[原子力政策円卓会議]
1998年9月9日
原子力を取り巻く最近のエネルギー情勢と原子力の役割
(財)電力中央研究所 内山洋司
1.最近のエネルギー情勢
- 先進国における電力需要の停滞
- 大型電源の建設受注減
- 石油価格の低迷
- 規制緩和によるコスト削減
- 国民の根強い不安感(事故、核拡散、放射性廃棄物)
2.原子力の役割
(1)原子力発電は温暖化対策に最も貢献する電源
- ライフサイクルにわたるCO2排出量がもっとも少ない。
- CO2 対策コストが最も安価。
- 遠心分離法や高速増殖炉などの技術進歩で CO2 排出量はさらに減少する。
(2)将来のエネルギー安全保障に欠かせない原子力
- 21世紀は本格的なエネルギー消費時代(世界人口100億人と途上国の経済発展)
- 21世紀は化石燃料の供給制約(温暖化とのダブル危機)。
- 脆弱なアジアのエネルギー資源
- ウラン資源は化石燃料資源の2倍以上
- 変動が小さい原子力発電の発電コスト
- 貴重な化石燃料は途上国と子孫へ公平に分配。
(3)エネルギー源は「育ちより氏」
- 優れたエネルギー特性をもつ化石燃料と原子力
- 間欠的なエネルギーである風力や太陽光は主要電源になり得ない。
- バイオマスは土地の収奪を加速し、食料生産と競合する。
- 地域性が大きく、供給力が限られる水力、地熱、風力。
(4)技術の信頼性確保には時間がかかる
- 安心できる軽水炉技術。
- 平和利用のプルトニウム技術(プルサーマル、高速増殖炉)。
- 高レベル廃棄物の隔離技術の確立。
- 信頼性し経済性を高める技術開発は先進国の責務。