冒頭、町村委員長より、
- かつて、資源エネルギー庁の石油国際機関課に所属しており、エネルギー問題や、直接ではないが原子力問題に携わってきたところ。このため、日本のエネルギーの安定供給が非常に大事であるということを強く感じた次第。原子力は、我が国のエネルギーの安定供給や二酸化炭素の排出量削減に大きく貢献するとともに、放射線利用による国民生活の向上や科学技術の発展を支えるものとして極めて重要であると認識している。
- 先月、原子力委員会において、21世紀へ向けた原子力の全体像と長期展望を明らかにする「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」が決定されたところ。新たな長期計画においては、安全確保と防災、積極的な情報公開等による国民の信頼確保の重要性等を指摘するとともに、原子力発電を引き続き基幹電源と位置付け最大限に活用すること、使用済燃料を再処理して回収されるプルトニウム、ウランを有効利用すること等が示されたと承知している。
- 新たな原子力長期計画に示された政策と理念を着実に推進していくことが今後極めて重要であると考えているので、各委員においては宜しく御尽力、御協力をお願いしたい。
との発言があった。
(1)委員長代理の指名について
原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第4条第3項の規定に基づき、原子力委員会委員長代理に藤家委員が、さらに、藤家委員長代理の海外渡航等による不在の際の委員長代理に遠藤委員が指名された。
続いて委員より、
- エネルギーに関してなぜ原子力を日本が選択するのかを、原子力ありきという狭い視野ではなく、広い視野を持っていきたいし、また、国民一人一人にも考えていただきたい。この間幌延に行ったが、日本の原子力利用を進める上で、原子力発電所立地サイトだけではなく、六ヶ所村や幌延のようなところにも目配りや気配りが必要だと思う。
- 原子力委員になって3年くらい経つが、その半分は長期計画の策定に時間を費やした。今後の課題は、長計をどのように柔軟かつ積極的に進めていくかであると思う。今回の長計は、従来よりも対外的に発信していこうということで、IAEAやアジア等で説明を行ってきた。その時、諸外国は大変関心が強かったので驚いた。日本が世界の先頭に立って原子力をよくやっているというように諸外国が見ているように感じられた。今後とも発信をし、かつ、「もんじゅ」等は世界に開放していくことが必要なのではないかと思う。
- 昭和30年代初めから長い年月原子力に携わってきた。また、電気事業の経営に携わり、石油危機問題などがあったことから、日本のエネルギー問題というのをどういうふうに考えていくかが私自身の課題であり、そういった中での原子力の役割は重要と考えている。しかし、まだ原子力に対するコンセンサスは社会的に確立されておらず、今回の長計の目的の1つは、信頼回復、立地との共生ということだと思う。長計に魂を入れるべく頑張って欲しい。
- 原子力委員になって以来、いろいろなことがあったので、それだけに今回の長計の策定は大変喜ばしい。原爆に反対し平和利用に専念する日本がこれから世界に対しどうリーダーシップをとっていくのかという時代が来たと思う。従来のように計画を確実に実行して他の国に追いついていくのではなく、むしろ何かを作って発信していく。台湾は核燃料サイクルをきちんとやっていなかったがために毒の島にするのかといって、原子力発電所建設をストップしてしまったが、日本は核燃料サイクルを現実な姿と、時代を超えたあるべき姿を共に示しながらバランスよく実施して行きたい。また、このことを原子力委員として世界で発言していきたい。ドイツが原子力を停滞してしまったことから非核保有国の中では日本が原子力の先進国と思っているので、いろいろと各国と議論していきたい。
等の意見があり、町村委員長より、
- 外国との関係が一つの焦点であり、脱原子力というのが世界の流れとなっているようにみられるが、諸外国が日本の長計に関心を持っているというのはどういう観点からなのか。
との質問に対し、
- 確かに脱原発のムードがあるが、はたしてそれでエネルギーの安定供給が出来るのかという疑念も一方ではある。EUでは、原子力を見直すべきという内容のグリーンペーパーをごく最近出している。COP6ではどうも環境派が主導していて、エネルギー派と分裂しているように思われる。
- COP6では欧州など緑の党出身の環境大臣が多く出席して支配的にやっているし、NGOを中心に脱原発を主張しているのでかなりプレッシャーになっていると聞いている。底流にある声が伝わっていないのではないか。
- 高度に民主化した社会における原子力についての意思決定を今後どうするか、リーダーシップとアカウンタビリティーと参加者責任という点を明確にしていくことが必要。
等の委員からのコメントがあった。
(2)三菱原子燃料株式会社における核燃料物質の加工の事業の変更の許可について(答申)
標記の件について、核燃料規制課より資料2−1、2−2に基づき説明があった。これに対し、
- 所要経費はどのくらいか。
(核燃料規制課)調べて後刻回答したい。
- JCO事故を受けて臨界管理について何か議論があったか。
(核燃料規制課)臨界管理については、申請と関係なく事業所に立ち入り検査をして臨界管理の体制と在り方について問題ないと判断した。
- 設計上と運転上の両方の観点から見たのか。
(核燃料規制課)両方の観点から見た。また、問題となった人材教育についてもチェックした。
- 地元の人は神経質になると思うがどうか。
(核燃料規制課)事故が起こる前に事業所は県と村の両方に申請することを事前に話して決めている。JCO事故以降は県と村からも立ち入り検査があって、どういう体制で事業所が臨界管理教育を行っていくかについて十分話し合った。
- 熱的制限値とは原子炉の審査の時に使われる熱的制限値とは意味が違うが。
(核燃料規制課)熱的制限値には2つの意味があり、今回変更される熱的制限値については、原子炉の審査の時に使われる用語と意味が違うものである。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(3)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第51条の2第1項第1号に規定する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染されたものを定める政令の改正について(諮問)
平成12年12月11日付12安(廃規)第64号、平成12・11・24資第20号、海安第147号をもって内閣総理大臣、通商産業大臣、運輸大臣より諮問があった標記の件については改正の内容が閣議決定まで非公開とされていることから、非公開で審議することとした上で、科学技術庁放射性廃棄物規制室より資料3に基づき説明があった。審議の結果、標記の件については妥当なものと認めた。
(4)原子力委員会専門委員の変更について
標記の件については、人事案件であることから非公開審議とした上で、事務局より資料4に基づき説明がなされ、案通り了承された。
(5)議事録の確認
事務局作成の資料2−1第74回原子力委員会定例会議議事録(案)、資料2−2第75回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は12月15日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。
以上