(1)ウラン廃棄物処理処分への取組について(案)
標記の件について、青木企画官より資料1-1に基づき原子力委員会決定(案)の説明があった。これに対し、
- 今後の取組み方はどうなるか。
(青木企画官)今後、この報告書が安全委員会に報告され、決定(案)中2.の2段落目2行目「安全規制の基本的考え方、安全基準の策定」の検討が行われる。その後、行政庁において関係法令の整備が行われる予定である。
- 2.の2段落目の後半部分については、色々議論があった結果、ここに至ったものであり、良く読む必要がある。これについては、合理性をどう考えるかと言うことを含めてこうすべきと言っているところもあり評価できる。
等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については、案のとおり決定した。
(2)原子力発電施設等放射線業務従事者に係る疫学的調査(第Ⅱ期調査 平成7年度~平成11年度)報告書について
標記の件について、岡本企画官及び村田センター長より資料2-1、2に基づき説明があった。これに対し、
- 前向き解析対象集団 119,484 人と、前述の全解析対象集団 175,939 人は、重複しているのか。
(村田センター長)重複している。全解析対象集団の中に前向き解析対象集団が全て含まれている。
- 生活習慣の話が出たが、どの程度生活習慣については詳しく調べたのか。
(村田センター長)調査対象者が多いことから、今回は、喫煙、飲酒、胃のレントゲン検査等の受診状況、有害作業の従事の有無等について調査した。本来なら、食生活についても調べたかったところではある。
- 海外との結果と一致しない、整合しないと言われたがどう言うことか。
(村田センター長)海外における十数件の研究成果を調べたが、ある調査では食道に、また他の調査では肺に有意な関連が出るといった具合に、研究成果間で一致するものはほとんどない。白血病については、特に放射線との関連が出やすいと言われているが、結果はまちまちである。
- まちまちと言う部分に関しては、それこそその国の生活習慣が影響しているのではと思われるが。
(村田センター長)その可能性が高いと思う。おそらく、海外でもこの生活習慣について同時に調べたものは少ない。
- 4ページ目の3行目にある「・・・見られなかったと言える。」の”と言える”は、どうしても必要なのか。見られなかったと言い切ることはできないのか。
(村田センター長)そう言いたいところではあるが、統計学的に、このような有意な差がある場合完全否定はできない。
- 統計学的な有意差とは、いかほどのものか。
(村田センター長)私共では、5%水準とか1%水準とか言っている。間違う確率が5%とか1%と言う意味であるが、食道癌に関しては、その確率が低く、1%以下である。通常5%以下だと、統計学的には否定できない。
- 一方放射線が直接的な因子とも言えない。他の因子も絡んでくる事もあり得ると言うことか。一般国民から見れば、「・・・といえる」と言う表現は、「またごまかしている」と言う印象を与えてしまう。今の説明から「見られなかった」とは言えないまでも、「ほとんど見られなかった」みたいな表現にするとかできないのか。
- 手法の問題を疫学調査という枠の中でどう説明するかという難しさは、理解できる。むしろこういうやり方の延長上に、答えを出せる時期が来るのか。ご承知のように今度の長期計画では、低線量の生体影響について広島・長崎を含めてやることを明確に打ち出している。そういう中で、このような話は、関心が高いものと受け止められる訳である。手法の問題もあるかと思う。モデルの立て方の問題も色々あるかと思う。
(村田センター長)今後は、もっと生活習慣のきめ細かい調査を含めて行う可能性を検討したい。
- むしろ生活習慣側の何らかの因果関係を説明するモデルがないと、放射線側をいくらやっても、そちらにあいまいさがあれば、結果、全体としてのあいまいさが残る。そう言った全体の相互関係を調べなければならないというのが、本質にあると思う。
(岡本企画官)疫学的手法の限界の問題はあるかとは思うが、最後のご指摘を頂いている交絡因子の検討について、やれるかどうかの可能性について、できる限り検討していきたい。
- 元来、影響が明確に出にくい世界を取り扱っているので、仕事の大変さについては理解しているつもりである。
- 疫学的調査というのは、放射線に限ったことではなく他の領域でも出てきている。有意性についてどこまで説明できるか、それでもやはり限界があるのならば、それを補完できる調査手法があるのか。
(村田センター長)広島・長崎の調査についても、一方で死亡調査というものはずっと出されている。しかし最近数年間については、罹患調査というものも出ている。罹患調査とは、死亡調査の結果を補強するようなデータが出てくるわけであり、私共もその点について目指したいと思っている。しかし、最近は、個人情報の問題があってこのような調査をするのが大変難しい状況にある。
- 別の側面で、日本人の食生活の変化により、大腸癌の発生が増えている。これは、日本人の腸の長さや遺伝的な生体変化が生活習慣の変化によって生じたものと思われるが、大腸癌と生活習慣との関連について学問的に手法論の研究も必要になると思われる。
- 第5分科会でもこの辺については議論のあったところで、是非このような調査を続けていただき、同時に良い提言を期待したい。
- 手帳を持たないホームレスの人が3年前に原研の東海事業所で除染作業に従事し白血病になったと報道された件があるが、そういうところからの問い合わせはあるのか。
(村田センター長)問い合わせとはどのようなものか。
- 確かにおたくでこのような人が働いているのか、調べてもらえますか。
(村田センター長)いわゆる被曝歴の照会については、恐縮ながら直接の担当でないので分かりかねる。
- もし分かったら教えていただきたい。照会があった場合、この報告書のデータを出せるはず。この報告書の2ページの5.主な結果とその考察の①も②も悪性新生物による死亡は 2,138 人とか 1,191 人とか言われると、多いのではという印象を受けるのかもしれない。年令の構成はどうなっているのか。
(村田センター長)それは今回の報告書の方に書いてある。これは、年齢層が若い。だからどうしても他の疾患よりも癌の割合が多くなる。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(3)日本原燃(株)の六ヶ所再処理工場の工事進捗状況について
事務局より資料3に基づき、11月の進捗率等について報告があった。これに対し、
- 作業員数について、先月と比べて変動したか。
(坪井課長)大きな変動はない。
- 冬場になってきて作業員数が減ってきたとか言うことはないのか。
(坪井課長)雪が降ったりすると、もしかしたら減るのかもしれない。工事の内容によって変化する。
- 作業員数の変化については、後で分かれば教えていただきたい。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(4)議事録の確認
事務局作成の資料4-1の第77回原子力委員会臨時会議議事録(案)及び資料4-2の第78回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は12月26日(火)に定例会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。また、1月5日(金)は、開催しない方向で調整したい旨、あわせて発言があった。
以上