「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術的信頼性の評価」の報告を受けて

平成12年10月31日
原 子 力 委 員 会

1.当委員会では、昨年11月、核燃料サイクル開発機構(以下「サイクル機構」という。)から報告書「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性 ―地層処分研究開発第2次取りまとめ―」(以下「第2次取りまとめ」という。)の提出を受け、原子力バックエンド対策専門部会(以下「専門部会」という。)で評価を行ってきました。このたび、当委員会は、専門部会から、第2次取りまとめについて技術的に詳細かつ総合的な評価結果の報告を受けました。
 専門部会は、各界各層の有識者で構成され、第2次取りまとめに示された研究開発成果に関して幅広い調査審議を約1年にわたり行いました。また、報告書の取りまとめに当たっては、報告書案に対し国民の方々から意見を募集するとともに、国際ワークショップを開催して広く議論を行いました。

2.高レベル放射性廃棄物の地層処分が具体的に進められるためには、我が国における地層処分の技術的信頼性を明らかにするとともに、今後の研究開発課題とその進め方を示すことが必要です。専門部会報告書では、第2次取りまとめには我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性が示されているとともに、処分予定地の選定と安全基準の策定に資する技術的拠り所となることが示されていると評価しており、地層処分の事業化に向けての技術的拠り所となると判断しています。また、今後の研究開発に取り組むに当たって留意すべき事項についても適切に取りまとめています。

3.本年5月に、処分の実施主体の設立や事業資金の確保策等を柱とする「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が成立し、これに基づき、10月には、処分の実施主体である「原子力発電環境整備機構」が設立されました。処分の実施主体においては、第2次取りまとめ及び専門部会報告書を参考とし、サイクル機構等の関係機関における研究開発の成果を活用しつつ、地層処分の実施に向けて着実に取り組むことを期待します。
 また、研究開発の成果は、関係機関から実施主体に対し適切に移転されることが望まれます。

4.高レベル放射性廃棄物の地層処分は、国民の理解と信頼を得つつ進められていくものであり、引き続き、第2次取りまとめの成果を踏まえた技術開発課題への取組や基礎的な研究開発の継続などを通じて、技術的信頼性をさらに向上させることに努めることが重要です。サイクル機構等の関係機関においては、専門部会報告書の評価結果に基づき、密接な協力の下に、深地層の研究施設などを活用した研究開発を着実に推進することを期待します。効率的な研究開発のためには、国際協力を積極的に行うことも重要です。

5.今後、処分事業の円滑かつ着実な進展を期待するとともに、当委員会としても、関係者より適宜報告を受けることにより状況を的確に把握し、処分事業の推進に当たって適切な役割を果たしていきます。