第４４回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年７月１４日（金）１０：３０〜１１：５０ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 原子力調査室　伊藤室長、山越、鯉渕 核融合開発室　中村室長 通商産業省 資源エネルギー庁 原子力産業課　安井企画官、三村 理化学研究所 小林理事長、小川理事、宮林理事 矢野基盤研究部長、永嶺主任研究員、石原主任研究員 吉舗専門委員

４．議　題

（１）	平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて（理化学研究所）
（２）	特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく基本方針（案）及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画（案）について
（３）	ITER非公式政府間協議第２回会合（EX-2）の結果について
（４）	原子力委員会専門委員の変更について
（５）	その他

５．配布資料

資料１-1	平成１３年度原子力関係予算概算要求説明要旨
資料１-2	原子力関係事業の進捗状況
資料１-3	平成１３年度原子力関係研究計画の概要
資料２-1	特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針（案）
資料２-2	特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画（案）
資料３-1	ITER非公式政府間協議第２回会合（EX-2）の結果について
資料３-2	ITER会合の結果について
資料４	原子力委員会専門委員の変更について
資料５	第４３回原子力委員会定例会議議事録（案）

６．審議事項

（１）平成１３年度原子力関係予算ヒアリングについて（理化学研究所）

標記の件について、理化学研究所より資料１-3に基づき説明があった。これに対し、

スピン物理は、昔から考えられてきたのか。
（理化学研究所）実験による観測が行われるようになったのは、ごく最近である。我々の研究計画が世界で初めてで、理化学研究所が中軸となり、国際的な研究プログラムとして進める。
「スピン」という言葉は日常でも使われるが、原理的には子供でも理解できるものなのか。
（理化学研究所）学問というものは階層構造になっており、「スピン」はその根っこのような部分なので分かり難い。
ミュオンを用いた地震予知の研究に期待する。
（理化学研究所）地下の事は探りようがない。活断層等の情報も、地表からしか調べられない。それをなんとか知る方法がないか、ということでこの研究を進めていく。
（理化学研究所）先端研究のメリットとして、インターネットや計算機技術等、新しい装置等の開発に伴う間接的な波及効果が挙げられる。
従来の原子力コミュニティのための長期計画から、社会に開かれた長期計画に転換を図るという理念の下に、新しい原子力長期計画を策定しているところである。今、分科会レベルでの報告がまとまっており、理化学研究所が考えている原子力関連の計画との相互関連を整理して示して欲しい。
（理化学研究所）資料１-1に参考として添付した。ご指摘の通り、原子力に限らずかなりの予算を使わせていただいている以上、国民、納税者に対して説明責任がある。より分かりやすい言葉で説明していきたいと考えている。
参考資料は読ませていただき、また、何かあればお願いする。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（２）特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく基本方針（案）及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画（案）について

標記の件について、通商産業省より資料２-1及び２-2に基づき説明があった。これに対し、

パブリックコメントを踏まえた基本方針は、形としてはどのようになるのか。また、計画の位置付けは参考資料か。
（通商産業省）これらはいずれも別個の閣議決定となる。基本方針はまさに基本方針であり、頻繁に変えることは予定していないが、必要なら見直しをかけるという性格のもの。計画の方は発電実績の影響等も受けるので、原則として５年ごとに見直すという性格のものである。
計画に記載されている廃棄物は、国内再処理によるものと海外から返還されてくるものの両方が含まれているのか。
（通商産業省）その通り。
日本で発生するものは、２００５年の運転開始以降六ヶ所再処理工場から生ずるものと、核燃料サイクル開発機構の再処理工場から生ずるものか。
（通商産業省）その通り。なお、量的には圧倒的に六ヶ所からのガラス固化体が多く、核燃料サイクル開発機構と海外から返還されるガラス固化体の量はそれと比較すればかなり少ない。
原子力部会では、国と実施主体と電気事業者がばらばらに、自分たちなりに情報公開するのではなく、お互いが協力し合い、同じ方向、同じ目的で、同じ使命感を持って出すんだということが足りないのではないか、との指摘があった。
（通商産業省）情報を調整して出すというニュアンスになるのは逆効果かと考え、持っている情報を正直にお出しするという位置付けで情報公開について記載している。ご指摘の件も踏まえ、全体の中でもう一度検討する。
計画の五は一般論か。
（通商産業省）現時点では一般的な規定のみである。具体的に進んでくると、いろいろと追加されると思う。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（３）ITER非公式政府間協議第２回会合（EX-2）の結果について

標記の件について、核融合開発室より資料３-1及び３-2に基づき説明があった。これに対し、

カナダの扱いはどのような位置付けとなっているのか。
（核融合開発室）非公式政府間協議では、カナダは全く関係のない形で進んでいる。ＩＴＥＲ会合では、工学設計活動の中ではＥＵのassociateと明記されており、ＥＵメンバーの一員として参加している。今後については、非公式政府間協議では一民間企業であるＩＴＥＲカナダが入ることはないと考えている。カナダが希望すれば参加することはあり得るが、カナダ政府がどういう対応をするのかが一番問題である。
カナダ政府からの接触はあるのか。
（核融合開発室）日本に対しては特段ない。ヨーロッパとの間では、ヨーロッパとカナダとの間の大臣クラスの定期協議が様々な形であり、その時に話題に上っているようである。
日本が３極の一つとして誘致するなら、比較的早い時期に態度を表明しなければならない。原子力委員会の決定の前にＩＴＥＲ計画懇談会の意見を十分に聞くというステップが必要で、あまり時間がない。第二に、カナダが非常に熱心になってきおり、カナダ連邦政府はＩＴＥＲカナダに対して正式なバックアップ体制をとっていないが、実際上はやっている。カナダ自身が来年正式提案をすれば、ヨーロッパはカナダにかなり傾斜するだろう。やろうというのなら、戦術論もよく検討すべきである。
重要かつ難しい話で、原子力委員会の専門部会、懇談会は外交交渉や人事などを除き全部公開で何らかの意思決定をするが、決断と交渉には、ある程度のフリーハンドが必要である。
誘致に手を上げた時、どうやってサイトが決められるのか。一番安い国に持っていくのか、水面下の外交交渉をしてさらに絞り込むのか。
今集まっているメンバーが一番適切なメンバーなのか、その段階で代わったメンバーで議論するのか。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（４）原子力委員会専門委員の変更について

標記の件については、人事案件であることから非公開審議とした上で、事務局より資料４に基づき説明がなされ、案通り了承された。

（５）その他

事務局作成の資料５第４３回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。