第１３回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年３月３日（金）１０：３０〜１１：１５ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 興局長 原子力調査室　伊藤室長、板倉、村上、池亀、鯉渕 廃棄物政策課　青山課長、石崎 通商産業省 資源エネルギー庁 原子力産業課　鈴木課長 社会経済生産性本部 石井研究員 吉舗専門委員

４．議題

（１）「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案（仮称）」について
（２）木元委員の海外出張報告について
（３）その他

５．配布資料

資料１-1	高レベル放射性廃棄物の処分について
資料１-2	特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案（仮称）
資料２	アジア・エネルギー調査団訪問概要（インド・ネパール）2000.2.17〜2.28
資料３-1	第１１回原子力委員会臨時会議議事録（案）
資料３-2	第１２回原子力委員会定例会議議事録（案）

６．審議事項 （１）「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案（仮称）」について

　標記の件について、通商産業省より資料１-1及び資料１-2に基づき説明があった。これに対し、

高レベル放射性廃棄物処理は決然と進めて行かなければならない時期であり、今国会でこの法案をぜひ通して欲しい。
国会議員の本法案に対する感触はどうか。
（通商産業省）どうして今まで手当してこなかったのかと、まず言われる。その上で、廃棄物処分問題を子供達の世代に残すことのないように、しっかりと進めて制度化すべきということや、この法案は全体の仕事の量からすれば僅かであり、今後の立地活動や、事業を進めていく上での難しさ等、重みを十分考えて行うべきである、等のご指摘を頂いている。
具体的な実施にあたっての問題はあるであろうが、着実に推進して欲しい。
高レベル放射性廃棄物は原子力平和利用における大きな課題のうちの一つであり、制度的にもここまで来るのは大変な努力であった。本法案はその第一歩であり、国会を早く通し、国民のご理解を頂くよう、みんなで頑張る必要がある。
原子力発電環境整備機構は、いくつ設立される見通しか。
（通商産業省）一つ設立するのか、二つ設立して競争させるのか、事業者の判断である。通商産業省としては、複数設立しても対応できるよう法整備をしていく。
この段階で法律化することには、日本の原子力政策の揺るぎ無い考え方を内外に示すという点で意義がある。日本の方針は再処理が基本であり、本法案は再処理した後の廃棄物についての制度を定めるものである。廃棄物処分は発生者責任が原則だが、本法案は商業炉を対象にしながらも、研究炉についても処分委託の可能性が残されているので、研究炉関係者にとって心強いのではないか。

　等の質疑応答及び委員の意見があり、本件については引き続き審議することとなった。

（２）木元委員の海外出張報告について

標記の件について、(財)社会経済生産性本部石井研究員より資料２に基づき、木元原子力委員を団長とするアジア・エネルギー調査団が２月１７日から２８日までの間、インドの在インド日本国大使館、非在来型エネルギー資源省、電力省、原子力発電公社、カクラパール原子力発電所、ネパールの電力庁、在ネパール日本国大使館、マルシャンディ水力発電所へ調査及び視察を行った旨、説明があった。
また、木元委員より、

日本の原子力政策がどの程度アジアで受け入れられているか、ＪＣＯ事故がどのような評価を受けているのか不安を感じていたが、日本の原子力平和利用政策が理解されており、ＪＣＯ事故についても正確に把握されていた。
核不拡散条約や包括的核実験禁止条約の件についても意見交換をしたが、米国はインド−パキスタン問題に干渉すべきでないことや、５大国は核兵器を持っていながらそれ以外の国は保有できないことの問題について、はっきりとした意思表示があった。平和利用についての理解は前進しているが、先方は今の段階では見守っていて欲しいという感触であった。
インドの人口は１０億以上であり、その大部分は貧困層である。彼らの生活が向上していくとき、食料やエネルギーが不足する。日本だけのことを考えるのではなく、世界的視野で捉えたとき、原子力の重要性が大きくなる。
今回視察したカクラパール原子力発電所は日本の原子力発電所に比べればセキュリティが非常に厳しかったが、快く受け入れてくれた。
インドでは関係省庁、機関との間の横の関係がないことが問題であると感じた。
市民生活は薪炭、牛糞等のバイオマスが中心であり、日本のエネルギー消費の仕方について反省すると同時に、原子力を見直すこともできた。

との所感が述べられた。これに対し、

地球温暖化問題や経済制裁の影響について、電力省からはどのような話があったか。
（社会経済生産性本部）日本を含めた先進国が地球温暖化ガスを大量に排出しており、インドの排出量は少ない。当然考慮しなければならない問題であるが、積極的に取組むという印象は無かった。経済制裁については、ＪＢＩＣ（国際協力銀行）等からの融資が慎重姿勢であることに対して、もう少し日本に協力して欲しいという印象であった。
日本とインドの原子力研究開発利用について、どのような話があったか。
核燃料サイクルの開発については、インドも同じ考えであった。核燃料を循環させて利用していくのは当然であって、安全に留意して進めて欲しいとのことであった。インドでも将来的には核燃料サイクルの開発を進めていく考えてあり、日本の研究開発動向に対して関心を持っている。地球温暖化については先進国の問題であり、インドはそこまで達していないという考えであった。
インドにおける地球温暖化ガスの排出量はどの程度か。
人口が多いが、排出量は多くはない。先進国の方が圧倒的に多い。
インドの原子力開発が自前の技術である基盤は。
（社会経済生産性本部）当初は米国、カナダから技術を導入していたが、今では自分たちの技術を使って原子力開発を進めていくという強い意欲がある。
カクラパール原子力発電所が自主技術であった。
インドの自主技術とは、トリウムサイクル技術のことか、あるいは機器類が国産化されているということなのか。
自主技術とは、物作りも含めて、ということである。トリウムサイクルについては、これから進めていくという意志がはっきりしていた。
ロシアとの協力はどうか。
（社会経済生産性本部）１００万ＫＷ級の原子炉をロシアと共同で建設する計画がある。
トリウムＦＢＲは研究レベルの状況か。
（社会経済生産性本部）非常に小さいながらも送電していると聞いている。
インド国内では１０億国民全部に情報が行き届いているわけではなく、識字率も低いが、インドでは原子力推進が当然であり、反対は少ない状況である。

　等の質疑応答及び委員の意見があった。

（３）議事録の確認

　事務局作成の資料３-1第１１回原子力委員会臨時会議議事録（案）及び資料３-2第１２回原子力委員会定例会議議事録（案）が了承された。