第59回原子力委員会臨時会議議事録(案)

 

 

1.日 時2000年9月29日(金)10:30〜11:00
2.場 所委員会会議室
3.出席者
  (事務局等)
藤家委員長代理、遠藤委員、木元委員
科学技術庁
原子力局
小中審議官
政策課    板倉補佐
 研究技術課  木村補佐、原田
 核燃料課   坪井課長、芝野
 原子力調査室 伊藤室長、千原補佐、山越、会沢
放射線医学総合研究所
企画室     松本室長
重粒子線治療センター  村田センター長
吉舗専門委員
 4.議 題
(1)重粒子線治療ネットワーク会議の結果について
(2)日本原燃(株)の六ヶ所再処理工場の工事進捗状況について
(3)その他

 5.配布資料
資料1   重粒子線がん治療臨床試験の実施状況
資料2   六ヶ所再処理工場の工事進捗状況について
席上配布  大臣談話

 6.審議事項
(1)重粒子線治療ネットワーク会議の結果について
標記の件について、放射線医学総合研究所重粒子線治療センターの村田センター長より資料1に基づき説明があった。これに対し、
  • すばらしい成果だと思う。なお、重粒子線がん治療臨床試験における照射部位での副作用は非常に少ないとのことであるが、精神的に不安定になる等人間全体として生活に影響を及ぼす副作用はないのか。
     (放射線医学総合研究所)あくまでも局所治療であり、精神面への副作用はない。万一、治療により患者の生活に支障をきたすと考えられる場合には、インフォームドコンセントをしっかりやる必要があるが、今までのところそのような症例はない。
  • 重粒子線がん治療の実用化を図るためには、どのような手続きが必要となるのか。  (放射線医学総合研究所)臨床試験で用いている重粒子線加速器(HIMAC:ハイマック)が、医療機器として認められ、重粒子線治療が高度先進医療として認可される必要がある。医療機器として認められるためには、例えば線量の分布、強度の安定性あるいは装置としての安全性を証明し、また、治療の有効性が従来手法よりも同等かそれ以上である必要がある。臨床試験でのデータを基に厚生省に申請を行い、認可されれば医療用として実用化が可能となる。
  • 厚生省では、審議会などの場で審議が行われることになるのか。
     (放射線医学総合研究所)各種審議会が設けられており、順調に審議が進めば1、2年で認可を得られる。なお、HIMACの場合は、臨床試験以外にも物理実験等に利用しており、重粒子線がん治療への実用化が図られた後も他の目的に利用していきたいと考えている。ただし、医療機器として認可されるとその他への利用に制限を受けるので、医療機器としての認可を受けなくても実用化の認可を得られるよう厚生省に検討を打診しているところである。
  • 現在新たな長期計画を策定しているが、原子力委員会としても放射線の利用は重要な問題として取り組んできている。例えば20年後に、放射線はどのように利用されているかを想定しながら検討を進めていくことも重要であると考えているが、その意味でHIMACは20年後にどのような展開が図れているか想定できるか。  (放射線医学総合研究所)手術ができない場合には、放射線による治療が中心になる。ただし、HIMACは大型で高価な施設であるので、今後は小型化した装置を作り、例えば原子力施設の立地地域等の中核的な地域に設置することができれば、がん治療に対して非常に有効であると考える。また、HIMACは、日本が世界に向けて提供できる技術であると考えている。
  • 装置の開発については、産業界との連携をどのように図っていくかというのも大きな課題である。
  • HIMACを使って有効な成果が見えれば、この分野を志す人材も増えると思うので、今後どのように人材育成を行っていくか検討していくことも必要。
     (放射線医学総合研究所)人材の育成、確保は重要な課題であると認識し、そのための取り組みを開始している。
     (放射線医学総合研究所)現在、世界的には陽子線の利用が主流であり、重粒子線の利用している主な国は、日本とドイツである。放射線医学総合研究所の研究で良い成果が得られれば、重粒子線に注目が集まることになると思う。
等の委員の意見及び質疑応答があった。

(2)日本原燃(株)の六ヶ所再処理工場の工事進捗状況について
標記の件について、原子力調査室より資料2に基づき説明があった。これに対し、
  • 一般の方で、再処理工場の工事を見学にきている人はいるのか。
     (核燃料課)一般の方も随時見学にこられており、また、最近では青森県の商工会が見学の計画をされていると聞いている。
等の質疑応答及び委員の意見があった。

(3)その他について
JCO臨界事故から1年が経ち、科学技術庁長官から出された大臣談話の内容について、政策課より席上配布資料に基づき説明があった。
  • 大臣談話を出された以外に、インタビュー等を受けられているのか。
     (政策課)閣議終了後の記者会見において、JCO臨界事故から1年経ったことに対する質問があり、見解を述べられていた。
等の質疑応答及び委員の意見があった。

以上