2.米国における次世代原子力発電システムの開発計画の策定
1)今なぜ第4世代原子力発電システムか
GEN―IVとは
背 景
(1) | 第4世代原子力発電システム政府レベル国際ワークショップ(平成12年1月27日、28日、ワシントンD.C) 参加国:日、英、米、仏、韓、加、ブラジル、アルゼンチン、南ア オブザーバー:OECD-NEA,IAEA ⇒共同声明-1(添付資料1) |
(2) | 民生用原子力利用の核拡散抵抗性向上のための技術的可能性(TOPS)」に関するタスクフォース(3月10日、ワシントンD.C.) 参加国:日、米、仏 ⇒米ロ2国間協力交渉の現状紹介、核拡散抵抗性の属性評価の検討 |
(3) | 「民生用原子力利用の核拡散抵抗性向上のための技術的可能性」関する国際ワークショップ(3月29日~30日、ワシントンD.C.) 参加者:日、米、仏、IAEA、総勢約60名 ⇒核拡散抵抗性向上に関する研究開発課題及び国際協力のテーマ検討 |
(4) | 「第4世代原子力発電(GEN―Ⅳ)システムに関する国際上級技術専門家会合」(4月5日~7日、ワシントンD.C.) 参加国:日、米、仏、韓、加、アルゼンチン ⇒各国の次世代炉開発の状況(添付資料4) 国際協力の進め方を討議⇒共同声明-2(添付資料2) |
(5) | 第4世代原子力発電(GEN-IV)システム国際ワークショップ(5月1日~3日、ベセスダ) 参加者:日、米、仏、韓、加、ブラジル、アルゼンチン、南ア、中国、英、IAEA、EC、総勢約100名 ⇒開発目標、要件と特性レベルを討議(ドラフトレポートレビュウ中) |
(6) | 民生用原子力利用の核拡散抵抗性向上のための技術的可能性(TOPS)」に関するタスクフォース(6月15日、16日、シカゴ) 参加国:日、米、仏 ⇒各種システムの核拡散抵抗性の特徴評価と開発課題の審議(添付資料5) |
(7) | 5月の第4世代国際ワークショップ報告書(第4世代原子力システムの要件と特性)完成(6月26日予定) |
(8) | TOPSタスクフォースドラフトレポート(7月中旬) |
(9) | 第4世代原子力発電(GEN―Ⅳ)システムに関する政策及び上級技術専門家会合(本年8月下旬を目途に、DOEが主催、韓国で開催予定) |
(10) | 第4世代原子力システム技術開発に向けてのロードマップの作成(本年10月を目途) このロードマップによる予算獲得が成功すると、米国会計年度(FY)2002年度、すなわち2001年10月からの予算執行ということになる。米国は拡大NERI計画(International NERI、FY2001では7M$を要求しているが下院段階ではゼロ査定)などともに国際協力、開発の分担を模索すると考えられる。 |
GEN―Ⅳは米国における原子力の復活に向けたステップと捉え、米国の動きに協力することはわが国の国益にもなると考えられる。
日本の考え方を積極的に米側に伝え、日本の計画とも整合する米国の研究開発計画の実現に努力すべきと考える。
TOPSに関しては、核拡散抵抗性強化に特化した主張は少なく、核拡散抵抗性を評価する手法の開発が必要である、経済性が第1の目標であり拡散抵抗性の強化により経済性が損なわれないようすべきであるなど、妥当な意見が多い。しかしながら、米国には、プルトニウムを悪とみなし、核拡散抵抗性の強化を第4世代原子力システムの最優先の要件と考える人々がおり、議論の行く末を見極める必要がある。
今後、これらの検討に係わる報告書の内容がわが国の高速炉を中心とするリサイクル政策の障害にならないよう対応していくべきと考える。
1) | 経済性、核不拡散、安全性、廃棄物の4つの目標を掲げて出発したGENE―ⅣはNERIの公募研究、昨年6月にローレンスリバモア国立研究所(LLNL)で開催された核拡散抵抗性向上の新しいアイデアに関するワークショップ、ANSでのGEN―Ⅳの発表を見た限りでは、特定のコンセプトとしての今後の開発目標の目玉を未だ見出し得ていない。 |
2) | GEN-IVでは、当初は核拡散抵抗性強化を主眼として、開発途上国向け輸出用の長寿命炉心小型炉の開発という印象が強かったが、本年初めのワークショップなどへの我が国など米国以外の国々の参加により、より広い概念としての次世代原子力システムを目指すものに方向転換がなされたようである。 |
3) | GEN-Ⅳが、どれだけ魅力のある開発目標を設定できるか、或いはその国際協力の下地ができるか、であるが、結局,FBRを脇において、将来目標の設定に苦吟しているようにも見える。若者が参加したくなるような夢のある開発目標の設定を期待したい。 |
4) | 国により、開発のステージが異なり、各国が考える次世代炉には差がある。これを、2~3の共通目標概念に絞るのは難しい仕事である。将来目標に向けた共通のキー技術を摘出し、基礎基盤技術と共に、国際協力の目玉にするのが良いのでは、と考える。 先ずは、緩やかな連合体の枠組みの中で、2国間協力など、出来るところから国際協力を進めるのが現実的方策であろう。 |
5) | GEN―Ⅳについての米国内のコンセンサスが大統領選挙前に得られるのか、疑問視し、クールに対応する人も多いと聞いている。 NERIなどは基礎的な研究シーズの発掘といった色彩が強く、主として大学の研究・教育能力の維持・拡大が主眼であり、米国国研ならびに産業の技術開発能力の維持・拡大という観点からは物足りないものである。米国内の予算の獲得や拡大にわが国など海外諸国の参加が有効であるなら、積極的に協力すべき、と考える。 |
6) | 米国がリサイクル路線に戻るとしても、リサイクルシステムが現行のワンス・スルーと同等以上の核拡散抵抗性を有することが詳細な評価により確認されることが条件であると言われている。核拡散抵抗性を向上するリサイクルシステムの提案やその核拡散抵抗性の評価手法の開発などに関して、わが国の考え方を提示し、米国との協力関係を主体的に構築することも期待される。 |
添付資料1 GEN-IV政府レベル国際ワークショップ共同声明
添付資料2 GEN-IV国際上級技術専門家会議共同声明
添付資料3 NERI2000年度新規テーマ一覧
添付資料4 第4世代原子炉候補
(国際上級技術専門家会議(2000年4月)などより)
添付資料5 各種新型概念の技術的特徴と核拡散抵抗性
(TOPSタスクフォース(2000年6月)資料などより)