第78回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年12月28日(火)10:30~12:00
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
興局長
中澤審議官
政策課 田口、大島
原子力調査室 伊藤室長、村上、池亀、鯉渕
原子力安全局
原子力安全調査室 干場室長
外務省
科学原子力課 中村、森田
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力産業課 星野
開発課 鎌田
原子力発電課 中村、馬場
原子力発電安全管理課 坂内、門野
吉舗専門委員
-
4.議 題
- (1)ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告について
(2)平成12年度原子力関係予算政府原案について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告 |
資料1-2 | 原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告の概要 |
資料2-1 | 原子力関係事業の進捗状況(外務省) |
資料2-2 | 平成12年度通商産業省原子力関係予算案の概要 |
資料2-3 | 平成12年度科学技術庁原子力関係予算政府原案 |
資料3 | 第77回原子力委員会定例会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1)ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告について
- 標記の件について、原子力安全調査室より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- 報告書は、Ⅶ章までが事故原因と背景及びそれに対する対策であり、Ⅷ章が総括という構成なのか。
(原子力安全調査室)Ⅷ章の結言は、全てを通した上での長期的問題について、問題提起と方向性を示したもの。Ⅶ章以前は各々の問題に対して個々に分析し、対策を出来る限り示したもの。Ⅶ章の最後が普通の意味でのまとめに相当する。
- 被ばく者の数が増えたが、どういうことか。
(原子力安全調査室)事故時に測定器を着用していた人については、最初の段階で被ばくしたことが分かった。防災のために働いた人々については後から判明し、被ばく者に加算された。JCO社員全体についてはまだ報告されておらず、また一般住民の方々については行動調査中であり、実際の被ばく者数は判明していない。従って被ばく者数は、今後変更があり得る。なお、実際上影響がない被ばく量の人も被ばく者として加算すべきかという問題については、まだ整理できていない。
補償の問題についてはどのようになっているか。
(原子力安全調査室)事故調査委員会の扱う範囲ではない。国民からの意見募集でも同様の質問が来ているが、原子力安全委員会が引き取った上で関係部局が取り扱うこととなっている。
(原子力局)賠償問題は事業者が負うものであり、JCOが窓口を設けて対応している。科学技術庁でも東海村役場内の窓口で対応しており、被害の実態が見えてきたところである。健康診断や350m圏内からの退避等、明確なものについては賠償金を支払うが、それ以外については仮払いとして請求額の半分を年内に支払う。最終的な賠償金額については科学技術庁に設置した原子力損害調査研究会が定めた基準に則って支払うことになるが、その基準に対して合意が得られるかどうかが問題である。
- 事業者の内部にあって、安全を担保する専門性を持った人の存在が重要である。JCOには核燃料取扱主任者の免状を受けた者が7名いて、そのうち1名が選任されていたが、臨界管理基準の策定に参加していない。専門的な主任技術者が組織における権限を担保されていないと、実質的に機能しない。その点について議論されたか。
(原子力安全調査室)Ⅲ章31頁に、「技術管理上の適正な手続きが定められていなかった」と指摘されており、これに対して、核燃料取扱主任者が手順書等の策定に参画する必要があるとの指摘がなされた。
- 主任技術者の権限が確立しないと、当事者能力、当事者責任が果たせない。資格を取得するだけでは、人数がいても機能しない。将来のためにも、有資格者の地位を確立する必要がある。規制当局等の外部との緊張関係とあいまって、組織的に確立すべき課題である。
- 主任技術者とⅥ章19頁の「安全管理のキーパーソン」、Ⅶ章8頁の「危機管理のキーパーソン」との関係は。
(原子力安全調査室)核燃料取扱主任者については、Ⅲ章、Ⅵ章、Ⅶ章に、事業を進めていく際の安全管理の要としての立場を明確化して、安全管理へ参画させるという趣旨の記載があるが、防災対策上のキーパーソンと必ずしも同一人物であるいうことではない。
- JCOに限らず、日本の組織における中間管理層の権利、義務、責任が明確でないという問題がある。これからの原子力に対する安全規制は、どうあるべきか。事故調査委員長コメントにもあるが、規制強化にも限度がある。報告書が言及している世界は広く、全体をどう処理していくかが大事である。今まで対処してきたことも、社会的に見れば必ずしも十分ではない。
- 様々な観点から議論があったことと思うが、少数意見はどうであったか。
(原子力安全調査室)意見の相違は議論によって調整されており、報告書は両論併記としていない。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)平成12年度原子力関係予算政府原案について
- 標記の件について、外務省より資料2-1、通商産業省より資料2-2、科学技術庁より資料2-3に基づき説明があった。これに対し、
- 国際原子力機関(IAEA)への米国の拠出状況は。
(外務省)米国は安全保障、政策推進に関わる機関との視点から、IAEAには遅滞なく拠出しているものと承知している。
- RCA(Regional Cooperative Agreement:地域協力協定)等の配分の内訳、特にRCAへの配分は定まっているのか。
(外務省)詳細についてはこれから詰めることになる。9年度までは、約45万ドルがRCAへの毎年の拠出金であった。12年度についても、これがひとつの目安となろう。
- アジア協力フォーラムとの関係もあり、12年度予算でRCAが復活したことには象徴的な意味がある。今後ともがんばって欲しい。
- IAEAの分担金と日本人職員の関係の問題がなかなか解決しない。日本の原子力業界には、IAEAに派遣する人材が不足しているとは思わない。21世紀に日本が世界に貢献していく上で、国際機関における日本の人的貢献が重要で、原子力委員会としてもその実現を支援してゆく所存である。
- 通商産業省の広報予算について、どのような広報をするのか。企画の段階で、一般消費者の視点を活かすようにして欲しい。
- 技術開発について、公募方式の支援制度が出来たことを評価する。ただし、原子力技術の実用化プロセスを認識しておかないと、技術が育たない。新しい試みであるだけに、様々な角度から検討して進めて欲しい。
- 公募方式の推進は、どこが実施するのか。
(通商産業省)エネルギー総合研究所経由で実施する。
- 面白い技術が成長してくることを期待する。
- 科学技術庁予算について、省庁再編後は、電源開発促進対策特別会計(電源特会)はどのようになるか。
(政策課)電源特会法の政令等で使途及び担当省庁を定めているので、所要の改正を行い対応する。
- 定員をむやみに削減すると下請企業に負担を課すことになり、安全確保の観点から問題があるという指摘がある。今後考えていくべき課題である。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料3第77回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は、平成12年1月7日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。