平成12年10月17日
核 融 合 開 発 室

第18回IAEA核融合エネルギー会議の結果について
 


1.開催日
 平成12年10月4日(水)〜10日(火)

2.場所
 ソレントパレス会議センター(ソレント イタリア)

3.開催目的
 核融合研究に関する成果報告及び情報交換を行うことを目的として、IAEA主催により、1961年から開催(前回は、1998年日本(横浜)で開催)。

4.出席者数
721人(36ケ国及び3機関から参加)
日本(177人)、米国(133人)、イタリア(69人)、
ドイツ(49人)、ロシア(40人)、スウェーデン(27人)、
フランス(26人)、中国(24人)、EC(22人)、ITER(22人)他

5.会議日程
(1)開会式:10月4日(水)9:00〜11:20
開会挨拶
 W. Burkart IAEA事務局次長(主催者代表)
 C. Rubbia ENEA総裁
  (1984年ノーベル物理学賞受賞者、ホスト機関代表)
特別講演
 有馬 朗人 参議院議員、日本
 E. Velikhov クルチャトフ研究所長、ロシア
総合講演
 R. Aymar ITER共同中央チーム(JCT)所長
 F. Romanelli ENEA、フラスカティ研究所
(2)総合講演   :10月4日(水)〜5日(木)
(3)個別セッション:10月5日(木)〜10日(火)
 プラズマ実験、加熱・電流駆動、核融合技術、慣性核融合、
 ITER、理論等
(4)サマリー講演、閉会式:10月10日(火)15:40〜18:00

次回(第19回)は、2年後の2002年にフランス リヨンで開催予定。

 
6.発表論文
(1)総発表件数:385件(口頭発表127件、ポスター発表258件)
(2)主要プロジェクト発表論文数

プロジェクト名

口頭発表

ポスター

JT-60(日)

6.5

15.5

JET(EC)

15

DIII-D(米)

7.5

13.5

ASDEX-U(独)

6.5

11.5

LHD(日)

11

FTU(伊)

TORE SUPRA(仏)

JFT-2M(日)

TRIAM-1M(日)

ITER

25

33


注:2装置の比較論文は0.5と数えた。

7.主な結果

(1)磁場閉じ込め実験
  • JT-60をはじめとする先進トカマク運転の研究、大型ヘリカル装置、および球状トカマクの研究において大きな進歩があり、また、世界的な研究の連携により、ITERに必要なプラズマ特性の理解がさらに進展した。
  • JT-60からは、負磁気シアプラズマ方式による高閉じ込めの新しい連続運転方法、高エネルギーNBIによる世界最高の電流駆動効率の実現を始めとする先進トカマク研究の進展が報告され、本会合のハイライトとなった。JT-60の成果は、サマリー講演でも高く評価された。
  • 新しい体制(EFDA:European Fusion Development Agreement)で運転を開始したJET(欧州)からは、強磁場側からの粒子ペレット入射によるHモード、新古典テアリングモードの発生条件など、ITERに向けたデータベースの充実が報告された。
  • DIII-D、ASDEX-U等の多くのトカマク装置からも、定常運転を実現するために重要な先進トカマク運転が報告があった。
  • 球状トカマク装置(MAST(英)、NSTX (米))の初期実験結果が報告され、閉じ込め性能はITERの比例則に従うことが示された。
  • 世界最大のヘリカル装置LHD(日)の実験結果が報告され、高速粒子の良好な閉じ込め、長時間放電(1分以上)の実現などで注目を集めた。

(2)慣性核融合
  • 米国の国立点火実験施設(NIF)は建設予算が2倍に膨らみ、実験開始も6年ほど遅れて2008年になる見通しが示された。
  • 大阪大学からは、100TWレーザーを用いた高速点火実験において、入射したレーザーが中心部の高密度領域にまで到達できることが報告された。

(3)炉工学とITER
  • コスト半減を目指したITER-FEATに関する一連の工学設計及び超伝導コイルなど工学R&Dの成果が発表され、サマリー講演においても、ITER建設の技術的見通しが得られたと評価された。
  • 構造材料分野では、ITER-FEATへの適用を目指した低放射化フェライト鋼の開発が大きく進展するとともに、SiC/SiC複合材料とバナジウム合金等の先進材料の特性改善が進み、大型化への見通しが報告された。また14MeV中性子源(IFMIF)のコスト低減設計が報告された。
  • 韓国の超伝導トカマク装置KSTAR(プラズマ電流2MA)は、2004年末の装置完成を目指して開発が進められているとの報告があった。

(4)理論・計算機シミュレーション
  • 微視的乱流から自己形成される帯状流の構造や安定性の解析が進むとともに、原研を中心に、従来困難であった電子系運動論モデルのシミュレーションとそれに基づく内部輸送障壁形成の物理機構の解明が大きく進展した。
  • プラズマ中の複数の微視的モードと巨視的 MHD モードの相関等、時間・空間スケールの異なったモードの階層間での相互作用を考慮した理論・シミュレーション研究が日本及び欧州から提案された。

8.その他
 10月9日、ITERに関する特別セッションが開催され、各国の中心的な研究者を含む約200人が参加した。この中では、各極の非公式政府間協議のメンバーから、ITERの現状とITER/EDA終了後に行う調整技術活動の概要の報告及び第三国の参加の呼びかけなどが行われた。


参考資料1

第18回IAEA核融合エネルギー会議 参加者数一覧

A.国別参加者数(36ケ国、3機関)

国  名人  数国  名人  数
アルゼンチン
オーストラリア
オーストリア
バングラディシュ
ベルギー
ブラジル
ブルガリア
カナダ
中国
チェコ
エジプト
フィンランド
フランス
ドイツ
ハイチ
ハンガリー
インド
イラン
イスラエル
イタリア
カザフスタン







13
24



26
49





69
韓国
レバノン
オランダ
パキスタン
ポーランド
ルーマニア
ロシア
スペイン
スウェーデン
スイス
トルコ
ウクライナ
イギリス
アメリカ
EC
ITER
IAEA
日 本






40
10
27
13


17
133
22
22

177
合計721名

B.主要国別発表件数(全発表件数385件)

日 本
米 国
ドイツ
イタリア
ロシア
中 国
イギリス
フランス
ITER(JCT)








102件
89件
32件
22件
20件
18件
15件
12件
12件
  スイス
EFDA
スウェーデン
スペイン
韓国
インド





8件
7件
4件
4件
4件
3件