第2回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 2000年1月11日(火)10:30〜11:30
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
興局長
中澤審議官
原子力調査室 伊藤室長、板倉、村上、池亀、鯉渕
立地地域対策室 木本室長、橋本
原子力安全局
放射性廃棄物規制室 中矢
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力発電運転管理室 森山室長、近藤
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)コンピュータ2000年問題に係る不具合について
(2)原子力委員会専門委員の変更について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | 原子力発電所における年末年始のコンピュータの不具合について |
資料1-2 | 原子力施設及びその周辺システムにおける年末年始のコンピュータの不具合について |
資料2 | 原子力委員会専門委員の変更について(案) |
資料3 | 第1回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1)コンピュータ2000年問題に係る不具合について
- 標記の件について、通商産業省より資料1-1、科学技術庁より資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- 東京電力福島第二原子力発電所1号機の、制御棒位置指示系操作盤のエラー表示器の動作不良は、新しい基板に交換しなければ発生しなかったのか。
(通商産業省)そうである。Y2K対応済ということで思い込みがあった。OSはUNIXであり、グリニッジ標準時で制御されているが、基板の製造の際に使用条件に見落としがあった。
- 同様の組合せは他にもあると思われるが、なぜここだけで起こったのか。
(通商産業省)少なくとも東京電力ではもう一つあるが、それについては不具合は発生していない。
- 組織間の情報流通の問題や、チェックリストを専門部署に任せ過ぎていたためではないか。以前からも経験の水平展開が言われている。
(原子力局)Y2K対応済とされていたため、チェックリストから除かれていたようだ。
- 安全文化を深めようとしている中で、この問題をどう扱っていくのか。日本の原子力業界では、グリニッジ標準時を使う必要があるとは思わない。
(通商産業省)東京電力では、グリニッジ標準時を使っているという認識がなかった。このため不具合が生じた時に、東京電力ではY2K問題が原因であるとは直ちには判断できなかった。
(通商産業省)制御棒の位置表示は消えたが、温度や圧力等の必要なパラメータは表示されており、原子炉が安全・安定な状態であったことは確認されていた。
- 制御棒の位置表示機能に、冗長性は持たされていたのか。
(通商産業省)3系統あったが、Y2Kという共通の原因があったため、同時に不具合が発生した。今回はプロセスコンピュータにより、制御棒の位置を確認した。
- 国際標準と国内標準のギャップの問題であり、起こり得ることである。今後どうしていけばいいのか。
- コンピュータの世界と原子力の世界の、文化の違いがあるのではないか。事業者そのものが、自分たちの文化で判断していかなければならない。
- 炉心管理の部分は従来からUNIXであった。GEが握ってきた部分であり、国産化が難しい部分でもあった。
(原子力局)東京電力の不具合が多かったと聞いているが、他の事業者も含めた検証の結果、どうであったか。
(通商産業省)事務処理系が多かったということはあるが、他の電気事業者と比べ特に東京電力の取り組み不備があったとは思っていない。
- 炉心管理の部分を国産化する体制は出来ている。問題のあったシステムは、以前と同じものに交換したのか。
(通商産業省)同じものではなく、表示システムを新しくした。
- これだけの膨大なシステムであり、リスクは存在する。
(通商産業省)原子力発電所2000年問題調査委員会で報告書を作成した際にも、対応状況と問題発生時の対策をそれぞれ取りまとめていたが、対処済みであることのみが強調されてしまったと考えられる。
- 今後、良い教訓とすべきである。
- 米国のように時差のある国ではグリニッジ標準時は必要であろうが、日本にはない発想である。昔のデッドコピーに伴う問題がこのような所に残っていた。
(原子力局)このようなチェック項目はなかった。チェックリスト作成上の課題である。
- 炉心管理を日本のソフトで行うのは、歴史的にごく最近のことである。専門家を育成していかなければならない。
- 火力発電所等では、Y2K問題は存在しなかったのか。
(通商産業省)火力発電所でも事務処理系で発生している。他の産業との比較はできないが、原子力発電所ではどんな細かい事も公開する原則としていたため、部分的な伝送不良等、通常であれば問題とはしないものも公表することとしている。
- 原子力だから不具合が起きていると受け止められる。他の分野では、関心がないから問題視されていないのが実状ではないか。今後はどのような対応を取っていくのか。
(通商産業省)安全安定運転に支障はなかったものの、なぜ見落としが起こったのかについて、十分検討する必要がある。次の2月29日の問題もあり、今後の安全管理に教訓を生かすことが重要と考えている。
- 石川県と宮城県で不具合が発生した環境放射線監視システムは、先ほど通商産業省から説明のあった原子力発電所のものと独立したものか。
(立地地域対策室)県が独自に設けたモニタリングポストによる、空間線量率の測定結果を表示するシステムであり、系統としては独立したもの。
- 同じ業者がチェックすれば、同様の見落としをしかねない。そういう意味で、独立であったか。
(立地地域対策室)当該システムの納入業者と発電所のトラブルのメーカーとを突き合わせをしているわけではなく、その意味で独立であるといっている訳ではない。
(原子力局)環境モニタリングについては、平成10年度に科学技術庁で交付金を出し、全部チェックしたはずであったが、結果として遺漏があった。なぜ対策し得なかったのか検証し、今後に反映していく。
- 2月29日等、クリアすべきハードルが残っていると言われているが、問題ないか。
(通商産業省)今回の経験も踏まえ、対応していく。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)議事録の確認
- 事務局作成の資料3第1回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
- (3)原子力委員会専門委員の変更について
- 標記の件については、人事案件であることから非公開審議とした上で、事務局より資料2に基づき説明がなされ、案通り了承された。
なお、事務局より、次回は、平成12年1月14日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。