平成12年10月10日
日本原燃株式会社

ウラン濃縮事業について
 

 当社、六ヶ所ウラン濃縮工場につきましては、現在 1,050tSWU/年規模で操業中であり、最終規模 1,500tSWU/年の達成を目指しております。残り450tSWU/年の増設について検討を行っておりましたが、今般、その結果がまとまりましたので、ご報告いたします。

1.高度化機の開発状況
 当社は、ウラン濃縮工場の第二期後半分(450tSWU/年)増設のため、平成5年度より遠心分離機(高度化機)の開発を行ってまいりました。この開発過程における遠心分離機の回転胴底部部品に対する長期信頼性試験において、当該部品の試験片表面にウラン化合物の付着と腐食の痕跡が確認されました。
 このため、試験結果を総合的に評価・検討した結果、当該部品に認められた腐食の痕跡は、応力腐食割れに至る可能性があることが判明いたしました。
 その一方で、当該部品の構造を変更することによって、応力腐食割れの発生を防止できる見通しを得ました。
 しかしながら、大幅な構造変更となるため、総合機能の再確認も含め最低5年程度、その後の実用化に向けた実証試験、許認可取得、製造などの期間を入れると、導入までに9年程度かかるとの結論に至りました。

2.核燃料サイクル開発機構における遠心機開発状況
 核燃料サイクル開発機構では、平成4年度から、現在運転中の遠心分離機に対し、更に高性能で経済性に優れた別のモデルの遠心分離機の開発をこれまで続けてきており、4倍から5倍の性能の確認は終わっているものの、その実用化に向けては更なる実証試験が必要な段階にあります。

3.今後の遠心機開発の方向性
 これらを総合的に評価した結果、当社は、核燃料サイクル開発機構の濃縮技術を受け継ぎ、高度化機開発で得られた知見を組み合わせることにより、高度化機の構造を変更した場合と比べて1年程度の期間の差で、より高性能で経済性に優れた新たな遠心分離機を開発できる見通しを得たため、開発機種を新型遠心機に移行することといたしました。

4.開発体制
 開発にあたっては、現在改訂が進められている「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(案)」が示す、これまでの開発成果、知見、人的資源の着実な集約と活用が必須となります。このため、核燃料サイクル開発機構、原燃マシナリー株式会社および当社の技術者を結集して、六ヶ所に「ウラン濃縮技術開発センター」を11月1日に設立します。この開発センターに、これまでの遠心機開発の成果、知見を集約して、現在、六ヶ所に建設中の研究開発棟を我が国の濃縮技術開発の拠点とし、新型遠心機の開発に全力で取り組むこととします。

5.六ヶ所ウラン濃縮工場の生産管理
 なお、運転中の遠心分離機につきましては、現在行っている分解調査による知見を反映するとともに、引き続き運転長期化のための諸方策を検討し、新型遠心機による生産体制への円滑な移行を図ります。

 当社は、これまでの高度化機開発での反省も踏まえ、今後は長期信頼性の達成を最重点と考え、開発体制を強化した上で、構成要素試験に2年程度、基本仕様の確証試験に4年程度、その後4年間程度で実証試験、最終的な導入判断、許認可取得、建設工事を進め、平成22年頃を目途に新型遠心機による生産を開始し、10年程度をかけて1500tSWU/年規模の達成を目指してまいります。

以 上


(参 考)
1. 各遠心分離機の特徴
(1) 高度化機
 従来の金属胴遠心機から回転胴材質を新素材(複合材料)に変更し、さらに回転数、寸法を増すことによって、分離性能の向上を図った遠心分離機。
 金属胴遠心機の約2.5倍から3倍の分離性能を有する。

(2) 先導機
  核燃料サイクル開発機構が、平成4年度から、より高性能化を目指して開発してきた遠心分離機。

(3) 新型遠心機
 これまでのウラン濃縮工場の運転経験、高度化機および先導機等の開発で得られた知見に基づき、より高性能で経済性の向上を目指した遠心分離機。

2.これまでの高度化機開発の経緯
  • 平成5年度から旧動燃事業団(現核燃料サイクル開発機構)、電力及び当社の共同研究を開始。
  • 平成10年3月、ウラン化合物の付着に起因するものと推定される金属胴遠心機の停止事象を踏まえ、長期信頼性試験を開始。
  • 平成10年4月、第二期後半分に採用する遠心分離機として、分離性能が高く経済性の向上が期待できる高度化機を採用することを表明。第二期後半分の増設計画について、県、村に事前了解を申し入れ。
  • 平成10年7月、県、村の事前了解。
  • 平成10年10月、長期信頼性試験が長期化したため、事業変更許可申請時期を変更。(平成10年10月→平成11年3月)
  • 平成11年3月、事業変更許可申請時期を更に延期。
  • 平成11年9月、回転胴底部部品の長期信頼性試験の結果、当該部品の仕様の一部を見直すことにより長期的な信頼性が確保できる見通しを得たことから、改良部品を集合機に組み込み、性能確認試験開始を表明。
  • 平成12年3月、以下を表明。
  • 集合機での性能確認試験により所期の分離性能の達成を確認。
  • 長期信頼性試験において、回転胴底部部品の試験片の表面にウラン化合物の付着と腐食の痕跡を確認。
  • 再度、当該部品の長期信頼性について、総合的に評価・検討を開始。

3. 本年度実施した調査結果
(1) 試験条件の精査
長期信頼性試験の温度、圧力条件は実機を模擬しており、試験条件として妥当であったことを確認。
試験に供した試験片も実機回転胴底部部品の仕様と同一であることを確認。

(2) 発生した事象の調査結果
現状の回転胴底部部品の仕様では、期待する運転期間よりも短い期間で、回転胴底部部品が応力腐食割れにより破損する可能性があると判断。

(3) 対策の内容と結果
回転胴底部部品について、表面処理方法の変更では良好な結果が得られなかったが、構造の変更により応力腐食割れの発生を防止できる見通しを得た。

4.ウラン濃縮技術開発センターの概要
(1) 設立目的
ウラン濃縮技術開発に必要な専門技術者を集結して開発体制の一元化をはかり、本年12月に完成予定の研究開発棟を活用して、新型遠心機の開発を強力に推進する。

(2) 組織と要員
  • センター長、センター長代理のもとに、以下のグループ及び課を設け、研究・開発を行う。
    管理グループ、エンジニアリンググループ、構造設計グループ、分離流動グループ、材料開発グループ、試験課
  • 核燃料サイクル開発機構、原燃マシナリーおよび日本原燃から、濃縮に関する専門技術者を結集する。(開発要員は、約60名)

(3)研究開発棟の概要
  • 所在地 :濃縮・埋設事業所/ウラン濃縮工場敷地内
  • 施設規模:
    @ 主 棟  約69m×約39m
    A 動力棟  約17m×約7m
  • 主要設備:
    @ 試験設備
     カスケード試験設備、連続運転試験設備、単機試験設備、材料試験設備
    A 付帯設備
     UF6取扱設備、所内電気設備、換気空調設備、放射線管理設備、
     管理廃水処理設備、貯蔵設備、分析設備、その他設備
  • 建設の経緯:
    研究開発棟着工  平成10年 8月 
    竣工予定     平成12年12月 

以 上