遠藤原子力委員の海外出張報告について

平成12年8月15日

1.出張先
タイ(バンコク)

2.日程
8月 6日(日)成田→バンコク
8月 7日(月)アーティット科学技術環境大臣との会談
第1回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)についてのタイ側準備運営委員会との協議
8月 8日(火)ウィラワットタイ発電公社(EGAT)総裁との会談
サーウィット首相府大臣(エネルギー政策担当)との会談
トライロン副首相(原子力委員長兼務)との会談
8月 9日(水)タイ側準備運営委員会との協議
バンコク発
8月10日(木)成田着

2.結果
(1)概要
 本年11月に、原子力委員会とタイ科学技術環境省の共催での開催を予定している第1回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の開催内容に関して、アーティット科学技術環境大臣と会談し、タイ側準備運営委員会と協議した。
 尚、この機会を利用して、エネルギー政策、原子力政策に責任を有する要人と会談し、今後の原子力利用、原子力協力に関する意見交換等を行った。

(2)アーティット科学技術環境大臣との会談(8月7日)
 第1回FNCAの共催者であるタイ科学技術環境省のアーティット大臣と会談し、第1回FNCAに期待する点、開催内容等につき、意見交換を行った。
 タイ科学技術環境省としても、原子力(放射線利用)に対する一般国民の信頼の回復は重要であるという認識であり、第1回FNCAを良い機会と捉えている。
 従来のアジア地域原子力協力国際会議で行っていたカントリー・ペーパーの発表に加え、参加国の共通関心事項について閣僚間で自由に討議をしようという意向を提示したところ、先方もこれに同意。また、3点程度のトピックスを設定したいという日本側からの提案に対し、大臣自身からは「原子力の安全性」をトピックスとして強く打ち出したいという意向が示された。これに対し、日本側意見として、「原子力利用の推進」、「地域原子力協力の推進」もFNCAで打ち出すべきと述べた。この結果、上記3点を第1回FNCAの大臣会合の討議トピックスとする方向で、プログラムを詰めていくこととした。

(3)タイ側準備運営委員会との協議(8月7日、9日)
 8月7日の協議では、タイ科学技術環境省サンタッド事務次官と遠藤委員の共同議長により、日本側代表団とタイ側準備運営委員会の協議が行われた。3月に開催された第1回FNCAコーディネーター会合で提示されたプログラム原案を下敷きとし、アーティット大臣と遠藤委員の会談内容を踏まえて、事務レベルでプログラムの詳細を詰めることで合意した。
 8月9日の協議では、遠藤委員の議長により、第1回FNCAプログラムの最終案の取りまとめを行った。8日に行われた事務レベル協議の内容を踏まえ、基調テーマ、大臣会合での討議トピックスを含めて、プログラム最終案に両主催国が合意した。
 大臣会合における各国からの発表の基調テーマは、「アジアにおける将来の原子力利用とその安全性」、大臣会合における円卓討議トピックスは、「原子力利用の推進」、「原子力安全」、「参加国間における原子力協力の推進」の3トピックスとなった。円卓討議では、各トピックスに対して1時間を割り当てることとした。
 この円卓討議では、活発な意見交換をするために、討議の進行役を務めるモデレータの他、各トピックス毎に問題点の提起者(Introductory Speaker)を設けることとした。これらの決定については、十分、意を用いる必要がある。

(4)エネルギー政策、原子力政策関連要人との意見交換(8月8日)
 8月8日には、タイにおける電力供給責任を有するタイ発電公社(EGAT)のウィラワット総裁、エネルギー政策を担当するサーウィット首相府大臣、原子力委員長を兼務するトライロン副首相と会談した。
 タイの電力供給計画で、当面、エネルギー供給の中心となるのは、国内及び近隣諸国で豊富に産出される天然ガスであり、50〜60%のシェアとなっている。
 タイでは、非政府組織(NGO)による活動が盛んであり、新たな電源開発、特にダムや石炭火力は厳しい反対運動に合うことが通常である。これに、本年、バンコク近郊で発生したコバルト−60使用済線源による被ばく事故の影響もあり、現在は、原子力発電を一般国民が受け入れるような状況でないというのが共通認識である。しかし、一般国民や、学校教師などを対象とした原子力広報活動も地道に続けられており、将来のオプションとしての原子力発電は放棄されていない。
 一方で、農業、医学などの分野での放射線利用すなわち非発電利用は盛んに行われており、一般国民も一定の理解を示している。当面、タイとの原子力協力は、非発電分野が中心となるであろうという認識で一致した。
 全体として、タイにおける原子力発電導入は、まだ、先のこととの印象を受けた。

以 上


第1回アジア原子力協力フォーラム 日本−タイ合同準備会議 日本側代表団

 

遠藤 哲也  原子力委員
  
町  末男  アジア原子力協力フォーラム コーディネーター
   (社)日本原子力産業会議 常務理事
  
中原  徹  科学技術庁 原子力局 国際協力・保障措置課長
  
浜崎  学  科学技術庁 原子力局 国際協力・保障措置課 調査員
  
瀬口 忠男  日本原子力研究所 高崎研究所 材料開発部長
  
中杉 秀夫  (社)日本原子力産業会議 アジア協力センター
   コーディネーターオフィス・グループ リーダー
  
武井  毅  (社)日本原子力産業会議 アジア協力センター
   コーディネーターオフィスグループ 主任