<資料5−1>

平成11年度第5回 原子力円卓会議当日資料

今後の原子力のあり方について

松田節子

 グリーンコープは四つ(人と自然・人と人・女と男・南と北)の共生を基本に「みどりの地球はみどりのままで 子どもたちに手渡したい」をスローガンに掲げ、環境問題、平和の取り組み、アジアとの連帯などさまざまなことに取り組んでいます。脱原発に関する取り組みもその一つです。
 原発は「いのち・自然・くらし」を脅かし、未来の子どもたちに大きなツケを負わせるものである、共存できるものではない、という視点に立っています。そのことを確信できたのが、86年チェルノブイリ原発事故でした。グリーンコープはこれまで、主に以下のような脱原発の取り組みを行ってきました。

  1. グリーンコープ連合結成の88年4月に
    1. 人間のすることである以上、未来永劫に事故が起らないということはあり得ません。その立場から、原子力発電そのものについてご再考ください。
    2. 又、その立場から、これ以上原子力発電所を増設することについて、ご再考ください。少なくとも、事故の危険を増大させる「出力調整実験」の実施だけは止めてください。
    3. という内容の要請書を九州電力へ手渡しました。

  2. 88年9月:食品の放射能汚染(特に椎茸の放射能汚染がニュースとなっていた)に対し、グリーンコープとしての姿勢を明らかにしました。内容の骨子は以下のようなものです。
    1. 放射能に「安全」なレベルはない。しかし、既に全世界が汚染されており、汚染をまぬがれた食べ物はない。単にしいたけの販売を中止すればすむ問題ではない。
    2. 商品取り扱いの暫定基準10ベクレル以下とし、10ベクレル以上の商品については理事会で取り扱いの検討を行う。
    3. グリーンコープは食品の放射能汚染の問題の根本的な解決を目指す、脱原発社会をつくる。

  3. 89年2月 「放射能:原発問題に関するグリーンコープの基本方針について」を確認しました。内容の骨子は以下のようなものです。
    1. 原発の抱える死の灰と事故の可能性は、地球上の全ての生命の危機を意味する。と同時に、原発から電気の供給を受けて暮らす私たち自身の「生活」を捉えかえすことを通して「原子力発電」に向き合い、越えていきたい。
    2. グリーンコープは「脱原発社会」の建設を目指す。
       「脱原発社会」は、1)戦争そのものを否定する、2)原発のない、平和な社会を意味する。
       加えて、私たち自身の生活を見直し、原発に依存しない省エネ・省資源の生活、真の意味で豊かな生活と地域の創造に向かう。
    3. 方針
      1. グリーンコープの平和の取り組みを強化し、地域の取り組みへと発展させる。
      2. 原発の廃棄に向かって、具体的な行動を開始する。
      3. 生活を見直し、省エネ・省資源の生活と地域づくりを進める。
    4. グリーンコープ放射能汚染測定室を設置する。

  4. 89年2月 放射能汚染測定室で測定を開始。測定結果を機関紙「共生の時代」に掲載。現在も続けています。3月には同運営委員会を設置しました。
  5. 89年2月 臨時総会で「特別決議―脱原発社会の建設を目指す―」を採択しました。
    この後も、さまざまな社会的な問題に取り組み中で、原発に関する学習会を重ね、95年に「グリーンコープ脱原発政策」を策定しました。
  6. 99年9月に「玄海原発3号炉へのプルサーマル導入計画反対申し入れ」を九州電力に手渡しました。
  7. 99年10月に、「東海村核燃料工場臨界事故に関する緊急声明」を出しました。

 以上のような経過を辿る中で、机上の論理だけではなく、単に反対するだけではない、生活者一人ひとりができることに取り組んできました。今、取り組んでいるのは、ISO14001シリーズに準拠した環境家計簿運動です。大量生産・大量消費・大量廃棄の社会を見直すこと、生活者の一人として、自らの家庭における生活を見直すことを目的としています。その具体的なことの一つが電気です。自分の家の電気消費量を通して、原発やエネルギーについて考える契機となっています。ほんの小さな歩みですが、脱原発社会へ向かう一歩として、生活者ができるあたり前のこととして、取り組んでいるところです。このようなグリーンコープの取り組みの状況を踏まえ、またこの度のJCOの事故やプルサーマルへの動きなどを通して、私個人として、今後の原子力のあり方について、次のような問題意識を持っています。