(1)-1 日本のエネルギー選択
| (1)-1-1 エネルギー源の選択
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- エネルギー源の多様化は必要である。ただしその多様化したエネルギー源の中に原子力エネルギーを含めるのかどうかと言う議論には賛否両論がある。
- 「原子力ありき」から始まるのではなく、「原子力がなぜあるのか。なぜ原子力か」という原点に立ち戻ることが重要である。
- 石油価格の低落、規制緩和により化石燃料依存度が高まりつつある。原子力に対する根強い不安感が、原子力に対するモラトリアムを生み出しているが、エネルギー問題への対応はモラトリアムになってはならない。
- エネルギー問題は安定供給と環境問題の2つの観点から長期的な視点を持って対応することが必要である。また、途上国および将来世代に対するエネルギー政策の議論が必要である。
(1)-1-2 再生可能エネルギーに対する意見
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- 再生可能エネルギーや省エネを進めるべきである。EUなどでは積極的に導入を促進しており、そのため産業振興等に貢献している。原子力政策の推進が再生可能エネルギーの導入促進を阻害している。
- 再生可能エネルギーの役割は重要であり、将来に向けてその導入を促進していくべきであるものの、その技術面・コスト面などの制約により、早期の大量導入は困難である。将来的にも再生可能エネルギーのシェアを大きくすることは困難であり、本格的に取り組んだ場合でもシェアを何%までにできるか検討する必要がある。
- 供給サイドでは新エネルギー等をうまく組み合わせることが重要であり、一定地域に過度に依存すべきではない。
(1)-1-3 原子力エネルギーに対する意見
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- 原子力利用の可能性について、原点に立ち戻って議論する必要がある。
- 既存の世論調査結果(総理府、NHK)によれば、国民の原子力に対する容認率は下がりつつある。
- 原子力が化石燃料の代替にはなり得ず、現在運転中のものは安定的に運転すべきだが、増設・拡大はすべきではない。政府のエネルギー需給見通しにおいて、原子力増設を前提としている点が問題である。
- 原油価格の低減に伴う計画見直しもあっていいのではないか。
- 原子力の必要性は認めるが、過去の政策・体制の反省を行い、どの程度原子力に依存するか検討する必要がある。
- エネルギー源の多様化は必要である。ただしその多様化したエネルギー源の中に原子力エネルギーを含めるのかどうかと言う議論には賛否両論がある。
- 放射性廃棄物の処理や安全性の問題があるため、原子力には反対である。
- 原子力基本法第一条には「原子力利用の推進」が唱われているが、そのような前提での議論はできない。このような法の改正も視野に入れるべきである。
- 原子力の発電量でのシェアは維持すべきであり、エネルギー消費が増えれば増設していくべきである。
- 原子力に対する反対派の人は、絶対反対なのか、それとも安全面などに関する条件付きで反対なのかを明確にする必要がある。
- プルサーマル計画やMOX、原発20機の増設などの計画は、猶予期間をおいて慎重に検討すべきである。また高速増殖炉は反対署名も集まっており、核不拡散上も問題なので見直すべきである。
(1)-1-4 エネルギー消費のあり方
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- エネルギー消費拡大路線の見直しが重要である。
- 政府の2010年までの見通しでは、2%の経済成長、原子力モラトリアムを前提とすれば、2.7%の省エネルギーが必要とされている。年間2.7%の省エネルギーというのは、世界で最も省エネルギー化が進んだ石油危機直後の日本の省エネルギー率を越える値であり、このような省エネルギー化を進めるのは困難である。
- 世論では、8割程度が生活水準は現状あるいは以前の生活水準で良いと言っている。つまりエネルギー需要は抑制の方向で考えても良いのではないか。
(1)-1-5 その他
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| (1)-2 社会経済要因
| (1)-2-1 エネルギー供給の安定性
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- 関西産業界では、エネルギー使用の効率化やリサイクルに努めているが、エネルギー消費量は増加する見通しであり、新たな電源は不可欠である。
- 第三次石油ショックが起きれば、日本が如何にエネルギーを確保するかを本気で考える機会となる。
(1)-2-2 ライフスタイルの見直し
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- 大量生産・大量廃棄の社会のあり方を見直すとともに、原子力に頼らない新たな社会を我々は求めつつある過程にあるのではないか。
- 市民の意思とは、「今までどおり電気を使い続けたい、しかし発電システムは安全であって欲しい。」ではないか。
- 省エネのためにライフスタイルを改善することは、政策ですべきことではない。
(1)-2-3 経済の成長・安定
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- 政府の2010年までの見通しでは、2%の経済成長、原子力モラトリアムを前提とすれば、2.7%の省エネルギーが必要とされている。年間2.7%の省エネルギーというのは、世界で最も省エネルギー化が進んだ石油危機直後の日本の省エネルギー率を越える値であり、このような省エネルギー化を進めるのは困難である。
- 政府見通しの前提である経済成長2%という値については、以下のような議論がある。
- 需要横這いの前提に基づくものである。
- 成長率が低いと、失業・年金の問題が出てくる。
- 経済成長とエネルギー消費の伸びは同値ではく、経済とエネルギーのあり方の議論が必要である。
(1)-2-4 エネルギー源としての経済性
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- 化石燃料消費の制約がある。さらに、中国等のアジア諸国が日本並の産業力を有するようになった時、日本がこれまでのように石油が使えるのかという問題もある。将来にわたっての石油の入手可能性についても地元の納得を考慮するべきである。
- 国際競争が激化している中、低コストで良質なエネルギーの確保は産業界にとって不可欠である。
(1)-2-5 環境影響(特に省エネ、CO2)
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- 原子力政策はエネルギー政策のみならず,温暖化対策等の環境政策、化石燃料消費の抑制問題等も組み合わせて総合的に判断されるべきである。
- 省エネルギーについては以下の意見がある。
- 原子力モラトリアムを前提とすれば、2.7%の省エネルギーが必要とされているが、このような省エネルギー化を進めるのは困難である。
- 日本の若者は省エネルギーに無関心な層が多い。
- 技術開発により、今後大幅な省エネを達成することが可能である。
- エネルギー消費の増大を前提としない省エネルギー型の構築を図るべき。
- 環境税に関しては多様な方法が考えられる。炭素税に関しては、税徴収対象のシフト、使用方法のシフトにより効果が得られるという意見と、省エネ効果は余り大きくないと言う意見がある。
- 省エネは施策で実施すべきである。例えば石油価格が下降時にも省エネが進む政策や、NGOのような国民的運動支援など。
(1)-2-6 その他
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| (1)-3 安全要因
| (1)-3-1 技術的安全性
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- 安全性等の問題に対する適切な答えが提示されていないのではないか。我が国は高度な技術を保有しているにも関わらず、ソフト・システムの観点からみると弱い。推進側(政府、国、事業者)で安全性を立証する必要がある。
- 原子力発電の現状を維持する場合でも、技術の継承は必要であり、技術基盤を維持する必要がある。
- 原子力発電の安全性については、100%の安全はあり得ないという意見や、品質管理、安全装置の改善等により安全になっているという意見がある。また約1,000人が犠牲となっている航空機事故と比べて本当に危険なのかという問もある。
- エネルギー資源が乏しい東アジア地域においては、今後原子力エネルギーへの依存が進むと考えられているが、安全面を考慮すると果たして適切な運営がなされるのか不安である。日本が協力できることは積極的に協力していくべきである。
(1)-3-2 核拡散の危険性
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- プルトニウムの利用については、社会的安全性も含め、核不拡散上も問題である。
- 原子力に関しては、発電利用と兵器利用を混同して議論されているという問題がある。
(1)-3-3 その他
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| (1)-4 その他
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