第５２回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年８月２５日（金）１０：３０〜１２：００ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 小中審議官 政策課　　　　西山 動力炉開発課　和田課長、小山 研究技術課　　木村補佐 廃棄物政策課　青木企画官、佐々木、松本 原子力調査室　伊藤室長、千原補佐、山越、北澤、会沢 日本原子力研究所　齋藤副理事長、佐藤理事、数土企画室長、 杉本調査役 核燃料サイクル開発機構　都甲理事長、竹内副理事長、相澤理事、 中島企画部長、大後事業計画部長、 持地総括グループリーダー、向敦賀技術企画部長 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）平成１３年度原子力関係ヒアリングについて（日本原子力研究所・核燃料サイクル開発機構）
（２）国際ワークショップ−我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分における技術的信頼性について−の開催結果について
（３）その他

５．配布資料

資料１−１	原子力委員会への平成１３年度予算概算要求説明時の原子力委員会からの質問に対する回答
資料１−２	平成１３年度予算概算要求ヒアリングにおける宿題事項について（回答）
資料２	国際ワークショップ−我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分における技術的信頼性について−の開催結果について
資料３−１	第４９回原子力委員会臨時会議議事録（案）
資料３−２	第５０回原子力委員会定例会議議事録（案）
資料３−３	第５１回原子力委員会定例会議議事録（案）

６．審議事項 （１）平成１３年度原子力関係ヒアリング（日本原子力研究所）について

　平成１３年度予算概算要求に関連し、研究項目の一つである社会技術総合研究システム研究の具体的な推進方針について、日本原子力研究所より資料１−１に基づき説明があった。これに対し、

研究の進め方について、資料ではいろいろな言葉が並べられているが具体的な中身が見えない。
日本原子力研究所として、研究の領域をある特定の分野に絞って進めるべきではないか。例えば、核融合分野の研究を進める一方で、核分裂に関する分野をどうしていくのかという課題もある。そのような状況の中で、何故周辺分野である本研究を行うのか。
厳しい財政事情の下、社会的に意味のある目標の明確化が求められている中で、あえて本研究を行う必然性は何か。
（日本原子力研究所）今まで安全の問題は工学的手法で対処してきたが、そこに人文学的手法や自然科学的手法等いろいろな分野を投入し、問題の解決に取り組もうとすることが本研究のポイントである。
ヒューマンファクターは人文なのか、社会なのか、技術なのかということは、昔から議論されてきたことである。そういった流れの中で、この社会技術に関する研究をどう位置付けるかということが重要である。
技術論だけではすまないということはこれまでの議論で明確になっているが、この研究を行うことの新しさ、あるいは何が期待できるのかが見えてこない。一方で、まだ仕事始めの段階であることも十分理解している。
トップダウンストラクチャーの場合、仕事が細分化されるので、成果をどう積み上げていくかという手法なしではうまくいかないが、本研究ではその手法が明確になっていない。
（日本原子力研究所）例えばジェー・シー・オー事故を考えた場合、なぜ規則を破るようなことをしたのか、また、会社として何ができたのか、あるいはあのようなことが起きないようにするためには社会全体として何が必要なのか等をつき詰めつつ、人文・社会科学等の異分野の研究者の方々と協力してその解決に取り組むことは重要であると考える。
その場合大事なのは解決法が出てきた時に、それが正しいということを誰が判断するかということ。
ジェー・シー・オー事故に関して言えば、新聞、テレビなどでも原因について分析がされている。そのような中で、どういった問題意識で何をするかについて集約した上で、研究のポイントを絞り込むというのであれば分かり易い。
研究の中身について、もう少し具体化するのはいつ頃になるのか。
（日本原子力研究所）科学技術庁の「社会技術の研究開発の進め方に関する研究会」において、８月末に基本的考え方が示される予定だが、具体的な内容については年内の予定である。なお、あくまで候補課題としての位置付けであるが、中心となる先生と既にある程度具体化の作業は進んでいる。
本研究については、検討が始まったばかりですぐに結論が見えるものではないと思うので、時期を見てまた説明して欲しい。
例えば、こういった研究を積極的にやりたい人がいた場合に、その人が中心となってプロジェクトを進められるようなスター的な存在が必要。
（小中審議官）資料中のシステム長がそれに該当すると思うが、システム長が決まれば、研究の内容、方向性もさらに見えてくると思う。もともとこの研究は科学技術庁において社会技術に関する研究の必要性を認識し、日本原子力研究所に研究の推進を依頼した経緯があり、まさにトップダウン型研究とも言える。もう少し時間をかけて詳細を詰めて行きたい。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（２）平成１３年度原子力関係ヒアリング（核燃料サイクル開発機構）について

　平成１３年度予算概算要求に関連し、「もんじゅ」の早期再開に関する今後の計画及び高速増殖炉サイクルの研究開発について、核燃料サイクル開発機構より資料１−２に基づき説明があった。これに対し、

もんじゅの運転再開に向けた理解促進活動がいろいろやられているが、地元反対派の方との交流については、どのような頻度、及び形式で行われているのか。
（核燃料サイクル開発機構）定期的に実施しているものはないが、共同でシンポジウムを開催するといった提案をしている。
海外のＰＡ活動をみると、定期的な反対派とのミーティングの継続により、お互いの立場は違うが、妥協点、接点が見えてくることもある。
（核燃料サイクル開発機構）今のところ組織的には、そのような会合は実施していないが、個人べースでの問い合わせ等は頻繁にあり、問い合わせに対する回答はその都度行っている。
ＦＢＲサイクル開発戦略調査研究をオールジャパン体制で推進するとの説明があったが、技術移転を受ける側である外部の人を中心的な立場に据えるという観点も大事だと思う。
（核燃料サイクル開発機構）システム技術の統括・評価を行う部署では、過半数が電力あるいは電力中央研究所等外部の方で構成されている。また、その他の設計部署についても、グループリーダーになって頂くなど対等な立場で活動頂いている。さらに、予算の面でも、核燃料サイクル開発機構の予算と電力共同研究予算を効果的に使用するよう、重複した仕事にならないよう進めている。
もんじゅのナトリウム漏洩事故の原因解明は終了したのか。
（核燃料サイクル開発機構）ナトリウム漏洩のメカニズム自体は、科学技術的にみて完全にクリアになっている。
世界的にみてもナトリウム漏洩事故は１００回以上起きており、その中でなぜもんじゅを４年以上も止めねばならなかったのか。また、何故あのような事故を防止できなかったのかというような点について、幅広い観点からの改革が必要であり、このような経験を、今後、研究開発を進める上で活かして欲しい。
（核燃料サイクル開発機構）ナトリウム技術あるいはプラントのシステムの検証等は、規模が大きくなるといろいろな問題が起こるものである。その意味でも、運転をすることでそういった課題を一つ一つ解決していくことがエンジニアリングであると考える。
原子力委員会としては、核燃料サイクル開発機構が発足する際、開発集団としての役割を期待した。それに関連し、ＦＢＲサイクル開発戦略調査研究における開発体制において、プロジェクトチームは理事長直轄の組織なのか。
（核燃料サイクル開発機構）理事長直轄の組織である。
ＦＢＲという炉が看板になっているが、本来は資源である核燃料をどのように使っていくのかが重要であり、それによって炉型が決まるという視点も重要。
（核燃料サイクル開発機構）長期計画策定会議の場でも、ＦＢＲかＦＲかという議論が多くなされた。核燃料サイクル開発機構としても、中長期利用計画について、将来ＦＲのニーズが大きくなった場合にも対応できるよう今後検討していく予定である。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（３）国際ワークショップ−我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分における技術的信頼性について−の開催結果について

　標記の件について、廃棄物政策課より資料２に基づき説明があった。これに対し、

バックエンドの議論を始めた当初は、日本は他の国に比べてかなり遅れたところからのスタートであったが、このシンポジウムを通じて、現在では世界の水準に追いついたという感じはあったか。
（廃棄物政策課）パネリストとして海外から出席頂いた方からも、高レベル放射性廃棄物地層処分における技術的信頼性の第２次取りまとめについては、高く評価して頂けたと考えている。
関係者の方には極力参加頂くことが重要だと考えているが、今回のワークショップには、どのような方に参加頂けたのか。
（廃棄物政策課）地質コンサルタント、建設会社、電気事業者、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所等、関係者の参加が多かった。一方、関係の学会に案内を出した結果、大学の先生の出席も見られた。
専門家に集まってもらい、技術的な中身を確認してもらうのもねらいの一つだと思うが、傍聴した第三者の方がどのような印象を持ったか把握する意味で、アンケート用紙を準備し、出口調査を行うのも一案。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（４）議事録の確認

　事務局作成の資料３−１の第４９回原子力委員会臨時会議議事録（案）、資料３−２の第５０回原子力委員会定例会議議事録（案）及び資料３−３の第５１回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。