第73回原子力委員会
資 料 第 1 号

ITERサイト国内調査条件(案)について

1.背景
 来年にはITER建設・運転段階の共同実施に関する公式政府間協議が開始され、ITERの建設候補地に関する議論が始まる見通しである。現在、原子力委員会ITER計画懇談会においてITERの我が国への誘致に関し検討を行っており、まだ結論は出ていないが、国際協議の進展を考慮すると、ITERを国内に誘致することとなった場合をも想定した準備を進める必要がある。この一環として、国内の候補地の状況等を的確に把握し、国内誘致候補地を選定するために必要な調査事項について検討しておく必要がある。
 
2.検討状況
 ITERの国内誘致候補地を選定するためには、既にITER概要設計報告書に掲げられているITERサイト要件/サイト設計仮定(参考)への対応状況、その他我が国としてITER誘致に必要と考えられる条件が整っていることが必要と考えられる。このため、まず、国内誘致候補地を選定する上で必要とされる情報を整理することが重要である。本資料は、このような目的のために現在検討を進めているITERサイト国内調査条件の案である。

3.ITERサイト国内調査条件の概要
 ITERサイト国内調査条件は、ITERサイト国内選定条件及び調査項目から成る。また、ITERサイト国内選定条件は、「基本条件」と「望ましい条件」から成る。これらの条件は、ITERサイト要件/サイト設計仮定を基礎として、我が国のサイト誘致提案書に盛り込むことが考えられうる情報(例えば、耐震設計上からの条件、インフラ整備条件等)を付加したものである。ITERサイト国内選定条件については、ITERサイト要件/サイト設計仮定の各項目を検討した上で、「基本条件」と「望ましい条件」に再編している。

 ITERサイトの国内選定では、都道府県がITER施設の誘致を希望している候補地のうち、「基本条件」に適合するものを対象とするが、候補地の現状が基本条件に一部適合しない場合でも、合理的な補完・代替措置が提示できれば、これを排除しないことを検討している。

 本資料は、国内誘致候補地を選定するために必要な調査事項について現在検討中の資料であり、今後、設計の進捗や専門家の意見等を踏まえて適宜見直される予定である。


 














別添1

地盤・地震調査項目についての「用語解説」



1)海底地形図、海底地質図、海底地質構造図
海底の地形、地質に関する海底地形図、海底地質図、海底地質構造図はそれぞれ 地上における地形図、地質図、地質断面図に相当する。

2)地質図と地質断面図
地質図(または地質断面図)とは、地表付近の岩石(表層の土壌は無視する)を 種類やその生成年代によって色や模様で区別し、分布状態を地形上の上に描いたもの。地質断面図はこの地質図からボーリング結果等を加味して地下の構造を推定したものである。

3)活断層
約180万年前以降の第四紀に活動した断層で将来も活動する可能性のある断層

4)支持力
強度の面からとらえた地盤の荷重を支え得る能力

5)解放基盤
基盤面上の表層や構造物がないものと仮定した上で、著しい高低差がなく、ほぼ水平であって相当な広がりのある基盤。概ね第三紀層及びそれ以前の堅牢な岩盤であって著しい風化を受けていない、横波伝播速度が700m/秒以上の岩盤。

6)地震基盤
震源からの地震波の伝播特性が地表近傍の媒質による影響を受けない地盤として定義され、横波伝播速度が3000m/秒程度の基盤をいう。


別添2

電力系統特性に関する参考データ




(1)ITER運転期におけるパルス電力の供給に関連し、
(a)年間を通じて最も厳しい条件
(b)年間を通じて最も余裕のある条件
(c)時間帯を8:00-22:00と仮定した場合の年間を通じて最も厳しい条件
の3ケースに対する下記の想定値;
イ)系統容量および系統需要
ロ)ガバナフリー設備容量(火力,水力の各々について)
  ガバナフリー幅
ハ)短絡容量(系統接続点及びITER設置端)

(2)簡易モデルマップ及び潮流マップ(添付例参照)
構成;主系統=LL(Load Limited)機、GF火力機、GF水力機、
   近接発電機、ITER負荷、(同期運転発電機)
(3)調定率 ;火力、水力で異なる場合は各々について
(4)許容変動条件
イ)周波数変動  (例;±0.05 Hz ) 
ロ)電圧変動   (例;±1%)
ハ)高調波電流  (例;各次電圧含有率 0.5%以下、電圧歪率 1%以下、等価妨害電流 1.9A)
ニ)発電所出力変動(例;±4%/推奨値)
ホ)受電点力率  (例;0.85以上/推奨値)
(5)近傍発電機及びITERと同期運転できる発電機の
運転様式(ガバナフリーまたはロードリミット運転等)
発電機定数、励磁系定数、調速系定数
(6)AFC容量及び応答速度
(7)負荷特性:電圧特性(例;P?V1.5, Q?V2)、周波数特性(例;4 %MW/Hz)