第４９回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年８月１１日（金）１０：３０〜１２：００ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 政策課藤田課長、板倉 研究技術課工藤課長 原子力調査室　伊藤室長、千原、山越、北澤、鯉渕 外務省 総合外交政策局 科学原子力課加藤課長、中村 日本原子力研究所 高崎研究所渡辺所長、柳澤主任研究員 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて（外務省（内局）文部科学省（内局））
（２）我が国における放射線利用の経済規模について
（３）その他

５．配布資料

資料１-1	平成１３年度外務省原子力関係予算の概要
資料１-2	平成１３年度文部科学省原子力関係予算（内局分）の概要
資料２	我が国における放射線利用の経済規模
資料３	第４８回原子力委員会定例会議議事録（案）

６．審議事項 （１）平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて（外務省（内局）文部科学省（内局））

　標記の件について、外務省より資料１-1に基づき説明があった。これに対し、

将来的にはアジア太平洋経済協力フォーラムとＲＣＡ（地域協力協定）の相互乗り入れを考えて欲しい。
国際機関に対する日本の拠出率は２０〜２５％だが、これらの機関を必ずしも有効に使えていない。原子力関係者の間でこれらの機関の有効な使い道を考えていかなければならない。
ＫＥＤＯ（朝鮮半島エネルギー開発機構）について、ＩＡＥＡ（国際原子力機関）等マルチの枠組みを通じた原子力損害賠償のセミナーを立ち上げてはどうか。
拠出金がどのように使われているかが見えにくい。どのような成果が得られたのか、見えるようにして欲しい。
（外務省）ＲＣＡについては、フォーラムとの有機的な連携の必要性を痛感しており、これを念頭に入れて進めていきたい。ＩＡＥＡについては、日本は高い割合で分担金を拠出しており、いかにＩＡＥＡを活用するかについては常に問題意識を持っている。今後とも原子力委員会にご相談しながらとり進めて参りたい。ＫＥＤＯについては、原子力損害賠償を含め安全問題にどのように対処していくか、大きな問題となっている。朝鮮人民民主主義共和国の安全部局にどういった支援ができるか、ＫＥＤＯとともに考えていくべき問題と捉えている。拠出金については厳しい目で見られていると認識しており、出先の代表部も含めてこれまで以上の注意をもってフォローしていく。
費用対効果を特に考慮すべきである。常にフォローアップをしていく必要がある。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。
　続いて、標記の件について、政策課より資料１-2に基づき説明があった。これに対し、

新しい項目やスクラップする項目はあるか。
（政策課）新しい項目については関係省庁と議論しているところであり、調整でき出来次第ご報告したい。スクラップということではないが、事業計画上終了したものは資料の１３年度予算には計上していない。
省庁再編により効率的に予算を運用できる部分もあると思うが、それについて関係省庁との調整状況は。
（政策課）文部省、通商産業省と現在調整中である。
科学技術庁と文部省の省庁再編に伴う効果を期待していたが。
（政策課）例えば大強度陽子加速器施設計画のように、統合が進んでいるものもある。予算の会計上の区分はあるが、実際の計画は一体的に進むよう、政策的には進めていきたい。
安全問題については、関係省庁の調整はどのようになっているか。
（政策課）安全研究については、原子力安全委員会の原子力施設等安全研究年次計画に基づいて互いに調整している。
双方が互いに予算を取って、研究を共同で進めていくことはあるか。
（政策課）予算を誰が負担するかという問題はあるが、限られた予算の中で相談しつつ研究を進めている。
政策調整は原子力委員会の仕事であり、その中で予算の話が出ている。新省庁が発足していない段階での予算であり、全てが整理されているわけではない。むしろ、政策調整する原子力委員会としてはどう審議していくべきかが大切である。
例えば、原子力に対する理解の増進などは、経済産業省と一緒になってやらないとできない。
（政策課）昨年もご指摘頂いて、科学技術庁と通商産業省との間で、広報事業は効率的に行うよう連携を進めているが、所管の研究所等の広報の連携までには至っていない状況である。
内局と外との関係を整理する必要もあるが、ソフトは全部入っていると考えてよいのか。
（政策課）一般会計については行政庁が職務を行うための経費あるいは国立研究所の研究費の一括計上分であり、特別会計については様々な技術開発や立地対策のための経費であり、一般会計とは若干色合いが異なる。
核燃料サイクル開発機構補助金・出資金は幾らぐらいか。
（政策課）昨年は約一千億円であった。「もんじゅ」、再処理、高レベル放射性廃棄物処理処分研究にかかる経費である。
各々の予算審議では全貌がなかなか見えてこない。今回は長計との対応の仕方を見ながら予算審議ができるよう、お願いしているところである。今日の資料では、その点についてある程度は示されている。
経済産業省との間では、電源特会の総額の配分についてはどのような原則で話し合いがなされているか。
（政策課）現状では調整中であるが、硬直的にならないように、どのような予算の使い方をすれば最も効果的かといった観点から調整を行っている。
行政庁が予算の編成方針を考える時にまず一度報告してもらい、重点事項等を審議する機会が必要ではないか。
去年の結果、成果について報告があると、予算の数字も見やすい。
予算の編成方針が大事である。個別の数字になってしまうと、それが大いか少ないか、原子力委員会としての態度が出せない。
今後の進め方について相談したい。いずれにしても今年は過渡期であり、もう少し具体化した段階でもう一度審議することとしている。
今日の審議では、予算全体に対して内局がどのように対応しているのかが見えて来ない。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（２）我が国における放射線利用の経済規模について

　標記の件について、研究技術課より資料２に基づき説明があった。これに対し、

放射線育種をしたイネの銘柄には、どのようなものがあるか。
（日本原子力研究所）いろいろあるが、その中でも９３７億円と額が大きいのはムツホマレである。一度品種改良すると、子・孫には放射線はいらないが、それも間接効果として含めている。直接効果は２品種だけで、残りの１５品種は間接効果である。
このようなことは、あまり言われていない。農家では言っているのか。
（日本原子力研究所）関係者は知っているが、あまり言われていない。
敢えて言う必要はないと思うが、放射線を利用したものが日常的にあるということに対する理解が、あまりにも無さ過ぎる。何らかの形で公にしていきたい。
馬鈴薯の発芽防止は、士幌農協からの出荷分だけか。青森からも士幌農協に委託しているのではないか。
（日本原子力研究所）出口は士幌農協なので、士幌農協の年間出荷量×単価で算出した。
品種改良したということは、お客様に対して出し難いし、お客様にとってもメリットはない。メリットに関する調査はないか。
（日本原子力研究所）それは難しい。例えば寒さに強い性質を放射線で獲得しただけでは商品にならず、それに「おいしさ」を掛け合わせていくと、寒さに強いという特徴はだんだん薄まっていき、商品化される時は１／４〜１／８になっている。ヨーロッパでは、放射線による麦の品種改良について宣伝している。
セールスポイント上、意味があれば、宣伝できるということか。
（日本原子力研究所）寒さに強い性質が放射線で得られたということは、きちんと言う必要はあると思う。
ヨーロッパでは、それが言われており、それが強調されているのか。
出荷する時に表示されているのか、パンフレットだけか。
（日本原子力研究所）パンフレットだけで、出荷されたものについては表示されていない。
遺伝子組換え食品と同じで、表示しろ、という考え方もある。
（日本原子力研究所）表示してもいいとは思う。
受け手の側が放射線に対して正しい知識を持っていれば何の問題もない。正しい知識が先なのか、表示が先なのか。
（日本原子力研究所）表示をして、それが消費者にとって十分メリットがあるということを理解してもらった方が良い。それを怖がっていると、いつまで経っても理解されない。
（日本原子力研究所）士幌農協の馬鈴薯を一番最初に出荷する時、広島は買わないだろうと思われていたが、いざ出荷してみたら、一番早くたくさん買ってくれたのは広島の生協だった。そういう怖れは単なる怖れであって、きちんと説明して、良いものだと理解されれば、そういう怖れは意味がないのではないか。
経済規模とは、放射線を使った最終製品の金額という理解でよいか。半導体の全体の価格の中で、放射線利用の部分はそれほど大きくないはずである。
（日本原子力研究所）経済学者の意見では、放射線を少しでも使うことによって出来た製品の売り上げであれば全部入れていい、とのことであった。
放射線を使わないで出来た製品と、使って出来た製品とを完全に分ければ、比較できる。
（日本原子力研究所）放射線を使わないで製造した半導体は無い。
タイヤの場合はどうか。
（日本原子力研究所）日本では、放射線を使わないタイヤを製造しているのはミシュラン１社であり、残り５社は放射線を使ったラジアルタイヤを製造している。公開データで評価しているが、全工程中、放射線がどの位使われているかといった詳細については分からない。
各々の業界団体では、放射線を使っていても、それを隠したいのか。
（日本原子力研究所）全体的には農業利用等協力的なところが多かった。
フロッピーやおしめはどこに分類されるか。
（日本原子力研究所）フロッピーは、工業利用の中の放射線加工における磁性材料である。おしめは、放射線計測機器として厚さ計を使っており、それを使った製品分類になっている。おしめを含んだ紙や鉄鋼板は計上しないこととした。この項目は全体が過小評価になっている。
（研究技術課）モノの加工に放射線を使った場合は全部計上し、検査に使った場合は計上しないという考え方を採用している。
この調査に参加した人を、別途教えて欲しい。
国際的な統計はあるのか。
（日本原子力研究所）前例として、１９９７年に米国が調査した例はあるが、我々とは考え方が異なっている。今度の予算で、米国の放射線を利用した経済規模を調査する。
経済規模というよりは、市場の規模を表しているのではないか。
（日本原子力研究所）放射線を利用した製品の売上高に近い。
公開した時によく分かるよう、加工の仕方を考えて欲しい。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（３）その他

　事務局作成の資料３第４８回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。