<資料5−4>

山本 挙 24 学生

今後の原子力のあり方

Aguru Yamamoto

 自らに問うべきときにきている。二酸化炭素の6%削減が可能だと信じ、そして努力されているのだろうか。排出の権利を他国から購入するという行為は、本質を見失うことにもなり兼ねない。エネルギ問題は、実感をともなわず、日々深刻になっている。節約という消極的な、持続可能な発展に反するような策だけでは抜本的な解決にならない。
 地球環境の問題解決に向けた最も現実味のある政策は、原子力の利用だ。ある程度の問題を打破するだけならば、既に実績もあげている軽水炉で当座をしのぐことができる。しかし、これはエネルギ問題という点では話のすり替えにすぎない。ウランも天然資源であるので、無尽蔵とはいえない。軽水炉である限りは、その性格上いずれは同じ問題に直面し、しかも手札をひとつ減らして臨まなくてはならない。原子力を推進し、しかも当座を軽水炉で乗り切ろうとするならば、いずれは訪れる、このウランの枯渇という本質的な問題に対してを大目標とすべきであろう。

 原子力業界での相次ぐ不祥事、そして諸外国での政策見直し、大目標とすべきプルトニウム利用には明るい材料が少ない。しかし、大きな資源となりえる可能性を、放っておくというのは賢明とは言えない。エネルギ開発プロジェクトとして、例え我国だけでも、プルトニウム利用政策を進める勇気を持つべきである。
 そこへ向かって、小さくても現実的な目標が必要である。将来性だけでは政策は進んでいかない。今現実に直面している問題を、具体的に解決していくことが大切である。
 これから伸ばしていく価値があるのは小型炉であろう。非常に理に適った合理的なものである。アジアの市場という視点で考えた上でも、実に有効な点が多い。小さく、汎用性を持たせることで、一つの、有効な高性能発電機としての地位を築くことが可能となる。

 原子力が、エネルギの総合的なプロジェクトである以上、全体のシステムとしての発展が求められる。燃料の再処理はもちろん、他の周辺技術の充実を図り、最終的な廃棄物の処分後の管理までの、トータルな流れを確立しなくてはならない。そして、政策として原子力を前面に押し出していくためには、発電時だけでなく、システム全体としてのエネルギ問題、二酸化炭素問題などを議論することも必要である。
 人類の持続可能な発展を考えるならば、環境との利害の不一致というものの穴をどう埋めていくかが重要な鍵になってくる。自然の中にその位置を見つけにくい原子力では、地球全体のシステムとして、環境調和型を常に意識していくべきである。