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放射性廃棄物フォーラム’84について



原子力局 核燃料課
原子力安全局 防災環境対策室

1 今年3月に行われた総理府の「原子力に関する世論調査」において、「原子力について知りたい事項は何か」との設問を設けたところ、放射性廃棄物の処理・処分対策について知りたいと答えた人が34%(但し、複数選択可能)にのぼった。このように、放射性廃棄物処理処分方策に対する関心は、従来になく高まりを見せている。こうした中で、6月25日(月)と26日(火)の2日間、砂防会館とプレスセンターの二会場で、国が主催する初めての放射性廃棄物に関する総合的な催しとして、放射性廃棄物フォーラム’84が開催された。

2 フォーラム’84は、放射性廃棄物の処理処分問題に関係する研究者の成果発表の場として、また、政策担当者と地方自治体担当者の意見交換の場として、更には広く国民各層の放射性廃棄物対策に関する理解を深める一助として開催されたものである。

 第1日目午前中は、砂防会館ホールにおいて岩動道行科学技術庁長官の開会拶挨に続いて、国内外の4人の講師によって特別講演が行われた。最初に登壇した中村守孝科学技術庁原子力局長は、我が国における放射性廃棄物処理処分方策の現状と今後の方針について、包括的な説明を行った。次に登場した長岡昌NHK解説委員は、先の総理府世論調査の例も引きながら、放射性廃棄物問題におけるパブリック・アクセプタンス(PA)の重要性について講演し、放射性廃棄物処理処分方策に関する研究開発等の状況が、国民に十分理解されるよう努力を続けることの緊要性について述べた。

 この後、フランスとアメリカの2人の専門家によって海外の諸状勢の紹介が行われた。先づ、仏放射性廃棄物管理庁(ANDRA)副長官のY・マルク氏が、フランスにおける放射性廃棄物長期管理の考え方と現状と題し、この分野における先進国であるフランスの状況を紹介した。続いて、米ウッズホール海洋研究所のM・ベーコン氏が、低レベル放射性廃棄物の海洋処分に関し、その安全評価についての最近の考え方と国際動向について説明を行った。

3 第1日目の午後と翌2日目の午後3時までは、会場を砂防会館ホールとプレスセンターホールに分け、個別研究成果の報告が行われた。

 初日の砂防会館会場においては、低レベル放射性廃棄物の処理処分をテーマに、海洋処分、陸地処分及び固化・減容等の処理方策について、原研、原子力環境整備センター、電中研、原電等の研究成果が発表された。

 また、プレスセンター会場では、環境安全評価の問題について、東大海洋研、放射線医学総合研究所等の成果報告が、更に概要紹介として、原研、動燃における研究活動の現状、施設概要、電事連における返還廃棄物対策に関する研究状況が紹介された。

 2日目の砂防会館は、低レベル放射性廃棄物の処理方策にテーマを絞り、科学技術庁の減容処理技術開発費補助を受けているメーカー11社から、その成果報告が行われた。

 一方、同日のプレスセンターにおいては、高レベル放射性廃棄物処理処分に係る研究開発に関し、動燃と原研の研究者からホット試験等の成果を踏まえ報告がなされた。

4 最後に、フォーラム’84の締めくくりとして、再び会場を砂防会館に統合し、有識者によるパネルディスカッションが行われた。パネリストとしては、フォーラムの実際の運営に当たった原子力安全研究協会の理事長である村田浩氏を座長に、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会部会長の天沼w氏をはじめ、放医研の市川龍資氏、動燃の植松邦彦理事、原研の宮永一郎理事の専門家、一般人の立場として評論家の五代利矢子氏、PAに造詣の深い学習院大学教授の田中靖政氏、電力を代表して東京電力の豊田正敏常務取締役の各氏が参加、放射性廃棄物処理処分方策について、国民各層との橋渡し役として、活発な討論を行った。パネルは閉会予定の5時半を延長して続けられ、最後には会場とのやりとりもなされるなど、真剣な内にも和気あいあいとした雰囲気の中で行われた。

5 フォーラム’84は、辻栄一科学技術庁原子力安全局長の閉会挨拶をもって幕を閉じたが、当初の予想を大幅に上まわる延べ約1,600人の参加を得られたことは、事務局として大きな慶びであるとともに、放射性廃棄物対策に関与するものとして、その責任の重大性を再認識させられるものであった。今後とも折に触れ、このような機会を設け、放射性廃棄物処理処分に関する正確な情報の公開を行い、国民各層の理解を得られるよう努力を続けていくこととしたい。



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