米国の国家エネルギー政策について

平成13年5月25日
外務省科学原子力課


 17日、米ブッシュ大統領は、国家エネルギー政策を発表した。これは、カリフォルニアのエネルギー危機等を背景に、エネルギー政策を最優先課題と位置付け、本年2月にチェイニー副大統領を議長とするエネルギー政策タスクフォースによってとりまとめられたもの。

1. 骨子
(1) 本政策の中では、省エネルギー、エネルギーインフラの強化、エネルギー供給の拡大、環境保全の加速化、エネルギー安全保障の強化という5つの目標の下に、100を越える多様な対策が列挙されている。
(2) 具体的には、今後のエネルギー需要の急増に対応する観点から、多様なエネルギー源からの供給拡大、パイプライン、送電網、発電所、精油所等のエネルギーインフラの強化が重視されている。
 中でも、供給拡大のためにアラスカ自然保護区での石油・天然ガスの採掘を解禁する一方、省エネルギーの推進、原子力、水力、太陽光、風力等の非化石エネルギーの導入拡大等も打ち出されており、エネルギー供給と環境との調和もとられた内容となっている。

2. 原子力の位置付け
(1) 今回のエネルギー政策においては、同政策の主要な要素として、米国における原子力の拡大を支持し、エネルギー安全保障、温室効果ガス削減の両面から、原子力の役割が積極的に位置付けられている点が注目される。具体的には、概要以下のとおり指摘している。

(イ) 1979年に発生したスリーマイル島事故以来、原子力発電所の許認可に要する期間が長期化すると共に、安全性に対する一般国民の不安が高まったため、1973年に発注された原子力発電所を最後として、新規の発注がない状態が続いてきた。

(ロ) しかし、この間に平均稼働率が70%から90%へと大幅に向上し、原子力発電コストの低減により他の電源と競合し得る環境が整ってきており、既設の発電所に関し、稼働率の更なる向上、新技術の採用による高出力化、許認可の更新等を行うと共に標準化された設計による発電所の新増設、高い固有の安全性を有する先進的な炉型の採用等により、供給能力を高めることが出来る。
(2) また、プルトニウムを抽出する使用済燃料の再処理技術についても、放射性廃棄物の最終処分場を効果的に使用し得るものとして一定の評価を与えている。米は、これまで使用済燃料の再処理に対しては、我が国や欧州等の一部の国に対して既にコミットした内容を維持すること以外には、自国の商業用のものを含めて否定的な評価をしてきたところ、この点は、米国の核不拡散政策の観点からも注目される。具体的には、概要以下の通り指摘している。
(イ) 先進的核燃料サイクル及び次世代原子力技術を開発するとの観点から、液体廃棄物を減らし核拡散抵抗性を高める燃料処理方法の研究・開発・利用を認めるよう、政策を再検討すべき。但し、この実施に際しては、米国は、世界的に分離プルトニウムが蓄積することを引き続き奨励しない。
(ロ) 米国は、高度に発展した核燃料サイクル及び米と緊密な協力実績を有する国際的なパートナーと協力し、汚染や廃棄物がより少なく、より効率的で核拡散抵抗性の高い再処理・燃料処理技術を開発するための技術についても検討すべきである。

3. 今後の見通し
 今後、米国内において新たなエネルギー政策を巡って、米議会を含め種々の議論が行われるものと予想されるが、米は、世界最大のエネルギー消費国・エネルギー生産国でもあり、各国の原子力政策を含む国際エネルギー情勢に与える影響も大きい。従って、この国家エネルギー政策の内容を詳細に検討すると共に今後の動向を注視する必要がある。

(了)