<資料5−8>

私たちの暮らしと原子力発電(発言要旨)

大谷 鮎子
(株)オリジナルメデイアサービス
女性の暮らし研究所

  1. Co2の削減6%に向けての国の政策が見えない中で、エネルギー使用の削減を生活者に求めても、暮らしの自助努力にそんなに期待は出来ない。石油の残存年数が40年といわれる中、世界的オイルショックがいつ来てもおかしくない状況でありながら、安価で安定供給されている現実に疑問を感じている人たちもいる。この疑問に広く深く答えることが、生活者に原子力発電の必要性について、しっかり考える機会を作ることにならないだろうか。

  2. エネルギー問題研究委員会として所属している「九州エネルギー問題懇話会」は、設立当初「九州原子力問題懇談会」と称した。エネルギー、原子力発電、地球環境問題などについて地域住民に理解していただくために、わかりやすい講演を九州各地で開催した。が、教育関係者は「原子力」に露骨に拒否反応を示し、ほとんどリクエストはなかった。数年前、会の名称を変更したとたんに、学校関係者から、講師依頼が急増。このことがなにを意味するかを検証してみたい。

  3. スエーデンで印象深かったことは、週末にフアミリーで郊外にピクニックに出かける時、最寄りの保健所に寄って、放射線測定器を借りて、森のキノコにチェルノブイリの残存放射能があるかないかを測って、食料にすることが、生活の中にごく自然に取り入れられていることだった。科学技術庁のインターネットを見ると「はかるくん」は、無料で貸し出しとあるが、どこでどういう申し込みをすればという、具体的な方法が掲載されていない。気軽に利用できるように原子力関連の広報を充実させて、可能な限り情報は公開して欲しい。

  4. 従来のウラン燃料にプルトニウムを含んだMOX燃料を加えた原子炉で電気を作るプルサーマル方式が21世紀には、日本で一般的になるであろう。現存のウラン燃料による発電でも、発電に伴ってプルトニウムが出来、そのプルトニウムもウランと同じように燃料の役割を果たしている。プルサーマル方式では、最初からプルトニウムが含まれているだけで、発電する方法は現在の原子力発電と何ら変わらないと聞く。実際にMOX燃料使って発電している状況についてのわかりやすい説明を発電所の見学者たちへ継続していくことこそ、MOX燃料導入の必要性や安全性を理解しやすくする力になることだろう。