<資料6-1>
1999年6月15日

我が国の核燃料サイクルについて
(発言要旨)

鈴木岑二(久留米大学)

1. 検討の視点
 「核燃料サイクルの構築を推進する」という政策の根拠がゆらいでいる。原子力開発の当初から想定されていた「FBRを軸とする原子力発電によって長期のエネルギー需給問題の解決を目指す」という構想の意義と実現可能性を、諸情勢の変化に照らして再検討することが必要である。その際、「FBR抜きの原子力には魅力がない」というような思い入れを捨てて、「FBR抜きの原子力」という戦略も視野に入れた再検討を行うことが望ましい。

2. 諸情勢の変化について
2.1 エネルギー全般
 1)石油危機以降の先進国におけるエネルギー需要の伸びの鈍化
 2)80年代以降の発展途上国におけるエネルギー需要の著しい増加
 3)エネルギー資源の長期需給の緩和傾向
 4)化石燃料価格の低位安定化
 5)地球温暖化防止対策の強化

2.2 原子力発電
 1)先進国における原子力開発の停滞
 2)一部の発展途上国における原子力発電の推進
 3)原子力発電の経済性の低下
 4)FBR開発の技術的困難さの表面化
 5)放射性廃棄物処分の困難さの表面化
 6)核拡散防止対策の強化

3. 検討すべき主要課題
3.1 プルトニウムの利用
 1)エネルギー・セキュリティの面での意義は弱まっているのではないか。
 2)プル・サーマルの積極的意義は何か。
 3)FBRの費用・効果をどう見るか。

3.2 使用済み燃料と再処理
 1)六ヶ所村再処理工場の操業をプルトニウムの需要とリンクさせたときの問題点。
 2)使用済み燃料の直接処分の必要性と方法。

以上