原子力政策円卓会議(第9回)議事概要

  1. 日 時
  2.  8月7日(水) 午後1時30分〜午後5時30分

  3. 場 所
  4.  東條会館(東京都千代田区麹町1−4)

  5. テーマ
  6.   「原子力開発利用の未来は?」  −核燃料リサイクル−
     (1)核燃料リサイクルの意義・展望
     (2)再処理
     (3)高速増殖炉開発の意義
     (4)プルサーマルの意義
     (5)バックエンド対策、特に高レベル放射性廃棄物処分の展望

  7. 出席者
  8. 議事概要
  9. 注1:文章整理の関係から表現が必ずしも発言通りではない場合がある。
    参考別紙
    「原子力政策円卓会議開催に当たっての基本的事項」[別紙1]
    「招へい者の方から提出のあった資料等」[別紙2]
    「核燃料リサイクルに関わる議論の視点」[別紙3]

《伊原原子力委員会委員長代理挨拶》

《モデレーター冒頭挨拶》

《自由討論》

□巻町住民投票について
┌─────────────────────────────────┐
│巻町の住民投票の結果について                   │
│・十分時間をかけて議論した上のものであり、結果を率直に認めるべき。│
│ 住民の理解不足というべきではない。               │
│・国策と地域との関わりをどのように考えるのかについて問題提起された│
│ ものと理解。立地地域だけの問題ではなく都会の人たちも共有の認識を│
│ 持つべきことを問いかけている。                 │
│・エネルギーについてもっと本質的な問題を直接対話をできればもっと理│
│ 解が進んだのではないか。                    │
│・あのような問いかけに対してよく4割も賛成したというのが率直な感想│
│・自治体の長としては、住民を二分にすることがないような解決に努力す│
│ るべき。                            │
│ との意見が出された。                      │
│ また、原子力委員会からは住民投票の結果に関する委員長談話が紹介さ│
│ れた。                             │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □原子力政策関連
 ┌─────────────────────────────────┐
1│原子力に関して、                         │
 │・21世紀のエネルギーセキュリティーを考えるとエネルギー源の多様化を│
 │ 図ることが重要であり、原子力は基幹エネルギーの大きな選択肢の一つ│
 │・我が国において、新エネルギーや省エネルギーに期待することは困難な│
 │ 状況であり、原子力、プルトニウム利用に関する安全性を高めつつ、技│
 │ 術を信頼しながらやることに国民の合意を得る努力をするべき。   │
 │ との意見が出された。                      │
 │ これに関連して、原子力の他にも選択がないかも含め議論をしてエネル│
 │ ギー政策を作るべきとの意見が出された。             │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│現在の原子力政策は、国民全般の合意が必ずしも充分ではなく立地地域で│
 │は対応に苦慮している。国民的な議論を踏まえ、改めて国民合意を図るべ│
 │きとの意見が出された。                      │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
3│大間に計画されているABWRを例に、原子力の開発手順への疑問が示さ│
 │れた。                              │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □核燃料リサイクル関連 (1)核燃料リサイクルの意義、展望
 ┌─────────────────────────────────┐
1│核燃料リサイクルについて、経済面、資源面、安全の面も含め総合的に評│
 │価することが必要との意見が示された。               │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│ 核燃料リサイクルの意義について、資源的側面及び環境影響の側面から│
 │以下の意見が出された。                      │
 │○資源的側面                           │
 │・原子力発電所からは必ず使用済燃料がでてくる。それを資源として有効│
 │ 活用する事が重要。                       │
 │・国際関係の観点からエネルギーセキュリティー上はマイナスであり、ま│
 │ た、プルトニウム増殖は、人的資源、労力の観点から資源の有効利用に│
 │ はならない。                          │
 │○環境的側面                           │
 │・再処理により、環境へのかなり大量の放射能が放出されるとともに、廃│
 │ 棄物を体積的に増大させるものである。また、プルトニウムを燃やすと、│
 │ また使用済燃料が出てくるのでプルトニウムが消えるわけではないし、│
 │ 放出放射能の影響評価はされているだろうが出さないで済むならその方│
 │ がいい。                            │
 │・再処理により放射能量は明らかに少なくなるし、処分時の全体の容積に│
 │ ついても増大させるものではない。また、再処理による環境への放射性│
 │ 物質の放出については、安全審査において問題ないと評価されている。│
 │ との意見が出された。                      │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
3│・プルトニウムの需給計画について、高速増殖炉の計画が遅れてきたよう│
 │ に、プルトニウムの消費が足りなくなり生産がだぶついてくるのではな│
 │ いかという意見が出された。                   │
 │・これに関連して、プルトニウムバランスで重要なのは、回収されたプル│
 │ トニウムが充分使い道があるという点。六ケ所再処理工場から回収され│
 │ る予定のプルトニウムは日本中の軽水炉燃料の10%以下であり、これは│
 │ 適正な規模であるとの意見が出された。              │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
4│・使用済燃料の直接処分に関して、地層への熱的な影響、地下水との相互│
 │ 作用等の基礎的な研究が不足しており充分議論ができないとの意見が出│
 │ された。                            │
 │・また、これに関連して、地層処分の基礎的な研究としてプルトニウムを│
 │ 含む使用済燃料よりガラス固化体の研究を優先することは自然との意見│
 │ が出された。                          │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
5│ 使用済燃料の処理に関して、                   │
 │・現在でも原子力発電所から使用済燃料が発生しているのに、リサイクル│
 │ するか直接処分するかの狭い選択を今ここで議論していること自体、地│
 │ 元としては釈然としない。国として方向付けする一層の努力するべき │
 │ との意見が出された。                      │
 │・これに関して、モデーレターよりそもそも円卓会議がそういう議論をす│
 │ るということが前提になっているという説明と、一昔前は当たり前と考│
 │ えていたことでも、様々な問題が噴出したためそれが問われているとの│
 │ 意見が出された。                        │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
6│使用済燃料貯蔵の長期化に備え、敷地外の中間貯蔵施設を設けるべきとの│
 │意見が出された。                         │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □高速増殖炉開発関連
 ┌─────────────────────────────────┐
1│ 高速増殖炉に関して、                      │
 │・他の先進国はプルトニウム増殖路線から撤退しているし、半世紀研究開│
 │ 発をしてきてもまだ成果が出ておらずフィージビリティーがあるとは思│
 │ えない。                            │
 │・諸外国がやめているからやめるというのは、日本が先進国を追いかけて│
 │ 来た頃の考え方。将来の重要性を考え研究開発に努力を傾注するべきで│
 │ あり、開発のためのチェック・アンド・レビューの体制を整えるべき。│
 │ との意見が出された。                      │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
                 
 ┌─────────────────────────────────┐
2│・将来の高速増殖炉のあり方について充分時間をかけ幅広く議論をするた│
 │ め、原子力委員会に「高速増殖炉懇談会」のような懇談会を設置するべ│
 │ きであるとの意見が出された。                  │
 │・これに対し、原子力委員会からその方向で検討したいとの見解が表明さ│
 │ れた。                             │
 │・また、その懇談会に関して、密室の議論にならないようにしてもらいた│
 │ い、将来のエネルギーのあり方をベースにした議論をしてもらいたいと│
 │ の意見が出された。                       │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
3│・「もんじゅ」の事故については、徹底的に調査検討し、あらゆる角度か│
 │ ら総点検し安全性を確認するべきという意見がでた。        │
 │・これに関連して、原子力委員会から、規制当局、安全委員会でそのよう│
 │ に進められているとの認識が示された。              │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □プルサーマル
 ┌─────────────────────────────────┐
1│・プルサーマルは、使用済MOX燃料の再処理の問題や社会的安全性の問│
 │ 題が生じるなど問題が拡大するにも関わらず、経済的にも資源的にもメ│
 │ リットはない。                         │
 │・リサイクルというのはそれ自体面倒でいろいろな困難が伴うもの。天然│
 │ ウランを海外から買っている日本としては、プルサーマルは立派な資源│
 │ の節約であり、プルトニウム利用技術を育てていく重要なステップ。 │
 │・プルサーマルの実施には、国民的な合意が必要であるが、現在はそれが│
 │ 充分でなく、この場で議論している段階。このような状態でプルサーマ│
 │ ルの実施は困難。                        │
 │ との意見が出された。                      │
 │ これに関連して、原子力委員より、プルサーマルは充分意義のあるもの│
 │ であり、今後国民的合意が得られるよう努力するとの意見が出された。│
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □六ケ所核燃料サイクル施設関連
 ┌─────────────────────────────────┐
1│・六ケ所核燃料サイクル施設における廃棄物の将来計画が不明確である │
 │ という意見について、事務局より将来計画に関する事実関係が    │
 │ 説明された。                          │
 │・また、説明のあった事実関係について、地元でもよく説明し、青森の住│
 │ 民に安心感を与えるようにしてもらいたいとの意見があった。    │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│六ケ所サイクル施設について、                   │
 │・燃焼度の高い燃料を再処理するようであるがそれがどのようなものか │
 │・濃縮工場の劣化ウランを将来どう利用するか            │
 │・MOXの使用済燃料がまた青森に帰ってくるのか          │
 │ などについてきちんとした説明が無く、現地としては納得理解できない│
 │ との意見が出された。                      │
 │ これに関連して、                        │
 │・高燃焼度の燃料はエネルギーがたくさん取り出されているのでその分高│
 │ レベル廃棄物が多く含まれている。                │
 │・MOXの使用済燃料は計画的に貯蔵し、劣化ウランとともに高速炉で使│
 │ っていくことが正しいと思う。                  │
 │ との意見が出された。                      │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □バックエンド対策関連
 ┌─────────────────────────────────┐
1│・バックエンド対策について、世代間の公平として我々が責任を持ってや│
 │ るべきなのかも含め、きちんとその方法について議論をするべきという│
 │ 意見が出された。                        │
 │・また、廃棄物については、世代責任の問題があり、きちんと対応するべ│
 │ きであるが、研究は産業界の利害と独立した機関でするべきとの意見が│
 │ でた。                             │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要) □円卓会議関連
 ┌─────────────────────────────────┐
1│円卓会議の議論のとりまとめやモデレーターの役割が不透明という意見が│
 │出されたことに対して、モデレーターより、             │
 │・円卓会議の意見をとりまとめ原子力委員会に提言するのがモデレーター│
 │ の役割                             │
 │・モデレーターのあり方も含め、今後の円卓会議のやり方については検討│
 │ していきたい                          │
 │との見解が表明された。                      │
 │ また、円卓会議はよく努力しているが、「国民の意見を聞いていない」│
 │という問題は常に残るので、別の形で議論を発展させることを考えてもよ│
 │いとの意見が出された。                      │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│国民の意見を国政に反映させる方法に関する議論が不十分であるとの意見│
 │が出されたのに対して、モデレーターより、既に原子力委員会に見解を求│
 │めており、その答を受けて考えるべきとの見解が表明された。     │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
3│他の発言者の意見を前もって提出してもらいその要点を説明してもらいた│
 │かったという意見が提出された。これに対して、モデレーターからフリー│
 │な議論を多くする観点や、出席者の準備時間の余裕がないことからこのよ│
 │うなやり方でしているとの説明があった。              │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
4│議事の進行について、原子力委員の意見を聞きたいとの意見がでると原子│
 │力委員を指名するのではなく、ポリシーを持って議事を進め、原子力委員│
 │会には意見をまとめ提言として出すべきとの意見が出されたことに対して│
 │モデレーターより、今回は原子力委員からの発言がなかったから求めたも│
 │のであり、原子力委員会を追及するつもりはないとの説明がなされた。 │
 └─────────────────────────────────┘
(議事の概要)

《モデレーター閉会時発言》

《伊原原子力委員会委員長代理閉会挨拶》
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