原子力政策円卓会議(第5回)議事概要


  1. 日 時
  2.   6月24日(月) 午後1時30分〜午後5時35分

  3. 場 所
  4.   富国生命ビル(東京都千代田区内幸町2−2−2)

  5. テーマ
  6. 「原子力は安全か?安心か?」
    − 原子力と社会:安全と安心 −
    (1)人間文化・社会と原子力
    (2)原子力の安全確保
    (3)安全と安心

  7. 出席者
  8. 議事概要
  9. 注1:本議事概要は、次回以降の会議の参考の用に供するとともに、公表するため、議事を簡潔にとりまとめたものです。
    注2:文章整理の関係から表現が必ずしも発言通りではない場合があります。
    注3:本議事概要の作成に当たっては、吉村清氏より、議事録のみでよいとの意見が表明されました。また、アイリーン・美緒子・スミス氏からは、本概要中の《自由討議》のとりまとめ方については認められないとの意見が表明されました。
    注4:正式には別途公表されている議事録をご参照ください。

    参考別紙:
    「原子力政策円卓会議開催に当たっての基本的事項」[別紙1]
    「基調発言要旨」[別紙2]
    「基調発言者以外の方から提出のあった資料等」[別紙3]

《中川原子力委員会委員長冒頭挨拶》


《モデレーター冒頭挨拶》


《基調発言》

□原子力一般

□安全と安心

□リスク

□その他安全関係(組織論など)

□教育・理解増進関係

□原子力防災

□情報公開関係


《これまでの円卓会議の議論のポイントの説明》


《他の招へい者の所感》


《原子力委員の意見》


《中川原子力委員長前半終了時挨拶》


《自由討議》

 モデレーターの提案により、議論を「リスクとベネフィット」、「専門家と一般人の意識の違い」、「安全と安心」の3つに絞って実施。3つの論点ごとの議論を整理すると以下の通り。

□リスクとベネフィット

(1)リスクとその選択

 ┌─────────────────────────────────┐
1│・社会的な活動の中には様々なリスクがあり、これをどう捉えるべきかと│
 │ いう点について、リスクを客観的に把握した上での選択の問題として考│
 │ えていかなければならないとの考え方が示された。         │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│・リスクを考える場合の問題点として、技術的にリスク評価による議論と│
 │ 社会的なリスクに対する感覚にはギャップがあり、両者をどう関連づけ│
 │ ていくかについて問題提起がなされた。              │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
3│・リスクに関係し、「原子力発電所を過疎地に建てるのは、これは原子力│
 │ の立地自体がリスクを背負っていることを意味していると考えざるを得│
 │ ない」という認識については、原子力委員より、「東京に何故原子力発│
 │ 電所を建てないかは、様々な要素がある。まず、土地代の問題。また、│
 │ 原子力施設の大きな事故の確率は0でないため、受ける人口集団の線量│
 │ を少しでも小さくという観点が一つ、そのためには、かなりの離隔距離│
 │ が必要で、広い敷地が望ましいといった問題。さらに、冷却水の確保の│
 │ 問題や岩盤立地が基本の原子力にとって東京は地盤が悪いとの問題もあ│
 │ る。」との認識が示された。                   │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

(2)リスクとベネフィット

 ┌─────────────────────────────────┐
1│・リスク分析は、リスクを受ける人とベネフィットを受ける人の異なる場│
 │ 合、意味がなく倫理に反するとの問題提起に対しては、リスクとベネフ│
 │ ィットのバランスを考える際には心理的な面と経済的な面とを区別して│
 │ 議論するべきで、心理的なアプローチに対しては、この分析方法は十分│
 │ 意味があるものであり、また、経済的なリスクを考える場合にも、総合│
 │ 的に社会活動を捉えれば十分意義があることが指摘された。     │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 [《他の招へい者の所感》における関連意見] 
  《他の招へい者の所感》:9番目意見、15番目意見
 ┌─────────────────────────────────┐
2│・リスクとベネフィットの客体が異なる例として、高レベル廃棄物の問題│
 │ つまり「今の世代と次の世代」の観点があると指摘されたが、それにつ│
 │ いて原子力委員より、廃棄物の問題を考える際には、「世代内の負担の│
 │ 公平」に加え、「世代間の公平」を十分確保できるようにというのが、│
 │ OECDなどでも確認されている共通見解であることが示された。  │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

(3)低線量放射線の人体影響

 ┌─────────────────────────────────┐
 │・低線量被ばくの影響について未解決の問題があり研究を進めていくべき│
 │ という指摘に対して、放射線防護の立場では、安全側にたってその影響│
 │ を考慮しているが、今後とも十分に研究をするべきテーマであるとの考│
 │ え方が示された。                        │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 [《他の招へい者の所感》における関連意見] 
  《他の招へい者の所感》:6番目意見、14番目意見

□専門家と一般人との違い

 ┌─────────────────────────────────┐
 │専門家と一般の受けとり方の違いは、提供者、媒体(マスコミ)、受け手│
 │にそれぞれ問題があるという点に関して、              │
 │・提供者については、一層の情報公開の促進することが重要であるとの考│
 │ え方が示されるとともに、広報のまずさや、国民的な議論の重要性が指│
 │ 摘された。                           │
 │・媒体については、もっと技術を勉強し一般の人への通訳機能を果たすべ│
 │ き、受け手については原子力・エネルギーに関する教育をもっと充実さ│
 │ れるべきという考え方が示された。                │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 [《基調講演》、《他の招へい者の所感》における関連意見] 
  《基調講演》:□教育・理解増進関係:2番目意見

□安全と安心

(1)安全と安心の違い
 ┌─────────────────────────────────┐
 │・調査の結果、原子力発電は安全だけど怖いという人がたくさんいるとい│
 │ う点に関し、安心感を得るには、情報公開や安全の歴史・哲学の積み重│
 │ ねにより、信頼感を得ることが必要との考え方が示された。     │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 [《基調講演》における関連意見] 
  《基調講演》:□安全と安心:5番目意見

(2)原子力の行政組織

 ┌─────────────────────────────────┐
 │・原子力の行政組織に関して、原子力委員会及び原子力安全委員会を独立│
 │ な機関にするべきなどの意見があり、原子力委員から、現在の体制は │
 │ 昭和50年代前半に国会でも十分議論を経た上でなっており、    │
 │ 特に安全委員会は構成員やこれまでの実績を見ても十分な第三者機関で│
 │ あると認めてもらうことが重要。しかし批判があることも事実であり │
 │ それについては、十分説明していくことが重要との認識が示された。 │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

(3)もんじゅ事故

 ┌─────────────────────────────────┐
 │もんじゅ事故の捉え方について、                  │
 │・技術的には想定内の事故であるという意見と、地元としては高速増殖炉│
 │ の根幹に関わる事故であるという意見が出された。         │
 │・また、国際尺度では0+(注)であるのに大問題になったのは、   │
 │ 期待感への反動と組織の事故対応に対する失望であると意見が    │
 │ 出された。                           │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

□その他

(1)原子力発電所からの放射能

 ┌─────────────────────────────────┐
 │・原子力は環境に優しいといわれているが、管理目標以下といっても運転│
 │ に伴って放射能が放出されるので問題であるという意見に対して、原子│
 │ 力委員から、放射線は宇宙に満ちているものであるが、原子力発電所を│
 │ 起源とするものは0.0数%と極めて低いという見解が示された。  │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

 [《基調講演》、《他の招へい者の所感》における関連意見]
  《基調講演》:□安全と安心:9番目意見
  《他の招へい者の所感》:14番目意見

   

(2)円卓会議について

 ┌─────────────────────────────────┐
1│・円卓会議を聞き置く場にならないようにするべきという意見に対して、│
 │ 原子力委員より、きちんと検討しフィードバックするとの考えが示され│
 │ た。更にモデレーターより、議論の成果を的確に政策に反映させていく│
 │ よう要請するとの考えが示された。                │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)
 ┌─────────────────────────────────┐
2│・国会をベースに立法的な改革等についても検討するべきという意見に対│
 │ し、原子力委員より国会で原子力政策が議論されることは歓迎すると認│
 │ 識が示された。                         │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

(3)原子力問題の捉え方について

 ┌─────────────────────────────────┐
 │・原子力の問題についてじっくりと考えていくべきという意見が出された│
 │ のに対し、長い視野は必要だがあまりのんびりしていられず、まず教育│
 │ が必要との意見が出された。                   │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

(4)その他意見等

 ┌─────────────────────────────────┐
 │上記の議論の他に次の意見が出された。               │
 │1.高速増殖炉の安全性、開発路線、開発体制は疑問。        │
 │2.原子力防災について、事故が起きたときに避難体制がとれないのでは│
 │  ないか。                           │
 │3.原子力の問題を議論する際に、もっと幅広い国際的視野や、    │
 │  これまでと逆の視点が必要。                  │
 │4.原子力発電所はもう建たないことを認めて、その上で       │
 │  エネルギー政策をきちんと考えるべき。             │
 │5.プルトニウム政策について、2050年においてもエネルギーの  │
 │  1%も作れないようなものをエネルギーの根幹にすることは重大。 │
 │なお、5の意見については、全く認識が違うが、また別の機会に議論して│
 │いただきたいとの意見が出された。                 │
 └─────────────────────────────────┘
 (議事の概要)

《原子力政策円卓会議から原子力委員会への要請》


《伊原原子力委員会委員長代理閉会挨拶》


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