<資料5−6>

応募レポート

山根幸美 主婦

 有限である地球環境上に60億の人間が生存し、さらに増えていくことを考えると、良い環境と平和の持続が私たちの課題である。豊かさの質を問い直し、自制を学ばねばならない。これは、政策、産業、個々人の生活にまで関わって、人間の行為が問われるということだ。
 私は3人の子を持つ主婦として、環境は人類(或いは生物)共有の大切な財産であるとの考えから、環境問題を捉え活動をしている。土浦の自然を守る会、霞ヶ浦市民協会、霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議等の会員として、霞ヶ浦の環境保全に関わる市民活動に参加し、第6、7、8回世界湖沼会議で開発政策と市民活動について発表した。またいばらきコープ(生協)の環境活動推進委員として環境セミナーを企画し、ダイオキシンや環境ホルモンの学習会を開催した。省エネルギーへの関心もある。
 いばらきコープでは、環境マネジメントの整備にむけて、省エネルギーのために電力消費等の仮目標を掲げ実績把握に努めている。1997年3月11日に茨城県で起きた動燃事故に対しては、5月の総代会において「動燃事故における真相とくらしの安全を求める決議」を科学技術庁への公開質問の形で行い、1.真相公表、2.健康・環境・農作物への影響、3.放射性廃棄物への対処、4.原子力平和3原則「自主・民主・公開」の具体化、5.新エネルギー開発についての見解を求め、回答を得ている。この事故を題材にした県内の高校生の創作劇「硝子の真実」(茗渓学園文化祭)は、情報の公開性への問題提起を鋭く掲げたものであった。
 私自身は、以前に知人から勧められて「まだ、まにあうのなら(原発はいらない)」という小冊子を手元に置くなど原子力問題は気になりながら、全体像を把握しきれないのが現状であり、素人といって良い。6月15日の第1回円卓会議の傍聴案内を新聞で見て申し込み、聴きに出向いたところ素人にも納得できる論議が必要との話を伺い、応募した次第である。資料「もっと知りたい、もっと考えたい、原子力のこと」(科学技術庁)には、経済的で、安全も考慮された原発システムがうたわれているが、最終ページの検討事項について深く論議をつめた結論が原子力に行き着くのかどうかは未だ疑問である。
 原子力発電に関わる次の点について専門家の意見を十分に伺い、何が本当の姿であり、何が将来にわたって国民にとってより良い選択なのかを考えたい。

・放射性廃棄物の安全な処理まで含めた場合の可能性と経済性
・運転の技術的安全性と組織的安全性、評価の仕組み
・危険の可能性を地域に周知する仕組みの現状と問題点、情報の公開性
・儲けの実態はどうか、汚染や被害の実態はどうか
・新エネルギー等、他の方法の追求の現状と可能性
・大量消費・大量廃棄の社会からの転換への追求は十分考えられているか
・欧米の事例の十分な検討、対比
・発展途上国への原発輸出をどう考えるか
・核開発へのつながりの可能性はどうか

(引用文献)いばらきコープ(1997.7)はーいこーぷです
甘蔗珠恵子(1987)まだ、まにあうのなら. 地湧社
科学技術庁(1999)もっと知りたい、もっと考えたい、原子力のこと第4版



発言要旨補足・資料

山根幸美

 私が市民の立場からこの円卓会議で言えることは、以下のことです。

1.身近な市民の動き(意識)と市民に見える行政の動きについての報告

・1997.3動燃事故への対応:いばらきコープ(資料1-1)、茨城県(資料1-2)、茗渓学園中高生(資料1-3)
 →問題提起はされても、直後の緊張は長続きしにくいのではないか。

・省エネルギーへの関心:いばらきコープの環境マネジメント、生活と環境を考えるグループ(資料2)
 →その気になってこだわる意識は、芽生えている。

2.市民として、特に納得したいこと

・原子力政策決定の背景と実態はどのようなものか。
・市民の疑問にどう答えるのか(資料3-1、3-2)
 参考:「沈黙を破った春:動燃東海再処理工場 火災・爆発・被曝事故に関する東海村全戸アンケートに寄せられた声」動燃事故市民調査委員会(1997.6)
「知られざる原発被曝労働-ある青年の死を追って-」藤田祐幸.岩波ブックレット390. (1996)

3.政策決定への市民参画の提案(円卓会議をさらに前進させて)

・日本人の意識状況(資料4)
 参考:青柳みどり(1996)市民の環境に対する態度形成と行動について.国立環境研究所資料F-90-'96/NIES.
・コンセンサス会議:市民が専門家から聞いて判断する:デンマーク(資料5-1、2)
 参考:「カリフォルニア、ドイツ、デンマークに見る新しいエネルギー政策」海渡雄一、福武公子.たんぽぽ舎(1997)

<補足資料リスト>
1-1.動燃事故への対応:いばらきコープ 公開質問と科学技術庁回答(1997.7はーいコープです)
1-2.同:茨城県 動燃東海アスファルト固化処理施設火災爆発事故特集(1997.6原子力広報紙「あす」臨時号107万部新聞折り込み)
1-3.同:茗渓学園中学・高校創作劇「硝子の真実」再演1997.9のチラシ
2. 光熱費からくらしを見直す.生活と環境を考えるグループ(1997.5はーいコープです)
3-1.リーフレット「東電が隠しているプルサーマル・ほんとの話」東京電力と共に脱原発をめざす会Tel.0492-84-5009他(1999.5)
3-2.広瀬隆キャラバン講演「東海村・再処理工場爆発事故危険な特徴」1997.7(抜粋)
4. リスクの想像力欠く日本社会(朝日新聞.夕刊1995.6.1)
5-1.コンセンサス会議(朝日新聞.社説1999.7.18)
5-2.デンマーク自然保護協会(第8回世界湖沼会議での山根メモ1999.5)


山根補足資料1-1.
動燃事故への対応:いばらきコープ 公開質問と科学技術庁回答(1997.7はーいコープです)
(割愛)

山根補足資料1-2.
 :茨城県 動燃東海アスファルト固化処理施設火災爆発事故特集(1997.6原子力広報紙「あす」臨時号107万部新聞折り込み)
(割愛)

山根補足資料1-3. :茗渓学園中学・高校創作劇「硝子の真実」再演1997.9のチラシ
(割愛)

山根補足資料2. 光熱費からくらしを見直す.生活と環境を考えるグループ(1997.5はーいコープです)
(割愛)

山根補足資料3-1.リーフレット「東電が隠しているプルサーマル・ほんとの話」東京電力と共に脱原発をめざす会Tel.0492-84-5009他(1999.5)
(割愛)

山根補足資料3-2.広瀬隆キャラバン講演「東海村・再処理工場爆発事故危険な特徴」1997.7(抜粋)
(割愛)

山根補足資料4. リスクの想像力欠く日本社会(朝日新聞.夕刊1995.6.1)
(割愛)

山根補足資料5-1.コンセンサス会議(朝日新聞.社説1999.7.18)
(割愛)

山根補足資料5-2.デンマーク自然保護協会(第8回世界湖沼会議での山根メモ1999.5)

The aquatic environment and the Danish Society for the Conservation of Nature
デンマーク自然保護協会:17A-10論文
Thomas Frgeman (Head of departmennt)

<自然保護協会の概要>
・デンマークの人口500万人のうち200万人が会員である。全世帯の10分の1。
・1911年設立、220の地方組織(市町村数に相当する)、14の州組織(地方組織の長がメンバー)を有す。毎年、全国総会で9人の代表を選出する。
・常勤スタッフ40人。給与は、会員の会費(年4000円)から支払われる。

<開発に対する異議をアピールする権利を持つ>
・デンマーク自然保護法97条による。すべての行為について許可が必要である。(例:1つの工場ー計画許可、自然保護許可、環境保護許可を取る)
・環境保護局は、事業者に4週間猶予付きの許可通知を出し、同時に自然保護協会にその旨通知する。協会は、4週間内に計画を審議し、意見を提出できる。異議申し立ての場合は当局が再検討する。
・年7000件審議する。審議会は、本部11人専門家3人に地元のメンバーが加わる。約150件が異議の対象になり、州当局にアピールする。異議の通過率は、50%である。
・このシステムにより、地方当局の判断が厳しくなることが最大の効果である。

<自然保護区の指定を提案する権利>
・このような提案権は、国、州、地方当局と自然保護協会のみが持つ。
・提案は、自然保護裁判所Nature concervation courts(独立機関、高等裁判所長、州代表、地方代表からなる)に出される。
・現在65haを保護区とすべきかどうか審議している。明日、現地調査4時間と審議に当協会長Thomas、州代表、地方代表、地権者が出席する。異議があれば、アピールできる。
・1937年からの権利である。現在審議中60件。審議に3〜6年かける。デンマーク面積の5%の保全に成功した。

<自然関係法改正に意見を提出する権利>
・4週間の公聴期間中に意見を提出する。

<行政と深いつながり>
・政治家も考えることにもなる。

<環境教育>
・11〜15日のピクニック活動。スーパーでの主婦向けキャンペーン(洗剤についてなど:17A-9論文)などを手がけている。

http://www.dn.dk/nation/dninter.html
tel.+45-3917-4044 Fax:+45-3917-4141
e-mail:tf@dn.dk