第５６回原子力委員会定例会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年９月１９日（火）１０：３０〜１１：３０ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 小中審議官 政策課　板倉補佐、西山 廃棄物政策課　渡辺補佐、澁谷 原子力調査室　伊藤室長、千原補佐、山越、会沢 通商産業省　資源エネルギー庁 長官官房　原子力産業課　安井企画官、貴田 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針及び計画について
（２）平成１３年度原子力関係経費の見積りについて
（３）木元委員の海外出張報告について
（４）その他

５．配布資料

資料１−１	特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針について
資料１−２	特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画について
資料２	平成１３年度原子力関係経費の見積りについて（案）
資料３	木元原子力委員の海外出張報告について
資料４	第５５回原子力委員会定例会議議事録（案）

６．審議事項 （１）特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針及び計画について

　標記の件について、通商産業省原子力産業課より資料１−１、１−２に基づき説明があった。これに対し、

国、原子力発電環境整備機構、廃棄物発生者である発電用原子炉設置者の責任及び役割については、明確に記載されていると思うが、最終処分場立地地域の住民の理解を得るための具体的な方法、あるいは電気使用者の消費者としての責任について触れた記載はあるのか。
（通商産業省）資料１−１の基本方針の中で、原子力発電の便益を受ける電力消費者一般が、特定放射性廃棄物の最終処分の問題について理解を深めることが重要であると記載されている。
パブリックコメントでは、消費者の責任について言及したコメントはなかったのか。
（通商産業省）特にその点を強調したコメントはなかったが、教育を通して理解を深めることが重要とするコメントがあった。
特定放射性廃棄物処分の問題については、原子力委員会としても当初からその重要性を認識し、平成９年には高レベル放射性廃棄物処分懇談会、原子力バックエンド対策専門部会を設置して調査、審議を行ってきた。その結果、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が成立し、それに基づく基本計画の整備が進められているところであり、これらは関係者の努力と多くの国民の理解の結果であると思う。なお、本件は重要な問題であるので引き続き検討したい。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（２）平成１３年度原子力関係経費の見積りについて

　標記の件について、政策課より資料２に基づき説明があった。これに対し、

見積りについてはこれまでずいぶん説明を受けてきたが、研究内容とそれに要する費用の関係を具体的に把握しきれない感が若干ある。
（政策課）今後とも効果的な見積りの在り方について、考えていきたい。
昨年度の効果が見える形のものが望ましいと思う。
今回の予算見積りでは、２つのポイントがあったと思う。一つはジェー・シー・オーのウラン加工工場臨界事故の結果がどう反映されたかということであり、もう一つは、現在新たな長期計画を策定している段階で、見積りと新たな長期計画の整合をいかに図るかということであった。前者については、この案の冒頭で触れられており、また、後者についてもよく整合が図れていると思う。
本件についても、重要な内容であるので引き続き検討したい。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（３）木元委員の海外出張報告について

　標記の件について、廃棄物政策課より資料３に基づき説明があった。これに対し、

廃棄物隔離パイロットプラン(ＷＩＰＰ)の視察では、関係者の方より個人的な見解としながらも、ＷＩＰＰは当初から高レベル放射性廃棄物を処分するために作られた施設であり、万一、ユッカマウンテンの処分場建設がうまくいかず政策変更があった場合には、いつでも高レベル放射性廃棄物を受け入れる体制が整っているとの話を伺った。
米国では軍事利用で発生した廃棄物を処分する必要があり、周辺住民からも大きな抵抗はなかったとのことだった。
アルゴンヌウェスト研究所は新しい世代の原子炉の研究といった平和利用目的の研究を行っており、関係者からは、日本との協力関係の強化に期待する発言が多く出された。
原子力エネルギー協会(ＮＥＩ)側との会談では、メディアに対する取組みについて説明を受けた。ＮＥＩでは、第三者機関として原子力がどういった分野にどのような形で関与しているのかについてメディアに説明するためのマニュアルブックを作成しており、日本でも非常に参考になると感じた。
ＮＥＩのメディアに対応する者は、ベストメッセージを伝えるためにメディアトレーニングを受け、大きな効果を上げているとのことであり、この点も日本としては非常に参考にすべきだと感じた。
また、政府と地元のコミュニケーションに関する議論では、原子力施設の立地または増設において地元議員及び住民が同様の施設を見学する際には、地元が費用を負担しており、非常にクリーンであるということを強調していた。
さらに、米国エネルギー省（ＤＯＥ）との話し合いでは、米国の原子力政策については、原子力発電所の新規建設あるいは高速増殖炉の開発計画はないとのことであったが、米国では、原子力発電所の稼働率が高く、また、寿命延長等の措置により現状ではその必要性が無いためであるとの説明があった。
原子力規制委員会（ＮＲＣ）との会談では、ＮＲＣの巨大化に伴う課題について質問したところ、明確な否定はなされなかったものの、ＮＲＣは、原子力発電に関する安全規制をしっかり行うことで、国民に安心してもらう役割を担っているとの発言があった。
原子力に関する学校教育については、教育現場での特別な活動は行っていないとのことであった。
女性に対するＰＡの問題については、女性に限定したＰＡは効果的でなく、むしろ女性に参加して欲しいイベントでも、例えば「女性と放射線」といったようにタイトルで表現する等の工夫により興味を持ってもらい、参加自体は女性に限定しない方がよいのではないかという考えに対し、賛同を得た。

　等の委員の説明及び意見があった。

（３）議事録の確認

　事務局作成の資料４第５５回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。