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原子力委員会委員長就任に当たって


国務大臣
原子力委員会委員長
竹内 黎一

 我が国の原子力研究開発利用が本格的に始まって以来30年を経ました。今日では、商業用原子力発電は総発電電力量の20%以上を賄うまでに至っています。このように、原子力発電は石油代替エネルギーの中核をなすに十分なものとなってきております。また、放射線利用も、工業、農林水産業、医療等の分野で幅広く進められており、今や原子力は国民生活や経済活動に欠くべからざるものとなっています。

 近時、内外のエネルギー情勢は緩和基調で推移しておりますが、中長期的には石油需給は逼迫化し、石油価格は上昇するとの見方が一般的になされています。また、我が国のエネルギー供給の石油依存度は他の主要先進国に比べて依然として高く、しかも石油輸入の多くを中東地域に依存している等我が国のエネルギー供給構造はいまだ脆弱なものがあります。従って、石油代替エネルギーの開発・導入は引き続き我が国の重要な課題であります。

 原子力発電は、石油代替エネルギーの中にあって、経済性、大量供給性等に優れたエネルギー源として最も有望なものであり、さらに、使用済燃料の再処理によって回収されるプルトニウム及びウランの利用によりウラン資源の有効利用を図ることができるとともに、資源面での対外依存度を低減できるという優れた特長を有するものであります。このため、今後とも、原子力発電の一層積極的な推進を図るとともに、自主的な核燃料サイクルの確立、新型動力炉の開発等の推進に最大限の努力を傾注していくことが必要であると考えております。これまで、動力炉・核燃料開発事業団を中心に関連の研究開発が鋭意進められてきたところでありますが、その成果をふまえ、今春来、青森県に核燃料サイクル関連施設を建設しようとの計画が、電気事業者を中心として進められ、大きな前進がみられつつあることは、我が国原子力開発利用を推進していく上で極めて意義深いものがあり、今後とも官民一体となってその円滑な推進に取り組んでいかなければならないと考えております。

 さらに、長期的視点に立って、高温ガス炉、原子力船、核融合等各般の研究開発を着実に進めることも極めて重要であります。

 一方、国際的には、先進国、開発途上国を問わず、国際協力の機運が大いに高まっており、各国から我が国に対し大きな期待が寄せられております。我が国としては、原子力先進国としてこのような期待に積極的に応え、国際協力を大いに進めることもまた、大変重要なことであると考えております。

 私といたしましては、こうした我が国の原子力開発利用が直面する諸課題に積極的に取り組み、国民の皆様の理解と協力を得て、我が国の原子力開発利用のなお一層の進展、拡大を図るべく、最大限の努力を傾注して参る所存でございますので、関係各位におかれましても、引き続きの御努力をお願いすると同時に、従前と変わらぬ御支援、御協力を賜わりますようお願い致します。


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