第４８回原子力委員会定例会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年８月８日（火）１０：３０〜１２：００ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 政策課　板倉課長補佐、藤井 動力炉開発課　和田課長、小山 通商産業省　資源エネルギー庁 長官官房原子力産業課　星野課長補佐、結城、三友 長官官房総務課　原子力安全・保安院設立準備室 山田課長補佐 公益事業部 開発課　春日原課長補佐、吉野 原子力発電課　中村調査技術班長、早川原子力発電専門職 原子力発電安全管理課　坂内技術班長 原子力発電安全企画審査課 古西統括安全審査官、清野上席安全審査官、 山崎上席安全審査官、小沢安全審査官、 牧野審査班長、吉田企画班長、山口 総理府　原子力安全室　斉藤 運輸省　運輸政策局　技術安全課　西 消防庁　特殊災害室　菊池 農林水産省 農産園芸局　植物防疫課　島袋 農林水産技術会議事務局連絡調整課　島川 厚生省 大臣官房厚生科学課　磯貝 医薬安全局　監視指導課　稲葉 核燃料サイクル開発機構　大和理事、川妻 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて（経済産業省（内局）・内閣府・国土交通省・農林水産省・厚生労働省・総務省）
（２）日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更）許可について（一部補正）
（３）北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更並びに１号及び２号使用済燃料の処分の方法の変更）許可について（一部補正）
（４）第２回高速増殖炉に関する日露専門家会合の結果について
（５）その他

５．配布資料

資料１−１	平成１３年度経済産業省原子力関係予算概算要求の概要
資料１−２	平成１３年度各省庁一般会計原子力関係予算概算要求総表（科学技術庁、通商産業省、外務省を除く）
資料２−１	日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更）について
資料２−２	敦賀発電所原子炉設置変更許可申請書（１号原子炉施設の変更）添付書類の一部補正
資料２−３	日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更）の一部補正の概要について
資料３−１	北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更並びに１号及び２号使用済燃料の処分の方法の変更）について
資料３−２	志賀原子力発電所原子炉設置変更許可申請書（１号原子炉施設の変更並びに１号及び２号使用済燃料の処分の方法の変更）添付書類の一部補正
資料３−３	北陸電力株式会社志賀原子力発電所原子炉設置変更許可申請（１号原子炉施設の変更並びに１号及び２号使用済燃料の処分の方法の変更）の一部補正の概要について
資料４	第２回高速増殖炉に関する日露専門家会合の結果について
資料５−１	第４６回原子力委員会定例会議議事録（案）
資料５−２	第４７回原子力委員会臨時会議議事録（案）

６．審議事項 （１）平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて

　平成１３年度の経済産業省に係わる原子力関係予算概算要求の概要について、通商産業省原子力産業課より資料１−１に基づき説明があった。これに対し、

従来、今の段階で予算の概算について説明を受けた場合には、どこが重点化されているか政策目的別予算総括表を見れば推測できたが、今回は行政改革により子細が見えない部分がある。予算の数値が決まらないのは、関係部署と調整中であり、今回は考え方を伺ったものと理解している。
今年度実施してみて効果があったため、次年度も継続して実施することとした項目もあると思うが、反対に不要となった項目はないのか。
（通商産業省）平成１２年度をもって計画が終了する項目はあるが、不要になったから中止するという項目はない。ただし、限られた予算の中で、安全、防災対策の強化を一層進めることにしており、プライオリティの観点から予算を削減せざるを得ないものはある。
新しい技術開発の推進に関連して、提案公募型の制度を採用したとのことであるが、効果はあったのか。
（通商産業省）平成１２年度からの新規制度のため、現在、公募の在り方、仕組みについて検討しているところであり、これから公募を開始する予定である。一方、そういった制度が始まれば、ぜひ参加したいという声があるという話は聞いており、関心は高いと思う。
現在、原子力委員会では長期計画を策定中であるが、本予算概算要求でも、長期計画策定会議で議論してきたところがカバーされていると思う。
これからの原子力をどう見ていくのかが重要である。これまでともすれば、プロジェクト指向で、堅い計画を進めてきた。これは非常に着実性はあったが、同時に独創性や柔軟性のところがいろいろ社会から言われてきた。提案公募型の制度も一種のブレーンストーミングということで、新しい発想を生んでいくよさがあると思う。
新型炉開発が、核燃料サイクル関連の項目に含まれているのは、高速炉実験の占める割合が高いためと考えてよいのか。
（通商産業省）新型炉を高速増殖炉に限定しているわけではない。
広報については、何に重点をおいて広報し、その結果どんな効果があったのかを踏まえ進めてくことが重要。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。
　続いて、内閣府・国土交通省・農林水産省・厚生労働省・総務省に係わる原子力関係予算概算要求の概要について、科学技術庁政策課より資料１−２に基づき説明があった。これに対し、

内閣府において沖縄県におけるウリミバエ侵入防止事業に必要な経費を計上しており、また、農林水産省では奄美大島におけるアリモドキゾウムシ根絶実証防除に必要な経費を計上しているが、どちらか一方に合わせて計上できないのか。
（政策課）沖縄開発庁の役割は内閣府に移行されるが、沖縄に係わる経費は沖縄開発庁に計上されるため、分けて計上されている。
（農林水産省）内閣府に計上されているウリミバエの侵入防止事業及びイモゾウムシの防除については、予算上は内閣府に計上しているが、４月１日付けで農林水産省に移管替えがされており、実質的には農林水産省で実施している。
行政改革後、文部科学省としてはどうなるのか。従来通り原子力委員会は科学技術庁分だけを見ることになるのか。大学の予算を原子力委員会の場で議論する場合、何か不都合があるのか。例えば、長期計画でも分科会において加速器や研究炉を取りあげており、大学関係者も分科会委員として参画している。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（２）日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更）許可について（一部補正）

　平成１１年１０月８日付け平成１１・０２・１２資第２１号をもって通商産業大臣より諮問のあった標記の件について、通商産業省原子力発電安全企画審査課より資料２−２及び２−３に基づき説明があった。これに対し、

有資格者を有効に配置し活用することが重要だと思うが、そのような観点で確認などしているのか。
（通商産業省）現場では、必ず有資格者を必要な箇所に配置するようになっている。なお、現場の作業体制の中に有資格者がいること、また発電所の中でバックアップができるように同じ様な有資格者がいるということを、事業者から聴取して確認している。さらには運転訓練センターを活用するなどいろいろな教育訓練策を講じていることも行政庁として把握している。
原子炉設置変更許可申請書において、枚数の少ない場合などは極力資料を簡素化するという観点も大切。

　等の質疑応答及び委員の意見があり、本件については引き続き審議することとなった。注）本件に係る変更は、社内組織の一部改正により本店及び敦賀発電所の技術者人数等及び原子力関係組織系統図を一部変更するものである。

（３）北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更（１号原子炉施設の変更並びに１号及び２号使用済燃料の処分の方法の変更）許可について（一部補正）

　平成１２年６月２８日付け平成１２・０２・０７資第１５号をもって通商産業大臣より諮問のあった標記の件について、通商産業省原子力発電安全企画審査課より資料３−２及び３−３に基づき説明があった。これに対し、

各電力会社ともいろいろ組織改正を実施していると思うが、全ての電力会社から同様の申請がなされることになるのか。
（通商産業省）現在変更許可申請が審査中である日本原子力発電株式会社と北陸電力株式会社が補正の対象である。
保安規定についても、いろいろ変更されるのか。
（通商産業省）保安規定に関する内容の変更に伴い、電力各社から申請された保安規定を、８月以降審査の上認可していくことになる。従来の保安規定よりも詳細な記載となり、教育訓練などについて強化された内容になる見込みである。

　等の質疑応答及び委員の意見があり、本件については引き続き審議することとなった。注）本件に係る変更は、社内組織の一部改正により、本店原子力部及び志賀原子力発電所の技術者人数等及び原子力関係組織系統図を一部変更するものである。

（４）第２回高速増殖炉に関する日露専門家会合の結果について

　標記の件について、科学技術庁動力炉開発課及び核燃料サイクル開発機構より資料４に基づき説明があった。これに対し、

耐震性の問題に関連して、露国では地震は多いのか。
（核燃料サイクル開発機構）あまり多くはないが、トルコに近い南部の地域では地震があるので、対策がとられている。
露国政府において決定された原子力発展戦略において、大規模な原子力技術を実施するための準備を進めるとあるが、大規模とは具体的に何を言っているのか。
（核燃料サイクル開発機構）露国では最も楽観的な場合の予測として、２０３０年において６０ＧＷｅまで設備容量を増やしたいと考えている。そのために炉の寿命延長などだけでは１５ＧＷｅまで落ち込むとしている。したがって足りない分を新規の原子炉で置き換えていくことになるが、その差を補える規模という趣旨で言っているものと想定される。
原子力発展戦略における燃料の評価において、品位の低い燃料との表現があるが、どのような意味か。
（核燃料サイクル開発機構）資料では通訳が訳した表現を記載しているが、露側に確認したところ、いわゆる鉱石として低品位という意味ではなく、回収ウランや劣化ウランの様なウラン２３８の比率の高いものを用いた燃料のことであった。
露国との協力項目の中に、ＢＮ−６００における核燃料サイクル開発機構が開発した被覆管を用いた照射試験及び照射後試験があるが、もんじゅの利用との関係はどうなっているのか。
（核燃料サイクル開発機構）ＢＮ−６００による照射試験は、もんじゅの高燃焼度化をねらったものである。現在は常陽、フェニックスで照射試験を実施することを考えているが、ＢＮ−６００を使うとかなり照射量を稼ぐことができ、また、ＢＮ−６００は発電炉であるため稼働率が高いこともあり、時間的にも早く高燃焼度を達成できると見込んでいる。
もんじゅを使っての高燃焼度照射試験は可能なのか。
（核燃料サイクル開発機構）もんじゅの運転が再開されればの話であるが、それは可能である。
露国は原子力開発に積極的であり、グリーンピース等による反対についても大きな問題は起きていないとのことであるが、実際、モスクワで会合をした感じではどうか。
（動力炉開発課）モスクワで会ったのは原子力省の方が中心だったこともあるが、特に住民の方が原子力に反対しているとの印象は受けなかった。
（核燃料サイクル開発機構）資料にあるロストフ原子力発電所は、ほぼ９割方完成したまま置かれていたものを立ち上げるということで、地元にいろいろ説明を実施したものである。できるだけ専門的、詳細に説明すれば大部分の住民には納得してもらえたとのことであったが、それが他のところでも通用する話なのかについては明確でなく、少々過大な自信を持っているとの感もあった。
露国はサイエンスをベースにして、非常に長い世紀単位の考え方を持っていると思う。こういった国とどのように協力関係を進めていけばよいのかについては難しい面があると思うが、現在の協力項目は比較的短期間のものであり、うまくやっていけるのか。
（核燃料サイクル開発機構）当初、経済支援も含め具体的なデータを得たいということで進めてきたこともあり、現在の協力項目は、約５年程度のスパンで成果を得られるように計画している。一方、基礎研究的な分野はいくつか入ってはいるが、むしろ露国側は情報交換などではなく、契約ベースで進めたいとの意向が強い。
高速増殖炉という言葉について、いまや解体核からででくるプルトニウムを燃やすことなどが注目され、増殖という言葉の意味がなくなってきていると思うが、露国とはどのような議論をしているのか。
（核燃料サイクル開発機構）今の露国の戦略の中でも、当面は増殖比を考慮せず、むしろプルトニウムを燃やしていくことを考えると言っている。２１世紀の中頃までのロングタームを考えれば、プルトニウムを燃料として循環させる必要があると思うが、今はプルトニウムの増殖よりも消費していく方向に力を入れているとのことであった。
核燃料サイクル開発機構としては、どのように考えているのか。
（核燃料サイクル開発機構）もんじゅの運転条件としてどう考えるかという事に関連して、核燃料サイクル開発機構としても、プルトニウムあるいはマイナーアクチニドを燃やしていく方向でバランスを考えていくべきではないかと思う。
露国における第一世代、第二世代の原子炉とは何か。
（核燃料サイクル開発機構）第三世代については、改良型のＶＶＥＲだと言っていたが、第一世代、第二世代の原子炉については、必ずしも明確ではない。炉型ではなく年代で区分しているようである。
露国における過去の成果については日本として参考になるものがあるが、将来のポテンシャルについては、評価が必要である。
（動力炉開発課）露国でも最近若い世代が原子力の分野に集まりにくくなったとの話も聞くが、ＢＲＥＳＴのようなプロジェクトがあって、それに関連するような基礎研究があるため、その意味で露国の原子力を牽引していく力はあると思う。
露国と研究協力を進めるにあたって、軍事利用の基礎研究との線引きは明確にされているのか。
（核燃料サイクル開発機構）契約文言上、軍事利用に係わるものは含めないと明確に謳っている。しかし、応用面でそういった問題が出てくる可能性もあるので、我が国に入ってくる技術情報については、平和利用に限るということを、日本側から明確に示す必要があると思う。逆に、我が国の開発した材料、燃料が、いくら露国が核兵器保有国であるとはいっても、軍事目的に転用されることは問題があるので、その点についても我が国として要求していく必要があると思う。こういった問題については、外務省等とも調整させて頂き、明確にしていく必要があると思う。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（５）議事録の確認

　事務局作成の資料５−１の第４６回原子力委員会定例会議議事録（案）及び資料５−２の第４７回原子力委員会臨時会議議事録（案）が了承された。