「第3回JNC原子力平和利用国際フォーラム
−原子力平和利用技術と国際貢献−」の開催について
平成13年2月13日
核燃料サイクル開発機構
1.開催趣旨
核燃料サイクル開発機構は、安全性に関し特別の配慮を払いつつ競争力を持つ核燃料サイクルの技術的確立に向けた研究開発を進めています。研究開発の推進にあたっては、核不拡散に細心の注意を払って業務を進めていくのみならず、サイクル機構が進めている核不拡散に関する技術的な取組みについて、広く国内外の方々に知っていただくとともに、取組みに対する御意見を今後の業務に反映していくことが重要であると考えます。
新しい世紀を迎え、原子力平和利用の推進も新たな展開が求められています。特に最近は、核不拡散問題への国際的な取組みの必要性が叫ばれ、原子力平和利用の推進に際しては、より透明性を持った利用技術の開発を、国際的な信頼醸成を図りつつ進めることが求められています。このような情勢のもと、今回のフォーラムでは、サイクル機構が進める研究開発プロジェクトを念頭に、今後の研究開発を進めるにあたって、幅広い国際的な観点からの検討が必要となるテーマを取り上げ、新しい世紀における原子力平和利用技術とそれによる国際貢献について考えていきます。
2.開催概要
(1)期 日:2001年2月21日(水)、22日(木)
(2)会 場:灘尾ホール(東京都千代田区、新霞ケ関ビル内)
(3)主 催:核燃料サイクル開発機構
(4)形 式:一般公開
(5)プログラム:
●主催者挨拶 <21日 13:00〜13:10>
都甲泰正(JNC理事長)
●基調講演 <13:10〜14:00>
講演テーマ:「新しい世紀における原子力平和利用の国際的取組みについて」
講演者:下山俊次(日本原子力発電(株)最高顧問)
●第1セッション:新たなサイクル概念と核不拡散性 <14:00〜17:00>
座長:辻野 毅(核物質管理センター理事、東海保障措置センター所長)
サイクル機構は、その中長期事業計画に基づいて、FBRサイクルを将来の主要なエネルギー供給源として確立するための技術体系の整備を目的とする実用化戦略調査研究を進めている。この研究では、安全性の確保を前提とし、経済性、資源の有効利用、環境負荷低減および核不拡散性を配慮したFBRサイクル技術の検討を行っている。
本セッションでは、まずサイクル機構が進める実用化戦略調査研究の全体像および本研究における核不拡散性への配慮についての捉え方の紹介を行い、引き続きサイクル機構が行った核拡散への抵抗性に関する定量評価の試みについて紹介する。次ぎに、各国、各機関から核燃料サイクルの核不拡散性への配慮についての考え方、検討例の紹介をいただく。
パネル討論では、次世代炉開発において重要視される様々な開発目標について考えるとともに、核燃料サイクルの核拡散への抵抗性を向上させる技術的アプローチ、核不拡散性への配慮の捉え方、核拡散抵抗性の定量性についての議論を行う。
[基調講演]
−野田 宏(FBRサイクル開発推進部長、サイクル機構)
−小島 久雄(同燃料サイクルシステムグループGL、サイクル機構)
−堀 啓一郎(国際・核物質管理部保障措置GL、サイクル機構)
[パネル討論]
1)小講演
- NERIプロジェクト、and/or TOPS研究における核拡散抵抗性の捉え方(米)
−未定(米)
- 次世代炉への取組みと核拡散抵抗性の捉え方(韓)
−Byong Whi LEE (韓国科学技術院名誉教授)
2)討論(米、韓、JNC)
●イブニング・セッション <18:00〜20:30>
司 会 :水城 幾雄(国際・核物質管理部次長、サイクル機構)
討論テーマ:「国際的信頼醸成のための情報発信はどうあるべきか。」
日本、あるいはJNCが原子力平和利用を進める際に、国際的な信頼を得て進めていくための情報発信のあり方について若手研究者等が自由な討論を行う。
話題提供者:吉田文彦(朝日新聞論説委員)
●第2セッション:技術的手段による原子力平和利用の透明性向上への取組み
<22日9:30〜12:30>
座長:武黒一郎(東京電力原子力計画部長)
サイクル機構は、プルトニウム利用技術の研究開発を推進するにあたり、その透明性を十分に確保し国際的な信頼を得て進めていく必要がある。プルトニウム利用技術等の原子力平和利用の透明性を向上させるには、様々な取組みがあるが、本セッションでは、技術手段による透明性の向上策について検討を行う。
本セッションでは、サイクル機構から透明性向上に対する考え方及び取組みの紹介、遠隔監視技術やインターネットによる情報提供技術の実演の紹介を行う。続いて、米国から、透明性の向上を目的とした技術開発の現状、仏国における技術手段による透明性向上への取組み、さらに青森県六ヶ所村の核燃料サイクル施設での取組みについての考え方について御紹介をいただく。
パネル討論では、さらなる透明性の向上のための技術開発、また、通信技術を利用した透明性向上策の将来展望と課題についての議論を行う。
[基調講演](サイクル機構)
- 透明性向上と国際的信頼醸成に関するJNCの基本的な考え方の紹介。
−岩永雅之(JNC国際・核物質管理部長、サイクル機構)
- JNC/DOEが共同で研究を行った遠隔監視システムの実演を行う。当日は、会場から、JNCの大洗工学センターの施設に遠隔監視を行う。
−橋本 裕(JNC大洗工学センター照射管理センター技術主幹、サイクル機構)
- JNCが進めている透明性向上に係る各種の技術手段の紹介。
−久保 稔(JNC広報部次長、サイクル機構)
[パネル討論]
1)小講演
- 米国における透明性向上に係る技術開発、国際協力について
−John Olsen(米、サンディア研究所 プリンシパル技術スタッフ)
- 技術手段による透明性向上への取組みについて(仏)
−Michel Jamard(仏、コジェマ)
- 技術手段による透明性向上への取組みについて(日)
−藤巻和範(日本原燃、保障措置部長)
2)討論(米、仏、日、JNC)
●第3セッション:「余剰核兵器解体プルトニウム処分技術開発への国際協力」
<14:00〜17:00>
座長:鈴木篤之(東京大学大学院教授)
サイクル機構は、これまで蓄積してきた原子力平和利用技術をもとに、核不拡散に貢献するとの観念から、国際社会が直面する重要懸案事項の一つである露国余剰核兵器解体プルトニウム処分技術の国際協力に参加し、現在、露国の研究機関と共同研究を進めている。本セッションは、「余剰核兵器解体プルトニウム処分技術開発への国際協力」をテーマに、サイクル機構が進めるBN600での処分オプションを中心に議論を行う。
本セッションでは、現在、サイクル機構が進めている高速炉BN600を用いた解体核プルトニウム処分への取組みを紹介する。続いて米及び露から余剰核兵器解体プルトニウム処分についての現状について説明をいただく。また、IAEAからは解体核処分に係る検認に関する取組み、そして日からは技術開発協力における課題についての意見を頂いた後にセッションテーマについての討論を行う。
[基調講演]
- JNCが進める解体プルトニウム処分協力の現状(JNC)
−大和愛司(JNC理事、サイクル機構)
[パネル討論]
1)小講演
- 余剰核兵器解体プルトニウム処分についての現状(米)
−未定(米)
- 余剰核兵器解体プルトニウム処分についての現状(米)
−Valentine Ivanov(露原子力省第1次官)
- 解体核プルトニウム処分の検認についての取組み(IAEA)
−Thomas Shea(IAEA、保障措置局三国間イニシアティブ室長)
- 解体プルトニウム処分技術開発協力における課題について(日)
−西野文雄(政策研究大学院大学 教授)
2)討論(米、露、IAEA、日、JNC)
以上