• フェニックスに関しては、地元あるいは隣国スイス等から反対派のデモは起きてないのか。
  (核燃料サイクル開発機構)スーパーフェニックスでは、そのようなことがあったとのことであるが、フェニックスについては、特に聞いていない。
• 日仏の高速炉の研究開発についての関係は、非常に良好に推移していると感じているが、一方で、問題もいくつかあると思う。仏国はスーパーフェニックスまできたところで、ナトリウム冷却の高速炉に対するアクティビティを明確な形で見せなくなっており、むしろ、長寿命核分裂生成物(LLFP)の消滅等のようなものを行いながら高速炉の本質を目指すと同時に、ガス冷却に焦点が移りつつある。
• 日仏間の共同研究テーマはよく出来ていると思うが、これからどのテーマに焦点を合わせていくのか。例えば、仏側のもんじゅに対する消滅研究への期待が相当高いとした場合に、もんじゅをこれからどう位置付けていけばいいのか。焦点が少しずつ、日本と仏国の間に差が出てこないか心配。
  (核燃料サイクル開発機構)仏国では、原子力分野で様々な活動を行うに当たっての風当たりの強さと高速炉開発に使える予算についても従来の路線の継続には制約が出てきていることもあり、どうやって活力を維持するかに苦心している。その現れが、当面ガス炉という形で新しい課題を持ち込むことによって、そのためには研究開発活動が必要であるということを主張している面が強い。仏国はどうやってナトリウム技術などこれまで培った技術を実用化という形で活かす段階まで維持し続けるかについて悩んでおり、また、次期高速炉を建設するだけの展望がなかなか開けないでいる。次の炉を作るとしても、早くても２０１５年頃だろうとのことであった。その間は、海外の炉で、場を借りて高速炉技術を温存させたいと考えている。日仏間で高速炉開発の基本認識は概ね合っている。今後は、日本はもちろん大事だが、露国も仲間に入れ、日仏露のトライアングルをきちんとした役割分担のもとで、機能的な協力体系として構築するというのが仏国の強い希望であると理解している。
• 日本から仏国の高速炉計画にいろいろな形で、国際協力として参入した歴史がある。仏国がもんじゅあるいは当然常陽も含まれてくると思うが、その際の協力の形態は研究員の交換といった程度までの協力を言っているのか。
  (核燃料サイクル開発機構)仏国は、フェニックスは２００４年くらいまでしか運転が続けられないと言っていた。ちょうど常陽はＭａｒｋ－Ⅲの運転が２００４年頃に始まる見込みであり、その意味で仏国はフェニックスで行ってきた照射試験の続きを常陽でやりたいと考えている。したがって、おつき合い程度の協力ではなくて、本当に一体となって進めていくという形でもんじゅの計画をとらえているのではないかと思う。
• 予算の移動を伴うようなところまで考えていると理解してよいのか。
  (核燃料サイクル開発機構)経緯から話をすると、そこまでの踏み込んだ議論はしていないが、仏国としてこれから本格的にもんじゅのような大型施設の利用にコミットするということになれば、そういう議論も自ずから出てくると思う。
• フェニックスの運転が終了後、長寿命核分裂生成物の核種変換の研究開発、ガス冷却等の研究をやらなくなるのか。
  (動力炉開発課)ガス冷却炉の研究は続けていく計画である。現在、ガス冷却炉は概念設計の段階であり、２００１年頃から本格的なスタディに入ると言っていた。どのようなタイプの炉を選択するかを２００６年から２００７年頃までに絞り込んでいくことになると思う。
  長寿命核分裂生成物の核種変換の研究をフェニックスを用いてできなくなるが、加速器で消滅処理するような手段も検討しているようであり、研究自体は続けられていくと思う。
  (核燃料サイクル開発機構)マイナーアクチニドの消滅のための照射試験、あるいは長寿命核分裂生成物変換のための照射試験というものは、現時点でもフェニックスを使うだけでは全部処理できないものなので、露国のＢＯＲ６０という高速実験炉、オランダのＨＦＲという高中性子束炉の２つも併せて使って、研究を進めている。したがって、フェニックスが運転を止めてもＢＯＲ６０、ＨＦＲといった海外の炉を使った長寿命核種分裂生成物のための照射試験は続けられる。それに、常陽やもんじゅが２００４年以降入ってくるというのが仏国の認識であると思う。
• そうすると仏国の高速炉研究開発は、海外に相当軸足を移したいということか。
  (核燃料サイクル開発機構)その通りであり、むしろ、移さざるを得ない状況である。
• 日本でも日本原子力研究所でガス冷却炉についは、長い時間をかけて研究してきているが、仏国が取り組み始めたガス冷却高速炉との関連で見ると何か意味合いをもっているのか。
  (核燃料サイクル開発機構)仏国が狙おうとしている目標は、かつてのガス炉の研究でやられたコンセプトそのままでは多分クリアできない話である。例えば、仏国では全く新しいコンセプトの燃料の開発にも取り組もうとしているようである。もちろん過去の経験は日本原子力研究所のガス炉の研究も含めて実用化戦略調査研究の検討の中で活かしていこうと思うが、過去のものだけでは不十分である。

　なお、事務局より、次回は３月２４日（金）に臨時会議を１０：３０より開催する方向で調整したい旨、発言があった。