原子力研究開発利用長期計画案の概要

 

 

 

平成12年8月


第1部 原子力の現状と今後

20世紀の科学技術
 ○20世紀における科学技術の飛躍的な発展は、人類社会に地球環境問題等様々な問題を投げかけたが、他方でこの解決のためには科学技術の効果的な利用が必要
 ○今後は、科学技術がこれらの問題解決の要請にいかに応えていけるか、科学技術が社会に受容されるためにはどうすべきかとの視点が重要
原子力科学技術の発達
 ○原子力エネルギーの利用は軍事利用から始まった。しかし、エネルギー供給面で重要な役割を果たすとともに、医療、産業等の分野における放射線利用で、20世紀の人類に貢献
 ○他方、核拡散、安全性、放射性廃棄物処分の問題が生じており、今後、これらの諸問題
我が国の原子力研究開発利用の現状と今後
 ○原子力発電:事故、放射性廃棄物処分問題、欧米諸国における原子力開発の停滞等を考えると、原子力発電に不安や懸念を抱く人も多い。しかし、地球環境問題や我が国の地理的・資源的条件等を考慮した時、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用等を最大限に推進するとともに、エネルギーの安定供給、二酸化炭素排出量の削減に寄与している原子力発電を引き続き基幹電源に位置づけ最大限に活用していくことが合理的
 ○核燃料サイクル:核燃料サイクル技術は、安定供給に優れている等の原子力発電の特性をウラン資源の節約等により一層改善し、人類が原子力発電をエネルギーとしてより長く利用できるようにする可能性を有する技術。我が国にとって、高速増殖炉サイクル技術はウランの利用効率の飛躍的な向上、環境負荷の低減の観点から、不透明な将来に備えた将来のエネルギーの有力な選択肢として位置づけ
 ○放射線利用:医療、工業、農業等で広く利用され、国民生活の向上等に貢献
 ○原子力科学技術:基礎科学分野における新たな知見をもたらす一方、ライフサイエンスや物質・材料等の分野における最先端の研究手段を提供する等の可能性を有しており、研究開発に積極的に取組むことが重要
原子力政策を進めるに当たって
 ○国民・社会:立地地域住民をはじめとする国民の理解と協力が不可欠。このため、臨界事故の教訓を踏まえ、関係者一人一人が自覚と責任感をもって業務に当たる等の安全確保・防災の一層の強化、積極的な情報公開等による国民の信頼の確保、事業者と立地地域社会との共生が重要
 ○国際社会 :我が国の平和利用堅持の理念・体制の世界への発信とともに、プルトニウム利用に当たっては、国際社会の理解と信頼を得るための努力、利用目的のない余剰プルトニウムは持たない原則を踏まえ、透明性を向上させることが重要
21世紀に向けて
 ○原子力は、人類に対して様々な貢献を重ねてきたが、他方で軍事利用や事故等で人類の生存を脅かすことがあった。21世紀に人類の更なる英知をもって社会が受容できるよう安全に制御、管理しつつ、その多様な可能性を最大限引き出し、成果を将来の世代に引き継いでいくことが、現世代の責務

 

第2部 原子力研究開発利用の将来展開

●原子力研究開発利用に当たって
国は、原子力研究開発利用の基本方針の明確化、安全規制の実施、平和利用の担保、危機管理体制の整備、基礎的・基盤的研究開発の推進等とともに、状況に応じて民間の誘導等を行い、他方、民間事業者は、民間事業であることのメリットをいかしつつ、原子力研究開発利用への積極的な取組が期待される。
特に研究開発の推進にあたっては、競争的研究環境の下で独創性豊かな研究開発の振興を図るとともに、多様な選択肢と柔軟性をもって研究開発を進めること、透明性ある研究評価が重要
●国民・社会と原子力の調和
国の厳格な安全規制の実施、事業者の自主保安活動による安全確保の実効性の向上と安全最優先の徹底、原子力災害対策特別措置法の実効性の確保が必要。また適時的確かつ信頼性の高い情報公開と分かりやすく受け手側の多様なニーズを踏まえた情報提供、「総合的な学習の時間」等を活用した原子力教育、事業者と地域社会がともに発展し共存共栄する「共生」のための取組が必要
●原子力発電と核燃料サイクル
・原子力発電:引き続き基幹電源に位置づけ、最大限活用する
・核燃料サイクル:我が国は、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを基本とする
 −天然ウラン:適切な量の備蓄と、長期購入契約を軸とした天然ウランの確保を図ることが重要
 −ウラン濃縮:六ヶ所ウラン濃縮工場については、より経済性の高い遠心分離機を開発導入し、生産能力を着実に増強しつつ、安定したプラント運転の維持及び経済性の向上が期待される
 −プルサーマル:ウラン資源の有効利用を図り、燃料供給の安定性向上の観点等からプルサーマルを計画的かつ着実に推進することが期待される
 −MOX燃料加工:六ヶ所再処理工場の建設、運転と歩調を合わせた整備とともに、早期に産業として定着するよう最善の努力が期待される
 −再処理・中間貯蔵:六ヶ所再処理工場の着実な建設、運転を期待。六ヶ所再処理工場に続く再処理工場は、2010年頃から検討を開始することが適当。中間貯蔵は核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要であり、事業の着実な実現が期待される。
・放射性廃棄物:処分方法に応じて区分し、処分に向けた具体的な対応を図る。高レベル放射性廃棄物については、30〜50年程度貯蔵を行い、その後地層処分する。廃棄物については発生量低減や有効利用が必要
・高速増殖炉:「もんじゅ」は高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置付け、早期に運転を再開する。実用化への開発計画は、実用化時期を含め柔軟に対応する
●原子力科学技術
推進分野:加速器、ITER等の核融合、高い経済性、安全性等を有する革新的な原子炉、基礎・基盤研究
ITERの推進にあたってはITER計画懇談会の評価の結果を踏まえることが必要
基礎と応用の連携強化、研究活動のネットワーク化、適時適切な研究評価の実施等が重要
●放射線利用
今後も医療(診断・治療)、工業(新材料創製等)・農業(食品照射等)等のより一層幅広い分野で活用できるよう、放射線利用の普及を図っていくことが重要
低線量放射線の人体影響の研究、高線量被ばくについての治療研究を推進することが必要
●国際社会と原子力の調和
我が国の原子力平和利用技術と人的能力をもって、余剰兵器プルトニウム処分への協力等、核不拡散体制の維持・強化に主体的に取り組む
原子力の安全分野におけるリーダーシップの発揮、放射線被ばく医療分野での国際協力等が重要
●推進基盤
大学は、関係諸機関と連携しつつ、多様かつ有能な人材の養成に取り組むとともに、原子力産業界は、技術力及び製造力の維持・継承、発展を図るための努力が期待される
市場構造の変化の中、原子力供給産業は、国際展開、業界の再編成等を見据えて、経営体質
※)本資料は、長期計画案の内容について事務局である科学技術庁において概要としてまとめたものです。

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〜ご意見募集と「ご意見をきく会」のお知らせ〜

 原子力委員会は、21世紀に向けての原子力の全体像と長期展望を示す「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(長期計画)の案に対して、広く皆様からご意見をいただき、長期計画策定会議での審議に反映させていただくこととなりました。また、皆様のご意見を直接お聞かせいただく機会として、「ご意見をきく会」を9月27日(水)(東京)、10月2日(月)(青森)、10月7日(土)(福井)の日程で開催いたします。「ご意見をきく会」では、意見発表、一般傍聴を希望される方々を募集しています。募集人数は、各回ともに意見発表者5名程度、一般傍聴者200名程度です。
 是非、多数の皆様からご応募いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

原 子 力 委 員 会
長期計画策定会議

〈問い合わせ先〉
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 三菱総合研究所ビルヂング内 「長期計画」係
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