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海外主要国の原子力開発に関する調査について 海外諸国の原子力開発に関する動向を的確かつ迅速に調査、分析することにより、我が国の原子力に関する政策決定に資することを目的に、原子力委員会は、(株)海外電力調査会の協力のもとに、主として米国、フランス、西ドイツ及び英国における原子力開発利用に関する動向について調査を行った。 近時、世界経済は緩やかに回復に転じてはいるものの、省エネルギー努力の成果等によりエネルギー消費量は漸減傾向にある。このような状況を背景として、米国における一連の原子力発電所のキャンセルやフランスにおける原子力発電所発注規模の下方修正等にみられるように、主要国における原子力発電計画は調整期に入ったとみられている。一方、核燃料サイクル、特にバックエンド部門においては米国における放射性廃棄物政策法の成立(1983年1月)、西独におけるゴアレーベン使用済み燃料中間貯蔵施設(1,500トン、乾式)の完成(1983年末)等、着実な進展をみせている。 米国では1983年から1984年にかけ、マーブルヒル1、2号基のキャンセル、ジンマー発電所の石炭転換など原子力発電所のキャンセルが相次いだ。これらの出来事は電力需要の低迷を背景とするものであるが、制度的にも、(1)州公益事業委員会による十分な報酬率の許可と建仮資産のレートベース算入、(2)事業者、炉メーカー、エンジニアリング会社、建設会社の権限・責任を明確化した契約等解決すべき事項があることが指摘されている。 一方1983年1月成立の「放射性廃棄物政策法」及び4月から6月にかけて示された連邦最高裁の一連の判決により廃棄物問題には着実な歩みがあった。 本年11月には大統領選挙が実施される。共和党ではレーガン氏一人に候補者を絞っており、従来通り、原子力の開発を推進していく考えである。他方、候補者が乱立ぎみであった民主党側では各地の予備選挙と地方党大会を経てハート上院議員とモンデール前副大統領が浮び上ってきたが、最終的にモンデール前副大統領が候補者として選ばれる見込であり、原子力の推進については冷静な見方をしている点が注目される。 フランスは我が国と同様エネルギー資源に恵まれない国であり、今後のエネルギー源として原子力に期待するところが大きい。 フランスは、特にこの10年間、原子力開発に莫大な資金と人力を投入し、開発を推進してきており、短期間の間に強固な開発体制を作り上げている。 しかし、このフランスの原子力開発もいまや調整期に入っている。第二次石油危機以降、電力需要に顕著な鈍化がみられ、1983年7月に発表された政府諮問機関の報告書では大幅な需要想定の下方修正がなされた。それに伴い1983〜85年の原子力発電プラント発注規模は当初計画を修正し、年間2基(1985年は1基オプション)と決定された。もちろん、既発注分については、建設は継続される見込みであり、1990年に原子力が発電電力量の70%以上を占めることに変わりはない。 西ドイツでは1983年中に、バックエンド部門において具体的な動きがあった。再処理部門においてはすでにドイツ核燃料再処理会社(DWK)がバイエルン州とニーダーザクセン州政府に対し商業用再処理施設(350トン・ウラン/年)の建設申請書を提出しているが、1983年3月には、ニーダーザクセン州首相は同州での再処理施設プロジエクトに賛成する意向を表明しており、また同年9月には両州において、プロジエクトに係わる書類が一般公開された。一方ゴアレーベン使用済燃料中間貯蔵施設(1,500トン・乾式)については、許可証が1983年9月、ゴアレーベン使用済燃料貯蔵会社(BLG)に発給され、工事は同年末に終了した。またゴアレーベン低レベル放射性廃棄物貯蔵施設(ドラム缶で3万5,000本容量)の貯蔵許可証も同年11月BLG社に発給されている。運開は1984年春の予定である。 軽水炉の開発については1982年以来コンボイと呼ばれる一連のPWR型標準炉が建設されることとなり、1982年には3基が着工されている。 新型炉(高速増殖炉原型炉、高温ガス炉原型炉)については、建設資金の不足が問題となっていたが、1983年4月、関係者間で資金調達について話がまとまり、完成に向け工事が継続されることになった。なお高温ガス炉原型炉は1983年9月に初臨界に達している。 英国は豊富な国内石炭資源と北海油田を背景に1982年における英国のエネルギー自給率は115%と完全なエネルギー自給体制を確立している。 英国の今後のエネルギー政策の重要課題は、短期的には北海油田の開発を進めるとともに、中・長期的にはそうした資源の適切な保護を図りながらエネルギー自給を長期維持してゆくことにある。 今後原子力が国内エネルギー源として益々重要な役割を担っていくことは確実であり、行政サイド、産業界とも積極的な開発姿勢を打出している。しかしながら、一方では経済の低迷、省エネルギー効果等により国内エネルギー消費量及び電力消費量はこのところずっと伸び悩んでいる。従って、原子力開発についてもその緊急性が薄れ、若干のペースダウンは否めないところである。 英国初のPWRを導入するサイズウェルB発電所についてもその公聴会は開始以来延々と1年余続いており、原子力を取り巻く環境はこうした点にも反映されているといえよう。 |
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