第１１回原子力委員会臨時会議議事録（案）

１．日　時　　　２０００年２月２５日（金）１２：１０〜１２：５０ ２．場　所　　　委員会会議室 ３．出席者　　　中曽根委員長、藤家委員、依田委員、遠藤委員 （事務局等）科学技術庁 原子力局 興局長 中澤審議官 原子力調査室　伊藤室長、板倉、村上、鈴木、池亀、鯉渕 通商産業省 資源エネルギー庁 藤冨審議官 原子力発電課　国吉新型炉開発企画官、中村 原子力政策円卓会議 木村モデレーター、茅モデレーター、石川モデレーター、 小沢モデレーター、中島モデレーター 原子力政策円卓会議事務局 岡本、吉田、鬼頭、田久保 吉舗専門委員 ４．議　題

（１）原子力政策円卓会議モデレーターからの提言の提出について

５．配布資料

配布資料	原子力政策円卓会議からの提言−モデレーターからのメッセージ−
配布資料	原子力政策円卓会議における論点整理（平成10〜11年度）

６．審議事項 （１）原子力政策円卓会議モデレーターからの提言の提出について

　標記の件について、原子力政策円卓会議（以下「円卓会議」という。）木村モデレーターより中曽根委員長へ提言が手渡された後、木村モデレーターより配布資料に基づき説明があった。
　これに対し、中曽根委員長より

円卓会議の開催、運営、提言の取りまとめに当たったモデレーターの方々のご尽力に感謝する。この円卓会議は様々な意見をお持ちの方々からご意見を頂く貴重な場であり、原子力行政の民主的運営を図っていく上で重要な役割を果たした。本提言を原子力委員会として十分に受け止め、検討していきたい。さらに関係省庁、事業者、国民一人一人にも、本提言について真剣に考えて頂きたい。現在原子力委員会では２１世紀の原子力政策を示すために、長期計画の策定に向けた審議を行っているところであるが、２月２８日に開催される長期計画策定会議でも、ぜひ本提言をご説明頂きたい。

　等の発言があった後、委員長が退席され、藤家委員長代理の議事進行により議事が再開された。
　続いて本提言に対し、

第１の提言について、原子力委員会はエネルギー全体を所掌しているわけではない。本提言は政府全体への呼びかけであると理解している。原子力委員会も政府の一員として積極的に取組んでいく考えであるが、もう少し大きな「場」が必要と思う。
第３の提言については、国会の内外での議論、特に国会内での議論をお願いしたい。
第６ａの提言について、核燃料サイクルに係る原子力活動は国際展開の中で行われているが、そのような観点からの議論がほとんど無かったことは今後の課題ではないか。
第７の提言について、原子力委員会が今後とも公聴機能を十分に持っていくことは重要だが、具体的にどうすべきか。モデレーターの方々のご意見を頂きながら、省庁再編後の原子力委員会で決定すべきではないか。
（モデレーター）第１の提言については原子力委員会のみに向けたものではなく、国民全体に対するメッセージとして記している。
（モデレーター）第６ａについては、円卓会議では、国際的な観点から核燃料サイクルに関する議論は無かった。
国会議員の参加が得られたが、地域レベルと国政レベルの間のずれをどのように埋めて、国民的合意形成に結び付けていくかが大きな課題である。原子力委員会も、省庁再編の中でどういう役割を負っていくかが課題である。
第７の提言は、円卓会議の発展的解体と理解しているが、これがどのような形で組織化されるか、今後大きな意味を持ってくる。この問題についてお知恵をいただき、円卓会議の在り方を検討したい。
教育や安全文化の重要性について叫ばれているが、どのようにして具体性を持たせていくか、ご示唆頂きたい。
（モデレーター）「もんじゅ」の問題については、事故以来５年間動かず、お金だけかかっている状態であり、早く打開しなければならない。日本では研究開発用の原子炉と商業用の発電炉が、国民の目から見ると一緒になっており、「もんじゅ」が事故を起こせば発電炉が建設できなくなる。両者の区別がきちんと整理されなければならない。また、高速増殖炉懇談会により政策は大きく変わったはずであるが、それを理解している人が少ないというのが実状ではないか。日本では、国会議員がエネルギーについて討議する公式な場が無い。国会議員は予算と法律を審議するものであり、法案として提出されなければやりにくいという点を改善していくべきという趣旨で取り上げた。
第１の提言について、エネルギー問題のタイムスパンを１０年程度を単位として見るのか、世紀単位で見るのか。これを考えながら対応していかなければならない。
第２の提言については、提言の通り、原子力事故は原子力委員会、原子力安全委員会、関係省庁にも係る問題である。
第３の提言について、現状では国会での議論が社会に伝わることに限界があるものと理解している。
第４の提言について、電源三法交付金については、ハコモノに対する反省も出ており、より良いものにしていく努力が必要である。
第５の提言について、教育問題については、原子力委員会でもかなり前から重要性を感じており、対応もしてきているが、教育の普遍性と原子力の知識普及をどう整合を持ってやっていくのか、現在の原子力長期計画策定会議では、第一分科会がこの問題に対応している。
第６の提言について、核燃料サイクルの確立については、従来から日本の原子力政策の非常に大きなポイントであったが、最近はその国際性が広がっており、様々な対応を要求されている。これは第三分科会が対応している。先日敦賀市で第三分科会を開催した時には、提言に示された内容と近い議論が多かったと理解している。
第７の提言について、円卓会議はアドホック・スタンディングな会議と考えており、その時々の状況に応じて臨時にモデレーターをお願いしながらやっていくことによって、斬新さを出すとともに、問題に対して着実な対応ができるものと考えている。
（モデレーター）第１の提言については、おっしゃるとおり、長期にわたる問題であり、数十年のスパンで考えるべきである。現実の問題として、政府の需給見通しは２０１０年、またＣＯＰ３の目標も２０１０年程度であり、暗黙のうちに１０年程度で考えている。提言の対象は、政府全体である。第７の提言については、政府から離れた形で、批判派からも政府側からも情報を収集し、配布する機能を持ったものとして提案している。具体的な案については、狭い範囲にイメージが固定されかねないので、敢えて記していない。
本提言を十分理解した上で、原子力委員会としての見解をとりまとめたい。との委員の意見及び質疑応答があった。