第１８回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年３月２４日（金）１０：３０〜１１：３０ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 興局長 中澤審議官 原子力調査室　伊藤室長、板倉、池亀、会沢 国際協力・保障措置課　片岡 （社）日本原子力産業会議 大井参与 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）国際シンポジウム「21世紀の原子力平和利用と核問題−人類の知恵の結集と挑戦−」結果概要の報告について
（２）その他

５．配布資料

資料１	国際シンポジウム「21世紀の原子力平和利用と核問題−人類の知恵の結集と挑戦−」結果概要の報告
資料２	第１７回原子力委員会定例会議議事録（案）
配付資料	国際シンポジウム「21世紀の原子力平和利用と核問題」−人類の知恵の結集と挑戦−（報告書）

６．審議事項 （１）国際シンポジウム「21世紀の原子力平和利用と核問題−人類の知恵の結集と挑戦−」結果概要の報告について

　標記の件について、国際協力・保障措置課及び日本原子力産業会議より資料１に基づき説明があった。これに対し、

出席者については、アメリカ、ヨーロッパ、ＩＡＥＡ、インド、パキスタン、中国、韓国といった関係国を網羅しており、その点はよかったと思う。
シンポジウムの内容が総論であったので、来年以降も続けるのであれば、行動を伴った各論に入っていくようなやり方を考えて欲しい。
ＮＰＴの条約執行機関の設置が提案されたが、アメリカやロシアはＮＰＴ体制を現状のまま維持したいと考えており、両国が消極的だからできないというのは間違った考えである。
保障措置の強化については、ＩＡＥＡの保障措置のための追加議定書を締結している主な国は日本とオーストラリアぐらいであり、今後どうやって多くの国に締結してもらうかについて考えていく必要がある。
核物質防護についての国際条約の対象は、国際輸送についてだけであるが、原子力施設の防護についても国際的に強化していくべきである。
プルトニウム利用の透明性の向上を図るために何ができるか考えていく必要がある。
核兵器の解体問題については、ロシア、アメリカが努力することを前提に協力する姿勢を守っていく必要がある。日本としては、全部お膳立てができた後で、費用負担だけさせられることは避けるべきであり、そのためには、日本は積極的に協力はするが各国で役割分担が必要であるということを主張していくべき。
国際シンポジウムについては、核燃料サイクル開発機構あるいは国際問題研究所も同じ時期に同様のシンポジウムを開催しているので、そちらとのコーディネーションもお願いしたい。
(日本原子力産業会議)ジュネーブの軍縮会議等がしっかり主導すれば、ＮＰＴの条約執行機関のようなものは新設しなくてもよいはずである。
せっかくこのような国際シンポジウムをやるのであれば、まさに今、長期計画策定会議の場で議論しているように、日本の主体性をもった国際社会への関与をどうしていくのか、また、利害の合わない状況の中で、なおかつ日本は主体性を持てるか等についても議論して欲しい。
今回のテーマは、一般の日本社会があまり関心も知識も持っていない世界の話であることを常に心配しているところである。一部の人の関心の中で動いている感があるので、広く社会に知ってもらう努力をして欲しい。
(日本原子力産業会議)参加した人は、これは必要な会議であると言ってくれるが、その会議に参加してもらうまでが大変である。
こういったシンポジウムでは、原子力の専門家だけの集まりという印象がある。今回提言が出されたようであるが、提言とは別に発言者の意見に対し客席ではどんな反応が起きたのか等の情報が何らかの形で伝わってくれば、専門知識を持たない一般の人でも関心が持てると思う。
(原子力産業会議)報告書を別途提出することになっているので、議事録をまとめる際に、ご指摘の点に注意してまとめていきたい。
(原子力局長)今回のシンポジウムに参加された方は、国を代表しているわけではなく、あくまで個人として参加されている。また、提言については、あくまで検討会が用意したものについて議論して頂いたわけで、シンポジウムとしての総意ではない。第三者に対して、関心を持ってもらうためにどのようなことをしてもらうかについては少し議論をする必要があると思う。
アメリカ、ヨーロッパを見ても常に官営のシンポジウムで物事が進んでいる訳ではなく、ＮＧＯ中心のシンポジウムも結構多い。そういう観点から今回のシンポジウムは、日本において新しい試みであると思う。
核不拡散の問題については、観念的な理解と現実の世界の動きに大きな差がある。
核兵器の問題は、現実の問題をしっかり把握するための情報収集とその分析が重要。いろいろな機関が同じようなことをやっているが、情報の分析がないため各論に踏み込めていないと思う。
(原子力局長)本件のような問題については科学技術庁、外務省、通産省の三者で政策議論をしているほか、その他として核不拡散の問題について適切な議論ができる組織としては、原子力学会と核物質管理学会が考えられる。
今の段階で日本が世界に何かを訴えていくことは大事だと思うので、その意味でこのシンポジウムの存在価値はあると思う。
シンポジウムの中で「日本は近隣地域に安全保障上の問題がある限りは米国の核の傘の下にとどまらざるを得ない」といった発言があったようであるが、日本全体がこのような意見であるといった誤解を招く恐れがあるのではないか。
核不拡散研究センターの設立のアイディアに対し、多くの賛同を得たとのことであるが、日本が独自に費用を出してやるのであれば、外国が反対する理由は何もない。そうなると本当にこのようなセンターがいるのか。21世紀の日本の原子力外交を考えた上で軸となる考えが必要。

　等の委員の意見及び質疑応答があった。

（２）議事録の確認

　事務局作成の資料２第１７回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。