原子力政策円卓会議(第8回)議事概要
- 日 時
- 7月24日(水) 午後1時30分〜午後5時30分
- 場 所
- パシフィコ横浜
- (神奈川県横浜市西区みなとみらい1−1−1)
- テーマ
- 「原子力は何をもたらすか?」
- −原子力と社会との関り
-
- (1)人間文化・社会と原子力
- (2)原子力の安全確保
- (3)安全と安心
- (4)立地地域と消費地
- (5)原子力に関する教育、広報
- (6)情報公開、政策への反映
- 出席者
- モデレーター
- 茅 陽一 東京大学名誉教授
- 五代 利矢子 評論家
- 鳥井 弘之 日本経済新聞社論説委員
- 西野 文雄 埼玉大学大学院政策科学研究科長
- 一般からの参加者・招へい者
- 有馬 朗人 理化学研究所理事長
- 岩崎 駿介 筑波大学社会工学系助教授、
- 市民フォーラム2001代表
- 神田 啓治 京都大学大学院エネルギー科学研究科教授
- 京都大学原子炉実験所教授
- 久米 三四郎 元大阪大学理学部講師
- 齋田 智恵 原子力モニター 愛知県
- 諏澤 定雄 一般公募広島県
- 須藤 富雄 東海村長
- 宅間 正夫 東京電力株式会社取締役
- 田村 和子 共同通信社論説委員
- 西崎 真 一般公募大阪府
- 萩原 真理 原子力モニター 静岡県
- 藤田 明史 一般公募 兵庫県
- 三浦 由紀 一般公募 山梨県
- 原子力委員
- 中川 秀直 委員長(科学技術庁長官)
- 伊原 義徳 委員長代理
- 田畑 米穂 委員
- 藤家 洋一 委員
- 依田 直 委員
- (敬称略 五十音順)
- 議事概要
注1:文章整理の関係から表現が必ずしも発言通りではない場合がある。
- 参考別紙:
- 「原子力政策円卓会議開催に当たっての基本的事項」[別紙1]
- 「一般公募・原子力モニター参加者発言要旨」[別紙2]
- 「基調発言要旨」[別紙3]
- 「基調発言者以外の方から提出のあった資料等」[別紙4]
- 「原子力政策円卓会議への提言」[別紙5]
《中川原子力委員会委員長冒頭挨拶》
- 本日の円卓会議では原子力モニターから2名、一般公募から4名を抽選で選び、初めて一般の方からも参加をいただいている。専門家の視点とは違った、市民の皆様ならではの視点からの率直な意見を期待している。
- 本日は、「原子力が社会にどう受け取られているか」という観点からの議論であり、安全の問題、教育・広報のあり方の問題、情報公開の問題などが考えられる。また地域社会との関りという観点に立てば、立地地域と原子力との関係と言った点も議題に入ると考える。
- 各界の第一線で活躍の方々と一般の方々が一同に会して議論するにふさわしいテーマであると考える。
《モデレーター冒頭挨拶》
- 最初の4回の円卓会議で、原子力を巡る大方の論点は摘出されたと考える。これまでの議論は、原子力と社会、エネルギーと原子力、原子力と核燃料リサイクル、原子力と社会との関りの4分野に要約できる。
- 今回のテーマについては「人間文化・社会と原子力」、「原子力の安全確保」や「安全と安心」、「立地地域と消費地」、「原子力に関する教育、広報」、「情報公開」、「政策への反映」などの項目が議論のヒントになると考えるが、自由な発想で議論いただきたい。
《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》
□エネルギー一般
- 原子力の問題を考えるに当たり、国民一人一人がエネルギー事情や炭酸ガス規制を念頭において考えているのか疑問。太陽熱、風力、地熱の実用化までには時間がかかることもあり、それまでは資源の有限性、日本人の潜在的核アレルギー、安全性への疑問はあるものの、炭酸ガスを排出しない原子力の意義を改めて国民が認識する必要がある。
- 使わない、我慢するということは省エネルギーではない。必要なエネルギーを効率よく使っていくことが重要。今後も設備、意識面で国として省エネルギーを進めていくことが重要。
- 我が国はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っており、政情の不安定な国からも輸入している。供給安定性、炭酸ガスを出さないという特質をもつ原子力は安全に十分な注意を払いつつ進めて行くべき。また特定のエネルギーに偏るのではなく、様々なエネルギーの長所を組み合わせて利用していくことが現実的。
- 子供の頃から日常生活の中でエネルギーに対する意識づけを図っていくべき。また地球規模の資源問題、環境問題に関わっていくためには世界的視野も必要。学校教育の中で、総合的な実生活と関連づけたエネルギー教育を取り入れるべき。
□原子力一般
- 50年程前に、仁科博士の講演で「ウラニウムの核分裂反応は富士山の砂粒以上のもののもつエネルギーの反応」と聞いて「とんでもないものができた」と感じた。
- 強力なエネルギーをもつ原子力を、人類がどう制御していくのかが大変な問題である。
- チェコの教育学者のホメニウスの「あらゆる政治の根本問題は教育である。」という言葉がある。その人の教授法の4原則は 1、実物教育をせよ。 2、断層性をもて。3、模倣段階を経よ。4、実習せよ。
- 明治のある先人が「人間は用意を極めて、用意を通し、その実感が持てるべく、それぞれの仕事、科学、様々なものをやっていけ」と言ったが、これが原子力の研究者、国民のもっている原子力に対する気持ちではないか。
- 原子力には莫大なコストがかかると新聞等で報道されているにも関わらず、相変わらず低コストと言い続けているのは疑問。
- 現在の原子力開発利用は反対意見や問題点を指摘されても、話し合いをすることなく強引に押し通している感じがする。話し合いの場をもち、きちんと意見を聴いて、政策に反映してほしい。
- ガンの発生メカニズムの解明や治療法の確立、放射能の消滅技術の確立は、原子力技術の社会的評価を全く違ったものとする。こうした技術が今後どのくらい進歩するかという技術予測は、現在の原子力政策を立案する時にも大きく影響するものであり原子力委員会の見解を聞きたい。
□リサイクル政策関係
- 高速増殖炉開発の凍結、使用済燃料の再処理の放棄、及び軽水炉原発の段階的縮小の方向に原子力政策を転換すること、要約するとプルトニウム・リサイクル政策からプルトニウム・ミニマム政策への転換がより合理的な選択と考える。
- 「もんじゅ」の安全審査体制そのものに「設計ミス」があった。「もんじゅ」は永久停止、すなわち核燃料サイクル全体の再検討まで視野に入れてやり直すべきである。
- アジアの人々に核兵器開発の危惧を抱かせる高速増殖炉、核燃料リサイクル路線は転換するべき。
□高速増殖炉及び「もんじゅ」関係
- 高速増殖炉の商業化が主として電力会社の私的決定に委ねられるならば、早晩、開発が延期ないし中止されるであろう。ゆえに単に経済性だけでなく、より広い視野から、高速増殖炉の正当性と合理性を検討するべき。そのためには公共的意思決定が必要。
□バックエンド関係
- 高レベル放射性廃棄物の処理処分のように現在の決定が未来の社会に影響を及ぼす問題は、一部の人間だけにより決定されるのではなく、未来の人間がどう考えるであろうかということも考慮に入れ、国民が決定を行うべき。
□安全関係
- 地震に関する安全基準が、絶対的に安全を保証できるものではないという不安がある。活断層の存在が、現在設定されている安全基準を脅かす大きな不安要因。専門家も地域住民と同様に危機感をもって対処するべき。
- 事故は絶対にあってはならないが、最悪事故発生時の対処方法は考えておくべき。
□国際関係
- 他国の原子力の安全性を把握し、もし危険があるのであれば、申し入れを行うべき。
□教育・理解増進関係
- 事故発生時、その内容が的確に公表されることは当然だが、国民はその内容を判断する能力を持つことが重要。
□立地地域と消費地関係
- 原子力発電所が本当に安全であるならば、過疎地域でなく、エネルギーを多く消費する大都市につくるべき。過疎地域なら被害が少なくて済むという理由でおくのであれば間違い。
□情報公開関係
- 一般国民は原子力の知識を豊富に持ち合わせていないため、事故の程度について理解、判断することが難しい。「もんじゅ」の事故では、ナトリウム漏れという科学的不安よりも、事故後の対応などに不安を持ったのでは。一般国民は科学的部分に注目するよりも、原子力を運営管理している側の動きや対応に敏感である。
- 一般国民にとって、原子力政策への信頼感をつなぐものは情報公開、情報提供である。原子力という性格上、軍事技術に移転流用されないよう、公開できる部分、公開しなければならない部分、支障が出るので公開できない部分をはっきりと区別した情報公開制度を充実するべき。
- マスコミにはより一層分かりやすく公正な報道を望む。そのためにはより一層の情報公開が必要。
- 情報が与えられないままでの住民投票に意味があるのか疑問。
- 第三者的立場で、デメリットも含めて情報公開を行うべき。
《基調発言》
□リサイクル政策関係
- 再処理工場計画の延期により、発電所内での使用済燃料の保管量が増大し、長期保管をせざるを得なくなる状況にあるため、早急、適切な対策が必要。
- 有限の資源を今の世代で使い果たしてしまうべきではない。資源有効活用のため、国は、核燃料サイクルの必要性などをもっと解りやすく国民、諸外国に説明し、理解と信頼が得られる対応をすべき。
□バックエンド関係
- 再処理施設、核燃料加工施設や廃炉解体等により発生する放射性廃棄物の処理処分に関する技術基準や制度といった将来計画を早急に決定し、実行すべき。
□社会と原子力
- 原子力施設の安全確保や住民の生活環境の保全のための措置は、法律上、国が一元的に管理監督を行い、地方自治体の関与権はないため、東海村周辺では、茨城県東海地区放射線監視委員会を設けたり原子力安全協定を結ぶなどして、環境への放射性物質の放出量の規制、新増設の事前了解、立ち入り調査、事故故障の通報基準を決めるなど、行政としてできうる措置を取ってきている。
- 小さな村ではあるが、40年間原子力施設と村民が共存共栄し、資源小国日本のエネルギー政策に貢献したとの自負をもっている。
- 平成6年に決定された原子力長期計画のわずか1年での変更や、もんじゅ事故の発生により国民に不安を与えている。国を始め原子力関係者の総力を挙げて、国民の理解と信頼の回復に努めなければならない。
- エネルギーの重要性、原子力の果たす役割や必要性、適切な情報公開、消費地の理解を得るなど、国がすべきことはし、広く国民の意見を集約しての原子力政策の再確認など国民的合意形成を図るべき。
- 原子力防災対策は、市町村や一県での対応は不可能。国の一元的責任による安全規制上での防災対策を明確にした原子力災害対策特別措置法(仮称)を制定し、国が直接防災の指揮をとれるようにすべき。
□立地地域と消費地関係
- 国主導の利益誘導型原子力立地政策は既に破綻している。
- リードタイムは長期化の一途をたどり、90年代には25年を越えた。これは、原子力発電が国民の支持を失ったことを示している。
- 通産省も科学技術庁も新規立地の困難さを認め、より細かな利益誘導政策で対応しようとしている。既に失敗した利益誘導政策を再度行うというのでは、政策とはいえない。
- 国主導の利益誘導型立地政策は、「原子力施設の安全を国が保障する」ことはできないのにできるかのように振る舞う国と、国からの給付金は”危険手当、迷惑料”であることを知りながら「安全は国に任せていただけるものはいただこう」とする地方自治体とのあいまいな阿吽の合意によって成り立っている。
- 「原発が安全ならなぜ東京に作らないのか」との問いかけに対して、国は、過去の法廷では「非居住地域や低人口地帯に必要な範囲は事実上敷地内に入っており、東京でもいけるが、地盤、冷却水等を考えると都心にできるか判断がつかない」と応えている。これに関係する先日の伊原さんの発言が後で訂正されているが、情報公開の始めにこの点をまずはっきりさせるべき。
- 「利益誘導型立地政策」により「電力生産は過疎地で、電力消費は都会で」の構図ができた。これにより、権力、金力の圧力によって立地地域の人間関係に亀裂が生じ、原子力政策に対する警告である珠洲市長選挙やり直し決定などにより「輝かしい原子力」が道義的な支持を失って「不潔な原子力」に転落するなどの「ゆがみ現象」が生じている。
- 先進国の任務はエネルギーをいかに減らしていくかということであり、また、昨年10月の電気事業法改正により電気の卸売りができるようになったが、それに応募が殺到している状況を考えると、今更電源立地の促進がなぜ必要なのか疑問。現在の利益誘導型の電源立地促進政策は、時代遅れではないかと思われるので、ぜひ、円卓会議で議論してほしい。
- 東海村では、原子力施設立地を村の発展につなげようと考え、日本で初めての原子力立地を決定した。昭和30年当時は人口約1万1千人の小さな農村であったものが、現在では、人口は約3倍、就業構造でも第二次産業が39%、第三次産業が53%と大きく変貌した。
- 既存立地地域の恒久的地域振興のために、電源三法を抜本的に見直すべき。
□円卓会議関係
- 一昨年6月の原子力長期計画に基づく原子力政策の破綻は明白であり、その理由の検討を行わない円卓会議では、「大山鳴動してねずみ一匹に」終わる。
《他の招へい者の所感》
- エネルギー源が50年でほとんどなくなること、新エネルギーはせいぜい家庭電力であることなど、エネルギーに関する問題を一般国民や小中学生に教育する必要がある。エネルギー源が枯渇するであろうということを十分国民に知らせた上で、エネルギー源の選択ができるようにすべき。
- 使用済燃料は貴重な物質の宝庫であり、研究をすべき。オメガ計画はその実現をはかるべきである。
- 各種の交通機関、発電所などのリスク評価を、公害による喘息といったことまで含めて行うべきである。
- 原子力を含め、巨大科学等のリスク評価を行うべきである。
- 情報公開については、早急な対応を原子力委員会にお願いしたい。
- 原子力委員会そのものが考えるべき数多くの指摘が久米さんからあった。萩原さんがまとめた疑問点は率直なもの。藤田さんのいわれた一部の人による決定と時間と空間を超えた波及という点などに共通部分を感じた。
- 情報公開の重要性をここで強調しても、既に求められている情報自体が公開されていない。結論を待つのではなく、発電原価など今必要とされる情報を公開していくことが、円卓会議での発言に誠意をもって応えることになる。
- 円卓会議に対する不信感については、プロセスについて、第4回から第5・6回に移る時にもっと努力しておくべきだった。信頼感を取り戻すためこの点に腐心すべき。
- 原子力学会の中の教育委員会で、教科書がどのくらいエネルギー問題を間違って記述しているかを3年間かけて調査し、間違いの内容と望ましい教育について、先ほど文部省に要望書を提出した。
- 情報公開に関してマスコミにお願いがある。事故通報の責任者をしている者としての意見であるが、何分遅れたとうるさく言われる度に、結局情報が混乱してしまう。事故発生がわかったとたんに、責任者が全てのことを把握することはできないので、情報をきれいに整理して正しい情報を伝えるには、時間がかかることを理解して欲しい。
- 電気事業者の役割には、今の世代に安くて品質の良い安全な電気を送ることと、後の世代にも送り続けることとがある。
- 今の世代については、原子力は石炭、天然ガスとともに脱石油3本柱の一つとして、安全性、信頼性、経済性の向上努力により、30%を占める重要な電源となっており、電気事業者として、コスト、信頼性面でも自信を持っている。
- 後の世代のために長期的なエネルギー資源としてウラン資源をリサイクルして使うためには、再処理、プルトニウム利用、FBRなど、設備とともに、技術、人材育成、R&Dといったソフトも含めて、インフラを整備することが今の世代の責務である。
- 原子力開発とリサイクルは、世界規模で見てもエネルギー資源の増大に寄与できる。
- 今、世界の貧富の格差は拡大し貧しい国がでてきている。そういう国々がこれからの発展のきっかけをつかむためには、エネルギー、中でも使い易い化石燃料が必要であり、先進国は原子力を使い、これらの国々に化石燃料を使ってもらえるように、エネルギー市場を緩和していくことが重要である。
- 石油ショックの時には、IEAで石油火力の新設中止が国際ルールとして決まり、省エネルギーと新エネルギー開発、脱石油が進んだ。二酸化炭素についても、IPCCで国際ルールが制定されれば、これの達成のため、省エネ新エネルギーは勿論だが、原子力のより効果的な活用を国際的に協力しながら進めていくことが重要となる。
- 原子力発電所では地元の人が働いており、安全であることは企業の存続の条件となっている。
- 安全は理解されにくく、そこでは、原子力に携わっている人間に対する信頼感が大切となる。
- 情報公開、透明性が重要だが、情報は発信側と受け手側のレベルによって、正しく理解されるかどうかが決まる。一つはメディアの問題であり、また、受け手側の一般教育の問題も重要である。
- 円卓会議が開かれたからには、原子力委員会としても原子力政策の見直しに重大な決意を持って臨んでいるのであろうということを深く心にとめた。
- 原子力利用については肯定的な立場に立つ部分が多いが、しかし、原料、廃棄物、取水、立地の問題など日本の環境容量から見て、電力の3割という現状以上の原発依存は難しいのではないかと思っている。
- 日本のエネルギーの少なさから言えば、一つの太い綱につかまっていることはできず、いくつもの細い綱を寄り合わせてそれにつかまってなんとか生きていくというのが日本の姿ではないかと思っている。
- 高齢化社会を迎えて、安全でクリーンな電気は必需品ではあるが、これまでのように需要にあわせて供給する時代ではなく、環境の問題も含めて、エネルギー消費を抑えるという政策を国全体で考えて行くべき。
- 指摘のあった、マスコミ報道の問題については、当事者として心に重く受け止める。多様な世の中では、科学担当の記者が一つの事象をきちっと捕らえて正しく報道することが難しく、この点については、心にとめて後輩指導等にあたらねばならないことを自覚している。
- 受け手である国民の原子力等への理解の度合いにも問題がある。国民が自分が判断できるまでの情報を持つことができ、それを理解できることが必要である。原子力や環境の問題をきちっと捕らえて、感情的でなく理解をして自分の意見を言う国民を育てることを教育において考えなければいけない。
《自由討議》
□円卓会議関係
┌─────────────────────────────────┐
│・円卓会議の議論がどのように政策に反映されるかについて、円卓会議の│
│ 発言者有志17名からの要望書が提出されたことに関し、 │
│ 原子力委員会から、 │
│・円卓会議では結論に予断を持たず、審議をつくすことが基本 │
│・政策に反映すべき事項が摘出された場合には、原子力委員会の専門部 │
│ 会、関係省庁などで具体的に検討する。 │
│・既に要請のあった情報公開等については検討を進めている。 │
│ との見解が示された。 │
│・また、モデレータから、個人的な見解として │
│・提言については、原子力委員会で充分検討してもらいたい。 │
│・このような提言は、本来モデレータがするものであるが、それは難し │
│ い。どのような形で提言がされることがいいか、相談して対応してい │
│ きたい。 │
│ との見解が表明された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
<提言の説明>
- これまでの会議で、何人もの人が「円卓会議での発言がどのように政策に反映されるのか」について疑問を呈したが、それについての討議枠が設定されないまま、進められていることから、先日、第1回から第6回までの円卓会議で発言した有志17名により、「円卓会議での意見を政策へ反映する具体的方法を明らかにすべし」という趣旨の「提言書」を提出した。
<原子力委員会>
- 原子力委員会としては、円卓会議をより実りのある会議となるよう心を配っており、この観点から、提言については、誠意を持って対応する所存。
- 円卓会議の目的について提言があったが、これまでも委員長も何度も申し上げているとおり、円卓会議では結論に予断を持たず、審議を尽くすことを基本としている。
- 円卓会議での議論の成果は、的確に政策に反映させていくため、政策に反映すべき事項が摘出された場合は、原子力委員会の専門部会、関係省庁などで具体的に検討する。既に、原子力委員会は円卓会議より「情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進」について要請を受けており、検討を進めているところである。
- 今後とも、モデレーターと相談しつつ、円卓会議が実りあるものとなるよう努めていく。
<モデレーター>
- 提言の内容そのものは考慮すべき点が多々あり、原子力委員会で十分検討してもらいたい。
- 円卓会議から委員会へ提言を行うプロセスは、本来、モデレーターが、参加者皆様の意見を聞き、提言案をまとめ、皆様に諮った上で提出するのが望ましいと考える。モデレーターは、そうしたリエゾンであるべきと考えている。しかし、そうしたことを行うには、メンバーが毎回違い、了承のプロセスがとり難いこと、現在の開催頻度では、専従でないこともあり、モデレーターが全ての会議に出席し、意見をくみ取ることは難しいことから、現状では大変難しい。
- 今回の招へい者からの提言は、タイムリーではあるが、それが一番いい方法とは思わない。運営、モデレーターの選定を含め、相談し検討させてほしい。ただし、これだけの会議なので、今すぐ対応できるものではない。今後、十分考え、モデレーターがモデレーターらしいことをできるようにしていきたいと考えている。
<関連議論>
- 円卓会議の開催趣旨などを見て、円卓会議が「もんじゅ」の事故による市民の不安に応え、政策そのもののタガを締め直そうとするものとの印象を受けている。
- 現代は地球社会の時代。今後は、「地球益」と「未来益」が得られるものでなくてはならない。日本人だけでは生きられないことをもっと正視して、国家の利益だけでなく地球的視点を重視すべき。そうした視点から考えると、異なる立場を越えて社会的合意を探る円卓会議は、もともとの目的はどうあれ、現代において必然的かつ理想的な会議形式と考える。
- 科学技術庁長官が委員長を兼ねる現在の原子力委員会では、国家利益を越えた政策は難しいため、委員会の改組を提言する。早急な改組が実現しないのであれば、円卓会議を原子力委員会の諮問委員会とし、政策決定の公平性、透明性の有効手段とすべき。また、円卓会議を原子力立地自治体にも設置すべき。
- 円卓会議での意見の提言については、モデレーターが意見をとりまとめ、参加者に諮るという手続きをとらなくても、これまでに出た意見を踏まえ、6人のモデレーターが率直に提言を行うことがあってもよいと考える。
- 「会議の議論の結果、今後の原子力政策に反映すべき事項が摘出された場合、または、更に検討すべき事項が明らかになった場合は、検討を求める」とあるが、もっとわかりやすく、具体的に回答していただきたい。また、関係省庁に検討をすでに求めているかどうかをお聞きしたい。
- モデレーターとしては、円卓会議での意見をとりまとめ、提言したいと思いモデレートしてきている。今回、招へい者有志から原子力委員会に提言がされたが、それを眺めているのは、モデレーターとして悲しい状況と受け止めており、今後、より積極的にリエゾンをするための良い方法はないかを考えていきたい。
- 情報公開については、できるところからやっていこうということでやっているところ。また必要に応じ、これからも通産省、科学技術庁に指示していこうと考えている。
□エネルギー一般
(1)人類の将来とエネルギー源の選択
┌─────────────────────────────────┐
│ 資源の枯渇、世界人口の増加、新エネルギーの状況、化石燃料使用によ│
│る公害等を踏まえ、人類は将来のエネルギーをどうするかを国民全体で考│
│えるべきという問題提起に関して、 │
│・化石資源がなくなれば、地球上に50億、60億も住めない。 │
│ そうすると(一旦100億以上に増えた後)地球の人口は減って │
│ 行くが、スムーズに減るようなプロセスを探すべき。 │
│・今までの延長上ではなくて、地球が限られた資源、空間ということに基│
│ づいて、新しい価値観、生活様式、経済社会システムを構築しなければ│
│ ならない。 │
│ との意見が出された。 │
│ また、モデレーターより多様な社会の中で、生き方に関して個人のポリ│
│シーが許されるというのも、エネルギー、資源利用に関する一つの論点で│
│はないかとの問題提起がなされた。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 石油はあと50年、ウランもウラン235だけ使えば、あと45年くらいしかもたない。また、来世紀半ばには世界の人口は100億になるといわれている。新エネルギーについては、太陽光はコストが高いし、風力は東京の中心でやるわけにいかない。核融合はまだ先の話である。我々の時代はよいが、孫、子の時代には、エネルギーはないと考えなければいけない。こうした中、人類は将来エネルギーをどうしていくのか、どうすべきかを国民全体で考えてほしい。
- 個人的には、原子力は最小限、必要だと思っている。また、使用済燃料のリサイクルも大いにやるべきである。原子力には、賛成でも反対でもどちらでもよいが、本当に将来人類がどうすべきかを教えてほしい。ただし、原子力を反対するならするでもいいが、その際は、自宅の冷房は切っていただきたい。自家用車もやめてほしい。贅沢にエネルギーを使いながらエネルギー問題を議論するのはやめて欲しい。それぐらいの覚悟をした上でエネルギーを論じるべき。
- 石油、石炭を燃やせば、公害が出る。それをどうするかも重要な問題。中国による酸性雨の影響が日本にも及んでいるということも考えると、今後、近隣諸国と協力して公害を取り除く努力も重要。そうしたことを、円卓会議で議論し、いいアイディアが出せればと考える。また、円卓会議では、国民が省エネにいち早く努力すべく提言していきたい。
- 個人的には数年前に車は捨て、家ではクーラーは使わずに扇風機で過ごしている。50年たったら石油はなくなるとの問題の立て方は、人を困らせるものであると思う。50年で石油がなくなるという命題には、いろいろな前提条件があると思うが、その条件を明らかにした上で発言してほしい。
- 50年でエネルギーが足りなくなるというのは、日本政府が政策的に脅かしているわけではなく、国際的にNGOも含めて評価して、言っていること。ただし、現在の2倍とか3倍のお金を使って掘り出せば50年たっても資源は残っているだろうが、今の値段では50年といわれている。
- 現在、大学で、大学院生により「2040年の世界」をテーマにエネルギー経営学セミナーをやっている。それは、学生たちが現役を退く頃の2040年にはどんな世界に生きているか、2040年に向かって何をやるべきか、ということについて考え、議論するものである。これからの子孫に対して、エネルギー問題をどう考えるかに取り組んでいるそれらの学生達は、このままでは50年でエネルギーがなくなるという視点を、今後、世界で活躍していく上で非常に重要と認識している。
- 大量のエネルギーを消費したから地球上に50億、60億人が暮らせるようになっている。化石資源は50年から100年というオーダーで考えると、どうせなくなると思うが、そうすると、地球上の人口は10億程度にまで減っていくのが自然の姿。その人口に至るプロセスが、悲惨な目に遭わないように緩やかにもとの自然の状態に戻るというプロセスを探すべき。
- 恐竜はあれだけ繁殖していたのに、ある時バタッといなくなった。人類もそうなる可能性がある。そうならないように、徐々に経済、エネルギー消費、食料消費を下げていくというように人口も下げていくことが出来れば一番いいと思う。
- 環境倫理学という分野で、人類の歴史が10万年ある時に10万年先を考えるという人がいる。そうなると、エネルギーも太陽に頼らざる得ないし、地球上で養える人口も逆算できる。その人口に移る過渡期をどうするかというのが問題であると思う。
- 長い歴史の中で、最初に先進国が人口増加を急激に起こしてその資源を途上国に求め環境を壊したために、途上国の人口増加が起こっている。将来の人口がこれだけ増えるというので原子力を利用すると、環境を破壊し、その不安が人口増加を呼び込んでいく。このように悪循環を悪循環で解決していこうという施策そのもの自体が行き詰まっている。
- 人類が長年かけてここまで作り上げたものを一挙に元に戻すわけには行かない。しかし、エネルギーが足りないのだから原子力を利用するというのではなくて、全体的な構造の中でどうするかが求められており、原子力を減らしていくということが主要な課題。
- 原子力発電所と消費地が分断されていること自体が過剰消費を呼び、悪循環につながっている。今までの延長上ではなくて、地球が限られた資源、空間ということに基づいて、新しい価値、新しい生活様式、新しい経済社会システムを築かなければ、悪循環を続けることとなる。
- 途上国の状況をデータで示し原子力を利用するということが正当だという論理ではなく、途上国がなぜ原子力を必要するかを国力、政治等の広い文脈の中で捉えなければいけない。
- 人口増加について、人口の問題は複雑であるが、インドなどでは医学が発達して子供が死ななくなったことが大きな要因である。
- 原子力に反対ならば、冷房も自家用車も使うべきではないというのは不当な発言。
- 人口問題について、日本の合計特殊出生率が2を切ったのが1975年、人口がピークを迎えるのは2010年と推測されており、その間が35年ある。それが中国、インドの人口に適用できるかわからないが、事実として現在では8〜9%の経済成長している。これが原子力発電になったりしているのと思う。
- アメリカには、完全に文明を否定して生活してる人たちがいる。しかし彼らは、隣の人が電気や車を使うことには反対しない。多様な社会の中で、生き方に関して個人のポリシーが許されるというのも、エネルギー、資源利用に関する一つの論点ではないか。
(2)新エネルギー、省エネルギー
┌─────────────────────────────────┐
1│ 現代は技術で作られた人工環境で成り立っており、その環境を維持する│
│ためにはエネルギーが必要なので、省エネルギー、省資源といっても構造│
│的にしていかなければならない。そのためには教育が必要との意見が出さ│
│れた。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 省エネルギー、省資源について、身の回りのエネルギーを使わないというのは結構であるが、今の世の中は技術で作られた人工環境で成り立っており、その環境を維持するのにエネルギーが必要。構造的に省エネルギー、省資源していかなかればならないが、それには教育が必要。
┌─────────────────────────────────┐
2│ 自然エネルギーについては、加工過程で資源を大量に使うため高コスト│
│になり、将来的に、ある程度までコストは下がっても、やはり、原子力を│
│一つの核として多様性を持たすことが重要との意見が出された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 自然エネルギーは高いということがよく言われるが、なぜ高いかというと、それは資源を大量に使っているからである。例えば、太陽光はただであるが、それを電気に変える加工過程で土地という資源を大量に使っている。
- 自然エネルギーはある程度までは当然コストは下がるし、必要なところには使うべきであるが、やはりベースとしては原子力を一つの核として、多様性を持たすことが重要。
- 新エネルギーの研究開発については、太陽を中心としたエネルギーは大事であるが、それだけで済むのかという議論が、量的、質的な観点からされている。
□原子力一般
┌─────────────────────────────────┐
1│ 原子力は、エネルギー利用だけでなく、実際は、医療分野をはじめとす│
│る広い分野で利用されているという事実が指摘された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- ガン治療の将来的の見通しに関連して、原子力は、エネルギー利用が主として話に出てくるが、実際は広い分野の技術。医療分野はそのうちの重要な分野で、原子炉、アイソトープ、加速器など非常に広く利用されている。特にガン治療では、他でかえられない特徴ある利用が行われている。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□原子力一般:7番目意見
┌─────────────────────────────────┐
2│・原子力の立地政策に関し、現在の利益誘導型の電源立地政策は時代遅れ│
│ であるとの基調発言での意見に対し、原子力の立地地域では、地域振興│
│ 策への取り組みを要請する声が強いのが事実であり、今後、関係者の意│
│ 見を伺いつつ検討を進めていきたいとの説明なされた。 │
│・これに対し、従来通り政策の経過説明をするようでは円卓会議の人気は│
│ なくなるという意見が表明された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 「利益誘導策について通産省が新たな政策を考えておりけしからん」との指摘があったが、東海村長からも発言があったように、原子力の立地にご協力いただいている地域の方からは、地域振興策への取り組みが強く要望されているのが事実。実際、原子力立地市町村の集まりである全原協から、恒久的な地域振興策を要請されており、そうした声は立地県の協議会にもある。こうした流れの中で、今後関係者の意見をよく伺いつつ、来年の予算編成に向けて、検討を進めていきたいと考えている。
- 円卓会議について、我々は従来の政策を一時中断してでも根本から議論するものと期待しているのに、従来通り、これまで政策をどう進めてきたかの経過説明をしているようでは、円卓会議の人気はなくなってしまう。
[《基調発言》における関連意見]
□立地地域と消費地関係:7番目意見
┌─────────────────────────────────┐
3│ 原子力は莫大なコストがかかるとの報道もあるのに、一方で低コストと│
│PRしているのは疑問という意見に対し、通産省、OECD等の試算で原│
│子力は相対的に安価という評価がされていることが説明された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 発電コストを公開しろとの意見もあったが、個別サイトのコストは、経営情報であり公開されていないが、標準的な発電所の原価計算は通産省で行っている。また、OECDの国際原子力機関でも他電源との比較をしているが、それらの資料ではどれも国の状況で多少の違いはあるが、原子力は相対的に安めという結果が出ている。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□原子力一般:5番目意見
┌─────────────────────────────────┐
4│日本の原子力にもっと社会科学系統の人が入って本当の意味の政策立案を│
│してほしいとの指摘がなされた。 │
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(議事の概要)
- 日本の原子力は、政治、経済に音痴であり、政策立案能力はないと考える。もっと社会科学系統の人が入って本当の意味の政策立案をしてほしい。
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5│反対意見、問題点を指摘されても強引に押し通しているという意見につい│
│て、原子力委員から、 │
│・原子力に携わって努力している人の存在を理解していただくことも重要│
│・国民のご理解とご支援を得るため、開かれた場での議論を反映していき│
│ たい。 │
│との見解が示された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 反対意見、問題点を指摘されても強引に押し通しているという意見について、事実関係についてはよくわからないところもあるが、原子力に携わってそれぞれの立場で努力をしている方もおり、そのような人の存在も見ながら話していくことが必要と考えている。
- 原子力を続ける上での難しい問題については、みなさまのご理解とご支援を得ながらやっていかなければならず、開かれた場での議論を通して反映していくという姿勢で行っている。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□原子力一般:6番目意見
□バックエンド対策
┌─────────────────────────────────┐
│ 高レベル廃棄物については、貴重な成分が入っており、それを有効利用│
│できる可能性があるため、将来的には、群分離、消滅処理の研究を進める│
│ことが重要との意見が出された。 │
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(議事の概要)
- 放射能消滅技術の将来予測について、高レベル放射性廃棄物の処理については、現在は地層処分の研究開発を進めているが、将来的な基礎的な研究としては、群分離、消滅処理の研究も重要。過去、産業革命時代はコールタールを捨てていたがその後貴重な資源として利用されるようになったとか、銅の精錬でも昔は垂れ流していた硫黄、砒素等を現在では分離し利用しているなどの例もある。また、排煙に電子ビームを使って、NOX、SOXを肥料に転換することが可能にもなっている。高レベル廃棄物にも貴重な成分元素が入っており、長い目で見るとそれを有効に使える可能性がある。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□原子力一般:7番目意見
□安全関係
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1│原発の地震に対する安全性に不安があるという意見に対して、原子力委員│
│より、原発の耐震問題については、阪神大震災の後、安全委員会を中心に│
│積極的に取り組んでおり、報告書を一般の方々に紹介する努力を進めてい│
│るとの説明があった。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 参加者の方から原発の耐震問題の話があったが、阪神大震災の後、安全委員会を中心に積極的に取り組んでおり、報告書も出た段階。これは一般の方々に紹介する努力を行っている。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□安全関係:1番目意見
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2│「原発をなぜ東京に作らないのか」という国の考え方が20年前と変わっ│
│ているという指摘に対して、原子力委員より立地審査指針の考え方につい│
│ては、20年前と基本的に変わっていないとの見解が示された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 「原発をなぜ東京に作らないのか」という国の考え方が20年前と変わっているという基調発言における指摘について、指摘した方が不在であるが、立地審査指針の考え方については、20年前の内田先生の考え方と基本的に変わっていない。
[《基調発言》における関連意見]
□立地地域と消費地関係:5番目意見
┌─────────────────────────────────┐
3│「原子力発電所を過疎地に建てるのは事故の被害を少なくするため」とい│
│う考え方はおかしいという指摘に対し、原子力委員より、そのような考え│
│方はないとの見解が示された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 「原子力発電所を過疎地に建てるのは事故の被害を少なくするため」という考え方はおかしいという意見があったがその通りで、そのような考え方はない。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□立地地域と消費地関係:1番目意見
□国際関係
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│・他国の原子力の安全性を把握するべきという意見に対し、中国の状況や│
│ 事業者としての原子力協力の状況が説明された。 │
│・また、事務局からアジアにおける原子力の取り組みについて説明があっ│
│ た。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 我々が原子力の安全に努力し自分の国だけ守っても、アジア諸国では原子力に関するテンポやものが違う。例えば中国では、安全は二の次にしてロシアの炉を導入しようとしているし、損害補償や定期検査の概念もない。しかしそういう中でも、原子炉の導入が進められている。
- アジアの原子力について、WANOという原子力発電所を運転している当事者同士の情報交換、人の交換などの協力の枠組みがあり、そこで協力をしている。これが、原子力の安全文化を国際的に共有するという役目を持っている。
- 世界で原子力発電を行っているのは約30の国、地域があり、全体の総発電力量の17.5%が原子力発電。
- アジア諸国では、韓国が運転中862万kWであり総発電量の35%、台湾が514万kWであり総発電量の31.7%と、この2つがアジアでは非常に進められている。また、中国では、現在運転中は3基であり総発電力量の約1.5%であるが、意欲的に建設計画に取り組んでおり、2050年くらいには3億から3億5千万kWとする記述もある。インドネシア、タイは原子力発電の導入について真剣に取り組んでいるのが現状。
- 今秋、東京でアジア地域の原子力発電所の安全に関する国際会議を日本が開き、原子力の安全に関する意欲、意識について高めてもらいたいと考えている。また、通産省、原子力委員会においてもアジアとの協力のあり方について検討を進めている。
[《一般公募・原子力モニター参加者からの意見》における関連意見]
□国際関係:1番目意見
□理解増進関連
┌─────────────────────────────────┐
│原子力の理解を得るために、 │
│・国民が心配している、原発の地震の影響についてよく知らせるべき。 │
│・原子力発電所を実際に見てもらい、放射線はほとんど出てないというこ│
│ とを理解してもらうことが重要。 │
│・技術が分かりそれをわかりやすく説明できる人が必要。 │
│ との意見が出された。 │
└─────────────────────────────────┘
(議事の概要)
- 国民が心配している地震の影響について、断層からどのくらい離れているか、この断層は当分大丈夫などについて、データがあるのだからよく知らせる努力が必要である。
- 原子力発電所を見たいという人には積極的に見せて、その時には、ガイガーカウンターを持たせて、温泉ではガーガーなるが原子力発電所ではカウンターがほとんど鳴らないというようなことを示せば誤解は免れるのではないか。
- 専門家も一般の国民の情報を知りたいという声に応えていただき、技術がわかり、それを少し易しい言葉で人に説明できるような人もたくさん育てていただきたい。情報公開は、ただ情報を出せばいいというだけではすまない。
□情報公開関係
┌─────────────────────────────────┐
1│・方法、種類を含めどのような情報公開を希望しているかについて、情報│
│ を直接出されても理解できないため、できるだけ公開し、それをマスコ│
│ ミ等がわかりやすく説明することを期待しているとの意見が出された。│
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(議事の概要)
- 情報公開について、どういうような言葉でどういう情報が流れればいいと考えているか。
- 自分自身は、情報公開を求めるが、お見せしますと書類を渡されても何が書いてあるかわからないのが現実。また、どういう情報が欲しいと言われても、全く無知だから何か一つでも情報を出して欲しいとしか言えない。そしてその情報をマスコミの方とかにわかりやすく説明してもらいたい。国から直接提示されても活用もできないので、マスコミが頼みの綱。
- 原価がどうとか、何%と言われてもピンとこない。また、「もんじゅ」の事故以来、不信感があり、科技庁の説明も鵜呑みに出来ない。マスコミの方とか専門知識を持っている方のいろいろな意見を聞いて、はじめて理解できる。
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2│情報公開に関連して、 │
│・政府が種々の報告書をまとめてはいるが、一般の市民の目には触れにく│
│ く、それだけで情報を公開したということについては疑問。 │
│・さらに、生データに接することが出来るということが大切。 │
│ との意見が出された。 │
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(議事の概要)
- 政府からは種々の報告書が出ている。例えば、外国の状況についての調査が報告書にまとめられて出版されているが、一般の市民の目に触れにくい。国が報告書をまとめて出せば公開したことになるのか、他に方法はないのかという気がする。
- 情報公開について、どういう事故か意味づけた発表は重要であるが、もう一つ、その後必要であれば生データにも接することが出来るということが大切。
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3│・事故・トラブル時の通報や情報提供については、複数の箇所に連絡する│
│ ために、通報時間に差異がでたり、通報に時間がかかると、マスコミか│
│ らは「事故隠し」「情報の遅れ」等が指摘されるとの意見が出された。│
│・これに対し、 │
│・段階的に早期に出すことが重要 │
│・情報を出すのに時間がかかる場合は、それを主張し、マスコミを教育 │
│ してもらいたい │
│ との意見が出た。 │
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(議事の概要)
- 事故隠し、情報の遅れについて多少遅れても事故隠しにならないケースがあるという意見があったが、それは「もんじゅ」事故に関してのことか。
- 京大炉関連で自治体とマスコミの対応をしていて、トラブルがあったときには、国、地元、マスコミ三者に同じ情報を流さなければならないが、同じ表現ではこちらには通じるがあちらには理解できないということがある。だから三者に出すファックス等を同じ内容になるように統一して間違いないなとやるのには時間がかかる。それについてマスコミの方はどうして遅くなったのかと文句を言ってくる。「もんじゅ」でもこういうことがあったのではないかということを申し上げた。
- 原子力の現場にいるものとしては、素早く通報連絡をするのが一番いいのだが、その時、数分の遅れや内容の少しの違いが問題となったり、わかりやすさの問題もあり、いつも悩んでいる。努力はしているものの、構造的に改善されたらいいと思う。
- 情報公開に関し、事故なり故障が起きたときに段階的になるべく早く発表する事が重要と思う。
- 情報を出すのに時間がかかる場合は、その理由を明らかにし、正当性を主張して、マスコミを教育してもらいたい。
《伊原原子力委員会委員長代理閉会挨拶》
- 本日の議論は、どれも「原子力と社会の関り」を考える上で、非常に有意義なものばかりであり、特に、今回は、初めて一般の方からの参加いただき、多くの率直なご意見を承ることもできた。
- 皆様の意見、議論を聞いていて、やはり、原子力を含めたエネルギー問題は、社会の様々な部分と密接に関わり合っており、それを考える際には、トータルで考えることも必要だが、一個人としての捉え方、感覚というのも、非常に重要であると痛感。今後、政策を考え、進めていく際には、専門家の意見はもとより、それらの声も活かしていけるよう努めていきたい。
- 今日いただいた討論は、しっかり受け止め、政策に反映していくよう努力する。
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