(1)平成13年度原子力関係予算案について
標記の件について、青山参事官より資料1に基づき説明があり、これに対し、
- ウリミバエやイモゾウムシは、原子力とはどのような関係があるのか。
(青山参事官)放射線を照射することによって不妊化させ、このような害虫を駆除しようとしている。
- 根絶をねらっているのか。
(青山参事官)根絶をねらっている。
- かなり前からやっている作業であり、成果はあがっているのは理解しているが、まだやる必要があるのか。
(青山参事官)ウリミバエについては、ある地域の根絶が報告されている。多くの害虫について、それぞれ必要なものをそれぞれ対応していくことが大切であると考える。
- ウリミバエについては、本土復帰以前からやっていたことであり、ほとんど根絶していると思われるが、他の諸島にも広がっているのか。
(青山参事官)最近、特に生鮮品など、人・貨物の移動によって広がりを見せうる。
- アリモドキゾウムシについては、鹿児島ではやっていないのか。奄美大島くらいまでなのか。だんだん広がってくるようなイメージがある。
- 今まで沖縄開発庁でやっていたと思うが、今度は、どこでやるのか。
(青山参事官)内閣府と農林水産省である。
- 一度適当な時期に、これらについては成果を含め伺うこととしたい。
- 5億7千万円とか2億3千万円とかを計上しているわけだから、今までの評価もしていきたい。予算が付いているからやっているでは困る。
(青山参事官)例えばウリミバエについては、喜界島で60年10月に根絶、奄美大島で62年11月に根絶と、着実に成果をあげているところではある。
- 電源開発促進対策特別会計について、来年以降このような項目が、どのような段階で原子力委員会に相談、通知等があるのか。
(青山参事官)昨年の例だと、具体的見積もりは夏であったが、それをこれからどうやっていくかについて、長計との関係を含め、関係省庁と相談をしていくところである。
- 目処としては、いつ頃が適切なのか。
(青山参事官)なるべき早い時期と考えている。例えば、4月、5月という日を考えると、具体的にその年度の予算の執行状況も含めて必ずしも明確になっていない部分もあることから、これから調整を進めていきたいと考える。
- 今までだと、かなり固まった段階で説明があった。関係各省庁が新年度にこれをやろうという時期にあげていただかないと、また同じ事になってしまう。
- なるべく早く、まだまとまっていない段階から相談して欲しい。
- 時期については、7月では遅すぎる。
(青山参事官)前年度からの流れの中で、大体、予算がどのようになるのか、増えるのか、減るのか、新規に対応しなければいけないこと、それから突発的なものに対して対応しなければいけないこと等、いくつか性格の違うものが一緒になるので、そういう仕訳も含めて十分に相談しながら検討していきたい。
- いつでもどこでも誰とでも対話を心がける原子力委員会として、こういう今までやったことのないことをやる費用は、この中に入っているのか。
(青山参事官)内閣府の原子力委員会に必要な経費の中に含められている。
- むしろ予算全体に関しては、委員会の意志ができるだけ反映されるよう、制度設計は、まず委員が発案することとしたい。
- どの程度の活動ができるかと言うことに関係してくるが、決して潤沢ではない。
(青山参事官)こういう状況であるため決して潤沢であるとはいえない状況である。
- 本日の説明については承認行為をするのか。
(青山参事官)本件については、報告のみである。夏に作成いただいた見積もりをベースに、年度の計画を作成していただくので、今後、ご審議いただくことになる。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(2)原子力委員会の活動のあり方について
標記の件について、遠藤委員より説明があり、その後、全委員で意見交換が行われた。
-
(遠藤委員)前回の原子力委員会で、新しい原子力委員会の活動方針を決めた訳だが、それでは、どうやって実行に移していくかと言うことが本日の議題である。年頭の委員会で、核融合関係だけは3月31日まで継続し、他の専門部会についてはすべて廃止することとなった。そこで、長計を念頭におけば、
1.国民社会と原子力
2.軽水炉関係
3.高速増殖炉関係
4.先端的な研究開発
5.放射線利用
6.国際問題
の6分野であるが、それに加え、
7.評価
の合計7分野が対象として考えられている。しかし、委員の数も少ないことから、軽水炉関係と高速増殖炉関係を1つにして6分野とし、原子力委員会としてどのように進めていったらよいか、どういったテーマで、どういったしくみでやるべきか、専門部会は必要か、懇談会は必要かといった、テーマとしくみを念頭に、具体的にどのように進めていったらよいかということを各委員で次のように分担し検討したい。担当でないから他は関係ないと言うことではなく、あくまでここでの分担は、取りまとめ役であり主担当ということである。そういう方向で検討を始めていただきたい。
1.国民社会と原子力 | :木元委員 |
2.軽水炉関係・高速増殖炉関係 | :竹内委員 |
3.先端的な研究開発(革新炉、核融合、加速器等) | :藤家委員長 |
4.放射線利用 | :藤家委員長 |
5.国際問題 | :遠藤委員 |
6.評価 | :藤家委員長 |
3月のできるだけ早い時期に、これらをまとめたものを委員会で議論し、専門部会が必要なものについては手続きを開始したいと考えている。理想だけに終わらずに、原子力委員会として何ができるか、テーマとしくみについて検討をお願いしたい。
- 国民社会と原子力については、まさにパブリックアクセプタンス(PA)に関わることで、常設的でないと、つまりいつも議論の的となるところであり、全体をカバーしなければならない。例えば放射線利用については、藤家委員長が担当されるが、この中で、今すぐにでも立ち上げたいと思っている食品照射の分野がある。大きな枠組みの中で、これだけはやらせていただきたいようなものが出た場合はどうするのか。こういう問題については、専門部会以前の問題で、具体的な行動計画として出せるものなのか。
- 自由にやっていただいて良いと考える。案を決める段階までは、だぶっていてもかまわないと思う。
- 食品照射をやっていくと、「放射線に対する理解が足りない」とか、「この部分は国民社会と原子力で取り上げるべき」等の問題が生じるであろう。またやっている途中で、こちらも大事だし、ここのところはこういう形にしよう等の課題がでてくる。具体的に行動したいことがあるが、不明なところがある。行動を起こして良いという発言があったので、具体的な戦略を立てる段階と思っているが、いかがなものか。
- 当面具体的にやることについては、例えば、藤家委員長がやられる放射線利用についてであるが、すぐに行動を起こすのではなく、これから長計をフォローアップするために放射線利用について、専門委員会を設置するとかしないとか、4月以降の原子力委員会が組織的な行動をするためのプランづくりをする、と私なりには承知している。すぐにやらなければいけない放射線照射のような話は、この件とは別に議論した方が混乱しなくて良いと思う。当然、将来の活動とは、密接に絡んでくるものであるため、藤家委員長がやろうとする放射線利用の話と関わってくることと思われる。しかし、ダイレクトにやろうとすると、目の前の話と中長期的な話とが混同されてしまう恐れがあると考える。
- 国際関係で例えると、既にやっているベトナム対策については、これとは別にやっていくこととなる。しかし、4月以降は、そういうことも含め、どうするかといった枠組みづくりをしていく必要がある。緊急性が必要とされるような個別のものは、既に始めていただいた方がよいと思う。
- 少しずつでも、予算を使っていくこととなるが問題は生じないのか。
- この辺は、事務局と相談しながら進めればよい。
- 予算は無限大にあるわけではないが、枠内の予算をどう使うかについては、原子力委員が議論したことについて使うことが望ましいと考える。この中で共通性を持ってくるようなものであれば、大きな枠の中に取り入れていくことが大切である。
- 放射線利用については、どうしても放射線知識の普及のような話に行き着いてしまう。それは、段階的に国民社会と原子力のPAの部分で取り扱おうとするのか。
- 放射線照射だけではなく、他からも放射線教育が大切だというような議論は沢山でてくると思う。これらを共通のものとしてどう扱えばいいのだろうという議論になるかと思う。
- フレームづくりで、タスクフォースみたいなものをどうするかについては、沢山あるのではないのか。私自身、長計の議論を1年半やってきて長計の議論に関わるような議論をもう一度やるようなことはしたくない。議論のための議論となってしまう。原子力委員会で議論され、公となったことで国全体が動くようなものがあれば、早急に拾い上げていきたい。また、長計の議論の中で、議論は出たのだけれどあまり取りざだたされていないものもまだある。これらについて早くやるべき。こういうものが放射線照射のような形で、アドホックのような形で出てくるのではないか。フォローというのは、常にやっていかなければいけないもので、抜けがあるものである。短期間にやらなければいけないものについては、臨時編成のチームを作って対応していけばよい。こういうことが国民の役に立つことになると考える。
- 長計の議論の中で感じたことであるが、今までの原子力委員会では、軽水炉の問題にしても核燃料サイクルにしても比較的技術的側面から取り扱ってきたと思うが、長計の時には、「なぜ原子力発電か」、「なぜ高速増殖炉」なのかという側面が必ずしも十分出てこなかった。是非、今のような枠組みの中で取り扱われる時には、政策的な側面と技術的な側面とを分けて議論していきたい。「エネルギー政策と原子力発電」とか「エネルギーセキュリティーと核燃料サイクル」とかそういう観点から検討を進めていきたい。分科会等の議論では、どちらかというとテクノロジー中心であったり、サイエンティフィックな安全性の話だあったりした。これはこれで必要なことであることであるが、国民が求めているのは、「エネルギー全体の中で原子力がなぜ必要なのか」、「エネルギーを獲得するためになぜ核燃料サイクルが必要なのか」ということである。他の省庁と協力して、それぞのテーマの重要な柱として政策的なアプローチというものを入れていただきたい。
- サイレントマジョリティといわれる原子力に無関心な人を含め、推進派、批判的な方々に対し、説明責任を果たしていただきたい。長計だけでは、一般の国民は理解できないと思う。テーマ毎に解説書みたいなものを出し分かり易く説明していきたい。
- 今の意見は非常に重要なところであって、もんじゅの事故以来、ずっとそのようなアプローチを心がけてきた。今までエネルギー全体を見るのは経済産業省という概念があって、原子力委員会は、エネルギー委員会ではないという認識があり、その辺の調整がうまくできなかった。また、それだけのポテンシャルがないため、長計でも専門家からエネルギー問題についてしゃべってもらったという域を超えていない。自分たちで作ったデータベースでものをいっていないことが問題であり、この辺をどう打破していくか良いご提案をしていただきたい。
- 3年前は、原子力ありきであった。「どうして原子力なのか」、「なぜ私たちがやらなければいけないのか」という問いかけに対して、委員一人一人では答えることができても、原子力委員会として堂々と答えられる体制になっていなかった。原子力基本法でこうなっているからとか、長計でこうなっているからということが先行していたのが事実であった。原子力ありきではなくて、「なぜやらなければいけないのか」そこの部分を、常に原子力委員会が自分自身に問いかけていって、専門部会等を作らなくとも、常にそういう意識をもっていけばよいと考える。その表現手段が地方に出る原子力委員会であったりするのかもしれないが、表現する場が必要であると考える。それが今回の原子力委員会のあり方という声明に出てきているのだと思う。反対派・賛成派どちらにもなりうる中間派に見えるものが今まではなかった。
- 経済産業省のエネルギー分野に手を出すというのではなく、お互いに協力しながら、そこからデータをもらいながら原子力委員会としてもの申すという形でないといけない。「これについては向こうで決まっている」ではいけない。エネルギー政策の一環として原子力があるとすれば、その原子力の限りで、責任を持ってこう考えたといえるべきである。この件については、経済産業省と十分話し合い協力して、原子力の面では私たちは国民の前で説明していくというスタンスで望んでいきたい。
- 「なぜ原子力なのか」と同レベルで「なぜ原子力委員会があるのか」ということになってしまうかもしれない。このような時も私たちは、しっかりと説明していかなければならない。時代が変わっていく中で原子力委員会に対する期待とか要求とか評価が変わってくると思われる。それをどう受け止め自分たちの存在意義についても、どうアピールしていくか把握していきたいと考える。
- これはむしろ、委員各自が自分の信念に従ってお話になることが、まず重要と考える。そのミニマム集団が委員会であると思っている。
- 外からどう見られているかという視点がないと、いくら自分がどうこうといってもそれを受け入れてくれないと思う。
- これについては、いつもさらされているという認識の元に接していただきたい。
- それでは、3月のできるだけ早い時期にここで議論できるようなものを持ち寄ることでお願いしたい。
- なお、毎回、このような議論な場をセットしたいと考えているのでよろしくお願いしたい。
(3)議事録の確認
事務局作成の資料2−1の第2回原子力委員会定例会議議事録(案)及び2−2の第3回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
(4)人事案件
人事案件を審議することから非公開とした上で、文部科学大臣より日本原子力研究所法第12条第3項に基づき原子力委員会へ意見を求められた件については、異存がない旨回答することとした。
事務局より、次回は2月6日(火)に定例会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。
以 上