遠藤原子力委員長代理の海外出張報告について

平成13年5月15日

  1. 出張先
    ヴェトナム(ハノイ)

  2. 出張の期間
    平成13年4月23日(月)~4月26日(木)

  3. 出張概要
     ヴェトナム原子力委員会創立25周年記念行事の一環として行われる原子力平和利用展示会に代表団の顧問として参加し、ヴェトナムの政府高官及び共産党関係者等と意見交換を行い、また展示会の主要行事であるセミナーにて講演を行った。
    代表団は、団長:金井日立製作所会長、顧問:遠藤原子力委員長代理、副団長:殿塚電事連専務理事、原研 岡崎副理事長、日本原子力発電、東芝、日立製作所、三菱重工業、日本原子力産業会議から構成される。

  4. 意見交換結果
    (1)ヴェトナム電力公社(EVN)との会談
    日時:平成13年4月24日(火) 14:00-14:45
    出席者:
    (EVN)チャイ(Tri)副社長 他
    (ヴェトナム原子力委員会VAEC):ファック(Phac)国際部長、岩越顧問
    (日本側)金井団長、遠藤委員長代理 他
    主な結果:
    • EVNから、電力・発電システムの計画立案は長期計画を含めてEVNの役割であり、電力産業マスタープランを作成し、すでに政府に提出しており、その中には、2015年以降の原子力発電の導入必要性が記載されている。また、原子力発電の導入に関して、電力需要の伸長、あるいはエネルギー資源の供給、資金、廃棄物処理の問題等を総合的に判断して決定される等の報告があった。
    • 当方より、廃棄物問題も当初より考慮していくことが重要であることを指摘した。

    (2)共産党科学教育委員長との会談
    日時:平成13年4月24日(火) 15:00-15:45
    出席者:

    (共産党)ダン・ヒュー(Dang Huu)委員長 他
    (ヴェトナム原子力委員会VAEC):ファック(Phac)国際部長、岩越顧問
    (日本側)金井団長、遠藤委員長代理 他
    主な結果:
      ダン・ヒュー委員長から、以下の説明があった。
    • 共産党大会では21世紀におけるヴェトナムのポジションを明らかにした。経済発展のため、エネルギー確保が重要である。
    • 原子力導入の検討については、ヴェトナム原子力委員会(VAEC)が開発や技術的な面で重要な役割を担当し、エネルギー需給の面では、工業省が担当する。政府の導入決定後は、工業省が主体的に担当していくが、技術面・資金面ととっても国際協力が必須。

    (3)ヴェトナム キエム副首相との会談
    日時:平成13年4月24日(火) 16:30-17:10
    出席者:

    (ヴェトナム側)キエム(Khiem) 副首相、フェイ(Huay) 副大臣(科学技術環境省)、タン(Tan) VAEC委員長代行
    (日本側)金井団長、山崎大使、遠藤委員長代理 他
    主な結果:
    • キエム副首相より、以下の意見が述べられた。
      • 今回の原子力平和利用展示会開催についての日本関係者の協力を高く評価している。今回の訪越では、科学技術環境省や工業省との意見交換もあり、越における原子力活用の将来の見通しについて双方とも理解が深まったと考える。越政府は科学技術環境省及び工業省に対し、原子力利用についてのマスタープランを作成するように指示し、この結果を基に政府内で原子力利用について最終協議をする予定である。
      • 原子力発電の越政府の決定に関して、具体的な時期は明言できないが、2020年までのエネルギー開発マスタープランについての結論が出た後になる。
      • アジア地域内の国々との協力関係において越は日本を重要視しており、原子力利用についても政府内で決定が出たらすぐに日本側に報告する。
    • 日本側より、以下の意見が述べられた。
      • 金井団長:先日の第9回共産党大会の成功を祝福する。我々は日本の経験を利用して、越政府とも協力をしつつ今後も活動を続けていきたい。
      • 遠藤委員長代理:越での原子力利用については、今後とも政府レベルで扱うことが必要になってくるので、両国大使を通じて連絡を取るようにして頂きたい。
      • 山崎大使:原子力についてだけでなく、一般的な問題として、今後とも、貴国と他国との関係についての情報提供等、協力願いたい。

    5. ヴェトナム原子力平和利用展示会
    (1)原子力平和利用展示会の結果概要

    • 入場者:約5,000人以上、学生約2,400人。予定を大幅に上回る人数。
    • 開会式(平成13年4月25日(水) 9:00-9:30):ヴェトナム科技環境庁フェイ副大臣、タン原子力委員長代行、金井団長、山崎大使の挨拶の後、テープカットが行われた。日本側代表団も出席。ヴェトナム側は、国家科学技術環境委員会マオ副委員長、党科学教育委員会タン副委員長、首相府ミン局長、工業省フアン局長、エネルギー研究所ヒエン所長等が出席。
    • その他:TV、新聞などから数多く報道された。今回の展示会が盛況だったことから、ヴェトナム関係者からハノイに続いて、ホーチンミン市でも開いてほしいとの声があった。

    (2)遠藤委員長代理講演
     展示会の主要行事としてセミナーが行われ、遠藤委員長代理が講演を行った。
    日時:平成13年4月25日(水) 14:00-16:30
    講演内容:

    「原子力は何故必要か - グローバルな視点と日本の立場 -」をテーマに、
    ① 世界にとって原子力は何故必要か、
    ② 日本と原子力、
    ③ 原子力の抱える諸課題、
    の3つの論点を中心に講演を行った。
    主な質問:
    • 原子力発電を導入したい国にとって、必要な条件が満たされているか否か、どのような条件に基づいて判定すればよいのか。
    • 原子力発電所で起こったトラブルについて、具体的な事例を明示してほしい。
    • 日本における放射性廃棄物の管理について、どのような組織がどのような基準に基づいて、どのように管理しているのか。
    • 環境面からみた原子力の位置づけはどのように考えればいいのか。

    - 以上 -