第4回原子力政策円卓会議 議事録

第4回原子力政策円卓会議

1.開催日時

1998年12月17日(木) 14:00〜17:30

2.開催場所

ハービスOSAKA ハービスホール

3.議題

「原子力の運営体制のあり方について」

4.出席者(敬称略)

 モデレーター

 オブザーバー

 招へい者

5.議事録

【事務局】
 大変お待たせいたしました。定刻になりましたので,ただ今より平成10年度第4回原子力政策円卓会議を始めさせていただきたいと思います。
 本日はご多忙の中,傍聴の方々をはじめ多数ご参加いただきまして大変ありがとうございます。開会に先立ちましてお願いがございます。配付のチラシにも書かせていただきましたように,傍聴の皆様方におかれましては大変おそれいりますが,議事進行の妨げになるような行為はぜひご遠慮いただきたく,よろしくお願い申し上げます。
 本日の円卓会議ですが,モデレーター会議の座長の木村先生が急用でご欠席のため,急きょモデレーターで慶応義塾大学教授の茅陽一先生に,座長代行として会議の趣旨説明等をお願い申し上げてございますので,まずは茅先生のほうにバトンをお渡ししたいと思います。それでは茅先生,よろしくお願いいたします。

【茅(慶応義塾大学教授)】
 ご紹介いただきました茅です。今説明がありましたような理由で,私が最初のイントロダクションを少しさせていただきます。内容は今回の円卓会議の趣旨その他ですけれども,この部分が若干長すぎるのではないかといったご異議が一部からありましたが,私もそれを考えてできるだけ簡単にやりたいと思いますので,ご了承をお願いいたします。
 ご承知のように,平成8年に第1回というか最初の円卓会議が開催されていまして,これは11回やったわけです。私もそのときモデレーターの1人として参加したわけですが,そのときの最後の提言の中に「円卓会議をさらにやるべきである」というのがありまして,それに呼応してできたのが今回の原子力政策円卓会議です。
 ただ,モデレーター側で議論をしまして「やはりこういった円卓会議は,従来のように原子力委員会が直接運営するのではおかしい。むしろモデレーターが内容について具体的に相談をして独立に動かすべきである」ということで意見がまとまり,それに対し原子力委員会も了承しまして,お金は原子力委員会から出してはもらいますけれども,運営一切はモデレーターが仕切るという形で今回はやっております。事務局は三菱総合研究所にお願いしてありますけれども,そういったことでモデレーターが基本的な責任を持っていますので,そのようにお願いしたいと思います。
 モデレーターは今話に出ました学位授与機構長の木村さんが座長ですが,その他に私の左側におられます石川さん,私の右側の中島さん,小沢さん,それに私,茅の5人です。これにつきましてはいろいろな経緯がありますけれども,形式的に言えば,原子力委員会から頼まれたという形をとっております。
 この円卓会議には,今日おいでいただきましたように,招へい者の方を招きまして,そこでご議論いただくという形になっていますが,今回も6人の方においでいただいています。モデレーターの中の2名が議長と副議長をやって,全体の議事を進めるということになっていまして,毎回交代ということになっていますが,今回,大阪の会議におきましては石川さんに議長をお願いする,そして私が副議長として補佐をするという形式をとっています。
 議長,副議長は当然のことですけれども,自分の意見を言うというのではなくて,皆様方の議論をできるだけ公平に,しかも円滑に進むような議事の進行の努力をするということになっています。そうしますとあと2人,今回は中島さんと小沢さんというお2人のモデレーターが余ると言っては何ですが,役割がないわけになりますが,これは従来からモデレーター側で相談をしていまして,モデレーターというのも当然意見があるということで,この円卓会議の中では自分の意見を発言できるということにしています。そういうことで,今回も中島さん,小沢さんのほうからはご意見が出るかと思いますので,そのようにご了承いただきたいと思います。
 もう1人,オブザーバーとして木元教子さんが原子力委員会からおいでいただいています。たまたまお1人だけ席が特別に作ってあるように見えますが,これはお見えになる方が奇数になってしまったためにそうなったわけで,別に木元さんを優遇したわけではありませんから念のために。このオブザーバーで出られた木元さんは,本来,発言すべきでないというご意見もあります。しかし,モデレーター側の相談で,やはり原子力委員会の一員として,木元さんには発言をしていただくほうが全体の議論がむしろ活発になるということで,発言を認めるということにしていますので,これもご了承いただきたいと思います。
 今すでにモデレーターのほうはご紹介しましたので,招へい者の方をご紹介申し上げたいと思います。大変恐縮ですが,所属は一切省略させていただきますのでご了承下さい。アイウエオ順で,井上チイ子さんでいらっしゃいます。次に近藤駿介さん,鳥井弘之さん,中村融さん,吉岡斉さん,吉村清さんです。念のために木元教子さんです。
 なお,この議論の中ではお名前はすべて「さん」づけにさせていただきたいと思います。いろいろ立場が違う方がいらっしゃいますが,それをいちいち区別してやりますと問題がありますので,すべて「さん」で言わせていただきますので,これもご了承いただければと思います。
 それからこの円卓会議,これは実は今回で4回目になりますけれども,毎回どのような内容に絞って議論するかということで,ずい分モデレーターの間でも議論はしました。全体,できるだけ広めにやるべきだというご意見もありましたが,そうしますとなかなかまとまりがつかないということもありまして,皆さんにお配りしてあると思いますが「原子力政策円卓会議の位置づけと今回の狙い」というようなものを考えています。
 第1回,第2回は比較的一般的に原子力のあり方といったことについてご議論をいただいたのですけれども,今回は具体的に原子力の運営体制,運営の仕方ということも含めまして,体制そのものもありますけれども,これについてご議論をいただきたいと考えています。ただ,そうは申しましてもあまり微に入り細に入るということになりますと,当然のことながら議論がなかなかできなくなってしまうという面もありますので,これをやや外れたと言いますか,原子力の是非に関するような問題についてご発言いただいても,それはよろしいかと思います。ただ基本的な方向としては,そういった運営体制ということを中心に議論をしたいと考えていますので,そのようにお願いしたいと思います。
 もう1つ,私のほうで申し上げなければいけないのは,円卓会議には一般の方々,傍聴者の方々からご意見がいろいろ寄せられています。これを毎回ご紹介していますので,今回もそれをさせていただきたいと思います。
 傍聴者の方は,前回の敦賀の傍聴ですが,この12月16日まで10通来ています。これはすべて男の方で,年齢は若い方から70歳ぐらいまで分散していまして,詳細はいろいろ書いてありますが詳しいことは省きまして,大体大規模消費地と電源立地地域の両方から出ています。ちょっと後になりましたが,前回は敦賀で開催していまして,地域の反応ということがやはり大きな議題になっています。
 そのご意見は,原子力政策そのものに対する意見ということもありましたけれども,傍聴者の方から来たということもありまして,会議の運営に対しての意見というものもありました。原子力政策に対する意見については立地に関するご意見が多くて,具体的な内容としては「原子力発電所を一部地域に集中させるのではなく,分散適正配置させるべきである」との意見,「立地地域への地域振興をさらに充実すべきである」といった意見が中心です。その他には「安全性確保のための体制の整備」,あるいは「エネルギー教育」という面のご意見もありました。
 円卓会議の運営に関しましては,議事についての感想というかご意見が多くて「これまでの円卓会議に比べて,敦賀の場合には比較的議論がまとまっていた」という意見もありましたけれども,「前半の招へい者の意見がやや長すぎたのではないか」というご意見もありました。参考にしていただければと思います。
 それ以外に公募の意見というのが一般的にありました。つまり傍聴ではなくて一般からのご意見ですが,これは書簡あるいはメールといった形で7通届いています。あまりたくさんではありません。これもやはりほとんど男の方で50歳代の方が中心です。職業別では会社員,地域別では三重,和歌山,大分といった大規模消費地,電源立地地域以外の地域からの意見のほうが,むしろ多かったということです。
 意見の内容は「原子力に頼らず自然エネルギーに切り換えるべき」とのご意見,あるいは「原子力発電所を大規模消費地に建設すべき」とのご意見,「責任体制を明確にした原子力の運営システムを作るべきである」というご意見,あるいは「放射性廃棄物問題に焦点をあてて議論をすべきである」というご意見,こういうものが中心でした。以上,一般の方々からのご意見の紹介です。  それでは,私は議長の石川さんにバトンタッチしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 すみません。1つだけ言い忘れました。本日は運営体制ということでいろいろご議論をいただくわけですけれども,そうなりますと,現在の体制等で質問あるいは議論をしている最中にわからない点というのが出る可能性があるかと思います。そういったことに備えまして,今回は科学技術庁の官僚の方にもおいでいただいていますので,状況によってはそういう方々に発言をして答えを言っていただくということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは石川さん,お願いいたします。

【石川(原子力発電技術機構特別顧問)】
 どうもありがとうございました。本日,司会を務めます石川です。恒例によりまして,大体の進行スケジュールをお話をさせていただきたいと思います。今日は「原子力運営体制のあり方」というテーマに絞って,大体議論を進めていきたいと思います。今日のスケジュールについてのお話のあとに,皆さん方ご承知かとは思いますけれども,簡単に「原子力の運営体制」について,私のほうからおさらいをさせていただきたいと思います。そのあとに約5分間くらい,今日招へいしました方々からご自分の考え方をお聞かせいただきまして,それから自由討論に移っていきたいと考えています。それで3時半ぐらいになりましたときに約20分間ぐらいの休憩を取らせていただき,後半の部にまた1時間半ばかり自由討論をして,5時半前に終了させていただきたいと考えている次第です。
 それでは,今日の「原子力の運営体制」につきまして,現在行政改革が進んでいますけれども,「現在の運営体制」についで,どのようになっているのかといったことを,かいつまんでお話をさせていただきたいと思います。皆様方のお手持ちの資料の中に7,8枚のまとまったものが入っていると思いますので,それをちょっとお開きいただければと考えています。  まず1ページ目です。資料のナンバーが6番だそうです。1枚めくっていただきたいと思います。そこに原子力基本法と主な行政機関の組織があります。原子力基本法については簡単ですので省略させていただきまして,原子力を司る行政組織はごらんになっていただくほどたくさんの省庁が関係してあるわけですが,今日は下に傍線の引っ張ってあります原子力委員会,安全委員会,科学技術庁,資源エネルギー庁の役割について,簡単にご説明させていただきたいと思います。以降2枚目,3枚目はこの主な行政組織の中の役割について,簡単に記載してあるものです。これに沿い,先ほどのものにつきまして私のほうから紹介させていただきたいと思います。
 まず原子力委員会ですけれども,これは昭和31年に総理府に設置されています。これは「原子力の研究,開発・利用に関する事項につき,企画し,審議し,そして決定する」と定められているわけです。委員は,委員長である科学技術庁の長官と,国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する4名の委員で構成されていまして「その原子力委員会の決定については,内閣総理大臣はこれを十分に尊重しなければならないし,また原子力委員会は内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告をすることができる」と定められているわけです。
 安全を司る原子力安全委員会ですが,これは昭和53年に総理府に設置されたもので「原子力の安全の確保に関する事項について企画し,審議し,決定する」と定まっています。委員は国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する5人の委員から構成されています。なお原子力安全委員会の決定につきましては,原子力委員会同様,内閣総理大臣は十分にこれを尊重しなければならず,また安全委員は内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告をすることができるわけです。
 3ページ目を開けていただきたいと思います。科学技術庁についての役割が書かれています。原子力についてですが「研究,開発及び利用に関する基本的な政策の企画,立案,推進」をする役所で「関係行政機関の原子力に関する事務の総合調整,並びに経費の見積もりの方針調整」を行なうものです。また,科学技術庁は「核燃料物質並びに試験研究炉及び研究開発段階にある原子炉についての規制」これは安全規制,安全行政を司ると定まっているわけです。
その下,3つ,4つおいて通産省があります。これは「エネルギーに関する総合的な政策及び企画の立案」というのが使命でして,したがいまして「原子力発電に関する原子力の利用に関すること」がその主なる管轄業務です。そして実用発電用原子炉に関する安全規制を司っているわけです。
 これが現在の大きな役所の業務ですが,その中でとりわけ問題になる安全審査,安全行政というのはどうなっているかというのが5枚目の絵に入っています。
 6枚目は問題になっている長期計画がどのように定まっているかについてです。これらについて,少しお話をさせていただきたいと思います。
 安全行政のほうにつきましてはスライドを準備していますので,これをごらんになりながら聞いていただきたいと思います。

−−スライド1−−
(添付資料1-2中、図「原子力施設の法令等に基づく安全規制の流れ」参照)

 ごらんになれますでしょうか。もし何でしたら資料の絵を見ていただきましても結構です。色が塗り分けしてあるだけで,特にその他の変更はありませんから。まず一番はじめの左端に書いてありますように,原子力発電所の立地が決まり,そして電源開発調整審議会のほうで「原子力発電所を作ってよい」と認められますと,その間に第1次の公開ヒアリングがあるわけですが,電力会社は安全審査を行なうための原子炉の設置許可申請書を作るわけです。これで行政庁審査が行われるわけですから,原子力発電について言いますと,通産省で行われるわけです。緑色に塗ってあるところが通産省の行なう業務です。
 この行政庁の審査におきましては,原子力発電の技術顧問,これは合計は 160人ぐらいいらっしゃるそうですが,この意見を聴取しながら通産省で審査をし,それが済むと安全委員会のダブルチェックが行われます。紫色のラインに行くわけですが,この安全委員会のダブルチェックでは,安全審査専門部会,一般的に安全審査委員会と言われているところでの審議になるわけです。ここには45名の委員がいらっしゃいますが,この他に部会の専門委員会として 186名の専門家の方にお手伝いを願っているわけです。これを経て原子力の安全委員会のチェックが済むわけです。この間,第2次の公開ヒアリングというのが行なわれるわけです。 なお原子炉の設置になりますと,原子力委員会のほうでもこの安全性以外に,例えば平和利用に限られているか,それから原子力委員会の行なう長期計画に従った計画的なものであるか,経理的な基礎というのは十分にあるかといったようなチェックがなされ,良しとした答申が出ますと,そこで設置許可が下りるわけです。
 設置許可が下りると,いよいよ建設が始まっていくわけですが,ここでは安全審査でチェックされた考え方に基づき,設計及び工事の方法の認可,溶接方法の認可といったような具体的な,工事に関わる,もしくは設計に関わるチェックが通産省のほうで行なわれるわけです。
さて,それで建設工事の途中では今度は使用前検査,これはいろいろな種類の機械が間違いなく作られているかどうか,また溶接がきちんとできているかどうかを検査されます。これらが完了すると原子力発電所を運営するに必要な保安規定というものを作りまして,その認可の後に運転が開始になるという段取りになっているわけです。ご承知のように,運転が始まりますと定期検査,各種の運転状況の報告,立入検査等が,必要に応じて実施され安全が点検されるという状況になっているわけです。
これが現在,原子力発電所をめぐる安全にかかわる運営方法です。研究開発用にあります原子炉,例えば「もんじゅ」ですとか「ふげん」であるとか,そういったものにつきましては,通産省に代わり科学技術庁が同じ方法について行なっているというわけです。それでは図のほうはこれで閉めさせていただきたいと思います。
次のページですが,長期計画についてお話をさせていただきたいと思います。長期計画につきましては,原子力委員会が昭和31年に「原子力の研究・開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行するために長期計画を策定して,それに従って行なう」ということを決定されたわけです。これまでに長期計画については8回の見直しがされていますが,一番新しい平成6年に現在の長期計画は策定されたものです。原子力委員会におきましては,今後,適切な時期に長計の見直しを行なう必要があるということで,現在,その準備としてこの11月から,長期計画の検討のための予備検討を開始していると話を聞いております。
 それでは現在の長計というのはいったいどのようなものであるかというわけですが,その概要を述べますとそこに書いてありますように「21世紀の地球社会と原子力の果たす役割」それから「わが国の原子力の開発の利用の目的と大前提」につき議論をしまして,3章以降は「2030年頃までを展望しながら,2010年頃までの原子力開発の計画を中心に記載」されているわけです。それ以下の章は目次だけをお話ししますと,原子力発電の将来計画,原子力発電の将来と立地,軽水炉による発電,核燃料サイクル,バックエンド,基礎研究,国際協力,推進基盤,産業界といったような目次で,これらの検討の結果がこの長期計画の中に盛り込まれているわけです。
なお3番目ですが,平成6年の長計につきましては,延べ 160数名の有識者の参画のもとに,約2年間の調査・審議を行い,その間述べ約百数十回の会議を開いて作成されたものです。またその他に 3,301通の意見をいただき,2日間にわたる「ご意見を聞く会」と言う別個の組織を開催しまして,広く各層,各界からの意見,審議を求めたものです。これが原子力委員会が行なった平成6年の長期計画で,これに従って現在の原子力委員会の運営がされているわけです。
 さて,ここまでが現在なのですが,あと2枚簡単にお話をさせていただきます。「今後」と書いてある7ページ,8ページがありますが,アンダーラインを引いてあるところが目玉です。
 今後ですが,行政改革の基本法によりますと,原子力委員会並びに安全委員会は内閣府に置かれます。そうしてその機能を継続するということになっているわけです。
 次,まず通産省ですが,この2に書いてありますように経済産業省という名前になるわけですけれども「原子力の開発及び利用に関し,適切な方向づけを行なう」ということになっているわけです。原子力に関する技術開発については学術研究及び科学技術に関するものは教育科学技術省が担うことを踏まえて,エネルギーとしての利用にかかわるものについては経済通産省が担うということになっていますので,原子力発電にかかわるものについては,経済産業省が担うことになるわけです。
 原子力のエネルギーとしての利用に関係する安全の確保のための規制については,1次的には経済産業省が行ない,2次的審査は引き続き原子力安全委員会が行なうというところで,先ほどお話ししました安全確保の体制はこのまま続いていくというようにお考えになってよろしいかと存じます。
 次のページですが,環境省の編成方針ですが「環境中の放射性物質に関する監視及び測定。環境省が,環境の保全の観点から,基準,指針,方針,計画等の策定,規制等の機能を有し,これを発揮することにより,関係府省と共同で所管すること」ということで,環境中の放射性物質の安全性につきましては,環境庁と関係府省とが共同で所管するということになるわけです。
 また,今度は教育科学技術省の編成方針ですが「原子力に関する技術開発について,エネルギーとしての利用に関係するものは経済通産省が担うことを踏まえ,科学技術及び科学技術に関するものを教育科学技術省が担う」と,このように将来の方向が,現在の行革のところで定まっているというわけです。今日以降の行革がどうなるかということは私もわかりませんけれども,今はこのような方向づけになっていますので.これに基づいて,今日の原子力の運営体制のあり方についてご議論を願いたいと思っている次第です。
 それでは私のほうの概要説明は終了させていただきまして,招へい者の方々にご発言をお願いするわけですが,いつもはアイウエオ順にお話をいただいているわけですけれども,吉岡さんが第1回のときに来ていただいてご経験がありますので,吉岡さんにまずお話を願って,それからいつもの通りアイウエオ順に進ませていただたきいと思っています。それでは吉岡さん,お願いいたします。

【吉岡(九州大学大学院比較社会文化研究科教授)】
 私は現代の科学史を研究する歴史家ですけれども,その長所を生かす形で,この運営体制のあり方についての提言を行ないたいと思います。特に今日は2点の重要な論点があります。
 まず,そういう論点を話す前に,私のアプローチについて若干説明しますと,ここで「歴史的アセスメント」という言葉を出してみました。半年前ぐらいから使っているのですけれども,これはどういうことかと言うと,原子力,日本のは1954年に始まったわけですけれども,大体45年になるわけです。この際,その45年が何だったのか,どこが間違っていたのか,あるいは直すべき点はどこかを,歴史の基本に立ち返って考え直そうということを,私は第1回の提言で申しました。
 それに出席していた慶応大学の深海先生も同じようなことを言いまして「原点に立ち戻っての再検討」ですとか「原子力の光から影への現実的転換の実態と要因の,明確な分析を踏まえての原子力政策の再構築」とか,そういうことをおっしゃったわけですけれども,その後,私は2回ほど呼ばれなくて議事録を拝見してみると,必ずしも45年の歴史的総括に立った展望というような方向では議論が動いていないような印象を受けました。そこで引き戻そうというのが今日の報告の意図であります。
 歴史的アセスメントというのは何なのかと言うと「現在の高みから見て40年前の判断がどうだったか」とか,そのようなことを問うわけではないです。それではホイッグ史観になってしまうわけで,各時点において公共利益についての最善の判断がなされてきたか,当時知り得る知識や,あるいは与えられた状況,あるいは社会の常識に照らして最良の判断がされてきたのかどうかという,これを検証していく。当然,現在進行中のものについても,やや立場を第三者的な身に置けば,歴史的アセスメントというのは現在についても可能であると思っていまして,このアプローチで,今日と次回はできれば私としては,皆さんの同意が得られるかはわかりませんけれども,議事を進めたらどうであろうかというのが私の考えです。
 時間がないので本論に入ります。レジュメの項目3をごらん下さい。1枚目の一番終わりのほうですけれども,私は「もんじゅ」の事故があってから,1996年ぐらいから原子力政策の世界にいろいろ参画させてもらうことになったわけですけれども,この3年間の動きというのを一応,整理をしてみました。これがはたして歴史的アセスメントの観点から妥当であったのかどうか,それを再検証する必要があるのではないかというのが第1の私の問題提起です。
 レジュメをお持ちの方は2枚目をごらん下さい。一応,時系列的にいろいろなことが決まったということがまとめて列挙されていまして,私の印象から言えば,この3年近くで,最初は「もんじゅ」事故以後,一時停止状態となって,「原子力政策を見直せ」という声が高まったわけですけれども,その後3年経ってみるとほとんど現状復帰がされているというような印象を受けます。現状復帰がされたけれども,国民の合意にもとづいてされたのかと言うと,どうもそうではなくて,なし崩しにされてきたような,1つ1つタガがはずれてというような,どうもそのような感じがしているわけです。
 ここで,そういうさまざまな委員会にかかわった,あるいは座長をやった方がおられますので名指しで批判してもよいとは思います。けれども,あまり事を荒立てないようにしたいとは思いますけれども,最初の総合エネルギー調査会原子力部会報告書,ここで再処理とプルサーマルの推進というのがいきなり決められた。それが閣議了解になった。議論もあまりやっていないのに,何でこれが国策として決定されたのか。ここから非常に不可解な動きが続くわけです。動燃が改組されるというのも非常にあわただしいやり方で,高速増殖炉政策の検討がされている途中に,動燃を高速増殖炉開発を中心とする組織に改組するという方針が出たわけです。
 それから現在まで,いろいろな形で現状復帰がされていくわけですけれども,最近,私が一番不愉快に思っているのは中央省庁の組織改革であって,1997年の末に基本的な方針が決められ,その後作業が進められているわけですけれども,国民が関知できないような形で議事が進められていて,いろいろなことが決まろうとしている。この前の新聞では「原子力安全・保安院を作る」というようなこともありました。議論する前にインサイダーでものごとが進められていくのではないかという,非常に嫌な印象のことが多いのです。私は高速増殖炉懇談会に出ていまして,いろいろ不満も言ったのですけれども,この中では一番ましかなと思います。そのような感じでずい分なし崩しにいろいろなことが進んでいるが,この辺のアセスメントが必要なのではないかというのが1点目です。
 そのアセスメントをどうすればよいかと言うと,やはり基本に立ち返って議論する新しい枠組みをつくろうというのが提案です。どういう枠組みかと言うと,こういう円卓会議は年に5回とか,ほとんど議論の時間がありませんので,首相の諮問機関として,路線及び行政にかかわる基本的な見直しの会議を開いたらどうかというアイデアを持っています。
 それは歴史的に前例がありまして,1975年に「むつ」の事件とか分析科学研究所のデータの捏造事件とか起こりまして作られたわけですけれども,原子力行政懇談会というのが1年間に34回開かれて勧告を出して,それを基に原子力安全委員会をつくるとかいろいろなことが決められたわけですけれども,このくらいのことは,これだけ膿が出たのだからやるべきではないかと思っています。ただ,その際古い原子力行政懇談会というのは推進側の偉い人だけでやったので,今回はそうではなくて,より民主的なメンバーを選んで,かつ重要なことは,その報告について国民が裁判形式の公聴会をやって,議長団を立てて,議長団がその裁定をするとか,そのような形にしたらよいではないかというのが第1点目です。
 2点目は,原子力開発利用長期計画の審議が始まろうとしていると伝えられるわけですけれども,こういうメカニズムで果たしてよかったのかどうか。原子力長期計画というのが40年間,基本的な性格は見直されてこなかったわけですけれども,例えば長期計画の対象を国家計画のみに限るか,あるいは,今までのように原子力全般にわたるかという問題がありますし,あるいは運営方法の問題もありますし,報告書を見てみると,非常にファジーで合理性がないというように判断せざるを得ないのですけれども,その辺の政策判断をいかに客観性,合理性を高めるかとか,あるいは今までは何年までに実用化するとかタイムテーブルが示されてきたわけですけれども,それが常に過大な楽観的な予測に基づいていた。なぜこういう間違いを続けてきたのかというのはやはり問題で,あるいはタイムテーブルというのを設定すること自体が妥当なのかというような,そういうことは長期計画の審議が始まってからでは遅いわけです。ですから,それについてやはり専門に検討する場というのが必要なのではないかというのが2番目の提案です。以上です。

【石川】
 どうもありがとうございました。それでは井上さん,お願いいたします。

【井上(生活情報評論家)】
 非常に大局的な国家的な政策のお話から,急にごく日常生活の感覚のほうへ話を戻しますのは,私も言いにくいし,ずれているような気もするのですが,私が今日の招へい者の中で唯一女性が1人ということで,私の言えることというのは何だろうかとここへ来るまでいろいろ考えてきました。
 結局,私自身が日常生活の中で持っている非常にごく普通の感覚,私たちの周りにいる生活をしている主婦とか,消費で,この原子力とエネルギーをつくる側には絶対に回れないものの感覚として,私の経験したことと素直な今の気持ちをお話しして,生活者の観点の1つだと思って聞いていただければ,大変近視眼的かもしれませんし,経験的なレベルで申し上げますし,気持ち的な話をしますので,大変ウエットなことで申しわけなく思いますが,ちょっと私の経験を話したいと思います。
 私はこの6年間ほど消費者,つまり家庭の生活者である多くは女性たちといろいろ勉強会を作ってきました。その会が今は6年経ちまして, 200人以上いるのですけれども「エレの会」という名前をつけて,日々テーマを決めて勉強しています。もちろん環境問題も,エネルギー問題も,それから消費経済の問題,社会の時事問題,子どもたちの教育の問題も全部ひっくるめて,暮らし全部を非常にバランスのよい感覚でキャッチしようという意図で学習を続けています。
その間,ちょうど1995年(平成7年)に阪神大震災がありました。そのときに私たちは,ごく普通の平和な何も問題の起きない暮らしが一転して,水とか,ガスとか,電気とか,食べ物とか,毎日当たり前にどこかからすぐお金さえ出せば手に入ると思っていたものが,かくも大変なのだということを身をもって経験しました。特に水が一番大変だということです。マンションの10階であろうが何階であろうが,エレベーターが止まったところに水を運ぶという大変さ,時間が,歴史が戻ってしまったような生活を経験したことによって,現代の生活の大変便利で,機能的で,合理的なものが,一瞬にして崩れる。「それを支えてきたのは何だったのだろうか」と思ったときには,湯水のごとく使っていたエネルギー,電気,ライフラインというものをもう一度見直そうと,学習の中でいろいろ考えたわけです。
 はたと気がついたのが,水も,ガスもそうですけれども,電気もいったいどこから来るのだろうかと思ったときに,ここは関西ですから関西電力さんのエリアで,私たちは阪神側に住んでいますけれども,これはほとんど福井県からやってくるとはたと気がついたのです。
 福井県からやってくるのは,電線を通して電気がやってくると思うので,そこに人が住んで,そこに大きな発電所を抱えていらっしゃるなどということは普段ほとんど考えないわけです。そういう人たちがどのような思いで,どのような状況の中でいらっしゃるかということも考えたことがなかったのです。ときとして新聞情報で「事故が起きた」とか,いろいろな問題が起きたときに情報を得るぐらいの,いわゆる活字を通してしかそういう人たちの問題をキャッチすることができなかった暮らしというのがあったわけです。
 学習の1つの効果かどうかわからないですが「では,一回行ってみようよ」と。電気と野菜の話を一緒にするのはよくないかもしれませんが,例えば非常に安全なものを食べたいとか無農薬野菜を食べたいと思っても,どこかへ買いに行けば,いつもそれがあるという社会ではないわけで,ほしければ訪ねて行く,だれが作っているかを見てみる,どのような思いで作っているか,それは「あなたにとっても安全だし私にとっても安心なのだ」ということを共有できる相手を,消費者というのは勉強すればするほど気がついて探すわけです。
 同じように私たちも気がついたのが,私たちの大規模消費地地域のライフラインを保障しているのは,関西エリアのものは福井県だと。新聞情報などを見ますと,原発銀座という言葉などが出ています。「いったい原発銀座って何だろう」というようなことから,野菜を作っている農家の人の顔を見ると同じように「生産地へ行ってみよう」ということで,この3年間ほど私たちは「とにかく現場へ行こう。そこに住んでいる人たちの話も聞こう」と。「消費者というのはエゴなもので使いたい放題使っていて,立地の苦労などは全然わからないんだ」ということを思いもつかなかったのですけれども,現地へ行ってみたときに,その温度差というのをすごく感じたのです。
 コンセントをさせば電気がやってくる暮らしから,このコンセントの向こうの電線のまたその向こうの発電所の,その発電所の際に住んでいる人たち。そこにも家族がいて,生活があって,子どもたちがいて,消費生活をしているというところにずっとつながっている,私たちの今の暮らしというのは本当にある部分の場面だけの暮らしで。続きが全然わからない,もとがわからないという暮らしだなということがわかったのです。
 それで,「現地の人と話をしようよ」ということで交流を続けるようになりました。2年間の間に3回ぐらい「福井県の女性たちと消費地の女たちと交流してみましょう,何はともあれ話し合いましょう」ということで,意見交換をするチャンスがありました。実は今年の10月に福井県の女性の方 100名ぐらいと大阪から50名ぐらいの女性たちが行きまして,何となく恥ずかしい思いをしながら「語り合えるんだろうか」という思いをしながら会いました。
大変びっくりしたのは,そこからの思いもよらなかった感想を聞かされました。少し申し上げますと「地元同士の交流や学習もされていないのに,福井と大阪が交流などしても意味がない」「たしかにあなたたちはどんどん使って使いたい放題で生産地がわからないでしょう。でも生産地そのものの中にも全然そういうことを思わない,気がつかない,そして交流も行なわれない,学習もされていない,そういうことというのは一番問題なのだ。自分たちにとって非常に寂しい思いをする,疑問に思うというのはそこなのだ」ということを聞き,「えっ」と思ったのです。
例えば,電気の生産地というのは,ひっくるめて福井県なら福井県全県全部そういう状況なのかと思いますと,決してそうではない。私たちが当たり前と思っているエネルギーを供給してくれるものと,使っているものというのは,それなりに分断されていたと思って交流が始まったわけですけれども,地元そのものの中にも分断されている領域がある。地元なればこそ,なおのことそのことが非常に違和感に思うし悲しく思うのだということで,私たちから見れば,過去何十年間,現に地元に発電所があって,そういうことというのはすでに十分共有されているのか,その中で私たち遠く離れた阪神の生活者は何を共有できるのだろうかと思って行ったときに,1つそれはちょっとびっくりしたことでした。つまり,生産地内における温度差もあるのだということがありました。
何はともあれ交流することのよさというのは,人と人とが生身の声で膝を突き合わせて話をすることによって,私たちも省エネとか暮らしのエネルギーの節減というものを考え,私たちと分かちあえるものは何なのかということを受け取ることができた。これは交流の結果としてとてもよかったかと思います。理念とか,考え方とか,活字レベルの省エネではなくて,本当にこれは勝手に使ったら,また発電所が1基とか2基とか増えるのだ。せめてこれ以上増やさないというのが地元の人たちの思いならば,私たちはそういう形の消費のレベルを考えていかなければいけないのだなというのを,まず非常に感じました。
 私たちは消費をするときに「知らないがゆえに」とか「教えてもらわなかったから」とか,いろいろ言いわけを言うわけですけれども,やはり地元,それに直接かかわっている人たちに対して「知らないから」「教えてもらわなかったから」「行ったことがないから」「こわいのね」「大変なことなのね」とか,一見とても同情しているような,理解しているような言葉を,非常に無意識に吐きます。「エレの会」で学習会を開く時でも「今度発電所に見学に行きましょうか」というと「え,そんな窓を開けたらいけないんでしょう」とか「夫が行くなと言うから行きません」なんていうことを,少なくとも高等教育を受けた人でも平気で言うわけです。「でも知らないのは事実なのだから行きましょう。行ってみましょう。行ってからあなたはどう思うか考えてみましょうか」というようにして行きますと,行って何と言うかいうと「わー,こんなところにも畑があるの,田んぼがあるの,人が住んでいるの」という発言をする。このようなことというのは,もう知らないから許される時期ではなくて,すごい言葉の暴力なのです。そのことを,自分たちがもし逆の立場になっていたとするならば「何と思うだろうか」ということに気づく。それが学びの1つの効果かなと思います。
 大変日常レベルの身近な,ある種近視眼的かもしれません。それで何が解決するかという提言はできないのですけれども,そういうことを私たちは生活の中に根ざしていきながら,自分のできることは何かを考えていく。交流の結果としてそうことを大変に思いました。
 無意識に「知らない」ということを平気で言うこともこわいなと思います。もう1つは,もっと痛い言葉というのは「いいわね,あなたたちは,たくさんお金をもらうんでしょう」という言葉です。行くと体育館なり文化会館なり,どんどんハードの建物が建っているわけです。「いいじゃない,こんな田舎にこんなすごいものが建って」ということを平気で言う。または「心配でしょう,お嫁さんが来ないでしょう」ということも平気で言う。これって,本当に共有できるようなレベルではないわけです。
ですから,多くは片方だけの情報しか得ないで現地を見ているのだろうということ。,もしくは自分たちが生活者であるように生産地の人たちも生活者であるという視点で見る。また一見相手の,特に立地の方たちの痛みをわかっているような……。
 ……言葉でも,その表現は時として言葉の暴力だということもあり得るのだということをわかってほしいと私は思います。失礼しました。

【石川】
 それでは近藤さん,お願いいたします。

【近藤(東京大学教授)】
 原子力運営体制のあり方,お送りいただいた趣旨説明の紙にはこの前に「安心できる」というのがついていたのですが,今日の紙にはついていないようですが。それで私、「安心できる」という結果をもたらすシステムとはと考えまして,「信頼される要素となるべくの」と私の紙には書いてみましたが,これについて開発・利用にかかわる行政計画の立案と推進,それから,安全確保にかかわる規制行政のあり方,そして産業活動のあり方と,この3つの観点でお話を申し上げます。本来ここには「地方自治体」というのも入るべきですが,前回,ご議論があったということで,割愛させていただきましたが,無視しているわけではありません。
 まず,行政計画の策定と推進に関して,信頼される運営体制になるべくの問題というのは何かということですが,この紙大体4ページありますが,項目だけで1枚1分で説明します。
 行政計画。ご承知のように行政を運営していくためには,さまざまな計画というものを立ててなされることがあるわけです。それを総称して行政計画と呼んでいますが,原子力の分野で言いますと長期計画,あるいはエネルギーについて言えばエネルギー需給見通し等々の形で,きわめて指針的なものから,かなり具体的な都市計画的なレベルのものまで含めて言うわけですが,これに関しては本来,行政法定主義という言葉がありますように,議会が自ら計画するべきところを一般には効率の観点から行政にこれを付託しているという恰好で,わが国行政は進められているわけです。
 その場合に大事なことは,議会がこれを統制をする。適宜報告を求め,あるいは予算を決めるという恰好で統制をする。それが原子力の分野でもされているはずなのですが,それがやや見えないのではないかというのが第1の問題提起です。われわれはあまり科技特(両院の科学技術特別委員会)などの議論など,ほとんどテレビで目にすることがない,これが問題だということをまず申し上げたい。
 2番目,一方そうやって付託された行政は,議会の機能の補完をしているわけですから,その観点では代表民主主義の世界にいますと,民主的手続きということで議会の補完機能をはたすべく国民に対する情報提供,国民の意見を踏まえた利害調整等の活動が必要なのですが,そのことについて,つまり本来の意味での議会の補完機能をはたしているかということがしばしば話題になる。具体的には情報公開,公聴会のあり方その他等々が議論されているわけです。  あるいは,原子力委員会で構成され首相の諮問機関として国会で選ばれた委員で構成され活動するというのも,これも一種の補完機能と思いますが,これが適切な働きをしている否やというところが議論になっていると。  それから4番目に書いてありますことは計画の変更,これは先ほど吉岡さんがおっしゃったことですが,行政計画というのは,手続きは,本来,変更も計画策定も一緒なのですが,変更というのはややもすれば人々にある種の不快感を与えるわけでして,大きな変更であればあるほど,なおいっそう民主的手続きということについての気配りが必要であるけれども,それが過去十分であったかと,以上が計画行政の問題点です。
 次に安全規制行政ですが,いかに効果的かつ効率的であるというのが規制行政の命題だと思います。このためには,基本的問題点として私がいつも申し上げていますのは,日本の場合,安全についての規制基準とか目標が定かではない。国会でも「安全確保に万全を期すこと」という決議をして,それでお終い。これでは行政を統制していることにならない。学校の先生が生徒に「頑張りなさい」と言っていることとほとんど違わない議会統制であるところが不満であります。諸外国ではこの辺についてはリスク目標を定めるとか少なくともそういう議論を行うことが,議会で行なわれているところです。この辺がわが国の議会がもう少し踏み込んだ活動をしていただけないかなと,これが第1です。
 第2として,そうしたことに関して今度は規制行政の透明性の問題です。議会に代わってさまざまな,定量的,定性的規制基準を作り,それをもとに安全規制がされているわけですが,そうした活動の透明性が十分かということが議論されてしかるべきです。最近は審議等も公開されていますが,吉岡さんのご批判も承って,この辺はさらに改善が図られるべきと思います。
 少し飛ばしまして,こうした観点でおそらく今後,非常に重要になるのは安全委員会の新しいミッションであります。単にダブルチェックということでは,行政の世界でダブルチェックというのは法治主義からみて私はナンセンスと思っていまして,行政が行政をチェックするというのは,あまり他に例がないシステムですから,何か新しい,何かそれに相応しいミッションをお考えになっていただくべきかと。以上が安全規制に関する問題点と考えるところです。
 それから産業活動,今日は産業活動のご紹介はなかったわけですが,およそ一般論としては産業活動においては商品と商品を生産するプロセスについての国民の信頼,消費者の信頼が非常に重要になるわけですが,原子力産業の場合,商品は電気ですから,電気については今回は議論しないとしますと,電気を作るプロセス,つまり発電方式,設備の合理性,これが高い電気を買わされているのではないかというようなご批判,ご意見があるところを,そうしたことについての合理性の説明が,当事者によってきちんとなされるということが重要なのかなということが4ページの2に書いてあることです。
 それから(3)が,それをなす行為の安全の確保。当然に地域社会の一員として発電所は存在しているわけですから,そうしたものがよき隣人,信頼できる隣人として振る舞っているかということについてのご批判,ご意見,あるいはその改善策が議論されてしかるべきかと。
 それから,これは原子力スペシフィックですけれども,高レベル放射性廃棄物の処分,これがいろいろなアンケートの結果によりますと今後の最大の関心事ということです。これについても当事者の責任ある計画が国民の前によく見えるようにしていくことが非常に重要だと考えています。とりあえず最初ということでわれわれの当面している問題のスコープについて私の考えをお話ししました。

【石川】
 どうもありがとうございました。要領よく短い時間でお話をいただき,どうもありがとうございます。それでは鳥井さん,お願いいたします。

【鳥井(日本経済新聞論説委員)】
 鳥井です。前置きなしに始めます。これまでの日本の原子力開発というのは,大体5年ぐらいおきに改定をされる長期計画に沿って進められてきたわけです。要は原子力を始めた当時を考えますと,たぶん欧米諸国に非常に遅れをとっていた時代だろうと思うわけで,きちんと計画を立てて計画に沿ってわき目もふらずこれをやっていくというのは,たしかに効率的なやり方だったような気がします。
 しかし,時間が経つとともに,計画自体がだんだん硬直化して,技術の変化やエネルギー情勢の変化,日本社会の変化といったものに対応できなくなってきているのではないかという感じがします。しかし,今までのことを考えてみますと,長期計画に盛り込まれたプロジェクトというのは安定的に予算がついて,盛り込まれなかったものは徹底的に否定をされるという,ある種の権利保障機能のような恰好になってしまった気がするわけです。
 これからのことを考えていきますと,どうもリジットな計画を立てて,それに沿って進めればよいのだというやり方は,そろそろ見直すべきではないかと感じています。見直すに当たってどういうことを考えるべきかと言うと,とにかく技術開発ですから,試行錯誤というのがつきものです。試行錯誤が許されないような体制では技術開発はできないわけでして,試行錯誤が許される体制を作ることが大事です。
 それから,広くいろいろなところからのアイデアが採用できるようなシステムが大切だと考えています。それから,最初から膨大な大きな計画を立てて,一度始めたら後戻りができないということでは困るわけで,何か段階的にチェック・アンド・レビューを繰り返して実施できるような方法論というのを,何か確立する必要があるのではないかという感じがします。
 こういうことを考えてみますと,長期計画というような今までのやり方はそろそろやめて,将来の,例えば原子力利用なり原子力開発についての何か「こういう方向に行くんだよ」というような,ビジョンを示すというような形にするべきではないかと考えています。
 第2点目が原子力委員会についです。これまでの日本の原子力開発・利用は,何を目的にやってきたかと言うと,日本のエネルギーをまかなうということだけが視野に入っていたわけです。しかし,将来の世界を考えると,日本だけが十分なエネルギーを確保すればよいというような状態ではなくなってきているわけです。別な言い方をしますと,世界,特にアジアですが,ここにエネルギーが安定して供給される,このことが日本の安全を守る意味でもきわめて重要な要素になっているというように考えます。
 今日も戦争が始まったようですが,これまでの多くの戦争がエネルギー源をめぐって行なわれてきたことを考えますと,アジア全体のエネルギー事情を改善するということが,日本の安全保障に直結していると言っても過言ではないと思っています。原子力の開発・利用も,こういう視点から検討されるべきだと考えています。
 このように考えてみますと,どうも非常に高い次元の戦略的な取り組みというのが必要になってくるわけですが,それを指揮していく機関がどうしてもないと,お役所が縄張り争いをしているような状態で,そういう戦略的な思考ができるとは思えないわけです。先ほどお話がありましたように,原子力委員会が内閣府に移管されるに当たり,どうも新しい原子力委員会がこういう戦略的な判断をしていくという機能を担うことが望ましいと考えています。従来の原子力委員会の委員の方々を見てみますと,現在はだいぶ改善されているわけですが,原子力の専門家と官僚のOBで構成をされてきたということが多かったわけです。こういう状況で,私が望むような機能が発揮できるのは大変難しいのではないかと思っています。様々な分野の専門家が集まり,原子力に何を求めるのかといったことを,戦略的に検討できる状況を作り出すことが大切だと考えています。
 安全委員会についてです。原子力の安全面について,個別の利用を規制するだけで今後は済むのだというわけにはなかなかいかないような気がしています。例えば,いかに安全であれば充分かとか,低レベル放射線の人体影響など,今後とも研究し,検討しなければならない課題が多いわけです。さらに,原子力利用について非常に戦略的に取り組むのだとすると,諸外国との関係といったことも考えなくてはならないわけで,課題はさらに増えるだろうと思っています。規制という業務を淡々と実施する行政的色彩の強い規制当局とは別に,何らかの安全について包括的に取り組む機関が必要だと考えています。現在の安全委員会の延長がこれを担うのか,それとも新しい原子力委員会が担うのかということはともかくとして,安全についても,もう少し戦略的に取り組めるような体制が必要だろうと考えます。
 以上です。

【石川】
 どうもありがとうございました。それでは,中村さん,お願いいたします。

【中村(核勉強会講師)】
 中村です。よろしくお願いします。円卓会議というのは,私は立場の違いを超えてというか,うまく日本語では言えないのですけれども,アウフヘーベンするというか,立場をアウフヘーベンして,お互いに共通のデータベースで合意点を探るという会議であろうと思うのです。そういう場合に,自分の立場というものを,かえって逆にはっきりさせておくということが必要だろうと思いますので,私の立場をまず述べておきたいと思います。
 私は,原子力の今までのあり方については極めて批判的な立場です。ただし,原子力を否定するという立場ではありません。むしろ,政策的にあるいは技術的に多様化を進めて,原子力を人類の将来に生かしていくということを願っています。  私のレジュメがありますので,見ていただきたいと思います。
 もう1つお断りをしておきたいのですけれども,私は自然科学が専門の分野なので,そうではなくて自分の性格から来るのかもしれませんが,非常に率直にものを言うようで,人からそれはよく指摘されるのですけれども,そういう点はひとつご了解いただいて,話を進めさせていただきたいと思います。
 まず,この円卓会議そのものについて少し話をさせていただいておきたいと思います。それは,まず役割と運営と権限ということになるのです。役割ということでは,この会議は成立の経緯から言いまして,国民的合意を図るということが役割であると理解できると思っています。運営につきましては,1回,2回という会議の中で,3点確認をされているところがありまして,それをここに書かせていただいています。それから,権限の問題につきましては,新円卓会議を設けるにあたりまして,原子力委員会のほうで決定がありました。ここには,ここの円卓会議の提言について検討し,考慮するということになっています。考慮するというのはどういう意味かということはいろいろあると思うのですけれども,私としては,ここの提言は必ず実現されるものであるというように考えておきたいと思っています。
では,今日のテーマに則した話に移らせていただきます。まず,私は本日の論議を進めるにあたって,前提として,今までの原子力政策の進め方,あるいは取り組みというものはだめであった,根本的に改められなければならないということを前提として置いて議論をしたいと思っています。なぜかといいますと,一番大きな点は,国民不在という状態でこれが進められてきたという点です。これを改めるためには,根本的な改革を図らなければいけないと思っています。 第3の開国と言うことで,グローバル化が要請されている今の時代には,今までのような原子力政策の進め方や運営は通用しないものだと思います。
 そういうことで,まず第1点は原子力委員会を頂点とする行政システムから国権の最高機関である国会に,この原子力政策の決定あるいは運営は,はっきりと移していく必要があるのだろうと思っています。そのための然るべき方法を具体的に討議してみたいと思っています。
 次は,国会だけではなくて,今地方分権ということは,憲法にも書き込まれているわけなのですけれども,事実非常に形骸化されてきていました。地方分権を生かすという立場でも,改めて地方自治体あるいは地方議会で原子力についての討議を行う。そのテーマとしては,原子力防災であるとか電源三法による地域振興の是非であるとか,原子力の国民的合意をどう作るかということだと思っています。
 情報公開が以上のことの根底の問題として一番大事な問題だと思うのですけれども,今の現状はとても不充分です。不充分だというだけではなくて,肝心なところは依然として非公開であると思っています。ですから,根本的な改革がいる。
 3点を問題点として出しておきたいと思います。1つは生データあるいは基礎データが全然出ていない。これを出して,専門家レベルが自由にアクセスして会議して討議する,そして,国民の前で明かにしていくことが必要だということが1点です。
 それから,第三者機関での情報公開の体制が必要だと思います。例えば,動燃が今核燃開発機構に看板が掛けかえられたわけなのですけれども,そこで長年蓄積されてきていた情報が自らの手で開示か非開示かということが今整理されているようなのですが,こういうことはやはりだめでありまして,第三者機関によってそういうことは行われるべきであろう。動燃の蓄積したデータは,私が思いますのは,方法はいろいろあると思うのですけれども,学術会議なら学術会議に特別な機関を設けまして,そこでこの資料を全部引き受けて,そういうことを行うべきであると思います。
 それから3番目には,原子力の問題は非常に難しいということが,特徴といえば特徴なのです。ある人は,難しいから市民レベルでこれを理解することは不可能だと。不可能だから,これは専門家にまかす以外にないのだと。だから,その任せた専門家が信頼できるかどうかということに問題が帰着するのだとおっしゃるわけなのです。しかし,私はこの考え方もまったく反対で,アメリカの初代の原子力委員長でありましたリリエンソールという人の有名な本があるのですけれども,そこの中の言葉もあとで一度紹介させていただきたいのですが,原子力という問題は市民レベルでやはり理解できるはずであるし,そういうシステムというものを作ればできるものであるということを強調したいと思います。
 それから,原子力にはもう1つ特有の問題があります。それは,原子力は国策として進められてきたということです。それから,もう1点は,企業秘密があまりにも多すぎるということです。もう1つは,核防条約(PT)がありまして,情報が隠蔽されてきているということです。しかし,実際のところは,企業の秘密にしてもPTにしても,ここで規定されていることは,実はマスクされている情報もそうマスクする必要がないわけなのです。もっと情報は開示できるはずなのです。そういうところを一つ論議してみたいと思っています。
 それから,資料としてお手元に行っていると思うのですけれども,今日の毎日新聞にこういう記事が載っています。大きな記事のほうは後で取り上げたいと思うのですけれども,横のほうに「関電,高浜3,4号機にプルサーマル計画許可」という記事があります。プルサーマルにつきましては私も意見があるのですけれども,それはともかくとしまして,この新円卓会議の第2回の最後のところで,原子力委員会がここで論議していることに関連した決定をするということについては,口を差し挟んでいこうということが確認されています。私としては,このプルサーマルについて,この円卓会議で口を差し挟む時期ではないかということを考えたいと思っているわけです。結論だけ申し上げておきますが,私としては,今のような取り組みではなくて,もっと慎重に,少なくとも1年ぐらいの猶予は置いて実施に移していくような形をとっていただきたいと思っています。この点を適当に論議させていただきたいと思っています。
 以上です。

【石川】
 どうもありがとうございました。  それでは,最後になりました吉村さん,お願いいたします。

【吉村(高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会代表委員)】
 原発立地の地元から来ました吉村です。私がこの原発の問題に関わったのがもう37,38年前です。1962年,初めて敦賀半島に原子力発電所がやってくる,この時,関わってから,今日まで原発の問題と相い対して見てきました。
 はっきり申し上げますと,1970年4月の大阪万博のときに敦賀の発電所から原子の火が行ったのです。これまでが原発はまさにバラ色だったと私は思うのです。それからだんだん変わってきたのです。
 確か去年か一昨年だと思うのですが,敦賀市の隣の美浜町が夏の海水浴の宣伝に新聞紙大よりもう少し大きいポスターを毎年出すのですが,美浜原発のあるすぐそばの水晶ヶ浜という海水浴場です。これは関西,中京方面からも本当にたくさんの人が来る立派な海水浴場です。この海水浴場の写真を載せたのです。あの写真を見ると,誰が見たって原発が写るのです。ところが消してあるのです。これが問題になりました。それがやはり今の地元の感情ではないか。率直に言えば,結局原発は迷惑施設だという感覚です。そのことをまず皆さんに訴えたいと思うのです。
 さてそこで,現在生きている長期計画というのは,原子力委員会が94年に改訂をしているのです。これには,新型転換炉の実証炉は,敦賀にある「ふげん」は原型炉ですが,2000年代初頭に運転開始ということで,この94年6月24日策定の長計では初めて出てきたのです。ところが,そのあくる年,突然に新型転換炉開発ストップでもうやめました。地元には何の話もなかったということがまず1つです。そうなりますと,長計で立てながら,たった1年ぐらいでぱっと変わってしまうのです。そうなると「国策だ。ひとつ協力をしてくれ」と言われて,地元へ持ってきたものは何だったのだという話になるわけです。そうすると,原子力委員会というのは何だったのかという話に地元ではなります。
 そこで考えられるのは,結局先ほどからある,通産のほうであるエネルギー調査会で,その中に原子力部会もあります。それから,電気事業連合会があります。こういうところで,新型転換炉は経済的に合わないので止めました,と。原子力委員会は追認したのではないのか,という話になったわけです。そうなると,原子力委員会とは何ぞやというところが,基本的に私はまずここで問われたと思うのです。
 今度は「もんじゅ」の問題です。この長計では95年末原型炉は本格運転だったのですが,この94年末にばたんと倒れたのですね。それからあとのやつはこれから改訂をしましょうやということになっているわけですが,この前のF懇,これは吉岡先生に大変頑張ってもらったのですが,F懇ではとにもかくにも「もんじゅ」だけはやらしてみようと。あとの実証炉は「もんじゅ」をやってみた上で検討したらよいだろうと。だから,実際問題として2030年ぐらいになって実証炉がものになるかならないかがはっきりするのではないかという話なのです。そうなりますと,私に言わせれば,今の「もんじゅ」を動かしていってよいのかどうかという問題に突き当たるわけです。世界的にどこを見たって高速増殖炉をやっているのは,はっきり言って日本だけです。フランスも,そうは言ってもフェニックスを細々とやっているではないかという話なのですが,今年の11月9日,フェニックスで約6トンのナトリウム漏れを起こしているわけです。これは二次系から一次系に流れたのですね。これは中間熱交換機を交換しなければならないだろうと。そこから流れていますから。
 そうなりますと,やはり高速増殖炉の技術というのは,日本は技術が高いと言っても,極めて問題のある技術だ。この高速増殖炉だけはやはり止めてほしいというのが,率直に言って県民の世論です。私たちが集めた県民のもう止めてほしいという「もんじゅ」に対する署名が,県民75万人のうち22万人の署名が集まって知事に出されました。知事は重く受け止めると言っているのですが,国のほうではこれは何としても動かしてくれという方向です。しかし,この「もんじゅ」は,高速増殖炉の開発というものが長期計画の1つの目玉になっていますが,私はもう今の状況で高速増殖炉路線,言い替えるならば核燃料サイクル路線というものは必要なのかどうか。プルトニウムそのものが,平和利用と言いながら軍事利用にも直ちに転用できるという代物です。そうなりますと,世界的な批判も浴びるこのプルトニウムを利用してということがはたして妥当なのかどうかという点が問われていると思うのです。ですから,その点はひとつこの新しい円卓会議でも充分ご検討いただきたい。運営体制の問題と同時に,プルトニウムを利用していくということが果たしてよいのかどうか。世界的にもそれに耐えられるのかどうかという点をひとつご検討いただきたい。
 それから2番目の問題は,安全委員会のあり方です。先ほど近藤先生や鳥井先生からも言われましたけれども,私もダブルチェックというものは形骸化していると思います。いわゆる官僚の体制を残すような保安庁とかそういうものよりも,原子力安全委員会をアメリカのNRCのような体制にして,一元的にそこで安全と規制の面をやっていくような体制,それが国民に信頼される道ではないかと思うのです。これは今後これから論議されますので,いわゆる実際現地において感じ取れる点から,この点は特に強く申し上げておきたいと思います。
 それから最後に,今まで原子力の問題は,原子力委員会も安全委員会もまた国の行政のほうも,これは科技庁も通産もエネ庁もそうですが,皆難しい問題は後送りしてきているわけです。私たちは最初から,原子力発電はトイレなしマンションだと主張していたのです。後始末を考えずにただ発電すればよいと,建てていくわけです。そして,最近は建てる原子力発電所も,あの柏崎が135万kW,そして今度敦賀3,4号をやりたいと言っていますが,どうも最近聞いていますと 150万kW。もしここで事故が起こった場合には,それは恐るべき災害をもたらすと思うのです。そういう巨大な原子力の開発というものが,はたしてよいのかどうかということが問われていると思うのです。
 特に,今廃棄物の問題が一番大きい問題です。廃棄物の問題は高レベルの懇談会にも私は出て意見を申し上げましたが,少なくとも廃棄物の問題,使用済み燃料の問題,使用済み燃料は2010年ぐらいになれば発電所で満杯になるのです。いまスペースを狭めてたくさん入れるようにしましたが,それも2010年が限度です。そうなったときに,その面から,発電所を止めなければならないという事態が起こるわけです。
 そして,中間貯蔵施設です。福井県知事も県外に作ってくれと言っているわけです。私は,やはり日本のエネルギーを考えるというのだったら,その生産地だけにすべて背負わせる,金をやったらそれでよいではないかという政策ではなしに,大胆にこういう中間貯蔵施設についても,大都会でなぜできないのかと思うのです。それが日本のエネルギーについてやはり考えていく1つの議論の場にもなるし,全体的なコンセンサスにも結びつくのではないかと思うのです。  まず最初にこれだけ申し上げておきます。

【石川】
 どうもありがとうございました。
 ところで,前半の部を3時半には終わる予定で,今から自由討論を本当はやっていくのですが,実は私の時計では残りあと3分しかありません。いかがでしょう。ちょうどきりがよろしいので,ここで中間のブレイクにいたしましょうか。

【中村】
 1分だけお願いしたいのですが。

【石川】
 そうですか。どうぞ,それでは1分だけ。

【中村】
 私のレジュメをモデレーターのほうにずっと前から出していたので,読んでいただいていると思うのですけれども,この会議の運営経費の情報公開,それからこの会議の広報の問題,それからこの会議の招へい者の中で3名程度を常任にしていただきたいという点,この3点についてちょっとお願いをしたいと思うのですけれども。

【石川】
 はい。紙で伺っておりますので,またモデレーター会議で検討させていただきたいと思います。

【中村】
 それから,もう1つ付け加えて,安全委員会からもオブザーバーを派遣していただきたいということを,モデレーターのほうでお考えいただきたいと思っています。

【石川】
 検討いたします。
 それでは,3時50分に予定通りもう一度こちらのほうに集まっていただきまして,自由討論に入りたいと思います。それでは,前半の部はこれで終了させていただきます。

−−休憩−−

【事務局】
 それでは円卓の先生方もご着席になられましたので,本日の原子力政策円卓会議,後半の議論に移らせていただきたいと思います。石川先生,よろしくお願いいたします。

【石川】
 それでは後半を開始させていただきます。その前に一言アナウンスをさせていただきたいと思います。今一番最後に中村さんのほうからご指摘のありました円卓会議自身の運営の問題につきましては,後日円卓会議のほうで議論をさせていただきまして,お答えさせていただきたいと思っています。
 吉村さん,吉岡さん,中村さんからお話がありましたプルトニウムサーマルの問題,「もんじゅ」の問題等も事実われわれのやるべき問題だと認識はしていますけれども,本日は,原子力の運営体制というところで焦点を絞って議論をさせていただきたいと考えています。
 それでは後半の部に入らせていただきたいと思います。先ほどのお話を伺って非常に有益なご意見が多かったと今休みの時間中話をしていたのですが,特に大きな相違点としまして,例えば「現在の原子力委員会の役目は,むしろ国会でやるべきである」とか,もしくは「全体的なことを首相の諮問委員会でもって諮れ」といったようなご意見がある一方,逆に「むしろ現在の体制のやり方自身がへたくそなのではないか,改めるべきではないか」といったようなご議論があったかと思います。こういうところを皮切りにお話をしていただければ,有益なのではないだろうかと思いますので,ご自由にご発言いただきたいと思います。  まず吉岡さん,どうぞ。

【吉岡】
 最初の基調報告では言えなかったので,原子力委員会及び原子力安全委員会の今後のあり方について,少し考えるところを述べたいと思います。
 歴史的な評価をしますと,原子力委員会及び安全委員会の最大の問題というのは,何もしなかったことであるというような気がしているわけです。例えば原子力委員会は79年にATRの問題で,重水炉の問題で専門部会とは異なる結論を出したりとか,それでイニシアチブを発揮したと言われているわけですが,そういう例も全然ないわけではないですが,ほとんど独自のイニシアチブを持って方針を指し示すというようなケースが,歴史的に見るとほとんどなかったと思われるわけです。
 まったくなかっただけではなくて,小大蔵省的な認可の場をつくっていた。先ほど鳥井さんがおっしゃったような長計に取り入れられれば,予算が約束される。落ちれば,まったくつかないというような小大蔵省的な,自分のイニシアチブではなくて,そのような合議の場としてしか機能してこなかったということだと思うのです。
 原子力安全委員会のほうも独自の調査能力を持たないし,スタッフも非常に貧弱であって,ダブルチェックと言いながらも,いわゆる基本設計に関わるものまでしか関与してこなかったというようなことです。
 ですから,その2つの機関というのは,総理大臣は尊重しなければいけないという非常に法的には重要な権限を持っているのだけれども,それが機能してこなかったというのが一番の問題だと私は了解しています。それは機能させるのがよい,させるべきだというように実は思っています。
 それではどのように機能させるのかということなのですけれども,先ほど近藤さんが「ダブルチェックはナンセンスだ」とおっしゃったような気がしますけれども,確かにダブルチェックというのは変な仕組みだと思います。私が最初の基調報告で紹介した1975年の原子力行政懇談会の報告書によりますと,なぜダブルチェックが必要なのかの理由で「それぞれの行政庁は開発促進という責任も有していることから,安全性確保についての不信感が生ずる恐れがある。ですから,ダブルチェックが必要なのだ」ということを言っているわけです。ですから,規制と推進が別になれという,とにかくそれが重要だという,そのために通産省や科学技術庁だけに任せるのではないのだということを言っているわけで,これは妥当だと思うのです。
 それではいったい誰がその役割を,規制を独立にやる立場というのを,どこが担うのかということなのですけれども,どうも今の省庁改組案では通産省が担うということになっていて,基本法によると,環境庁がそこからはずされています。すでにはずされているというのは,私としては非常に不本意なことなのですが。また原子力安全委員会はダブルチェックをやるという形になっているのですけれども,この方向で原子力安全委員会を今のままのような弱体な組織のまま,省庁再編で移行させるというのはやはりよろしくないのではないか。何らかの形でより強力な権限を持つように考える必要があるのではないか。  ただ,ダブルチェックにするという,NRC的なものにはしないというような既定方針が出ているようなので,それは今回はあきらめて,次回を目指すというようになりそうです。私はあきらめないつもりですが。
 そういう象徴的な役割,あるいは総括的な役割だけをすればよいのだということに対しては,私は違う意見を持っています。つまり,どうするかと言うと,アセスメントの機能を強化するという意見です。アセスメントというのは,行政庁がやった安全審査について,独立性を強化しアセスメントの機能を強化する。その審議の中にはより民意を反映させるような仕組みにする。官庁の利益からは,むしろ反対寄りになるような形での仕組みにしたらよいのではないかというアイデアを持っています。  原子力委員会についてですけれども,これもやはり独立の立場から高い次元の方針を示すということはよいと思うのですけれども,鳥井さんと少し意見が違うのは,エネルギーだけを産業の中で特別視するほどのものではないのではないかという見解です。他の産業並みでよろしいのではないか。食糧の場合は自然の変動にも左右されるので,非常に変動の要因が大きいわけですけれども,エネルギーというものはそんなものではなくて,より普通の商品に近いものであって,これについてこと細かに政府が方針を示すというのはあまりよくない。むしろ主な機能というのは,今のアセスメントというような形に持っていくのがよいのではないか。おおむねそういうアイデアを持っています。簡単ですけれども,とりあえず。

【石川】
 どうもありがとうございました。どうぞ小沢さん。

【小沢(社会評論家)】
 長期計画が相当評判が悪いようで,何人かの方が否定的でいらっしゃいますけれども,鳥井さんに伺いたいのですが,先ほど長期計画という行政的なものではなくて,あるべき姿を示せと。そこのところを,例えば鳥井さんはどのようにお考えになっているのかということと,アジアなどのエネルギー情勢を視野に入れた高いレベルの戦略的リーダーシップが発揮できるような,官僚とか学者だけではない何か組織が,機構が必要ではないかとおっしゃいましたけれども,どのように具体的にお考えなのか,少し教えていただけますか。

【石川】
 今中村さん,鳥井さんも手を挙げておられるので次に採りますけれども,鳥井さん,今の小沢さんの質問に簡単にお答えいただけませんでしょうか。

【鳥井】
 これはあまり簡単に話すと誤解を受けてしまうところがあるのですが,今の吉岡さんのご発言とも絡んでなのですけれども,私はエネルギーというのは,すべての産業,すべての人間活動の根幹にあると考えています。現代社会を維持していくときに,少なくとも食糧の生産にしても,エネルギーさえあれば相当に生産量を増やすことができると考えています。
 そういうことを考えますと,エネルギー全体像の中で,原子力というのが何を担わなくてはいけないのかということが,あるべき姿をきちんと示すことだと思っています。
 アジアを視野に入れて戦略的にという話は,これは例え話ですが,アジアでも使えるぐらい,アジアでも使えるぐらいという言い方はおかしいですが,だれでもが使えるぐらい安全性が高くて,運転が容易で,経済の発展段階に柔軟に応じることができるような原子力技術というのをもし作ることができれば,これを世界に日本が輸出することができれば,これは明らかにアジアの安全保障にとって役に立つわけです。
 私は,原子力の開発というのは,日本で使うということはもちろんあるわけですが,そういう視野からどういう技術目標を立てるべきかということを考えるべきだと思っているわけです。具体的にはいくつかの備えるべき条件の要求項目というのを検討していますし,それに応えられるであろう技術があり,すでに提案されているということも承知をしています。多くの若い研究者などは,そちらの方向に向かいたがっているという事実もあります。
 そういうことを踏まえて,そういう問題をどのように日本として考えていくのか。そこをきちんと世界戦略として,われわれは持つべきだと思っています。
 例えば,私は中国へ原子力発電所を見に行きました。中国が独自に開発した原子力施設には,中国の核燃料公司,CNNCというところが案内をしてくれて中まで見せてくれました。ところが,大亜湾というところにフランスの技術でつくられた原子力施設があります。われわれはCNNCの人たちに連れられて見に行ったら,彼らは見せてくれない。なぜかと言ったら,フランスが「ノー」と言ったわけです。もし,日本が中国における原子力利用というのにまったく手を出さないとすると,隣国で何が起こっているか,われわれは知りようがないということになりかねないわけです。
 例えばフランスが30%,日本が30%,アメリカが30%かどうか知りませんけれども,そういう具合のシェアが,もちろん中国も自分でやるでしょうし,そのような何か食い込みがあると,お互いに情報を明らかにしようよということで中国で何か起こっているかわかるようになるとか,そういうことも含めて,もっともっと日本の原子力技術開発が世界の中でどういう役割を果たしていくのかということを考えるべきだ,それが戦略的思考というものです。

【石川】
 小沢さんどうぞ。

【小沢】
 そういう議論というのは,どういう場で行なわれると想定していらっしゃいますか。

【鳥井】
 今のところは,そういう議論を公式にする場はないと思っています。

【小沢】
 本来は国会ですか。

【鳥井】
 いや,原子力委員会の度量が広ければ,原子力委員会でやっていただいてもよいのだと思いますが。

【石川】
 先ほどはそういう意味で,あるべき姿とおっしゃられたのですね。

【鳥井】
 ぜひ今後の原子力委員会にそれを期待すると。

【小沢】
 そうすると,今はだめだということですね。原子力専門家と官僚OBの今のではだめだと。

【鳥井】
 少なくとも,今まではそういう議論をしてこなかった。

【近藤】
 皆さん順番があるから,私はあまり途中で割り込みたくないのですが。

【石川】
 今のを片づけてから,次の中村さんのほうに移りたいと思いますが。まだこれを……。

【近藤】
 ……なかったというのはなかなか難しい議論を,言い過ぎておられると思いますけれどもね。

【鳥井】
 言い過ぎです。

【近藤】
 そういう場がないかと言うと,そんなことはない。そういうことに関して学会では議論をしているわけですし,さまざまな機関にそういう提案をされる方もいらっしゃる。が,それは説得力がないか,まだ未熟ということでなかなかその機関の提案にもなれない。われわれ学会と言うか,アカデミックな人たちはそれはまだ努力が足りないというように,評価しているわけであって,それはよい点はあるけれども,悪い点もある。そこのところの評価がとても本道に乗せるということにはならないということになっていると考えるべきであって,しかも長計でもそういう議論は,そのような未来志向の原子炉を考えろということは,ちゃんと議論してあるのです。ただ,見えない。

【小沢】
 どうして,見えないんでしょうね。

【石川】
 中村さんが同じことについて意見を。

【中村】
 今の鳥井さんの意見に即して言いますと,そこについてのコメントは,この会議の中で出ていましたけれども,東アジアで特にエネルギー問題は大事だということが指摘されていまして,その中で原発を輸出して,そこで原発が使われるということについては,日本国内よりもはるかに安全性が危惧されるという指摘がありましたね。これはやはり非常に大事なことで,考えておかなければいけないと思っています。
 それから,私の言いたいことなのですけれども,私の資料の5のところでドイツの社民党と緑の党が政策協定をやっていまして,10月20日にできあがっているわけです。資料をご参照いただきたいのですけれども。それをごらんいただいたらよいのですけれども,そこにこういうことが書かれています。「原子力発電には予測不能な損害を生じさせるという決定的なリスクがあるので,責任を負うことはできない」と。つまり,危ないからやめだと言っているわけです。ドイツがここまでたどり着いたについてはそれなりの経過がありまして,私はこの軽水炉についてはやはり万一の場合にはドラスティックなリスクがあるということはだれも否定できないのではないかと思います。その意味でこの政策が脱原発の方向に決まったということを,まず1点指摘させていただきたいのです。
 私は,この会議の中で出てきていることなのですけれども,中島さんが炉型についてはもっといろいろな技術的な可能性があるのだということをおしゃっていますね。そこまで広げて今度は考えていかないといけないと思っています。  要するにこの議論の中で出てきていますのは,今後の原子力政策というものは,基本的に多様な価値というものを根本に据えて,多様な選択肢を持ってやっていくということが必要だということですね。

【石川】
 要は,今までグッと狭まってきたのをもっと幅広くしていう話ですね。どうぞ。

【近藤】
 今の議論は要すれば,原子力長計と言うか,原子力委員会でそういう技術開発に関わる議論,いろいろ多様な技術について,それぞれの利害得失や可能性について,ちゃんと議論した上で開発項目を選択されているかどうかに関する疑問,国際社会におけるわが国技術の役割論と2つであったのですけれども,まず手続き論的に原子力委員会がそういう議論をしなかったかどうかということですが,私は議論はしていると思うのです。問題は,こういうところでこのことが問題になる,つまりそういう議論はしているのだけれども,それがどうも見えないということにあると思うのです。
 ところで皆さん多様な路線とおっしゃっる。多様な路線というのはどういう意味でおっしゃっているか,路線といっても,今日から軽水炉とは別の原子炉を作りますと言っても,使える原子炉などないのです。世界中見てもない。わが国では時間をかけて高温ガス炉がやっと試運転できたかなという状況です。新しい原子却を開発するというのは30年,50年かかるわけですね。で,多様な路線はいいが,軽水炉という実用化した原子炉があるときに,さらに別の原子炉を開発することに公的なお金を使うことが妥当かという議論すらあるわけです。原子力というエネルギー供給方式について,少なくともひとつコマーシャルなテクノロジーが国民の税金を使って実用化できた。あとは産業界が自分で各々新しい技術開発をして,より優れた新しい原子却を実用化していけばよいではないかという議論がむしろ普通なのです。
 軽水炉はいろいろな面でパーフェクトと思わないから,こういう原子炉のほうがまだよいから,これについても国は金を出して,実用化を目指せというのは,それ自体大きな議論を呼ぶことなのです。そういうことについて,その論理的必然性,なけなしの国民の税金をその別の技術の実用化に投資することの妥当性・費用対効果も含めて問題提起をされないと。これまで聞いている範囲では「あのほうが何かよいらしいから」という程度の議論しかないのです。

【石川】
 反論がおありだと思いますが。

【鳥井】
 私も近藤先生がおっしゃることが可能ならば,それは筋だと思っています。しかし,残念なことに日本の原子力産業というのはそんなに力を持っていません。したがって,ある程度,もし日本が国際的な,日本の置かれた立場の中から何かをやっていこうとするのだと,それは公的なお金が出るということについては,私は認められる場合が相当あるのではないかと思っています。
 では,こういうものは技術開発ですから,議論だけをすればよいのかと言うと,そうでなはいわけです。近藤先生がおっしゃったように,私も先ほどちょっと言い過ぎました。原子力委員会がまったく議論をしていないのではない。けれども,議論をするためのバックグラウンドになる,それを技術化していくためにある程度予算が必要なのです。あるところまで行って,ここでこういうことがわかってこうなったのだけれどもどうだろうといったタイプの議論ではなくて,単に机の上だけでの議論がなされてきたということだろうと思います。
 先ほど私は試行錯誤を認めろと言ったのですが,それはある程度芽を出すところにお金をつけなさいというつもりです。以上です。

【石川】
 吉村さん,どうぞ。

【吉村】
 先ほど私が指摘をしましたように,原子力委員会が後追いで「ふげん」と言いますか,新型転換炉をやめてしまった。そうすると,やはり産業界主導と言いますか。そこは採算性がないからやめたと。原子力委員会は追認で認めざるを得なかった。そうなると,原子力委員会は何でしょうかということに実際問題としてなるわけです。
 そこへ来る道として,先ほど時間がなくて言えなかったのですが,いわゆる電源三法交付金。これは前回の円卓会議で福井県知事や敦賀市長が盛んに主張しました。あのときに敦賀市長がいみじくもこう言いました。「これだけ原発があるにも関わらず,小浜線はディーゼル車が走っている。高速道路は1本もない。どうでしょうか」と。
 ところが,電源三法交付金ははっきり言って,単位自治体にくるわけです。そういうところへは絶対使えません。福井県にいくと言っても,福井県のほうは全体の予算規模の中で少々の金をあちらに撒き,こちらに撒きで,そういうところへ重点的に出すわけにはいかない。国も政策としてやるのだったら,今の電源三法交付金制度はやはり原子力委員会として,あの論議を踏まえて私も考えたのですが,いったん止めろと。止めてしまう。その上で,その地域全体の産業基盤とか,地域全体の生活基盤を格上げするような,いわゆる交付金と言いますか,そういうものについて一度考え直す。これこそ原子力委員会が基本的に1回取り組む課題になりつつあるのではないか。これは立地勘定のほうです。
 多様化勘定,この中身もある国会議員の質問でもらったのですが,これを見ますと,委託金,交付金で,本当にいろいろなところに金が出ているわけです。こんなものを見ると,これはまさに一般会計でやるような金なのです。これが平成8年度版という,これが今まで福井県内の各自治体にきた金なのです。この中に入っている。9年度版はまたすぐ出るらしいのですが,これを見て私もびっくりしました。あまりにもその項目が多いのです。こんなものが必要なのだろうか。そしてそれらで作った箱もの。先ほど井上さんもおっしゃいましたが,箱ものですね。これもボチボチ作ったものが,古いものは全部修繕をしなければならないとか,建て替えをしなければならないというところにきているわけですね。そうなると,維持修繕だけでも大変な金です。それで自治体の財政はパンクするわけです。
 そういう点を考えると,私はやはり原子力政策の問題として,原子力委員会は全体のこういう自治体に金をばらまいて作っていくというような政策を根本から見直して,まさに今やるべきことは廃炉対策,廃棄物の問題,使用済み燃料をどうするか,そこがやはり今一番問われると思うのです。この3つがです。
 やはり原子力委員会もそこへ重点を置いて審議をする。軽水炉が成熟していると言うならば、もうそんなに手厚い保護はいらないのではないか。私はそういう考え方です。

【小沢】
 ちょっとそれに関連していいですか。

【石川】
 どうぞ。短めに。

【小沢】
 私は吉村さんのおっしゃることに賛成なのですけれども,この間の会議を見ていても,やはり地元の政治家とかリーダーの方々は「お金をもらっておかなければ,地元は黙ってはおらんぞ」的な感じがして「迷惑施設なんだから,金で何とかせい」というのが濃厚だったように見えるのですけれども,今吉村さんのおっしゃるような意見が,例えばどうやったら地元の政治に反映できますか。

【吉村】
 私はやはり原子力委員会とか,国の怠慢だと思うのです。これは国会でも1回論議をしてほしい。それは,自治体は迷惑施設で,今小沢さんのおっしゃった通りです。「迷惑施設だから,何かもらわなければだめよ」と。今プルサーマルの問題ではっきり言っているのですから。知事は「何かよこせ」と。高浜町長も「何かよこせ」と言っているのです。これは新聞に出ています。
 しかし,もうその発想は古いと思います。住民自体がそれでは原発が来たことによって,どれだけ地域全体の生活が上がったか。産業基盤ができたか。産業が増えたか。何もないではないかと。  一番よい例がはっきり言って,原発が来てから,原発のある福井県の嶺南地方と言うのですが,嶺南と嶺北と北陸隧道で分かれています。原発のあるのが嶺南地域。敦賀から高浜町までです。その間の人口動態を見れば,わかるのです。敦賀市を除いたあとの町村,小浜市を含めて全部人口は減っているのです。減っているということは,原発は来たけれども,産業基盤,産業は何もできなかった。この証明だと思うのです。それが実態です。そこをやはり考えてほしい。

【石川】
 非常によい議論で,もう少しつづけたいと思います。それに関連して短く。

【中村】
 敦賀の会議も聞かせていただいたのですけれども,私は基本的に地域振興というのは,原発を呼んできて電源三法でやるものではないと思うのです。これは全国総合開発計画ですね。あれで一般行政として地域振興を図られるのは当たり前でして,電源三法によって行なうということは,いわば邪道です。地域で何か非常にそれに寄りかかって考えていらっしゃるようにこの前は聞けたのですけれども,私は基本的に反対だということを申し上げたいと思います。

【石川】
 近藤さん,何かそれに関連して。

【近藤】
 吉村さんが先だと思うのだけれども,ちょっと2つだけ。1つは鳥井さんのご意見に始まり話題が続いていた研究開発のありようの話。ちょっと結論めいたことを言うのは失礼かもしれないけれども,鳥井さんは先ほどの路線論議は,これまでは軽水炉を立ち上げるということにかなり中心的に投資がなされたけれども,今後はもうちょっと幅広い,いわゆるバック・トゥ・ザ・ベーシックで,萌芽的な研究に重点投資すべきそれが今後の研究開発の姿ではないかという趣旨での話題提起であったとおっしゃったが,それに関しては私は賛成ということをまず申し上げたい。
 2番目の立地に関わる電源特会云々の議論では2つのことがいわれている。1つは,電源特会は箱もの用で,使い方がどうも不自由だから困るということ。吉村さんもそういうことをおっしゃったと思う。そういう電源特会のあり方論はおおいに議論・提示されていいと思うのです。
 第2の議論は,発電所の立地に対して,国がある種の公的共同利益の観点から特定財源を用意して,投資をしていく。この手法が間違っているかどうかです。この議論は一般論としてあるのですが,私はそれは間違っていなくて,そういうことは他の分野でたくさんなされていると思うわけです。ただ,今の税制だと,地方交付税という本来憲法25条第1項を担保する,最低限度の行政資源を均等にするためにばらまくはずの地方交付税が,いわば標準的な行政のための資源になって,したがって電源特会で収入があったらこれが減らされるという仕組みがおかしい。立地というのは本来市場化するべきだと思うのです。ですから,公的な誘導策として,電源特会という税金の付加で交渉するのですけれど,電源立地は電源特会など使わなくても,料金制度でもって交渉してもよい,例えば昔からよくある話ですけれども,川の上流の森をちゃんとすることは下流の皆さんに利益をもたらすのだから,何らかの方法で下流の人の利益を上流の人に戻す仕組みを考えるべき。それと同じことで,茅先生がどこかで書いておられらのを思い出すのですけれども,利益と負担に関わる公平性を担保する仕組みをお金のフローとして用意することは市場化ということで合理的でしょう。お金というのはいやらしい,私は子供の頃親に「お金の話なんかするな」とよく言われたけれども,やはりお金というのはいろいろな問題を解決するのに便利なので,それをうまく使うのはまっとうな手法だと思う。で,そのことからしても,それをもらったほうが使いにくいと言うのははなはだ問題だと思います。

【石川】
 どうもありがとうございます。電源三法の今日の議論は非常によい議論で,前回の続きをやりたいような気もするのですが,それをやっていますと今日の話題になりませんので,やはり原子力委員会がどうあるかというところに行きたいと思います。今日はずい分よい議論がありまして,よくノートしたいと思います。ここで切るのは残念ですけれども,次に進みたいと思いますが,小沢さん,それでよいですね。

【小沢】
 はい。

【石川】
 それでは吉岡さん,お願いします。

【吉岡】
 私も電源三法を続けたかったのだけれども,それは打ち切って,もとの話に戻りますと,鳥井さんの意見には半分賛成で,半分反対なのです。反対というのは,フールプルーフの原発をアジアに普及させることが安全保障に役立つかどうかについて,たぶん役立たないという見解を私は持っています。しかしそれはそれこそ議論すべきことであって,ここで議論しても結論が出る問題では到底ない。やはり原子力委員会で,そういう議論がやりやすいような環境を作るということが意味のあることだと思っています。  傍聴人の方に配られているのかどうか知らないけれども,一昨日の日付で「省庁再編後における原子力委員会のあり方」,これは決定ではないらしいのですけれども,この4つの機能が上がっていて,私がアセスメント機能と言ったのは3番目なのだけれども,アセスメントだけをやればよいのか。それは中心的にやってほしい。しかも科学的,合理的にやってほしいとは思うのです。  私が第1回のときに言ったのと重なりますけれども,さまざまな,また多様な立場からの調査研究が行なわれていない。批判的な立場の研究というのは,そもそも予算がつかない。それを批判的な立場にもお金がつくように,独立の立場,あるいは批判的な立場の研究にもお金がつくようにということを提案したのですけれども,結局このプリントで言うと,1番目です。「政策の企画立案機能の強化」です。原子力委員会が国家計画みたいなものを立てる必要はないと思うのです。タイムテーブル付きなどというものはもってのほかだと思っていますけれども「企画立案機能の強化」は賛成です。
 積極的に研究提言をして,あるいは政策研究への支援を行なうという,そういうどちらかと言うと高級シンクタンク的な機能に重点を置いて,その一環として,東アジア地域における日本のあり方とかを研究する。国家計画を決定して政策誘導するとか,そこまで細かくやるのはやりすぎだと思います。
 ですから,鳥井さんの持ち出されたようなテーマを積極的に議論して,ある種の提言を行なう,そこまでの範囲では全面的に賛成をしたいと思います。

【石川】
 鳥井さん,どうぞ。

【鳥井】
 私は吉岡さんにちょっと質問をしたいのですが,よろしいでしょうか。実は先ほど「独自のイニシアチブ」というお言葉を使われました。それと,もう1つ「民主主義」というキーワードがあるのですね。これをどうやって両立させるかというのは,私自身が「皆の意見を聞け」と言う一方で「あなた方,独創的なことをやらないじゃないか」と原子力委員会を批判してきた面がありまして,私自身大変悩んでいるところなのです。その辺何かお考えがありましたら,私は聞きたいのですが。

【吉岡】
 民主主義というのは,本来は日本の官僚,中央官庁のシステムが強すぎる,これを多元的な形で権力の配分がなされるようになることが必要だというのは,もとよりの私の考え方であって,そのためには中村さんがおっしゃられるような国会の機能,調査研究機能を含めての充実強化というのが重要であると思いますけれども,それはすぐにはおそらくはできません。重要な点というのは,やはり中央官庁の権限の相対化ということをより強める方向で,原子力委員会が機能できないかということです。イニシアチブというのは何に対するイニシアティブなのかと言うと,通産省や科学技術庁に対するイニシアチブというような,主にそういう意味で言っているわけです。
 そのためには,今の行政組織改革のやり方というのはあまり好きではないですけれども,原子力委員会と安全委員会が内閣府のほうに置かれるという形になると言われています。そういう官庁に対する独自のイニシアチブというようなものを行使する上での明らかにメリットであろうと期待していて,その場合の民主主義の取り入れ方というのは,かなり大胆な形で,もしやろうとすればやれるのではないかと。
 どのようにやるかというのはいろいろ議論があって,市民運動の立場から言うと,あまり私みたいなのが具体的な提案を出すなというような,むしろ「国民をさしおいて,吉岡のようなやつが勝手なことを言うな」という,まずは国民的議論でその方法も決めろということが言われて,言いづらいのですけれども,私は別に市民運動に対して責任を負っているわけでは必ずしもないので言いますと,やはり私の考えでは,今までの政策論議というのは非常にファジーなやり方で行なわれてきて,その決意がそのまま通用するというような形になってきた。これを,合理主義と民主主義というのは必ずしも調和はしないかもしれないけれども,合理主義と民主主義をともに満たすように両者の調停を図りつつという形で……。

【石川】
 できる限り議論を多く載きたいので,短くしていただきたいと思います。

【吉岡】
 ではとりあえずそういうことで。

【石川】
 では,近藤さんお願いいたします。

【近藤】
 私は民主主義と合理主義は調和しないという言説はとても受け入れ難くて,民主主義にプライオリティがあるに違いないわけであって,いかに合理的でも民主主義でなければいかん思うのです。われわれの憲法の前文には「われわれ国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」とあるわけです。つまり民主的統制というのは議会を通じてなすということがわれわれの大前提ですね。
 ですから,大事なのは今のわが国の議会が行政をいかにコントロールしているかということであるにもかかわらず,1つ1つにはたぶん結構なことを議論しているのかもしれないけれども,何と言っても,国会に何十も委員会があって,とても科学技術委員会などの審議状況はニュースになることがない。これは非常に大きな問題だと思うのです。私のメモにありますように国会は今度の,核燃サイクル機構の設置に係る議決に付帯して,「政府は,整合性ある原子力開発を行なうため,高速増殖炉,使用済み燃料の再処理,放射性廃棄物の処理・処分等の核燃料サイクルに係わる政策については,今後とも国民的議論を継続し,その合意形成に努めるべし」と決議したのです。つまり国会は自分はやらないけれども,政府が合意形成をやれと言っているのです。これがわが国の国会の審議なので,これはけしからんとどこかに文章を書いたのですけれど,皆さんのおっしゃっていることの半分ぐらいは,国会はもうちょっと頑張って合意形成の努力を自らやりなさいということをおっしゃることでよい。このことは原子力委員会にばかり言ってもしかたないので,むしろ国会に文句を言わなければいけない。皆さんはいろいろな機会にそれをおっしゃるべきだと思うのです。

【茅】
 すみません。もう少しゆっくり話して下さい(笑)。

【石川】
 どうぞお続け下さい。近藤先生の資料の中にこの御主張が書いてあります。もし何でしたら,あとでまた要点をお話し願いますが。  中村さん,どうぞ。できる限り短かめに。沢山討論を続けたいと思います。

【中村】
 そのように努めているつもりですけれども。まず私は根本的で基本的な変革がいまの時代に必要だということで言えば,今日も原子力六法を持ってきたりしたのですけれども,原子力基本法はひたすら推進ということが書かれています。もう1つは,原子力基本法の精神は,民主自主公開ということであるわけですけれども,条文をよく検討しますと,必ずしも民主自主公開ということは明確に規定されていないというところがありまして,そういうところから言いますと,基本法自身から考えてみる必要があるだろう。これはこの会議でも前に出ていたと思います。原子力委員会についてはもう時代的な役割は終わっていまして,これからの時代には原子力委員会の形で原子力政策を行なっていくということについては,私は必要がないだろうと思いますので,これは廃止をしてよいと思っています。
 それから,1次審査と2次審査とがありまして,安全審査についての問題はあるのですけれども,これは近藤先生と意見が違いましてまことに申しわけないのですが,私はむしろ1次審査をやめまして,2次審査を徹底的に強化する。したがいまして,安全委員会を三条委員会,行政委員会にしまして,内閣として各行政パートにあるそれぞれの安全規制を皆移してくる。そこで統括をする。あるいは日本原子力研究所を安全委員会のもとに置く。この程度の非常に手足も備えるというような形で十分な安全審査ができる体制をぜひ組んでいただきたいと思っています。

【石川】
 さて,原子力委員会の仕事の役割から,いまの中村さんのお話し,非常にブロードな範囲に広がったのですが,どちらに行きましょうか。ご提案をしているのですが。どちらのほうに行きましょうか。

【近藤】
 1つだけ。先ほど2つ言おうと思って,早すぎると言われて1つも途中で止めたのですが(笑)。1つは国会は,議会のコントロールがもう少し国民の目から見えるような仕組みを何か考えないと,どうも問題である。エイズ問題のときとかは,国会がある意味ではずい分指導性を発揮したわけですけれども,国会には国民の関心事には頑張ってることが見えなければならないと思うのです。
 それから,2番目は原子力委員会のさまざまな議論のプロセスにおいて,いま「あんなことやっていないじゃないか」「こんなことやっていないじゃないか」と言われてしまっているという現実があるとすれば,原子力委員会がなしているさまざまな活動について国民の目から見えること,あるいは国民がお持ちのさまざまな意見を,適切に取り上げ,それへのフィードバックを行うなど原子力委員会の活動が理解されるための方策をよほどよく工夫して行う,さらに先ほどのようなことで国会は原子力行政に合意形成までお願いしているわけですから,合意形成の責任も付託されているのだから,そのためさまざまな工夫をされることが非常に重要だと申し上げておきます。

【石川】
 ありがとうございました。ここでちょっと決めたいと思います。大きく話題を広げるか。原子力委員会について非常によい議論をしているのですが,大きく広げたいという方はちょっと手を挙げてみてくれませんか。3人ですね。
 いまの原子力委員会にもう少し絞って議論すべきだという方はいらっしゃいますか。

【小沢】
 とりあえず絞って。

【石川】
 ではとりあえず絞ってやっていきたいと思います。吉村さん,その点についてのご発言をどうぞ。

【吉村】
 私はいまの原子力委員会は,やはり原子力というと間口が狭くなると思うのです。少なくとも,いま総合エネルギー調査会がある。その中に原子力部会もある。そしてまた原子力委員会がある。この整合性ですね。ここがはっきり言って,1つはやはり国民から見えにくいと思うのです。
 そうなれば,やはり原子力はエネルギー全体の中の1つのパートだという考え方に立つべきではないか。ですから,エネルギー委員会と言いますか,名称はともあれ,全体のエネルギーという立場でやはり論議をしていくような委員会と言いますか,原子力委員会についてはその場をつくるべきではないか。
 それから,安全委員会は先ほど中村さんもおっしゃっていますが,私は,ダブルチェックは形骸化している。「1次審査で通れば,2次審査は通りますよ」という見本になっているわけです。そうならば,安全委員会なら安全委員会1本の審査でよいのではないか。
 端的な例が「もんじゅ」事故です。あの事故報告書です。科学技術庁も出す。その前には,やったところの動燃が出す。それから今度は安全委員会が出す。事故報告書が3本出ているわけです。 その中には,問題になっている事柄についてわれわれと安全委員会と一度ヒアリングをやったのですが,科技庁のほうは場合によっては,条件によっては「床に穴が開きますよ」と言うのです。ところが,安全委員会の当時出てきた安全委員は「開きません」と言うのです。この間裁判で佐藤委員長は「開きます」と。公式の報告では安全委員会のは「穴は開きません」となっているわけです。そうすると,国民の立場で言えば,どれを取ってよいのかわからないわけです。
 飛行機事故で,航空会社が出す,運輸省が出す,また航空機事故調査委員会が出す,そんなものはないでしょう。事故報告と言ったら,1本でよいのではないですか。その辺のところも,やはりダブルチェックではなしに1本化をしていくという体制のほうがよいのではないか。そのほうが国民にわかりやすい。そしてまた信頼もされるでしょう。それは事務局もきっちりスタッフを揃えてやっていくような体制をつくっていく。
 ですから,エネルギーも単なる原子力の問題だけではなしに,総合的なエネルギーのための委員会をつくるというぐらいのところを,やはり原子力委員会も,またこの円卓会議としても,そこへ持っていく必要があるだろうと私は思うのです。

【石川】
 木元さん,どうぞ。

【木元(原子力委員会委員)】
 私は原子力委員としてオブザーバーですが,先ほど茅さんのほうからもおっしゃっていただいたので発言させていただきます。どうしてもこれは申し上げなければいけないなと思っているのは,いま吉村さんがとてもよいことをおっしゃって下さったのですが,言いかえれば,原子力というのは何もエネルギーだけではない,原子力発電所だけではないということだと思うのです。
 私も中に入って約1年たちましたけれども,表に見える原子力委員会というのは本当に週に1回か2回,一時間ほど,会議をすることだけが公開になっています。ですけれども,あとはあちらにもいらっしゃいますけれども,事務局の方と案件のチェックや説明を受けたり,いろいろ論議をしたり,こういう問題は,どう考えられるかなど話し合います。長官は委員長になっていますが,大臣ですから数えるほどしかお見えないにならないのですね。これは問題ですけれども。それで3人あるいは4人がかなり論議をするわけです。ですから,朝来て夜遅くまでいなければならないこともある。こういう討議の継続プロセスは外に見えないものですから,とても残念だという思いがあるので,私は見える原子力ということを強調していきたいのです。
 話を戻しますと,原子力と言った場合に,エネルギーで原子力政策としての発電もありますし,その中でもいまご論議したいというプルサーマルの問題もあります。今度の核燃料開発サイクル機構の問題もあります。いろいろなものがある。また,農水省に関わる原子力というのもあるのです。それは放射線利用という形で,これはアジアの諸外国が原子力発電だけではなくて,放射線利用という形でかなりやっている。病害虫へ照射して撲滅するとか,食品に照射をして安全を確保するとか,そういう形で原子力が利用されているということがある。これは厚生省,農水省両方とも関係があります。
 それから環境庁で言えば,いろいろなところに関わる放射線利用の結果として,環境を侵すものがあれば,放射性物質のモニタリングとしてちゃんとチェックしていただかなければならない。これも原子力委員会の範囲に入ってくるということになります。  それから今後の研究開発のことになれば,核融合研究から何から,高レベル放射線廃棄物の処理・処分の問題,処分地の選定とか,そういういろいろなことに関わってくる研究開発が入ってくる。それから,立地になれば地域振興として今度国土交通省になるのですか,そういうことも関係する。今度サイトのところの問題になっていろいろな施設が出ると,これは前の自治省,今度総務省になるのですが,こことも関わってくるわけですね。それと核不拡散になると外務省と関わる。
 そのように原子力というのは,いま原子力発電にこだわりすぎますが,すべて網羅しているとなると,やはり原子力委員会はかなりの識見を持って,すべてを統合してものを言うという機関にならなければ,機能できないのではないかという気がしています。  そうなってくると,いまの原子力委員会がそれだけできるかと言うと,できないですね。これからは私の意見ということにさせていただきたいと思うのですが,5人は常勤で,大臣は含まず,本当に見識を持って総合的にものを見て判断する人がいてほしいということです。今度長計の見直しというのが入っていますけれども,この長計の見直しに関しても,先ほどのようにかなりリジッドに,何年にどうこうしなければならないということではなくて,柔軟性を持った視野で,長期的な展望でものが言えるような形にしなければいけない。いろいろご議論がありますけれども,日本が核燃料サイクルを進める,進めないも踏まえた上で,やはりそれもきちんと言わなければいけないだろう。国民のご議論もやはり反映させなければいけない。
 今後のことを含めて,そういう機能を持ったフルタイムの委員会にしていく必要があるだろう。いま変えられませんけれども,そういう視野に立てば,おそらく今度は内閣府にいきますけれども,原子力委員会というものの形,あるいは機能,能力のようなものが自ずから見えてくるのではないか。そういう形にならないと,どうも非常勤の私は,いまは忙しくて十分関われないし,先ほどからいろいろなご議論が出ていますけれども,やはり見えてこない。「何もしなかったじゃないか」にしかならないだろう。中に入ってみて,大変残念な形になっているので,この形で継続していくことは私自身やはり不安です。ですから,改革が必要だと思っています。

【石川】
 ありがとうございました。原子力委員会の現状を。木元さんもずい分改革の必要性を内部でおっしゃっているわけなのですが。  吉岡さんが先ほどからずっと手を挙げていらっしゃる。この件に関してですね。

【吉岡】
 おおむねこの件に関してですけれども。

【石川】
 では,なるべく短くお願いいたします。

【吉岡】
 吉村さんの提案に実は私は賛成です。総合エネルギー部会というのを……。

【近藤】
 すみません。私が吉村さんに聞きたかったのは,総合エネルギー委員会というのは原子力委員会の外に置けと言っているのですか,内に置けと言っているのですか。

【吉村】
 総合的に改組して原子力委員会をなくして,総合的なエネルギー委員会にすべきだと。

【近藤】
 どこにですか。内閣府に置くわけですか。

【吉村】
 どこに置くかはともかくとして。

【木元】
 私が申し上げた,原子力委員会の守備範囲は,エネルギーも入るし,放射線利用もいろいろ入るといま申し上げましたね。そういう形ではだめですか。

【吉村】
 やはり原子力と言うと……。

【石川】
 ちょっとここで話をまとめたいのですけれども,われわれのこの円卓会議で,行政機構を「ああせい,こうせい」と議論をしても意味のないお話だと思うのです。むしろいま原子力委員会が持っている問題を,どのような方向で変えていくかということを論議すること自身が,行政改革を行っている人達に伝わるのであれば……。そういうためのデータを求める議論で,「あーやらなきゃいかん。こうやらなきゃいかん」という議論は,ちょっと意味がないと思うのです。

【吉村】
 そうなりますと,実は今年の夏にも,原子力安全委員会の「安全委員会のあり方」についてのヒアリングに私も出たのです。定例会に。そのときに基本的な安全委員会の改組の方向について,私なりの提案をしました。そのときに全員出席していますから,安全委員のほうから「そうは言っても,行革で大綱は決まっちゃっている。だから難しいんですよ」という話が安全委員のほうから出るのです。

【石川】
 わかりました。では,ご希望をおっしゃっていただくのはけっこうですから。大きく言って一番初めに申し上げましたように,現在のシステムでもよいと言われる方。このお昼の会議の始まるときに申し上げたのですけれども「『変えていけ』という議論と『現在のシステムがもうだめなんだ』という議論が2つありますが」というところからスタートしたのですが,吉岡さんは現在の方向でも変え得ることがあるのだというようなお話から入っていかれたと思うのですが。

【吉岡】
 私は,総合エネルギー調査会の議論がいままでほとんどなかったものだから,それについて少し補足する意味で議論をしたいと思うのです。  どういうことかと言うと,石油危機で非常に力を持ってしまったというような印象です。失礼な言い方をすれば,それ以前はあまり力がなかった。2度の石油危機でエネルギーというのは国策なのだという認識が形成された。それで非常な権限を持って,その結果として,総合エネルギー調査会の決定が,そのまま閣議了解とか,そのような形にもっていかれるというような,そういうシステムができて,ある意味では原子力委員会以上に力を持ってしまったという,そういうのが問題であって,しかもそれを仕切っているのが通産省であるわけです。通産省の資源エネルギー庁に任せてよいわけはないです。
 その理由というのは,先ほど民主主義と合理主義の関係で言いましたけれども,インサイダーに任せれば,決して合理主義的な答えは出ない。ですから,中央官庁とは独立の立場から総合的に議論しなければいけない。議論して決定しなければいけないという,そういう点で独自の調査会,高いレベルの委員会というのは必要であろう。廃止については私は反対です。

【石川】
 わかりました。中村さんが先ほどから手を挙げて待っておられますので,恐れ入ります。

【中村】
 順番が回ってきたのですけれども(笑),とにかく原子力委員会を廃止したいというのは,少し説明をさせていただきたいのですけれども,日本は憲法で三権分立ということになっているのですが,実態は行政優位がはっきりしていまして,国会は立法権をほとんど失っています。司法は2割司法だと言われていますね。そういう実態はどうしても変えなければいけない。これが行政改革の真の目的だろうと,私は思っています。
 そういう意味では,原子力委員会がいまのような姿で仕切っていくということになりますと,これは国民の声を反映するうえではもっともシステムとしてよくないと思っています。ですから,これは国会に原子力特別委員会というようなものを例えば置いて,そこで国民の声を直接に反映する形で,原子力政策について,国民の声に依拠しながらことを進めるということが必要であろうと思うわけです。
 規制の問題は,国民の声を聞くということはもちろん必要ですし,私がここで資料として出していますように,全国原子力発電所所在市町村協議会は大会決議で原子力防災の問題と,安全審査の問題等を決議しているわけです。今日の毎日新聞では,安全委員会の役割を抜本的に改革して強化しなければいけないということを言っていますけれども,これが国民の声でして,これはむしろ徹底的に強化をしてもらいたい。こういう意見です。

【石川】
 ありがとうございます。鳥井さんどうぞ。

【鳥井】
 先ほどのエネルギー総合委員会というお話がありましたが,これには賛成なのですが,来るべき行政として理想的な姿というのをそれぞれ皆さんお持ちになっていると思うし,現実というのがあるわけです。現実を踏まえないで理想だけ言うと,これは教条主義というのです。理想を掲げないで現実だけをやると,日和見主義というわけです。どちらに偏ってもだめでして,理想を掲げて,現実からそちらに向かってどう行くかという議論をするのが,実は建設的な議論だと思います。いま現実からちょっと出ようとしているところで,あまり理想にこだわってしまいますと,難しいところがあるのです。
 今度の行革で気に入らないところはたくさんありますが,少しましな方向へ動き始めているような気がするので,私は内閣府の中に原子力委員会ができたら,そこがどういう機能を本当に果たしてほしいのかという議論を積み重ねていかないと,だめなような気がするのです。

【小沢】
 先ほど全般にわたって,いま非常に非力だけれども負うべき任務としてはこういうものがあると,木元さんがおっしゃいましたね。あれが全部負えるような……。

【中村】
 原子力委員会は決して非力ではありませんよ。

【小沢】
 いや,彼女がそう言ったわけですよ。大臣が出て来ないとか,委員が少ないとか。彼女がいま言ったようなことを全部包括できるような形で,いますぐでなくても,もし存在する方向に行くとしたら,それはベストですか。

【鳥井】
 私は理想を言うならば,エネルギーの中で原子力だけが離れているというのは何か違和感があるという気はします。

【小沢】
 そうすると,原子力エネルギー委員会ですか。

【鳥井】
 別に原子力まで名前をつけなくてもよいのではないですか。

【石川】
 木元さん,どうぞ。

【木元】
 たまたま安全委員会と原子力委員会と2つがいまの段階では内閣府にいくということは決まっているから,原子力委員会という名前は残っているのです。それと,エネルギーだけではなくて,いろいろなものをインテグレートして,総合的に企画・立案審査するという形はあり得るだろうということです。
 もう1つ,外務省との関係がありますね。核不拡散の問題,あくまでも日本は平和利用ですから。また,先ほどおっしゃっていたアジアとの協力関係というのは,これから重要なことになります。
 そうなると,経済産業省でおやりになる原子力政策,そしてそれを審査していくという形はとても重要なことだけれども,それらも踏まえながら,もっと高いと言うとまた語弊があるのですが,大きい見地から見る委員会は非常に必要だろうと。  もう1つ鳥井さんに伺いたいのは,構成メンバーの件ですけれども,私はたまたま素人と言うか,非専門家と言うか,常勤ではないのですが委員の一人です。自負するわけではありませんが,それがやはり新しい風を少し送っていると思うのです。そういう意味でフレッシュエアを送るような役割を持って,機能をもうちょっと充実させる方向に原子力委員会がいけば,大変望ましいだろうと思っているのです。

【鳥井】
 賛成です。

【木元】
 ありがとうございました。

【小沢】
 今度エネルギーは離して,もう少し医学だの,核拡散だの含めた,そういう大きな総合的な原子力関係のものは置いておくと。

【鳥井】
 いまも入っています。

【中村】
 そういうのは通産省で十分できます。

【小沢】
 それはエネルギーは別に,もっとエネルギー問題でやるということなのですか。

【鳥井】
 ですから,いまからエネルギー全般をくっつけて内閣府に持っていって「何とかやれ」と言っても,いまの時点の議論としては現実的な議論ではないわけです。それは理想的な姿として,どこかでまた考える必要はあるけれども,いま社会体制が変わろうとしているときにそれにこだわってしまうと,何も前に進みませんよと言っているわけです。

【木元】
 ですから極論を言えば,インド,パキスタンの核実験があったときに,国としては言いにくい部分があるかもしれないのです。けれども,委員会としてだったら,国民の代表が入っている観点から言えば,国民の感情をもろにぶつけて言えるだろうと思うのです。

【石川】
 このあたりで行司が入ります。中島さん,どうぞ。

【中島(元中央大学教授)】
 ここに「省庁再編後における原子力委員会のあり方」というのがあるのです。これは2〜3日前に説明を受けたのですが,やはりこれでは国民は納得しないと思いますよ。
 例えば「原子力委員会に求められる機能,政策の企画・立案機能の強化」とあるわけです。正直に言うと「そういう機能がまったく不十分でしたから今度強化します」というように書いてくれれば,国民は納得すると思うのです。次の「総合調整機能の強化」というのも同じです。いままで総合調整を大いにすべきだったのが不十分でありましたから今度は強化します,というように国民が読んでくれるかと言うと,この文章では読んでくれません。
 「評価機能の強化」というのも,これも先ほど吉村さんがさんざん言われたように,たとえばATRの決定は間違いでしたというようなことが入ってこういうことを言うのなら,私は評価しよう。しかし,全部だめですよ,これ。  みんなよい子になったきりで,原子力委員会が「ここは間違っていました」と一言も言わないから,先ほど吉岡さんが言われたように,なし崩し的現状維持という厳しい批判が出てくるのです。
 ですから,私は1例として申し上げたのですが,やはりこういう気分が残っていたら,だめですね。それから,民主主義という点から,今度の省庁再編では内閣府に移る。これは今回の行革の目玉なのです。しかし,目的は完全に首相権限の強化ということですから,これは反民主主義的な方向だと私自身は思っています。そういう中で,内閣府へ入っても,原子力委員会はどこかへすっ飛んでしまうと思うのです。決して強化されないだろうと思います。
 一方,強化されるのは,新聞に出ているように,経済産業省が非常に強大な権限を掌握することになっています。たぶんそういう方向で進んでいくでしょう。そうすると,これはまた困るのです。軽水炉が成熟した技術だから云々と言うだけでは,未来の日本のエネルギー源という点から言って,私は賛成しかねるという面があるわけです。しかし,実際に実務をやっている官庁ですから,非常に強力なわけです。
 中村さんの言われることは,だいぶ国会に期待しておられるようですが,国権の最高機関であるというのは憲法に書いてあることですから私は反対しませんが,いまの国会の状況というのは,そういう幻想を抱いておられたら失望するばかりではないですか。

【中村】
 いや,幻想は抱いておりません。

【中島】
 そういうことを言っても,そういうところに特別委員会などができるはずがありませんよ。絶対できない。

【石川】
 木元さん,お願いします。

【木元】
 この「原子力委員会のあり方」というのが皆様のお手元にも行っていますね。あくまでもこれは案です。そしてこれはメッセージです。ワンブロック目のところに「以下のように見解をとりまとめた」とありますように,見解なのです。
 実はこの間,15日の火曜日に原子力委員会があったのですが,ざっくばらんに言ってしまいますけれども,これは委員長代理を中心に事務局がお考えになっておまとめいただいているのだと思うし,それまでにはどうやったらいいかというのを,私たちはみんなで議論しています。それがこういう形になったので,あくまでも見解として出ているのです15日に出たたたき台とお考えて下さい。
 私もその場所で,まさに中島先生がおっしゃったことを発言させていただきました。つまり,いままで原子力委員会が見えなかったということについての反省は入れなければいけない。なぜ見えなかったのか。なぜ何もしていないと言われるのか。なぜ形骸化していると言われるのか。その辺の自己反省を含めての分析がまず大前提にあって,それから今後はこういう形にしたいという提示をするべきだと,委員会の中でもいろいろ言っていますので,乞う御期待です。よろしくお願いします。

【石川】
 お役所の文章をどう読むか,確かに国民には読みにくいのですが,あまりネガティブに考えずに,ポジティブな方向にベクトルを持っていきたいと思います。中村さんどうぞ。

【中村】
 原子力委員会が非力だという話が出ていますが,決して非力ではないわけです。たとえば「もんじゅ」の事故のあとで,動燃が解体されようとしたときにこれを守ったのが原子力委員会です。決定によって守っていったわけです。核燃サイクル,これは研究にとどめようというような意見に対して,どうしても必要なのだということを決めて,その方向へ誘導していったのも原子力委員会です。原子力委員会は非常に強力な組織です。ただ,そのあり方がおかしいということであろうと思います。

【石川】
 吉岡さん,どうぞ。

【吉岡】
 原子力委員会が強力な組織だとは私は思っていません。オーソライズ機関として,公式文書をつくる組織としては強力であるとは思いますが。  私が最初に基調報告で行なった提案を再度言いたいのですが,いま原子力委員会内部で鋭意検討中ということを伺いましたけれども,けっこうなことだと思います。しかし,長計のあり方について議論を始める前に,第三者機関で,いままでのいきさつについての歴史的なアセスメントをきちんとやって,長計だけではなくて,原子力委員会が43年何をやってきたかということについても評価をする。内部の自己評価とい今までのやり方は通用しなくなっていて,大学などでも全部外部評価、第三者評価になっています。原子力委員会もそういう方向で検討なさったらよろしいのではないかと思うのです。

【石川】
 鳥井さん,どうぞ。

【鳥井】
 私もいまの吉岡さんの意見には相当賛成です。政策評価というのは結果を評価して積み重ねていくから,どういう政策が有効で,どういう政策がだめだということが実はわかるわけです。歴史的という呼び方をするかどうかは別として,政策評価というのは非常に大事なことです。
 たとえば,科学技術会議で評価の大綱的指針を出すときに,政策評価をやってほしいと私はさんざん申し上げたのですが,これはいまだに進んでいないわけです。その辺も原子力局なり何なりがあれするのではなくて,それこそこれは第三者評価を言っているわけですし,もし第三者評価が無理ならば,科学技術政策研究所というのが実に科学技術庁の傘下にあるわけでして,そういったところが歴史的評価をするということでも,第三者性は多少出てくるわけです。ぜひ,評価は必要だと考えています。

【石川】
 近藤さん,どうぞ。

【近藤】
 2つあります。1つは,原子力委員会,「委員会」というのが行政の仕組みの中でなぜあるのか。これは安全委員会も関係するわけですが,一般論をすれば,第1には専門性,エージェンシーの議論がありますけれども,これと類似しています。それから内閣や大臣が変わると方針が変わるのでは困るという長期性,長期的観点に立った意思決定が必要だと。それに長期的な観点から妥当な政策は,しばしば短期的な観点からは不人気なわけです。しかし原子力のようなものは時間がかかるし,ゆっくり変わっていくものだから長期的な観点に立った視野で意思決定・行政決定をなされることが望ましいということで内閣と切り離しての合議制の組織にするのです。
 そういう特性を生かして,決めなければならないことは何かということが大事なのです。おっしゃられたような問題,外交にも関係して何にも関係してというのは,多くの行政イシューに共通なわけです。昔なぜ取り立てて原子力というものについて,委員会という行政の仕組みでこれをやるべきとしたのかは,明らかです。大きな装置をつくる,研究開発組織をつくるというきわめて専門的判断を要し,かつ予算を食うわけですから,政府が変わったらすぐやめてしまうというのでは困るからです。委員会組織で進めるべき非常に重要なミッションであったわけです。
 今後,ほかのさまざまな行政分野,厚生とか科学技術の分野でも,ライフサイエンスとか,21世紀はバイオの時代とか脳の時代とか言われて総合調整や国際協調が求められている中で,原子力がそれらと違って委員会という行政組織で意思決定・行政決定がなされていかなければならないのはなぜでしょうか。これはよくよくお考えでないと。お話しのようなことは多くの行政分野に皆適用できると思うのです。あまり好きな言葉ではないのですが,これからのいわゆる「小さな政府」というのは,とにかく合理的,エフェクティブな政府であるべきで,そのことを考えるならば,エフェクティブな政府に長期日に立った原子力行政が必要なのは何故かと。それはおっしゃるようにエネルギー技術としての原子力の特性の故なのだと思うのです。吉村さんはエネルギーということでむしろきちんと議論をされたほうがよいのではないかということで,エネルギー委員会というご提案をされていると思うのですが,そこは絶対はずせないことですね。それから例えば放射線とか,他にも幾つかキーがあると思いますが,それを,よく押さえて,委員会として行政すべきゆえんを議論すべき。総合調整というのでは,どの分野でも総合調整は必要なので,エネルギー需給となると国民の日々の生活に関係するからそれをエネルギー対策関係閣僚会議でやる。代替エネルギー法で国会がそこへ付託しているのであって,官僚が勝手に決めているというわけではないと思うのです。

【石川】
 この会議は,ポジティブなものをお互いに提案していって,国民合意を得ていこうというものですね。現状を悪い悪いと言うのは,われわれの精神衛生には非常によいのだけれども,この会の目標にはあまりそぐはないと思います。
今日,この中でご発言のないのは井上さんですが,井上さんは,地元の中でも色々と意見の差があるのではないか。しかし,その相違が互いにわかっていないのだ,と。近藤先生,や木元さんの言われた,いろいろな活動が見えないのではないかということを主張しておられたと思うのですが,そんなところを含めてお願いしたいと思います。

【井上】
 先ほど12分ほどお話しして,人様の時間を取りましたので,後半は黙っていようかと思ったのですが。
 このままあと残りの時間までいくと,今日のテーマの原子力の運営体制は,そこに住んでいる人たちのはるか雲の上のところですべてが決まっていく,その議論だけでもし終わってしまう。運営体制という言葉の中に,そこに住んでいる人たち自身も参加した運営という視点を入れなかったら,結局45年受け入れられなかった,認知されなかった要素は,たぶんこれからも同じであろうと思うのです。  私は,こういう大きな1つのプロフェッショナルな技術の問題とか,政治的な問題とか,組織のものはよくわかりませんが,こういうところに来なければこういう議論は絶対聞けないわけで,私たちが受け取る情報というのはメディア,活字情報しかない情報そのものが非常に偏っているわけです。地元の人たちも,地元でありながら活字情報しか知らない。その人たちにとっては,いまおっしゃったような,ポジティブなものではないような問題がどんどんやってくることによって,自ら被害者意識をつくっていく。そして"だれなのだ"と加害者捜しが始まる。そのような関係をつくっていくというのは,そろそろやめたほうがいいのではないかという気がします。
 1つは,先ほど言いました地域間の温度差,生産者と立地と消費者との温度差,それから同じ生産地であっても南北の温度差,プロとアマチュアとの温度差,これをどうやって埋めていくかというところに議論がいかないと。私たちの感覚では,そこを埋めてほしいと思うのです。
 そうすると,それを埋めるには,幾つかの要素があると思うのですが,私は,1つは教育だろうと思います。大人も生涯学習というようなレベルで社会学習やエネルギー学習をしなければいけない。それから,子供たちの学校教育の中できちんとしたエネルギー教育というのは,やはりやらなければならないだろう。
 それから,マスコミを含めた情報メディアがきちんと正確なことを伝えてほしい。ときどき現場を見に行って,あの情報はこれだったのかということに出会うことがあるのです。それに関してプロの方たちの訂正がない。ときどき聞きますと「言っても仕方がない」だとか「素人の方にこれは難しい問題なので,どう言っていいかわからない」というような発言も聞くことがあるので,そうではなくて,プロとアマチュアの差をどうやって埋めるかというスキルを用意しなければいけないという気がするのです。  いまや日本中,相当の高等教育を受けているわけですし,わからないことはないのです。きちんと時間をかけて,専門家のスキルを用意すれば,必ずわかります。そのことを,地元の人たちにとって被害者意識を生んでいかないような,それでもなおいろいろ問題ががあるのならば,「私たちにもそれをシェアして下さい。分け合いましょう」というようなところにいかないと,これから21世紀になってもまだつくる者と使う者の関係づくりだけになっていく。これをうまく何とかまとめるにはどうしたらいいかというような話になっていく。
 ですから,私は今日ここに来て言いたかったのは,ごく普通の感覚で生活をしている中で,知らないという情報の偏りをできるだけ公平に分けていただいて,そういうスキルをきちんと確立していただきたい。これをプロフェッショナルの皆さんにお願いしたいことです。

【石川】
 茅さんが,特にいまの件に関して発言があるようですが,どうぞ。

【茅】
 私は別に意見を言うつもりはなくて,このあとの進行の仕方の問題なのですが。今日はそういう立場ですから。
 いままで原子力委員会,安全委員会という既存のシステムに対していろいろなご議論があって,意見の分布と言うか,スペクトルは大体わかってきたような感じがするのです。ただ,もちろんこれについて今後も十分議論をするべきなのですが,最初にご説明した原子力の運営体制という話は,別に原子力委員会や安全委員会の議論だけというわけではなくて,いまの井上さんがおっしゃったような一般の方々と,電力会社,地方自治体,そして国,こういった関係をどのように考えていったらいいかという,もう少し広い問題も含めたつもりだったのです。
 いままでの原子力委員会,あるいは安全委員会の問題というのも大変大事なのですが,あと二十数分しかないし,また,今日しかおいでになれない招聘者の方もおられるので,もう少し広げて,住民,電力会社,自治体,それと官と言いますか,それと原子力委員会,安全委員会という関係について,こういうことを考えていくべきだという議論を少しやっていただけるとありがたいと思います。

【石川】
 それでいきたいと思います。  それでは鳥井さん。その次に,小沢さん,お願いします。

【鳥井】
 いまの井上さんのお話に私は実は啓発されたのですが,先日,廃棄物全体に関してのシンポジウムが静岡であったわけです。そのシンポジウムのときに静岡新聞の社長さんか編集局長さんがお見えになったわけですが,原子力委員会が何かやったり科学技術庁が何か決めたり,いろいろなことをやる。その説明というのは科学技術庁の記者クラブでしかないのではないか。そうすると,地方新聞というのは,共同通信なり時事通信なりの記事をもとに考えるしかないと言うのです。もし共同通信や時事通信が,これはどんな新聞も間違いはあるわけですけれども,誤解をした記事を書いたり,意図した記事を書くと,地方紙はほとんどそれをうのみにせざるを得ない。やはり,せめて立地地点ぐらいでは,同時なのでしょうね,県政の記者クラブなり何なりで,こういう決定をしたとか,こういう報告書が出たとか,こういう予算が決まったとかいうことを発表してくれないかというお話があって,私は実はこれは非常に大事なことだと感じたわけです。
 もちろん,けっこう手間のかかることではあるのですが,立地点というのはいまのところそれほど公にはないわけで,少なくとも立地点の県庁なり何なりでは,そういう発表がなされるようにすべきだと思っています。

【吉村】
 それは,やっています。福井の場合などは,福井の原子力事務所から,県のほうで県政記者クラブ,敦賀の記者クラブ,ここでは同時発表でやっています。

【鳥井】
 原子力委員会の決定などもですか。

【吉村】
 そうです。

【石川】
 やっているところもあるのですね。小沢さん,どうぞ。

【小沢】
 いまの井上さんのご意見を,たとえば吉村さんなどはどのようにお聞きになったのかなと。原発が存在することを前提にしてお話しになったのにたいして,早くやめなさいという,生産地の方としてのご意見はどんなものですか。

【吉村】
 はっきり言いまして,それはいろいろな意見はあります。しかし一番最初に言いましたように,バラ色の原子力がなぜ厄介者扱いと言うか,迷惑施設になってきたのか。そこを,やはり考えてもらいたい。
 バラ色が厄介者施設に変わってきたもとはと言えば,1つはうそを言う。情報を隠す。「大丈夫」と言っていたのが,次々に事故は起こる。「放射能はただの一滴も漏らさん」と言っていたのが,実は運転をするためには微量であっても放射能は出す。そういうものがだんだん地元でわかってきたわけです。そのときに,お役所や電力会社は開き直るわけです。「これは法令で決められた範囲内ですから,大丈夫です」と,それだけです。そうなると「何だ」という話ですね。
 それからごく最近は,原子力発電所60年という話が出てきました。当初私が聞いたのは「20年でしょう」と言ったのです。知らぬ間に,それが30年,40年,いまでは60年というのが通例のような話になってきた。そうなると「これはなんでしょうか」と。「原子力発電所はそんなにもつのですか」と。あれも取り替える,これも取り替える,例えば蒸気発生器は取り替える,B.W.Rで言えばシュラッドは取り替える,こういう話になってくると,構造体の一部まで取り替えるというようなことは,当時は予想もしていなかったことです。そういうものが出てくるということになると,情報を持っているのはお役所なり電力会社ですから,それをあからさまに出してもらわなければ困ると私は思うのです。そこのところを重要視してほしい。

【石川】
 中村さん,どうぞ。

【中村】
 私は非常にドラスティックなことを申し上げていまして,これはある意味では皆さんに問題の核心をゴロリと出してみたいという意図も実はあるのです。原子力委員会のことは,いまの茅先生のお話にもありましたが,情報の問題に少し触れてもよろしいですか。

【石川】
 原子力委員会よりも,先ほど井上さんが言われたようなエリアでのお話にしていただきたいのですが。

【中村】
 そういう意味で言いますと,現実的な立場では,原子力委員会は廃止するとか,そういうことも一応視野に入れてみてもおもしろいなとは思うのですが,やはり,あり方です。それは,やはり出ているように,エネルギー政策全般の中に位置づけていくということが必要だと思いますし,特に通産省サイドの総合エネルギー調査会との関係をよく考えていかなければいかないのではないか。特に,原子力委員会はいままで,国策だということで選択肢を狭めた形で,ひたすら推進,邁進というような形でしたので,その点については,この会議でも何度も出てきていますが,非常に多様な選択肢の中で活動していっていただきたいと思っています。

【石川】
 近藤さん,どうぞ。

【近藤】
 吉村さんのそういうご意見はいつも伺うのですが,非常にお腹立ちの趣旨もよく伺うのですけれども,それは何故かといつも私は考えるのです。要するに,説明が一貫していないではないか,信頼関係が成立していないではないかということをおっしゃっておられると思うのですが。

【吉村】
 それもあります。

【近藤】
 確かに事業者が不遜な態度だとか,人を見下した態度だとか,その辺の経緯とかインフラと言うか,私も,いまここですでにそういう印象を人に与えているかもしれないと思いつつも,そういうのはなかなか当事者でなければわからないものがありますね。原理原則論をすれば,きちんとした情報を提供し,そういう関係に向けて,イスラエルとパレスチナがある瞬間に手を結ぼうと思ったと同じように,何かの1つの仕組みをつくる以外にないと思うのです。吉村さんがどういうことならば,全部もとに戻さないと話にならないとおっしゃるのか,何をどうすれば,そこのコミュニケーションがとれるとお考えなのかなと,いつも思うのです。  もう1つは,およそ行政決定でも科学技術でも,行政の場合はたとえば環境条件の変化という,未来のことについてはすべからく不確実さがあるわけです。科学技術については,当然やってみなければわからないことがあるわけですから。したがって,これらに係る行為をなす場合には,そのリスクをはかって,あるマージンを取って,これで十分だろうと。発電所であればまずは30年ぐらい運転してみようかと。で残っているマージンを見て,なお十分残っているという評価ができれば,さらにそれを延ばしましょうと。皆さんも家を建てるときには,これは20年かなと思っても,やはりとっかえひっかえ,あそこを直し,ここを直しで,もっと住むこともあるわけです。そもそも部品を交換して運転すること自体が気に食わないとおっしゃられたら,これは対話ができないわけですが,およそこの世の常識として,物はそうやってメンテされ,維持されて,なるべく効率的に安全確保を大前提として使われるわけです。
 ところが,当初,設置のときに,そういう可能性もあるということを言わなかったからけしからんと言われる,一般論として当然そういうことはあると言うべきかなと思うのですが,やはりやってみてということは当然あるわけです。変更というのは世の中に常にあるわけです。ほとんどの決定は変更されると考えてよい。だから,変更の手続きがどういうことであれば納得いただけるのかということがイシューだろうと思いたいのです。これは若干質問のつもりなのですが。

【石川】
 吉村さん,どうぞ。

【吉村】
 はっきり言いまして,いままでの考え方から言うと,例えば公開ヒアリングは反対。出ません。それが,こういう円卓会議に出るということも,こうしてお互い賛成,反対の立場で出てきて議論を戦わすということも,私は一歩前進だと思うのです。しかし,それでは推進する側のほうが本当に胸襟を開いてやっているのかということになると,私は「まだまだだ」と言いたいわけです。近藤さんのほうとも4月のときにもいろいろお話し合いをしましたが,やはりこと原子力については,一方通行の面がいまでも多過ぎると思います。一歩一歩改善はされていると言っても,その辺のところが残っているのではないか。これは抽象論的ですが,そこのところを変えていくという姿勢のほうが,私は大事ではないかと思うのです。
 もう時間がないので申しませんが,こういうところへ私どもが出てきて話をするということは一つご理解をいただきたいと思うのです。

【石川】
 鳥井さん,どうぞ。

【鳥井】
 私はよく立地点で議論したときに思うのですが,たとえばどのくらい安全にしたら十分なのだろうかというのは,ある部分は技術の話から出てくるわけですけれども,ある部分は社会の話なのです。私たちはこのくらい安全にしてほしいよと。原子力をやられるご専門の方のほうから,社会に対して「どのくらい安全にしましょうか」という問いかけをしたことは,実はないのです。
 一方,社会のほうが「せめて,このくらいにしてよ」という言い方をしたことも,実はないのだと思うのです。安全か不安全か,かなりデジタルな話になっていまして,そんなものはあり得ないので,私たち市民のほうも「せめてこのくらいは保証してよ」と。それは言葉で言うのは難しいかもしれませんが,たとえば確率論で言えば,いまや 100万年だか 1,000万年だか知りませんけれども「それでは困るのだ」「もう少し確率を上げてほしい」というような言い方でもいいと思うのです。それを技術のほうは技術としてフィードバックをして「これならできますね」と。「もし,そこまで皆さんが要求されるなら,それはできません。経済的にとても合いません」「それでは,この選択肢はないですね」というような議論が行なわれるべきだと思っているのです。そういう意味では,原子力をやられる側も少しサボっていたし,われわれ市民のほうも少しサボっていたかなと,なかなか新聞でもそういう記事が出てきませんので,サボっていたかなという感じがします。

【石川】
 中村さん,どうぞ。

【中村】
 いま,その方向へ議論がきていると思いますので,情報のことに触れさせていただいてよろしいでしょうか。

【石川】
 どうぞ。

【中村】
 たとえば,今日いただいた資料にこういうものがあります。この14ページに,発電方式の比較というものがありまして,原子力と太陽光と比べてみていただきたいと思うのですが,このデータと,私が用意している資料の一番最後のところを見ていただくと,すぐおわかりいただけると思うのですけれども,まるで資料のデータが違うわけです。そういうことが,実はいたるところにあるわけです。これは検証しないといけないわけです。ところが,検証のデータが出てこないということが,この会でも西尾さんが指摘なさっていました。例えば原子力発電のコストの問題については,アメリカではコストは引き合わないと言われているのに,日本では原子力発電がコストは低いということで言われています。そういうことを検証するデータが出てこないということです。  やはり,情報が正確というか,しっかりと出てくることが何よりも信頼を醸成するもとになります。いま出ているデータは結果は出てくるのですが,プロセスが出てこない。プロセスが出てきても,その元は出てこない。つまり,基礎データと生データは出てこないわけです。専門家として,これを検証してアクセスしていくことができない仕組みになっています。そこのところを改善していただかないと,情報,信頼の問題は解決しないと私は思っています。
 もう1つは,市民レベルにこの原子力の難しい問題を理解していただくことはできないのだという意見も,実は一方であるわけです。私は13年間,社会教育の中で科学的にものを見ていくという立場で努力を重ねてきたつもりですが,それはできるだろうと思います。大学関係で教えていらっしゃる方にはよくわかることだと思うのですが,本当に核心を持って,要点をつかんで教えるということは非常に難しいわけです。解説するということは,専門的なレベルが高い人だからできるということではないわけです。教育の問題というのは,そこに難しさがあるのだと思いますが,やはり市民に情報を本当にわかってもらえる組織をつくるということは,特別な努力をしてシステムをつくらないとできないことだと思うのです。これは1つ,どうしても努力していきたいなと思います。

【石川】
 ありがとうございました。実は時間もすでにオーバーしていますが,もうお1人だけ,なるべくかいつまんでお話し願いたいと思います。

【吉岡】
 私は次回も出させていただくので,それにつながる話ですけれども,井上さんのご意見を拝聴して,この方向についての議論がもっと必要だろうという気がしました。
 この方向というのは,地方自治体と政府との関係について,もう少しきちんと詰める必要がある。地域振興とは別に,法的な権限とか,許認可権とか,そういう問題です。これは先に石川さんが説明したものに,見えにくいOHPでしたが,許認可権をもっているのが全部「政府」で,「地方自治体」という言葉が一行もないという見事なつくり方であるのが,やはり地域との関係というのが非常に問題になっている背景にあると思いますので,これをぜひ次回にきちんと議論したいと思います。

【石川】
 ありがとうございました。私が全体的なまとめをしなければならない役目であるのですが,今日は非常にフランクな話が出ました。回を重ねるごとにこの円卓会議がよくなっている,言い方も変なのですけれども,意味がある議論が出てきたのではないかと思います。1つ1つの議論につきましては,今日はまとめる必要はないだろうと思いますし,また次回,横浜でこれと同じテーマで続けていきますので,さらにいい議論が出るようにしたいと思います。
 そこでは,今日はこれにて閉会にしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。それでは,長時間,皆様方ありがとうございました。また,傍聴者の皆様方もありがとうございました。

【事務局】
 それでは,この辺で本日の原子力政策円卓会議を終わらせていただきたいと思います。円卓の先生方,長時間のご議論をありがとうございました。また,傍聴の皆様方におかれましては,長時間ご静聴いただきまして,ありがとうございました。

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