藤家原子力委員長代理の出張報告について

 

平成12年10月20日

[1]日米原子力研究協力に関する協議の結果について
1.開催日時:平成12年10月4日(水)11:00〜16:30

2.場所:米国エネルギー省(DOE)内会議室

3.出席者: (日本側)
藤家原子力委員会委員長代理
(サイクル機構)
相澤理事、鈴木主席研究員、増田特任参事、岡本ワシントン事務所長
(原研)
前田理事、水本加速器グループリーダー、衛藤ワシントン事務所長
(理研)
片山主任研究員、谷畑主任研究員
(放医研)
巽生物影響研究部長
(在米日本大使館)
森本参事官、岡谷一等書記官
(科学技術庁)
原子力局核燃料課植村補佐(報告者)(計14名)

(米国(DOE)側) モニッツDOEエネルギー・科学・環境担当次官、マグウッド原子力科学局長、マーカス原子力科学局次長、ドレッセルハウス科学局長、トーマス基本エネルギー科学部長、トマセン生物環境科学部長、スペクター軍備管理・不拡散担当副次官代理、カラベリ国際核物質防護・緊急時協力担当副次官代理、ターナー国際核安全・国際協力課長、ホルゲート核不拡散局副次官代理、イトキン民生放射性廃棄物管理局長、バレット民生放射性廃棄物管理局次長他4名(計16名)

4.主な結果
(午前の部)
 @最初に、藤家原子力委員会委員長代理より、今回の協議の目的及び省庁再編の概 要について説明した後、現在策定が進められている新しい原子力長期計画に関して、その策定プロセス、目的、スケジュール、主要な事項(原子力発電、核燃料サイクル、放射性廃棄物の処理処分、高速炉と関連するサイクル技術、原子力科学技術及び放射線利用)に関する現時点での記述ぶり等について説明。
 A一方、モニッツ次官からは、以下を発言。

(午後の部)
午後の部では、(1)原子力科学、(2)原子力エネルギー、(3)核不拡散、(4)原子力防災、(5)BN350関係、研究協力の枠組み等、(6)解体核、(7)放射性廃棄物処分の順番で、日本側の各研究所の説明者より日米間の具体的研究協力事案について説明及び質疑を実施。

(1)原子力科学
 @始めに米側より、以下を紹介。

 A引き続いて、谷畑主任研究員(理研)より、以下を説明。

 Bまた、片山主任研究員(理研)より、以下を説明。

 C次に、前田理事(原研)より以下を説明。

 Dこれに対し米側からは、以下の説明。

 E最後に巽生物影響研究部長(放医研)より以下を紹介。

(2)原子力エネルギー  @相澤理事(サイクル機構)より、以下を説明。

 Aこれに対し、マグウッド原子力科学局長より、以下の発言。

 B最後に、マグウッド局長より、以下の説明。

(3)核不拡散
スペクター軍備管理・不拡散担当補佐官補より、以下の発言。

(4)原子力防災
カラベリ国際物質防護&緊急時協力担当補佐官補より、以下の発言。

(5)BN350関係、研究協力の枠組み等
 @ターナー国際核安全・国際協力課長より、以下の発言。

 Aこれらの発言に対し、藤家原子力委員長代理より以下のとおり回答。

 Bまた、相澤JNC理事より、以下の発言。

 C最後に、藤家委員長代理より今後の日米原子力研究協力の枠組みについて以下の発言。

(6)解体核
 @ホルゲート核不拡散局次長より、以下の発言。

 Aこれに対し、藤家委員長代理より、以下を説明。

(7)放射性廃棄物処分
 @イトキン民生放射性廃棄物管理局局長より、国際地層処分システム協力センター(ICGRS)を米国(ラスベガス)に設立する構想を中心に、地層処分の科学技術に係る国際協力について説明。

 A岡谷書記官より、ICGRSへの参加国に関して、中国、台湾の参加がある場合日本の外交当局はセンシティブな対応となる旨発言したところ、DOEがセンターを国の機関とせず、純粋に技術の問題を扱うという前提で中国の当局に同構想を説明したところ、特段問題はないとのことだったと回答。

 B最後に、増田JNC特任参事より、高レベル放射性廃棄物の埋設処分に関する一層の理解を図るための、より科学的なデモンストレーション施設の紹介、インターネットを利用した地層処分に係る情報公開システム等について説明。

[2]第3回サンタフェセミナー
1.日時:平成12年10月5日〜6日

2.出席者:日米の原子力関係者約60名(日本側発表者は別紙のとおり)

3.セミナーの概要
(1)10月/5日
 最初に、キャンベルワシントン政策分析社社長、梶川電事連ワシントン事務所長、マーチンワシントン政策分析社会長より開会の挨拶が述べられ、引き続いて藤家原子力委員会委員長代理、メザーブ米国原子力規制委員会(NRC)委員長より基調講演が行われた。
その後のセミナーの進行は以下の通り。
[セッションI:原子力の将来に関する見解]
@神田啓治京都大学原子炉研究所教授から、新しい原子力長期計画とその策定経緯等について、また、前田肇電事連副会長から主として長期計画第二分科会の議論とその結果について紹介。
Aギボンズ国務省国際問題担当顧問(元大統領府科学技術担当補佐官)からは、50年から100年の間に急速に化石資源がなくなることを考えて、エネルギーについて十分に考えていくべきであり、この観点から原子力は重要な役割を果たす、FBRのエネルギー供給への利用は時期尚早であり、高速炉はむしろプルトニウム処分の方法として位置付けられるべき、兵器用プルトニウムの処分が終わるまで民間再処理を行わないという考えが適当等の見解を紹介。

[セッションII:競争力のある原子力の将来に向けた戦略]
(環境への貢献)
BミラグリアNRC原子炉部副部長より、米国における原子力安全規制の目的、規制方法について紹介。
C鷲見禎彦日本原子力発電(株)社長からは、日本の原子力安全を巡る現況等について紹介。

(原子力施設の安全)
D兒島伊佐美電事連副会長からは、安定供給、環境、経済成長というトリレンマの解決という観点からの日本と電力業界の取り組みについての紹介。
Eジャネトス世界資源研究所副社長からは、地球環境温暖化の進展状況について説明。

(使用済燃料と放射性廃棄物の管理)
F増田純男JNC特任参事からは、日本における高レベル放射性廃棄物の地層処分を巡る動向の紹介。
GボーゲルSAIC社社長からは、米国における使用済燃料の地層処分を巡る動向が紹介。

(パブリックアクセプタンス)
H中島光夫原燃輸送(株)顧問からは、98年10月の使用済燃料輸送容器のデータ改竄問題を例にとり、問題の早期解決のための風通しのよい社内体制の構築の重要性について説明。
IホワードNEI副会長からは、PAの基本的姿勢、あり方等について説明。

(2)10月6日
[セッションIII]
(米日の研究協力)
@相澤JNC理事より、サイクル機構が中心となって、2015年頃を目途に見通しを明らかにすべく推進している実用化戦略調査研究の現状と今後の展望について説明。この中で、明確な開発目標の設定と柔軟な展開を前提として、幅広い技術的選択肢についての比較検討が進められていること、国際協力を積極的に推進しており、米国国立研究所や大学との協力の推進を希望していることを紹介。
A前田原研理事より、長計における議論を基に、高温ガス炉、低減速スペクトル炉、分散型小型炉、超臨界軽水炉等の将来炉・革新炉の取り組みについて報告。また、これを効率的に行うには国際協力が重要であることに言及。
B水本原研主任研究員より、原研/KEK共同で進めている大強度陽子加速器計画の施設概要、年次計画などが説明されるとともに、中性子を用いた生物科学分野などの基礎研究の概要、加速器駆動システム(ADS)による核変換技術の開発の内容を説明。
C鈴木JNC客員研究より、藤家委員長代理が提唱されている「自ら整合性ある原子力システム(SCNES)」の科学的成立性とそのシステム概念を説明し、SCNESは将来目標として相応しい概念であることを説明。また、SCNESとGEN−IVとの比較により、両者は共通で整合性ある目標概念であり、今後の国際協力の可能性が高まりつつあることも説明。
Dアイルランド国立ロスアラモス研究所課長補佐より、ロスアラモス研究所における核不拡散抵抗性に係る燃料サイクルシステム開発や加速器駆動原子炉に係る研究活動について紹介。
Eハーモンサンディア保障措置国立研究所プロジェクトマネ−ジャーより、核物質の透明性確保の重要性とこの保障措置分野における日米協力の重要性について説明。
F高橋ブルックヘブン国立研究所上級研究員より、NERIプロジェクトの一つであるブルックヘブンにおけるトリウム燃料炉心研究の概要について紹介。

(新型原子炉)
G川村隆日立製作所(株)副社長より、ABWRの開発を巡る状況について説明。
HマーカスDOE原子力エネルギー科学技術局次長より、原子力エネルギー科学技術局が推進している原子力プラント最適化(NPO)やNERI、I−NERI、第4世代炉研究等の状況について説明。

[セッションIV:規制緩和時代の原子力の挑戦]
(電力自由化環境での原子力)
I青木中部電力副社長より、電力市場の部分自由化とその影響、NSネット等について紹介。
JファーテルNEI上級副社長より、米国で1992年に電力自由化法が制定されてからの原子力発電を巡る状況についての分析結果を紹介。

(原子炉の寿命延長)
K尾本東京電力原子力技術部長より、原子炉の安全な寿命延長のための方法論、規制当局の役割等について詳細に説明。
LドロシュックCNS社社長より、米国における寿命延長の方法論、寿命延長選択の経済的合理性の評価等について説明。

[セッションV:特別プログラム]
(JCO事故への対応状況)
M能澤情報科学技術研究所課長より、JCO臨界事故への対応状況について紹介。

(閉会の挨拶)
藤家原子力委員会委員長代理及びマーチンワシントン政策研究社会長より、閉会の辞が述べられた。

[3]欧州出張の結果について
1.目的
 国際会議「プルトニウム2000」、OECD/NEA運営委員会等の場において、現在策定中の長期計画案を説明することにより、我が国の原子力平和利用の理念と政策を国際社会に積極的に情報発信し、理解と信頼を得る。

2.出張者
藤家 洋一 原子力委員会委員長代理
(随行:千原科学技術庁原子力調査室長補佐、高津原研ITER業務推進室次長)

3.出張スケジュール
10月8日(日)米国発ベルギー着
10月9日(月)ベルギー:国際会議「プルトニウム2000」出席
   10日(火)〜11日(水)ドイツ:カールスルーエ研究所での講演、視察
   12日(木)〜13日(金)フランス:OECD/NEA運営委員会での講演、
ペラ原子力庁最高顧問との会談
   14日(土)仏国発
   15日(日)帰国

4.結果概要
(1)国際会議「プルトニウム2000」への出席
@「プルトニウム2000」は、ベルギー原子力学会が主催し、欧州原子力学会、米国原子力学会、ロシア原子力学会、日本原子力学会が後援する国際会議で、原子力利用及び核兵器解体により増加しつつあるプルトニウムの管理等に関しての議論を行うことを目的としたもの。参加者は日本を含め各国より約300名程度。
A主催者側の開会挨拶、基調講演に続き、6人のパネリスト(EU、米、日、露、ベルギー)により、「Public Policies」とのタイトルでパネルデスカッションが行われた。最初に各パネリストより発表があり、藤家委員長代理からは、長期計画案について説明。
B会場から各パネリストに対し質問がなされたところ、藤家委員長代理の説明に関し、高速炉開発を行うことは重要と考えるが、まだそれほど高速炉についてはできていないのではないか、との質問があった。
Cこれに対し、仏のパネリストより、高速炉についての実用化は数十年見えないが、経験を積み重ねてプルトニウムのストックの燃焼を行うべきであり、軽水炉におけるプルトニウムのリサイクルも重要との発言があった。また、藤家委員長代理より、日本社会にとって、高速増殖炉の研究開発を続けることは将来のために大切であり、もんじゅについては、運転再開してナトリウム冷却技術の取得について国際協力で行いたいこと、高速増殖炉のより高い経済性を追求するための調査研究を行っていること、高速増殖炉については、これまでの資源論だけでなく、マイナーアクチニドを燃焼させることによる環境負荷低減という目的も加わっていることにつき回答があった。

(2)カールスルーエ研究所(FZK)での講演、視察
@カールスルーエ研究所は、核融合、原子炉安全、放射性廃棄物処理処分等に関する研究を実施しており、これらの施設を視察するとともに、当研究所の研究員約100名程度の参加の下、藤家委員長代理より、現在策定中の長期計画案について講演を行った。
Aこれに対し、

等の質問が出された。
B藤家委員長代理からは、 旨回答があった。

(3)OECD/NEA運営委員会での講演
@藤家委員長代理より、OECD/NEA運営委員会出席者に対して、現在策定中の長期計画案について説明を行った。
Aこれに関し、

との質問があった。
B藤家委員長代理より、 との回答があった。

(4)ペラ原子力庁(CEA)最高顧問との会談 @CEA本部にてペラCEA最高顧問と会談し、ITERに関して意見交換を行った。
A藤家委員長代理より、ITERについてどう考えるか質問したところ、ペラ顧問より、先週のイタリアでの非公式政府間協議第3回会合で良い進展を見、来年の7月頃までにITERのサイト提案が行われる予定であるし、サイト提案に伴う技術作業を行うグループや、それらを指導監督するプロジェクト・ボード等の枠組みが明らかになったこと等が紹介された。
Bまた、藤家委員長代理より、日本の状況として、政治家や地方自治体も含めてITERには高い関心が示されており、今年の夏には原子力委員会の下でITER計画懇談会も再開され、今年中には取りまとめを行いたいこと、核融合の実用化には、世紀のレンジでの時間的視野が必要であるが、一方、そのような長期の計画を認めてもらうのは大変でもあること、今回の長期計画案では、核融合は先端的な原子力科学技術のひとつとして位置付けられていること等を説明した。更に、カダラッシュ研究所がITERのサイト候補と考えられている点について質問したところ、ペラ顧問より、CEAとしては提案したが、まだ仏政府の提案ではなく、欧州の第6次フレームワーク・プログラム(6FP)の予算が確定するのは2002年末であり、それまでに2年ある、サイト提案は6FPの策定とタイミングを合わせる必要がある、但し、国際的な提案を行うのはそれよりもっと早いと考えている、11月の研究相理事会で本件が議論になる予定であるが、どのような議論になるかは分からない、欧州委員会も分析を行っていると思うが、現時点では独は好意的なので良いが、独が反対すると本提案も(EUとしての提案になることは)難しいだろう、との見解が示された。
C藤家委員長代理より、EUからサイト提案がなされる件については、日本は歓迎したいし、より柔軟な対応が取れると思っている、ITER計画への信頼性が増すことは確かである旨発言したところ、ペラ顧問より、カナダは年末までに連邦政府としてのサイト提案を行うだろう、カナダがサイト提案を行えば、フレームも変わってくる、以前は日本のみがサイト提案を行うという状況であったが、欧州内には、ITERを外国にやりたくないという声がある一方、自極内でサイト提案ができないという矛盾した状態であった、米国は、日本やカナダがサイト提案をすれば再参加するだろう、との見解が示された。


(別紙)

第3回 サンタフェ・エネルギーセミナー 日本側出席予定者(日本より訪米の方)

(講演者)
藤家洋一 (原子力委員長代理)
神田啓治 (京都大学教授)
能澤正雄 (高度情報科学技術研究機構顧問、
       原子力安全委員会・原子力発電所等周辺防災対策専門部会長)
兒島伊佐美(電気事業連合会副会長)
前田 肇 (原子力開発対策委員会委員長、関西電力副社長)
青木輝行 (原子力開発対策委員会副委員長、中部電力副社長)
鷲見禎彦 (日本原子力発電社長)
中島光夫 (原燃輸送相談役)
川村 隆 (日立製作所副社長)
尾本 彰 (東京電力原子力技術部長)
相澤清人 (核燃料サイクル開発機構理事)
増田純男 (核燃料サイクル開発機構特任参事)
鈴木聖夫 (核燃料サイクル開発機構主席研究員)
前田 充 (日本原子力研究所理事、東海研究所長)
水本元治 (日本原子力研究所中性子科学研究センター、加速器グループリーダー)

(随行者・傍聴者等)
植村忠之 (科学技術庁原子力局 核燃料課長補佐)
池亀 亮 (東電技術最高顧問)
巽 紘一 (放射線医学総合研究所生物影響研究部長)
森 一麻 (原子燃料工業取締役)
貴志泰忠 (原子力エンジニアリング副社長)
山下淳一 (日立製作所原子力事業部主管技師長)
針山日出夫(三菱重工原子力業務部長)
小島 章 (東芝原子力プラント計画部長)
一二三雅子(神田教授秘書)
稲垣宜昭 (電気事業連合会総務部秘書課長)
新延誠司 (電気事業連合会原子力部副長)
高田 香 (電気事業連合会広報部副主任)

計27名