電所原子炉設置変更許可申請書(1号及び2号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)の概要について
資料3−1 核融合開発におけるITERの位置付け
資料3−2 ITER計画の推進について
資料4−1 第20回原子力委員会臨時会議議事録(案)
資料4−2 第21回原子力委員会定例会議議事録(案)
資料5 平成13年度原子力研究、開発及び利用に関する計画

6.審議事項
 (1)関西電力株式会社美浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)
 (2)日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号炉使用済み燃料の処分の方法の変更)について(答申)
 標記の件について、吉田班長より資料1−1、1−2、2−1、2−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)この関係の答申はまだ残っているのか。
(吉田班長)東通原子力発電所が最後になる。

 (3)刈羽村住民投票の結果について
 標記の件について、青山参事官より投票の結果について説明があり、以下の通り議論が行われた。
(木元委員)村民のために民主主義を通すという村長の言葉は悪くはなく、こうせざるを得ないと思った。結果が厳しいものになることはある程度予想できたのではないか。反対派の意見を聞いていると、プルサーマルを行うことの是非論よりは原子力発電、あるいは原子力行政に対する不信感がずっと続いているとしか言えない。もんじゅの事故から始まり、いろいろなアクシデントがあり、まだそれが根強く不信感として残っている。なぜ原子力を行うのか、なぜエネルギー自給率を高めようとしているのかといった、原点を掘り起こしていかないと正確に理解をしていただけないと思う。原子力を正確に理解してもらうにかどうしたらよいかを突き詰めていかなければいけない。委員会としてまとまっていくのか、個人としていくのか、身近なところから始めていきたい。
(竹内委員)木元委員に全く同感。核燃料サイクルは原子力政策の根幹であり、これが国民に理解されていないということは事実である。エネルギー自給率が全くない国で、プルトニウムを21世紀に利用する国にならないとナショナルセキュリティのない国になってしまう。原子力委員会もいつでもどこでもだれとでもという国民的対話が必要である。国民の理解を深める活動をもっと積極的に行っていかなければならない。
(森嶌委員)原子力は国策と言えばみんなに理解してもらえるという発想が従来あった。長計では、原子力が背負っているエネルギー供給の実績、新エネルギーがとってかわることは難しいということを展開してきたのだが、残念ながら、核燃料サイクルは全く理解されていないのではないか。原子力委員会は、長計のポリシーを打って出て、長計を理解してもらうという作業をしなければいけない。検討中である懇談会を今週にでも立ち上げてどうやって核燃料サイクルを理解してもらうかである。
(遠藤委員)今回のことは残念だった。これだけの人がノーといっていることは重く受け止める必要がある。原子力が必要だという認識が十分されていなかったということが残念であるし、原子力委員会は、そこに重点を置いて行動すべきである。プルサーマルは通常行われていることであるが、日本では特殊なことが行われるということになっている。アメリカの動きを含め世界的にエネルギーセキュリティや環境の観点から原子力を見直すべきだという機運が高まってきた。そのような時にエネルギーセキュリティーが弱い日本が原子力に対して不安感、不信感を持っているということは、原子力委員会の責任であると同時に非常に残念なことだとである。早く、専門部会や検討会を立ち上げて進めていくことが最大の義務である。
(木元委員)専門部会も大切と思うが、原子力委員会がやらなければならないことは、国民との接点をどうやって持つかということで、具体的には、市民参加懇談会を委員会の一番のプライオリティとして作る、市民を中心とした対話、Face To Faceで話し合う窓口を作るということである。基本は市民との接点をどうやって持って、正確に理解してもらうかということが原則である。今回の刈羽村では、賛成、反対派の意見でそれぞれが一致した点があった。大消費地である東京都民がこの選挙の結果をどのように捉えているのだろうか。都市で電気が必要だからやってもらわなければいけないと無責任に言えるのかという問いかけをしている。
(藤家委員長)今度の件は、品田村長の決断と心中の思いは、思いあまってあまりある。両肩の片方には村の民主主義を一方には国策に協力ということを背負って、今回の結果を受けて、投票結果はしっかり受け止めなければという判断をされた。原子力委員会も姿勢を変えようとメッセージを出したが、表現は別として犬の遠吠えになってしまった。個人として活動された人はいるが。いずれにせよ、これからどう対応していくかが大事である。
(竹内委員)ウランはなくなり、いずれはプルトニウムを使うことになる。しかし、扱いにくいなどの理由でプルトニウムは嫌われている。人間はリスクを乗り越えて文明と大量のエネルギーを得てきた。そこまでの国民的理解が得られるまでには、腰を据えて行うべきである。
(木元委員)刈羽村からは、自分たちがこれだけ一生懸命やっているのに、大消費地は理解してくれないという声が聞かれる。なぜ、被害者意識をもっているのかを解きほぐしていかないといけない。もっと、消費地と地元をつないでおかないといけない。
(森嶌委員)地球温暖化問題を抱える我が国で、片方は新エネルギーをやればいいという具合に、原子力がなくなれば環境やエネルギーがどうなるかをほとんど議論しない、片方は、原子力がなくなればどうなるか反対する側は分かっていないと言っている。これらの対話の場を設けるのも原子力委員会だと思う。
(木元委員)今度の住民投票は拘束力がないとなっているが、スウェーデンでは、国民の意見を尊重し、投票結果に対して政府は何ができるかを考え、提案し実行している。このような形で民主主義が反映されるのであれば、国民も納得できる。日本でも、原子力委員会が、何ができるかである。
(藤家委員長)大事なのはどうやって行動に移すかである。次回あたりに行動計画を作って、早くスタートしなければいけない。
(森嶌委員)コアとなる人を集めて、とにかくスタートしていきたい。それを起爆剤に体制固めを行いたい。
(興統括官)本日、閣僚懇談会で経済産業大臣よりプルサーマルの重要性、地元理解に向けての取り組み強化に関して政府内の意志疎通を図るために関係府省連絡協議会を設置し、今週から来週にかけて第1回の会合を開く。

 (4)ITER計画について
 標記の件について、中村室長より資料3−1、3−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(森嶌委員)ITER計画に参画することと誘致することを分けて考えると、ITER計画に参画することは波及効果などメリットが多く反対する理由はない。一方、誘致については、他の国際協力を見ると、日本が国際協力をするために巨額な金を払っているにも関わらず、日本の言い分がほとんど通らないというのが現状である。ノウハウ等の蓄積が得られるような形で日本に誘致するのであればよいが、得られるであろうと思って誘致したところが、そうならなかったということはあり得る。日本にノウハウが蓄積するための枠組みを作って、それを前提に金を出すということでなければならない。
(中村室長)国際協力の在り方については、国際協定の中にしっかりと枠組みを作っていきたい。現在、実験機会、実験スペース、研究者の参加割合を資金分担に応じて決めるということ、理事会という決定機関の投票権を資金分担に応じて割り当てるということを協定に明記することを考えている。これが行われば、資金分担に応じた経験も得られる。誘致した場合は、日本は主導的立場になるので、大きな責任とともに経験も得られる。建設などのノウハウをどうやって国内に蓄積されるかという点は、ロシア、米国は自分の出した資金は自国の域外には発注を出さないと主張している。日本は全て自国に発注することは強く主張しない。科学に限らず産業構造が国際化しているので明確に排除することは言いにくい。
(森嶌委員)そこの点は少しあまいと思う。まず最大限こちらの言い分を言い、どうしても譲歩しなければならないならば交渉するということでなければならない。誘致をするのであれば、日本がイニシアティブをしくみの上で取れるように努力しなければいけない。そうでなければ、なぜ、巨額な金を出したのかということになりかねない。
(竹内委員)国際協力への注意ばかりでなく、国際的なプロジェクトを持ってくるべきということを発信すべきである。日本で誘致すべきとなった場合、技術ノウハウを蓄積する仕組みを作らなければいけないが、誘致し自ら建設すれば、物つくりのノウハウは必ず残る。技術者は世代間を越えて夢を持ったテーマが必要である。
(森嶌委員)技術者は夢を持たなければいけないということに対して国民がどう思うか、技術者の夢のために金を使うのかということになる。まず、国民の理解を得るためには保証されていることを示すことが重要である。
(藤家委員長)政府間の公式協議はどうなっているか。
(中村室長)ロシア、EUは準備が整っている。
(藤家委員長)今まで議論を重ねてきて、報告書(案)は評価するということで議論が集約されてきている。次回には、立場を明確にしたい。
(木元委員)客観的に見ると独善的に動いているという印象が拭えないので、それをどうやって払拭していくかも課題である。

 (4)その他