<資料5−2>

氏名 小川 順子 職業 会社員
第3回原子力政策円卓会議招聘者応募レポート

テーマ :今後の原子力のありかたについて

先進国はCO2フリーエネルギー社会に

 原子力のありかたを論じることは、すなわち今後のエネルギー供給を何に求めるべきかを論じることである。私の結論は、なるべく早い時期、2020年頃を目途(石油可採年数とされる43年の半期を目安にした)に、日本をはじめ先進国は、CO2フリーエネルギー社会を目指すべきということである。その中で原子力の役割は何かを論議すべきであろう。またエネルギーや環境については、日本の事ばかりでなく、常に世界的視野で考えなければいけないと思う。
 先進国におけるCO2フリーエネルギー社会を提唱する第一の理由は、化石燃料を使用する権利は各国平等であるべきではないかと考えるからである。なぜなら化石燃料使用による環境などのマイナス面は地球全体に及ぶからである。それならばプラス面も均等でしかるべきではないか。一例として、石油を平等に分配するとなれば、先進国に割り当てられる分はすでに完全に使い切っている。とはいえ輸送や、工業生産にどうしてもいくらかの石油は使わざるを得ないだろうから、せめて電力は、自然エネルギーや、水力、原子力のようなCO2負荷の少ない発電方法を用いるべきである。これにより途上国の生活水準向上、人口抑制に貢献する。
 第二の理由は環境問題である。途上国は今後益々経済発展し、化石燃料による電力需要が増えるであろう。地球温暖化ガス排出や酸性雨による環境悪化は途上国においてかなり進むと思う。地球環境に国境はない。そこで先進国は、まず省エネルギー、リサイクル生活、自然エネルギーの開発などを推し進めるとともに、火力発電は可能な限り原子力にシフトしていくことが望ましい。当然、原子燃料はリサイクルを行い、プルトニウムという新たなエネルギー源を生み出すFBRの研究開発は実用化に向けて進めていくべきだ。また途上国に対して積極的に省エネ、新エネ、原子力等技術導入の支援をしていく。
 原子力は、いままでの運転実績などから、他の科学技術に比べて、リスクは低いと思う。チェルノブイリは悲劇であったが、技術的問題よりも、被害を最小にできなかった社会的問題がより大きかったのではないか。また開発を進めれば、都市型、あるいは海上型の原子力発電も可能かもしれず、立地の選択肢も広がるだろう。放射性物質や廃棄物管理についても、一般人の見方は、原子力発電に対してのみ極端に厳しく、医療や工業などに利用される放射能・放射線に対する許容感覚との間にあきらかに理不尽なギャップを感じる。放射性廃棄物を後世に押し付ける責任は重いという意見もあるが、私は化石燃料を使い切って、後世に何も残してあげられない責任はもっと重いと考える。

(以上本文・正味1176字)