理化学研究所(小林俊一理事長)は、原子核が安定に存在する新しい魔法数「16」を世界で初めて発見しました。当研究所のRIビーム科学研究室の小沢顕研究員、谷畑勇夫主任研究員らが中心となり、RIビームを用いて窒素や酸素、フッ素などの不安定同位体の核半径を測定した結果、核半径が中性子数「15」、「16」の原子核で異常に大きくなることが判明。また、同時にこれらの原子核の安定度の指標となる中性子分離エネルギーを解析したところ、陽子に比べて中性子が非常に多い、いわゆる中性子過剰な場合(陽子数はフッ素では「9」、酸素は「8」、窒素は「7」であり、陽子数と中性子数がほぼ同じの通常核よりは中性子の比率が大きい)にのみ、中性子数「16」で特に安定であることが確認されました。一般的に中性子過剰になるにつれて、不安定核の寿命は短くなりますが、魔法数では、その寿命が長く(安定)になります。 これは、1949年のマイヤーとイェンセンによる「シェルモデル(核構造)」(1963年・ノーベル物理学賞)以来、固定されたものと考えられてきた魔法数について、まったく新しい考えた方を示すものです。すなわち、陽子と中性子の数が同数でない原子核に対しては新しい魔法数の存在を示唆しています。この発見は、中性子過剰核の性質を理解するうえで大きな一歩を踏み出すものです。 本研究成果は、「Physical Review Letters(6月12日号)」に掲載されます。 |
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