• ＲＩ・研究所等の廃棄物については、処分の実施体制等について具体的な検討が先行して進められているが、超ウラン核種を含む放射性廃棄物の処理処分の実施体制については、これとは別に実施主体ができることになるのか。
  (廃棄物政策課)ＲＩ・研究所等廃棄物の処理処分方法については、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構、(社)日本アイソトープ協会の３つの機関が一緒になって、具体的な検討が進められている。超ウラン核種を含む放射性廃棄物についても、今後民間の事業も展開することになるため、核燃料サイクル開発機構、電気事業者、日本原燃株式会社等の関係機関が緊密な連携のもと検討を進めて頂けるものと思う。
• 高レベル放射性廃棄物の処分を検討した際にも、基本的には当事者責任のもとで対応すべきであるが、協力できるところは各当事者間で一緒に進めるようお願いしてきたところであり、超ウラン核種を含む放射性廃棄物も同様にお願いしたい。
  (廃棄物政策課)超ウラン核種を含む放射性廃棄物処理処分の実施主体については、どのような体制がよいのか今後御議論を頂く必要があるが、少なくとも、廃棄物の発生源ではなく処分の形態によって整理をしていくことになっており、同じ様な廃棄物をもっている者が糾合して検討を進めて頂くことになる。
• 超ウラン核種を含む放射性廃棄物のうち約４割程度は、従来から検討されている原子炉施設から発生する低レベル放射性廃棄物と同じレベルとのことであるが、処分方法についても実施主体を含め同じ扱いにできないか。
  (廃棄物政策課)選択肢の一つであると思うが、この点については十分に検討して頂いた上で、それぞれの事業主体の考えに基づくことになると思う。
• 処分の方法について諸外国との比較を行っているが、何か特徴的な違いはあるのか。
  (田中委員)廃棄物の発生源という点では、例えば米国の場合、民生部門よりも軍事関係施設からの廃棄物が多い。また、処分概念については、諸外国では浅地層処分と地層処分の２つの処分概念が、また、日本ではさらに地下利用に対して十分裕度をもった深度への処分を加えた３つの処分概念があるが、基本的に考え方は近いものと言える。
• ハル・エンドピースについて、発熱の考慮が重要なファクターとして取り上げられており、地下空洞の容量をもって除熱することを想定しているようであるが、例えば、強制的に換気をして熱利用をすることは可能か。
  (田中委員)本検討では、廃棄物をできるだけ人間から隔離するという前提に立っている。また、発熱性のハル・エンドピースの処分深度は深く、廃棄物の放射性核種濃度も高いので、発熱利用は難しいと思う。
• 日本ではグローバルスタンダードに対し、放射線線量の基準値を一桁下げていた時期があり、原子力委員会としては、原子力の開発、利用を開始して４０年という実績に基づき、合理化を図れるところは実施すべきというメッセージを出してきた。その意味で、今回の被ばく線量の試算も諸外国にくらべ一桁以上低い値となっているが、諸外国と比べ低くする理由があるのか。
  (田中委員)本評価値は、対象廃棄物に特有な現象の影響を考慮したシナリオに基づき試算した結果であるが、本当にどの値が合理的かという点は、難しい問題である。
• 現在策定中の長期計画の中でも、安全を確保しながら経済性を向上させるという議論が中心になっており、合理性を重視する部分が多くなっていると思う。
• 原子力委員会としても、廃棄物の問題は重要であると認識しており、特に再処理施設及びＭＯＸ燃料加工施設から発生する廃棄物の処分は重要な課題である。一義的に発生者に責任があるが、お互いに関連を持ってよりよいものを求めていくことが大切だと思う。

原子力バックエンド対策専門部会関本委員より資料1-4、資料1-5、資料1-6、資料1-7等に基づき説明があった。これに対し、

• 以前の「核種分離・消滅処理」に代わり「長寿命核種の分離変換技術」に用語を変更したことで、新しい技術により可能性が広がっていくような明るいイメージになったと思う。
• 仏国、米国、国際的な機関及び日本が、「長寿命核種の分離変換技術」における世界の研究センター的役割を果たしているのか。また、英国、独国は本件について、研究を行っていないのか。
  (関本委員)英国及び独国は、ヨーロッパの中で一緒にやっていくという動きがある。確かに仏国が牽引的にやっているが、独国でカールスルーエ研究所が加速器駆動未臨界炉（ＡＴＷ）の研究を開始するなど、ヨーロッパでは、いろいろな研究機関が研究をやろうとしている。また、米国でもユッカマウンテンにおいて、使用済燃料を処分する計画は進めているが、プルトニウムを変換するための方法としてＡＴＷを提案している。
• 国際協力は具体的にどのような形態で行われているのか。
  (関本委員)今のところは、情報交換が主である。当初各国それぞれのアイディアは分散していたが、議論していく中で収束してきていると思う。データの共有なども図られている。また、米国はＡＴＷの冷却材に鉛・ビスマスを使うことも考えているが、これは露国に実績があるため、米国独自の開発と並行して、露国から技術を導入することも考えている。これも協力の一形態である。
• 「長寿命核種の分離変換技術」については、非常に期待を持っているが、若い研究者が情熱を持って取り組んでいる領域の一つだと思う。ＡＴＷの研究も熱心に行われているが、高速炉路線の中でもより発展的な可能性を持った領域だと思う。このようにいろいろな可能性を育てていくのも国の役割の一つだと思う。
  (関本委員)学生達もこの分野については、非常に興味を持って取り組んでいると思う。
• オメガ計画が出た時には、高レベル放射性廃棄物を出発点としていたため、その段階で原子力委員会は本技術をバックエンドの中に位置付けたが、今回は、核燃料サイクルの中に位置付けたことで、全体が一貫して見えるようになったことはよかったと思う。
• 国際協力については、各国とも分離変換技術の目的に相当違いがあり、日本の核燃料サイクル政策と必ずしも合わない点があることを認識する必要がある。
• まだ世界全体が技術論的に収束しているとは言えず、装置によっているところがあるので、日本のリーダー的役割を期待したい。
• 分離変換技術については基礎科学を多く含んでいるため、大学、(財)電力中央研究所、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構に加え、理化学研究所の存在も非常に大きいと思う。
• 本日説明頂いた２つの原子力バックエンド対策専門部会の報告については、非常に重要な問題であるので、原子力委員会決定の形で社会に原子力委員会の考え方を表明したい。

• 原子力委員会の役割の記載について、一段高い立場という表現ではなく、大所高所というような表現で見直して欲しい。
• 内閣府の位置付けを表す表現の中で適切ものがあればその表現で見直し、また、適切な表現がなければ大所高所という表現で見直すこととし、本件については承認することとする。