原子力委員会 1月の動き(1996年)


<委員会の動き>

 定例及び臨時会議


        第1回 原子力委員会定例会議議事録

1.日 時  1996年1月9日(火)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウムの漏えいについて
   (2)平成8年度原子力関係予算政府原案について
   (3)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号
     及び4号原子炉設置の変更)について(答申)
   (4)その他

4.審議事項
   (1)議事録の確認
      第57回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
   (2)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
      標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管のナ
     トリウム漏えいの発生箇所近傍におけるナトリウム化合物付着状況、温
     度検出器の状況、事故原因の調査手順及び今後の運転計画の変更等につ
     いて報告があった。
      これに対し、委員から、
     ・早期に原因究明がなされるよう一層努力すべきこと
     ・原因究明の手順を一層具体化すべきこと
     など意見が出され、今後の委員会でも、その後の状況の進展などについ
     て報告を聴取することとした。
   (3)平成8年度原子力関係予算政府原案について
      標記の件について、事務局から説明があった。
   (4)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号
     及び4号原子炉設置の変更)について(答申)
      平成7年12月1日付け7資庁第8491号をもって諮問のあった標
     記の件に関する核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
     第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及
     び第3号(経理的基礎に係わる部分に限る。)に規定する基準の適用に
     ついては妥当なものと認め、通商産業大臣あて答申することとした。
       注)本件は、「核燃料物質取扱設備及び使用済燃料貯蔵設備の一部
        の供用化」を行うものである。
   (5)その他
      事務局から「新しい政権に向けての三党政策合意」について説明があ
     った。








         第2回 原子力委員会臨時会議議事録

1.日 時  1996年1月12日(金)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)委員長代理の指名について
   (2)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
   (3)その他

4.審議事項
   (1)委員長代理の指名について
      中川委員長から、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第4条第
     8項の規定に基づき、原子力委員会委員長代理に伊原委員が、さらに伊
     原委員長代理の海外出張等による不在の際の委員長代理には、田端委員
     が指名された。
      続いて、委員長より高速増殖原型炉もんじゅのナトリウム漏えい事故
     等について幅広く意見を聞いて対策を考えたい旨が述べられ、各委員よ
     り、今回の事故に関し、
     ・ナトリウム漏れの問題は情報の隠ぺいの問題とは切り離して検討して
      いく必要がある
     ・技術の発展は失敗の積み重ねであり、失敗を許さないという情勢がで
      きるのは好ましくない
     ・情報公開を効果的に行っていくためのシステムを作る必要がある
     ・「もんじゅ」の安全性については、放射能の閉じこめに加えナトリウ
      ムの取り扱いの対策の観点から十分検討することが必要であり、ナト
      リウム対策技術を含め総合技術体系を確立する必要がある
     ・原子力は、エネルギー問題のみならず人間を支える総合科学技術とし
      ての可能性を有している
     ・地元が原子力をどう見ているかを十分認識することが重要
     ・再発防止に努め、損なわれた地元との信頼関係を万全の対策で修復し
      ていくべき
     等の意見があった。
      最後に委員長より、原子力及び核燃料サイクル政策について多くの国
     民の支持を得るために、原子力委員会としても情報公開のシステムの確
     立に取り組むことで、二度と国民に不信感を与えないよう尽力されたい
     旨が述べられた。
   (2)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
      標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管のナ
     トリウム漏えいの原因究明のための準備作業及び2次系の各室に飛散し
     たナトリウム化合物の除去・清掃作業等について報告があった。
      これに対し、委員から、
     ・原因究明に関してまず検査・判断の基準を十分考えて検査を行い、結
      果を公開し、詳しく説明すべき
     ・温度検出器破損の原因が、当該検出器特有の問題か、他の2次系温度
      検出器に共通の問題かを十分に検討すべき
     ・外国の高速増殖炉のナトリウム漏えいで得た経験を十分活かすべき
     等の意見があった。
   (3)議事録の確認
      第1回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。


<訂正>
  誤 >・原子力は、エネルギー問題のみならず人間を支える総合科学技術とし
    > ての可能性を有している       ^
  正 >・原子力は、エネルギー問題のみならず人類を支える総合科学技術とし
    > ての可能性を有している       ^







         第3回 原子力委員会定例会議議事録

1.日 時  1996年1月16日(火)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)ロシア極東における液体放射性廃棄物貯蔵・処理施設の建設に係わる
     契約締結について
   (2)平成8年度原子力関係予算政府原案(通商産業省分)について
   (3)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
   (4)その他

4.審議事項
   (1)議事録の確認
      第2回原子力委員会臨時会議議事録(案)について、6.審議事項
     (1)の「人間」を「人類」とした上で了承された。
   (2)ロシア極東における液体放射性廃棄物貯蔵・処理施設の建設に係わる
     契約締結について
      標記の件について外務省から、「日露核兵器廃棄協力委員会」がロシ
     ア極東における液体放射性廃棄物貯蔵・処理施設の建設に従事する業者
     と契約を締結したことについて説明があった。
   (3)平成8年原子力関係予算政府原案(通商産業省分)について
      標記の件について、事務局から説明があった。
   (4)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
      はじめに、故西村成生 動力炉・核燃料開発事業団総務部次長の逝去
     に対し黙とうにより哀悼の意を表した。
      標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管のナ
     トリウム漏えいの原因究明のための準備作業及び各室に飛散したナトリ
     ウム化合物の除去・清掃作業等について報告があった。
      これに対し、委員から、
      ・原因やナトリウムの漏えい量について確認できた情報を早めに公表
       すべき
      ・原因などについて断片的にではなく、情報を適切にとりまとめて公
       表していくことが重要である。
      ・連絡通報体制に関して現地の過去の経験を踏まえた対応をすべき
     等の意見があった。







         第4回 原子力委員会臨時会議議事録

1.日 時  1996年1月19日(金)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
   (2)第7回アジア地域原子力協力国際会議の開催について
   (3)その他

4.審議事項
   (1)議事録の確認
      第3回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
   (2)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えいについて
      標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管のナ
     トリウム漏えいの原因究明のための準備作業としての漏えい部近傍の保
     温材撤去作業について報告があった。
      これに対し、委員から、
     ・ナトリウムが循環している他の2ループの健全性について確認する必
      要がある
     ・国民の理解の促進のため、ナトリウムの燃焼実験を、実際に近い条件
      で公開の下に行ってはどうか
     ・地震速報における津波情報と同様に、原子力発電所でトラブルか生じ
      た場合、放射能の放出の有無等の情報を、早期にマスメディアを通し
      て流すことを習慣づける努力をしてはどうか
     ・高温のナトリウムが鉄と反応する状況などを調べるべき
     等の意見があった。
   (3)第7回アジア地域原子力協力国際会議の開催について
      平成8年3月5日(火)〜3月7日(木)に東京において開催する標
     記の件について、事務局から説明がなされ、審議の結果、
     ・議論した内容を国際協力専門部会に反映させることを考えながら進め
      るべき
     ・アジア地域における原子力発電の導入に当たっての安全規制の問題等
      が議論の対象になると予想される
     ・もんじゅの2次系ナトリウム漏えい事故に関連して、信頼の回復を目
      指しつつ原因の究明を行っていることをアジア各国からの参加者によ
      く理解してもらうべき
     等の意見が出され、了承された。





         第5回 原子力委員会定例会議議事録

1.日 時  1996年1月23日(火)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)保障措置の強化・効率化方策[プログラム93+2]に関する最近の
     動向について
   (2)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えい事故について
   (3)関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号
     及び4号原子炉の設置の変更)について(答申)
   (4)スウェーデンの原子力事情について
   (5)その他

4.審議事項
   (1)議事録の確認
      第4回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
   (2)保障措置の強化・効率化方策[プログラム93+2]に関する最近の
     動向について
      標記の件について、事務局からIAEAの保障措置の強化・効率化方
     策である[プログラム93+2]のIAEAと各国による検討状況につ
     いて報告があった。
      これに対し、委員から、
     ・非核兵器保有国のみならず核兵器保有国も含め保障措置に関する議論
      が十分行われる必要がある
     ・保障措置の強化とともに、各国の負担が大きくならないよう合理化も
      併せて行うことが必要である
     ・強化・効率化により核疑惑のある国に対し厳しく対処できるようにし
      てほしい
     ・我が国においても査察強化が重要
     等の意見があり、今後の動向についても事務局より報告を受け審議して
     いくこととした。
   (3)高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏えい事故について
      標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管から
     のナトリウム漏えいの原因究明のための準備作業としての漏えい部近傍
     の保温材撤去作業について報告があった。
      これに対し、委員から、原因究明について、現在、科学技術庁及び原
     子力安全委員会による調査が行われているところであるが、動燃自身が
     当事者として十分に対処していくことが重要である等の意見があった。
   (4)スウェーデンの原子力事情について
      標記の件について、事務局から、1995年12月、スウェーデン議
     会のエネルギー委員会が発表した、エネルギー需給的には、1990年
     代に1基の原子力発電所を閉鎖することは可能であるが、最終的な閉鎖
     期限については設定されるべきではない、とする「2010年までの原
     子力発電の段階的廃止計画」に関する報告があった。本件については、
     今後の動きについても引き続き注視していくこととした。
   (5)関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号
     及び4号原子炉の設置の変更)について(答申)
      平成7年12月5日付け7資庁第13404号をもって諮問のあった
     標記の件に関する核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法
     律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号
     及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用に
     ついては妥当なものと認め、通商産業大臣あて答申することとした。
      注)本件は、「非常用電源設備の受電系統のうち主回線(500kV)
       を2回線から4回線へ変更する」ものである。






         第6回 原子力委員会臨時会議議事録

1.日 時  1996年1月26日(金)10:30〜
2.場 所  委員会会議室

3.議 題
   (1)日本原燃・六ヶ所再処理工場の建設計画の変更について
   (2)福島県、新潟県、福井県各知事の提言「今後の原子力政策の進め方に
     ついての提言」について
   (3)その他

4.審議事項
   (1)日本原燃・六ヶ所再処理工場の建設計画の変更について
      標記の件について、日本原燃株式会社から、設計変更内容、再処理工
     場の竣工時期並びに工事費について報告があった。
      引き続き、電気事業連合会から、六ヶ所再処理工場の建設計画が妥当
     と判断したことについて報告があった。
      これに対し、委員から、
     ・原子力発電所と異なる点も多く、経験も少ないことから、国内外の再
      処理施設における特に運転開始段階での不具合の情報、運転経験等を
      十分活用すべき
     ・再処理工場に対する理解を深めるためモックアップや模型の公開等を
      考えるべき
     等の意見があった。
   (2)福島県、新潟県、福井県各知事の提言「今後の原子力政策の進め方に
     ついての提言」について
      標記の件について、事務局から報告があった。これに対し、委員から、
     ・国の政策とそれが決められた背景等について、各地方自治体の関心の
      度合いに応じて、良く理解してもらうことが重要
     等の意見があった。
   (3)以上の議論を踏まえ、委員より
     ・今後の原子力政策を考える上で、六ヶ所再処理工場の建設計画の変更、
      三県知事提言は非常に重要な問題である。
     ・三県知事の提言については、国民の合意を形成していくに当たり、原
      子力委員会をはじめ国が果たすべき役割の重要性を強く述べておられ
      るものと認識され、積極的に対応していく必要がある。
     ・もんじゅの事故を踏まえて、原子力委員会として、今後の対応を考え
      ていく上で、まず地元の実情に触れ、生の声を伺うことが重要である。
     ・六ヶ所再処理工場の建設計画の変更は、原子力委員会の立場からは、
      正式な事業者からの申請があって判断していくものではあるが、国の
      核燃料リサイクル計画の要となる施設の計画変更であり、重要な問題
      と認識し、フォローアップしていく必要がある。
     ・プルトニウム需給見通しに関しては、今回の六ヶ所再処理工場の建設
      計画の変更、もんじゅの事故の今後に及ぼす影響など注意深く検討し、
      柔軟に対応していく必要がある。
     等の意見が出された。

         第7回 原子力委員会定例会議議事録 1.日 時  1996年1月30日(火)10:30〜 2.場 所  委員会会議室 3.議 題    (1)高速増殖原型炉もんじゅの二次系ナトリウム漏えい事故について    (2)韓国の長期電力需給計画について    (3)その他 4.審議事項    (1)議事録の確認       第5回原子力委員会定例会議議事録(案)及び第6回原子力委員会臨      時会議議事録(案)が了承された。    (2)高速増殖原型炉もんじゅの二次系ナトリウム漏えい事故について       標記の件について、動力炉・核燃料開発事業団から、2次系配管から      のナトリウム漏えいの原因究明のための破損した温度計さや管の探索作      業などについて報告があった。       これに対し、委員から、      ・破損した温度計さや管を早期に発見するよう努めるべき      等の意見があった。    (3)韓国の長期電力需給計画について       標記の件について、事務局から昨年12月に改訂された韓国の「長期      電力需給計画」について報告があった。改定された計画では、2010      年には韓国の総電源設備容量を7,955万kWに、そのうち原子力発      電は従来の計画に加え、さらに6基を新設することにより2,633万      kW(全体の33.1%)とする計画となっていること等が紹介された。